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経営・
労務管理ビジネス用語の
あれっ! これ、どうだった?!
第30回
退職に際して会社の許可は有効か?
(その1)
<第37号> 平成22年11月15日(月)
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発行人のプロフィル⇒
http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは!
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。
1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。
ある日の午後、労働相談で尋ねて来られた女性が、
退職願を提出したがなかなか許可してくれない。
他社に就職したくても出来なくて困っている、という
相談でした。
今回は、
退職に際して会社(
使用者)の許可なり
承認を必要とするとの
就業規則の規定は
有効か否かについて考えてみたいと思います。
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⇒
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労務管理に関する基礎的解説サイト
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◆◆
退職とは ◆◆
一般に「
退職」とは、
労働契約関係の終了原因の
一つであり、就労していた企業から
労働者が去ることの総称とされています。
退職には、
労働者が
労働契約関係を一方的に解約する
「辞職」「自己都合
退職」などと呼ばれるもの、
労働者と
使用者の合意による
「依願
退職」「希望
退職」などと呼ばれるもの、
そして、最終期限付き
労働契約の解除とされる
「
定年退職」があります。
○
労働基準法(以下「労基法」という。)には
労働契約を締結する際に、
賃金に関する事項ほか
書面を交付して説明する旨、規定されています。
(労基法第15条、同施行規則第5条)
その中に「
退職に関する事項」も含まれています。
その内容としては行政
通達で
「
退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければ
ならないこと。」(平11.1.29基発第45号)と
示されているだけの為、
具体的な
退職の事由や手続などについては、
各企業で
就業規則その他準ずるものに規定している場合が
ほとんどと思います。
例えば、その中に
退職の手続として
「
退職を希望する場合は、
退職日の1か月前(2か月~
6か月)までに
退職願(届)を提出する事」とか、
「
退職する場合は、
退職願を提出して会社が承認したとき」
等の規定が置かれていることがありますが、
この定めは有効なのでしょうか。
◆◆ 近代的労働法の意義と特性 ◆◆
○ 戦前の我が国の労働環境は、強制労働を強いられたり
奴隷的拘束の中で仕事をせざるを得ない側面もありました。
戦後の近代的労働法では、
労働者がその意に反して
不当に長く拘束されることを防止する観点から
定められています。
○ 例えば、労基法第5条には「
使用者は、暴行、脅迫、
監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって
労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」と
強制労働の禁止を謳っております。
また、同法第14条では
労働契約期間の上限が、
期間の定めのないものを除き3年間と限定され、
同法第16条には
労働契約の不
履行について
違約金を定めたり
損害賠償額の予定
契約を禁止し、
同法第18条では
労働者の意に反して
強制貯金をさせてはならない旨の規定を置き、
そして同法第23条には、
労働者の
退職や死亡の場合に
当該
労働者の権利に属する
賃金、貯蓄金等の金品を
請求があれば7日以内に返還すべき事を定めています。
これらの事は、法の根幹である憲法にも、
「何人もいかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪による
処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」
(第18条)とあることからも明らかです。
○ これら近代的労働法の趣旨と精神は、
裁判でも判示されております。
「これら近代的労働法の趣旨は、
労働者が
労働契約から
脱する事を欲する場合に、これを制限する手段と
なりうるものを極力排斥して、
労働者の解約の自由を
保障しようとしている。」
(「高野メリヤス事件」昭51.10.29東京地裁判決)
これら近代的労働法の趣旨と上記の判示を踏まえるとき、
退職のあり方について法的にどう捉えるべきか、
退職の許可・承認との規定は有効なのか否か等について
次号で解説したいと思います。
★☆★☆★☆★【ひとくち教養講座】★☆★☆★☆★
よく日本語は難しいといいます。
そこで、間違いやすい日本語について考えてみましょう。
次の文章のうち、どちらが正しいでしょうか
■A.「僭越」ながら代表して挨拶させていただきます。
■B.「潜越」ながら代表して挨拶させていただきます。
答えは、編集後記で。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
~~~~~[[今日あった昔の歴史─11/15]]~~~~~
●1605年の今日、イギリスのガイ・フォークスらが国王
1世らの爆殺を企てるが失敗(火薬陰謀事件)
●1867年の今日、新生日本の立役者、坂本龍馬暗殺される。
⇒ 詳細をご覧になりたい方は
http://blog.ho-wiki06.com をクリックし
ブログから該当日をご覧ください。
●1920年の今日、ジュネーヴで国際連盟の第1回総会が開催。
●1955年の今日、自由党と日本民主党が
合併し、自由民主党が
誕生。(保守合同)
●1964年の今日、シンザン号、菊花賞を制して競馬史上
2頭目の三冠馬となる。
●1977年の今日、新潟市で横田めぐみさんが下校途中に
北朝鮮の工作員に拉致される。
~~~~~~[[今日の主なバースデー]]~~~~~~
○星野立子(俳人:1903)
○マントヴァーニー(指揮者:1905)
○浪越徳治郎(指圧師:1905)
○内田康夫(推理作家:1934)
○小林久三(作家:1935)
○中島啓江(オペラ歌手:1957)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。
さて、どちらが正しいか分かりましたか?
答えは「A」です。
この文意は、自分の地位や立場を越えて出過ぎたこと
(代表して挨拶すること)をすることです。
僭と潜とは、ニンベンとサンズイの違いだけですが、
意味は全く違います。
「僭」とは、下の者が勝手な行動をするとの意味があり
例えば「僭称」(自分の身分を越えた称号を勝手に名乗る事)と
言うように使います。
一方「潜」には、「水の中にもぐる」「心を一つの事にひそめ」
などの意味があり、潜水、潜心等と使います。
従って、この文意の場合は「僭越」が正しい表現となります。
なお、「潜越」という熟語はありません。
では、また次号でお会いしましょう。
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労務管理ビジネス用語の
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経営・労務管理ビジネス用語の
あれっ! これ、どうだった?!
