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経営・
労務管理ビジネス用語の
あれっ! これ、どうだった?!
第63回
年次有給休暇制度に関するQ&A(その3)
Q4.
時間単位年休と半日単位年休との違いは?
<第80号> 平成23年11月28日(月)
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発行人のプロフィル⇒
http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは!
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。
1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。
○ 「時間単位の年休」については、平成22年4月1日付で
改正施行された労基法の第39条第4項に新たに
定められたものです。(なお、
時間単位年休の詳細については
本メルマガ第29号に解説しています。)
「時間単位」ですから、原則として1時間単位で年休を
取得することになりますが、
労使の話し合いで1回の取得単位を、2時間単位ないし
3時間単位とすることも可能です。
従って、
時間単位年休として3時間なり4時間を取得すれば
半日単位の年休取得と同じ効果があることになります。
つまり、
時間単位年休と半日単位年休とは、実質的に
同じものと考えられなくもありませんが、
一体、どこが違うのでしょうか。
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労務管理全般について体系的に学びたいという方に是非!
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採用から
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無料ですので、気軽に覗いてみて下さい。
・詳細は、以下からご覧ください。
http://www.mag2.com/m/0001323932.html
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◆◆ 半日単位年休の成立の根拠とは ◆◆
○ 昨年の労基法改正で
時間単位年休が法定されるまでは
半日単位年休が重宝がられ、かなり広く普及しているようです。
しかし、この半日単位年休は法律で定められたものでは
ありません。この根拠は、次の解釈例規によります。
●問 法第39条第1項に継続又は分割した10労働日と
なっているが、半日ずつ請求することができるか。
●答 法第39条に規定する
年次有給休暇は、1労働日を
単位とするものであるから、
使用者は
労働者に半日単位で
付与する義務はない(昭24.7.7基収1428号、昭63.3.14
基発150号)。
つまり、「
使用者には義務はない」としていますが、この
逆説的な言い方で、
労働者からの申し出を前提に、
使用者が承認すれば半日単位の
年休付与を認めているのです。
現在、一般に「年休は半日単位で付与できる」というように
理解されているようですが、その根拠はこの
通達にあります。
ただし、あくまでも
労働者の請求が前提です。
上記
通達は、法律解釈というよりは、労使(特に
労働者)の
便宜を考慮した監督行政上の特例的取扱いとされています。
以上から、
時間単位年休と半日単位年休の根本的な違いは
法律で明定されているかいないかということになります。
◆◆
時間単位年休の有効性 ◆◆
○
時間単位年休創設の趣旨について行政
通達で次のように
示しています。
●法第39条は、
労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の
維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも
資するという趣旨から、毎年一定日数の
有給休暇を
与えることを規定している。
●この
年次有給休暇については、取得率が5割を下回る
水準で推移しており、その取得の促進が課題となっている一方、
現行の日単位による取得のほかに時間単位による取得の
希望もみられるところである。
このため、まとまった日数の休暇を取得するという
年次有給休暇制度本来の趣旨を踏まえつつ、
仕事と生活の調和を図る観点から
年次有給休暇を有効に
活用できるようにすることを目的として、
労使協定により
年次有給休暇について5日の範囲内で
時間を単位として与えることができることとしたもので
あること(平21.5.29基発第0529001号)としています。
○ 本来、
年次有給休暇は労基法第39条の第1項及び
第2項の要件を満たす限り、法定日数が付与され、
それが
労働者固有の権利として自由にいつでも取得できる
法的性格を持ったものです。
しかし実際には、業務の繁忙、上司・同僚へ迷惑をかける、
後で多忙になる等の理由から取得が進んでいないのも事実です。
そこで年休の取得がしやすいように、かつ、時代の潮流と
なってきている仕事と生活の調和、
すなわちワーク・ライフ・バランスの実現に寄与するべく
年5日の範囲内で
時間単位年休を制度化したものです。
◆◆
時間単位年休は本来の年休と同じ法的位置付け ◆◆
○
時間単位年休は、本来の日単位の年休と同じ法的な
位置付けにあります。それは、次の
通達に明らかです。
●
