相談の広場
後学のため、あるいは他の方の利益にもなると思いますので、あえて公の場にて質問させていただきます。
貴殿が最近投稿されたコラム2件についてです。
なお本質問は労務アドバイザリー山口正博事務所さんに対するものですが、 他の方でも私の疑問に対する回答や補足意見をいただける方、是非ともご教授くださいませ。
////////////////////////
【質問1】
下記コラム「出勤してすぐに休憩、終業直前に休憩。これはアリ??」について。
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-81703/
この中で「就業時間中の休憩なら出勤後即休憩もOK」という旨の記述をされています。
しかしこれはおかしいのではないでしょうか?
法律には次のように定められています。
<労働基準法第34条>
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
(2・3項省略)
例えば始業9:00、終業18:00、休憩は1時間とれるものとします。
コラムの通りですと、9:00-10:00休憩 → 10:00-18:00労働 → 退社 がOKということになりますよね。
条文には休憩は“労働時間の途中に”と記述されています。
上記のような勤務では労働時間の途中に与えたことにならないと思います。
仮に就業規則で9:00始業と定めていても、休憩時間は労働時間ではありません。
つまり始業9:00・終業18:00であっても、条文が指す労働時間はこの場合10:00-18:00となります。
よって10:00-18:00には休憩がありませんので、労基法に反するのではないでしょうか。
法に定める“労働時間の途中に”とは、実態として労働する時間の途中を意味するのであって、会社が定める始業と終業の間なら、休憩はアタマでもケツでもOKという意味ではないと思います。
労働時間と労働時間に挟まれた休憩でなければ、そもそも法律で“労働時間の途中に”という一文を規定する意味がないです。
それとも私が知らないだけで、このような休憩の取り方を容認する判例や通達があるのでしょうか?
////////////////////////
【質問2】
下記コラム「フレキシブルタイムがゼロでもフレックスタイム制度になり得る。」について。
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-80301/
このコラムにおいてどうにも違和感を持ってしまったのは、以下の文章です。
> ただし、コアタイム100%に設定したとしても、違法というわけではありません。
> なぜならば、この32条の3に違反した場合に罰則がないからです。
> 労働基準法では、13章の117条から121条までが罰則について書かれている部分です。
> そして、その部分を読んでみると、32条の3は罰則対象になっていません。
> 懲役や禁固の対象にはなっていませんし、罰金の対象にもなっていません。
> ゆえに、フレキシブルタイムがゼロのフレックスタイム制度を採用したとしても、違法とはならないのです。
貴殿は違法かどうかの理由として“罰則の有無”を挙げています。
しかし、「適法か違法か」と「罰則の有無」は関係ないのでは?
違法とはその名の通り法律に反することであって、罰則とは違法行為があった場合の後処理(国からのペナルティ)に関するものです。
労働基準法は労働関係に特化した民法の特別法です。つまり労基法は民法の一種です。
刑法のように、法律に反したら必ず罰則がつくという前提の法律ではありません。
そもそも条文に反しても違法じゃないなら、法律が存在する意味がないと思います。
世の中には罰則のない法律は山ほどあります。
これらの罰則がない山ほどの法律に全て反しても、違法じゃないのでしょうか。
例えば労基法1条2項。
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
もしある事業主から「うちは所定6時間の会社だけど労基法は8時間まで認めているから、うちも今度から8時間に伸ばそうと思う」という相談を受けたらどうしますか?
「あぁ、1条2項には罰則がないから違法じゃないですよ。8時間にしてもOKです」と答えるのでしょうか?
コラム通りに解釈するなら、そう答えるしかありませんよね。
違法じゃないなら、法律が禁止する行為を行っても良いことになります。
労基法を理由として労働条件の低下を禁止しているのに、違法じゃない(罰則がない)から低下させても良い。
これでは矛盾で法律の機能を果たしません。
仮に裁判になっても「罰則がないから、特に理由もなく労基法に倣って労働を8時間に伸ばすのは違法じゃない」と、裁判官は言わないと思います。
この場合はきっと裁判にて「理由もなく8時間労働にする事が労基法1条2項に反するので認められない」となるはずです。
ただ残念ながら、その違法に対して罰則まで課すことはできない。
ただそれだけの話だと思います。
もう一度聞きますが、「適法か違法か」と「罰則の有無」は関係ないのでは?
////////////////////////
他のコラムでも疑問をもった点はいくつもあるのですが、とりあえず今回は以上2点です。
もし私の無知や間違いなら、速やかに訂正いたします。
ご回答お待ちしています。
スポンサーリンク
>他の方でも私の疑問に対する回答や補足意見をいただける方、是非ともご教授くださいませ。
法律や条文など素人ですが、
> 【質問1】
> しかしこれはおかしいのではないでしょうか?
「途中に」を文字通り捉えれば、ARIESさんの主張するとおりだと思いますが、休憩時間を9:01~とすれば「途中に」は担保されてしまいます。
常識的に考えれば、休憩時間を10時、昼、15時と分散させてもよいし、昼時だけにしてもよいですよ、ということですよね。
休憩はアタマでもケツでもOKというような極端な事例を考慮することは実務上必要ないと思います。
> 【質問2】
>「適法か違法か」と「罰則の有無」は関係ないのでは?