第30回 退職に際して会社の許可は有効か?
(その1)
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こんにちは!
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亥年のアラ還、小野寺です。
ある日の午後、労働相談で尋ねて来られた女性が、
退職願を提出したがなかなか許可してくれない。
他社に就職したくても出来なくて困っている、という
相談でした。
今回は、退職に際して会社(使用者)の許可なり
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◆◆ 退職とは ◆◆
一般に「退職」とは、労働契約関係の終了原因の
一つであり、就労していた企業から
労働者が去ることの総称とされています。
退職には、労働者が労働契約関係を一方的に解約する
「辞職」「自己都合退職」などと呼ばれるもの、
労働者と使用者の合意による
「依願退職」「希望退職」などと呼ばれるもの、
そして、最終期限付き労働契約の解除とされる
「定年退職」があります。
○ 労働基準法(以下「労基法」という。)には
労働契約を締結する際に、賃金に関する事項ほか
書面を交付して説明する旨、規定されています。
(労基法第15条、同施行規則第5条)
その中に「退職に関する事項」も含まれています。
その内容としては行政通達で
「退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければ
ならないこと。」(平11.1.29基発第45号)と
示されているだけの為、
具体的な退職の事由や手続などについては、
各企業で就業規則その他準ずるものに規定している場合が
ほとんどと思います。
例えば、その中に退職の手続として
「退職を希望する場合は、退職日の1か月前(2か月~
6か月)までに退職願(届)を提出する事」とか、
「退職する場合は、退職願を提出して会社が承認したとき」
等の規定が置かれていることがありますが、
この定めは有効なのでしょうか。
◆◆ 近代的労働法の意義と特性 ◆◆
○ 戦前の我が国の労働環境は、強制労働を強いられたり
奴隷的拘束の中で仕事をせざるを得ない側面もありました。
戦後の近代的労働法では、労働者がその意に反して
不当に長く拘束されることを防止する観点から
定められています。
○ 例えば、労基法第5条には「使用者は、暴行、脅迫、
監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって
労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」と
強制労働の禁止を謳っております。
また、同法第14条では労働契約期間の上限が、
期間の定めのないものを除き3年間と限定され、
同法第16条には労働契約の不履行について
違約金を定めたり損害賠償額の予定契約を禁止し、
同法第18条では労働者の意に反して
強制貯金をさせてはならない旨の規定を置き、
そして同法第23条には、労働者の退職や死亡の場合に
当該労働者の権利に属する賃金、貯蓄金等の金品を
請求があれば7日以内に返還すべき事を定めています。
これらの事は、法の根幹である憲法にも、
「何人もいかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪による
処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」
(第18条)とあることからも明らかです。
○ これら近代的労働法の趣旨と精神は、
裁判でも判示されております。
「これら近代的労働法の趣旨は、労働者が労働契約から
脱する事を欲する場合に、これを制限する手段と
なりうるものを極力排斥して、労働者の解約の自由を
保障しようとしている。」
(「高野メリヤス事件」昭51.10.29東京地裁判決)
これら近代的労働法の趣旨と上記の判示を踏まえるとき、
退職のあり方について法的にどう捉えるべきか、
退職の許可・承認との規定は有効なのか否か等について
次号で解説したいと思います。
★☆★☆★☆★【ひとくち教養講座】★☆★☆★☆★
よく日本語は難しいといいます。
そこで、間違いやすい日本語について考えてみましょう。
次の文章のうち、どちらが正しいでしょうか
■A.「僭越」ながら代表して挨拶させていただきます。
■B.「潜越」ながら代表して挨拶させていただきます。
答えは、編集後記で。
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~~~~~[[今日あった昔の歴史─11/15]]~~~~~
●1605年の今日、イギリスのガイ・フォークスらが国王
1世らの爆殺を企てるが失敗(火薬陰謀事件)
●1867年の今日、新生日本の立役者、坂本龍馬暗殺される。
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●1920年の今日、ジュネーヴで国際連盟の第1回総会が開催。
●1955年の今日、自由党と日本民主党が合併し、自由民主党が
誕生。(保守合同)
●1964年の今日、シンザン号、菊花賞を制して競馬史上
2頭目の三冠馬となる。
●1977年の今日、新潟市で横田めぐみさんが下校途中に
北朝鮮の工作員に拉致される。
~~~~~~[[今日の主なバースデー]]~~~~~~
○星野立子(俳人:1903)
○マントヴァーニー(指揮者:1905)
○浪越徳治郎(指圧師:1905)
○内田康夫(推理作家:1934)
○小林久三(作家:1935)
○中島啓江(オペラ歌手:1957)
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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。
さて、どちらが正しいか分かりましたか?
答えは「A」です。
この文意は、自分の地位や立場を越えて出過ぎたこと
(代表して挨拶すること)をすることです。
僭と潜とは、ニンベンとサンズイの違いだけですが、
意味は全く違います。
「僭」とは、下の者が勝手な行動をするとの意味があり
例えば「僭称」(自分の身分を越えた称号を勝手に名乗る事)と
言うように使います。
一方「潜」には、「水の中にもぐる」「心を一つの事にひそめ」
などの意味があり、潜水、潜心等と使います。
従って、この文意の場合は「僭越」が正しい表現となります。
なお、「潜越」という熟語はありません。
では、また次号でお会いしましょう。
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