年次有給休暇の権利は、法定要件を充たした場合
法律上当然に
労働者に生ずる権利であって、
労働者の請求を
まってはじめて生ずるものではない。
同条第4項(現在は第5項)の「請求」とは休暇の時季を
指定するという趣旨であって、
労働者が時季の指定を
したときは、
客観的に同項ただし書所定の事由が存在し、かつ、
これを理由として
使用者が
時季変更権の行使をしない限り
その指定によって
年次有給休暇が成立し、当該労働日における
就労義務が消滅するものと解するのが相当である。
このように解するならば、
年次有給休暇の成立要件として、
労働者による「休暇の請求」や、これに対する「
使用者の
承認」というような観念を容れる余地はない。
(昭48.3.6基発第110号)
○ この
通達は、最高裁判例(「白石営林署事件」昭48.3.2
第二小法廷判決)を踏まえて発したものです。
従って、
時間単位年休も
労働者の申し出による日の自由な
時間帯に取得できることができ、
そこには
使用者の承認なり決裁の余地はありません。
実際に、
時間単位年休制度を導入した企業の
労働者に聞くと
制度を評価しているが75.7%に上っています。
(「労働政策研究・研修機構」調査、平23.5.25発表)
また、
時間単位年休取得の用途を訪ねたところ、次のような
回答が寄せられました(同上調査)。
(1)自身の病気などの通院 64.7%
(2)家事・育児・子供の行事参加 40.7%
(3)休養 29.0%
(4)ショッピングや外食 19.1%
(5)スポーツや趣味・稽古ごと 17.4%
(6)遅刻時に
時間単位年休を利用 12.9%
(7)介護や看護 12.0%
(8)地域・社会活動 10.0%
かなり、幅広く有効に利用されていることが分かります。
◆◆ 半日単位年休は
労働者の請求と
使用者の承認が必要 ◆◆
○ 一方、先に述べたように
厳密な意味で、半日単位の年休取得に当たっては
労働者の請求が前提であり、その請求を
使用者が承認して
はじめて取得できることになります。
従って、手続上も書面により事前に理由を明記して提出し、
使用者の承認を受ける必要があります。
時間単位年休も含め、一般の年休の取得の場合、
口頭で取得日を指定することにより可能となります。
また、特に理由も不要であり、極端な例として
当日、体調が不良のため電話にて休む旨連絡し、それを
年休に振り替えることも可能ですが、
半日単位年休の場合は、少なくとも
使用者が承認する
事前の時間が必要となります。
○ 以上から、
時間単位年休が法定された現在では、
半日単位年休も
時間単位年休に含まれると考えられるため
時間単位年休に一本化しても不都合はないと思うものです。
(了)
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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。
○ 先日、中小企業での財形利用が増加傾向にあると
厚生労働省より発表がありました。
財形とは「勤労者財産形成貯蓄」のことで会社員が
利用しているものですが、
特に
従業員30人~99人の小企業では11%の
従業員が
利用しており、5年前より6ポイント上昇しているとのことです。
これは、
企業年金が整備されていない企業などでは
老後の備えとして利用する人が増えているためとみられています。
○ リーマンショック以来、長期不況が続き中小企業は
どの
事業場も四苦八苦しているようです。
しかも、少数精鋭で企業活動をしているため、
このような経営圧迫の中ではなかなか、年休も自由に
取得できないようです。
否、それよりも会社を護り抜くため、休みも
返上して
働いている方も多い実態にあります。
そして、
使用者の方が異口同音に語っているのは、
とにかく一日も早く景気回復を願うだけです、と。
私も、まったく同感ですが、皆さまいかがでしょうか。
では、また次号でお会いしましょう。
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労務管理ビジネス用語の
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★発行責任者 小野寺 弘
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定められたものです。(なお、時間単位年休の詳細については
本メルマガ第29号に解説しています。)
「時間単位」ですから、原則として1時間単位で年休を
取得することになりますが、
労使の話し合いで1回の取得単位を、2時間単位ないし
3時間単位とすることも可能です。
従って、時間単位年休として3時間なり4時間を取得すれば
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◆◆ 半日単位年休の成立の根拠とは ◆◆
○ 昨年の労基法改正で時間単位年休が法定されるまでは
半日単位年休が重宝がられ、かなり広く普及しているようです。
しかし、この半日単位年休は法律で定められたものでは
ありません。この根拠は、次の解釈例規によります。
●問 法第39条第1項に継続又は分割した10労働日と
なっているが、半日ずつ請求することができるか。
●答 法第39条に規定する年次有給休暇は、1労働日を
単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で
付与する義務はない(昭24.7.7基収1428号、昭63.3.14