ARIESさんと全面的に同意見です。「罰則がないから違法じゃない」という考え方は間違っていると思います。
http://www.pref.osaka.jp/sogorodo/soudan/roudouqa/qa25.pdf
上記の大阪府総合労働事務所の見解では、
「○ 労働者が自由に決定できる始業・終業の時刻の幅が極端に短い(例えば30 分間など)労働者が、始業時刻、終業時刻の一方のみしか決定できない、特定の曜日だけフレックスタイム制にする、というようなものは法律上のフレックスタイム制とは認められないと考えられている。」
となっています。
少なくとも「フレキシブルタイムがゼロのフレックスタイム制度を採用したとしても、違法とはならないのです」は、「フレキシブルタイムがゼロのフレックスタイム制度は違法ですが、罰則はありません」と表記すべきだと存じます。
また、コラムにはスーパーフレックス制度という文言もありましたが、フレックスタイムの黎明期には、フレキシブルタイム100%の場合はフリータイム制(法令用語かは不明:私が20数年前にコアタイムなしでフレックス勤務していたときに調べたものです)として区別されていたと思います。
これらの極端な事例は、法的解釈もしくは社労士試験問題の解釈としての山口正博事務所さんから提示なのではないでしょうか?
それでも「罰則がないから違法じゃない」はいただけませんが。
>ごんジろうさん
レスありがとうございます。
> これらの極端な事例は、法的解釈もしくは社労士試験問題の解釈としての山口正博事務所さんから提示なのではないでしょうか?
この部分は自分も理解しております。
実務的な事より、あくまで「こういう考え方もある」という提示にすぎないコラムである、と。
とりあえずこの点は今回の論点ではないので、横に置くこととします。
//////////////////////
【質問1】について。
この点を3ヵ所の労働基準監督署に確認を取りました。
(一応私は役所に聞く場合は、複数に確認するのを主義としてますので)
全ての監督署にて、私の見解通りで間違いないと断言してもらえました。
つまり休憩における“労働時間の途中”とは「会社が定める始業から終業の間」ではなく、「実際の労働の途中」という意味です。
なお以下の部分ですが
> 休憩時間を9:01~とすれば「途中に」は担保されてしまいます。
ごんジろうさんの仰るように、理屈では一応可能となるようです。
(法の抜け穴的な部分でしょうね)
ただ、ある監督署で言われたのが、「理屈上は可能だがこういった極端な休憩の場合は、是正指導の対象となる可能性がある」と言われました。
やはり休憩の趣旨に反するからだと思います。
(ただ監督署も“可能性がある”という、ボカした言い方でしたけど)
休憩を挟む前後の労働時間の割合に決まりはないようですね。
///////////////////
【質問2】について。
この点は私も考えは変わりません。
法に反するかどうかは、罰則の有無とは別問題だと思います。
コラムで言っている「コア100%のフレックスタイム」では、そもそもフレックスタイムの要であるフレキシブルタイムが全くないので32条の3に反しています。
(要は始業と終業を固定された、通常通りの勤務となんら変わらない)
フレックスタイムを採用するかどうかは、会社の任意となっております。
義務規定ではないからフレックスには罰則がないのだと思います。
あくまで私見ですが「賃金支払い・休日・休憩などをきちんとクリアしていれば、事業主が罰則を課されることはない」という事だと思います。
つまりこういった勤務をフレックスタイムとするのは32条の3には反する(一応違法となる)が、それ以外の部分さえ問題なければ処罰はしません、と。
ですから、ごんジろうさんの仰る
> 「フレキシブルタイムがゼロのフレックスタイム制度は違法ですが、罰則はありません」と表記すべきだと存じます。
に関しては、私も同感です。
フレックスタイムとしては違法だが、他の義務規定をクリアしているなら処分は課さないと。
そういう事だと思います。
///////////////////////
とりあえずご本人からの回答はいただけないような感じがしますので、賛否に関係なく、ごんジろうさんからのコメントをいただけて感謝です。
(内心レスが全くつかないだろうと思ってましたので)
> これらの極端な事例は、法的解釈もしくは社労士試験問題の解釈としての山口正博事務所さんから提示なのではないでしょうか?
私が上記の記述をした理由は、山口正博事務所さんからの正式な見解が欲しいと思ったからです。
この場でコラムの文言を取り上げて、無用な諍いをしたわけでなく、こういう意図もあったんですよね、との余韻を残すことで、山口正博事務所さんからの返信を期待しています。
> この点を3ヵ所の労働基準監督署に確認を取りました。
> (一応私は役所に聞く場合は、複数に確認するのを主義としてますので)
ARIESさんは、賢明かつ聡明な方と察せられますね。
わざわざ、こういうことを記載なさるのは、多くの方に参考にして欲しいとおいう意図があるからだと思います。
> 休憩における“労働時間の途中”とは「会社が定める始業から終業の間」ではなく、「実際の労働の途中」という意味です。
文中にある「途中」は伊達じゃないとのお墨付きですね!!
> 休憩を挟む前後の労働時間の割合に決まりはないようですね。
法の精神としては、12:00~13:00固定じゃなくてもいいし、何回かに分割してもおいいよということだと思います。
> 【質問2】について。
> 義務規定ではないからフレックスには罰則がないのだと思います。
フレックスに罰則がないのは、立法当時はフレックスタイムを普及させてたいという思いとの兼ね合いではないでしょうか。(あくまで推測ですが)
> とりあえずご本人からの回答はいただけないような感じがしますので、賛否に関係なく、ごんジろうさんからのコメントをいただけて感謝です。
> (内心レスが全くつかないだろうと思ってましたので)
コラムを書くには、それなりの責任も生じますので、山口正博事務所さんからは、いずれはレスがあると思いますよ。
どのカテゴリーに投稿しますか?
選択してください
1~4
(4件中)
お知らせ
2024.4.22
2023.11.1
2023.9.1
スポンサーリンク
スポンサーリンク
[2022.7.24]
[2019.11.12]
[2018.10.10]