基発150号)。
つまり、「使用者には義務はない」としていますが、この
逆説的な言い方で、労働者からの申し出を前提に、
使用者が承認すれば半日単位の年休付与を認めているのです。
現在、一般に「年休は半日単位で付与できる」というように
理解されているようですが、その根拠はこの通達にあります。
ただし、あくまでも労働者の請求が前提です。
上記通達は、法律解釈というよりは、労使(特に労働者)の
便宜を考慮した監督行政上の特例的取扱いとされています。
以上から、時間単位年休と半日単位年休の根本的な違いは
法律で明定されているかいないかということになります。
◆◆ 時間単位年休の有効性 ◆◆
○ 時間単位年休創設の趣旨について行政通達で次のように
示しています。
●法第39条は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の
維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも
資するという趣旨から、毎年一定日数の有給休暇を
与えることを規定している。
●この年次有給休暇については、取得率が5割を下回る
水準で推移しており、その取得の促進が課題となっている一方、
現行の日単位による取得のほかに時間単位による取得の
希望もみられるところである。
このため、まとまった日数の休暇を取得するという
年次有給休暇制度本来の趣旨を踏まえつつ、
仕事と生活の調和を図る観点から年次有給休暇を有効に
活用できるようにすることを目的として、
労使協定により年次有給休暇について5日の範囲内で
時間を単位として与えることができることとしたもので
あること(平21.5.29基発第0529001号)としています。
○ 本来、年次有給休暇は労基法第39条の第1項及び
第2項の要件を満たす限り、法定日数が付与され、
それが労働者固有の権利として自由にいつでも取得できる
法的性格を持ったものです。
しかし実際には、業務の繁忙、上司・同僚へ迷惑をかける、
後で多忙になる等の理由から取得が進んでいないのも事実です。
そこで年休の取得がしやすいように、かつ、時代の潮流と
なってきている仕事と生活の調和、
すなわちワーク・ライフ・バランスの実現に寄与するべく
年5日の範囲内で時間単位年休を制度化したものです。
◆◆ 時間単位年休は本来の年休と同じ法的位置付け ◆◆
○ 時間単位年休は、本来の日単位の年休と同じ法的な
位置付けにあります。それは、次の通達に明らかです。
●年次有給休暇の権利は、法定要件を充たした場合
法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求を
まってはじめて生ずるものではない。
同条第4項(現在は第5項)の「請求」とは休暇の時季を
指定するという趣旨であって、労働者が時季の指定を
したときは、
客観的に同項ただし書所定の事由が存在し、かつ、
これを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り
その指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における
就労義務が消滅するものと解するのが相当である。
このように解するならば、年次有給休暇の成立要件として、
労働者による「休暇の請求」や、これに対する「使用者の
承認」というような観念を容れる余地はない。
(昭48.3.6基発第110号)
○ この通達は、最高裁判例(「白石営林署事件」昭48.3.2
第二小法廷判決)を踏まえて発したものです。
従って、時間単位年休も労働者の申し出による日の自由な
時間帯に取得できることができ、
そこには使用者の承認なり決裁の余地はありません。
実際に、時間単位年休制度を導入した企業の労働者に聞くと
制度を評価しているが75.7%に上っています。
(「労働政策研究・研修機構」調査、平23.5.25発表)
また、時間単位年休取得の用途を訪ねたところ、次のような
回答が寄せられました(同上調査)。
(1)自身の病気などの通院 64.7%
(2)家事・育児・子供の行事参加 40.7%
(3)休養 29.0%
(4)ショッピングや外食 19.1%
(5)スポーツや趣味・稽古ごと 17.4%
(6)遅刻時に時間単位年休を利用 12.9%
(7)介護や看護 12.0%
(8)地域・社会活動 10.0%
かなり、幅広く有効に利用されていることが分かります。
◆◆ 半日単位年休は労働者の請求と
使用者の承認が必要 ◆◆
○ 一方、先に述べたように
厳密な意味で、半日単位の年休取得に当たっては
労働者の請求が前提であり、その請求を使用者が承認して
はじめて取得できることになります。
従って、手続上も書面により事前に理由を明記して提出し、
使用者の承認を受ける必要があります。
時間単位年休も含め、一般の年休の取得の場合、
口頭で取得日を指定することにより可能となります。
また、特に理由も不要であり、極端な例として
当日、体調が不良のため電話にて休む旨連絡し、それを
年休に振り替えることも可能ですが、
半日単位年休の場合は、少なくとも使用者が承認する
事前の時間が必要となります。
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利用しており、5年前より6ポイント上昇しているとのことです。
これは、企業年金が整備されていない企業などでは
老後の備えとして利用する人が増えているためとみられています。
○ リーマンショック以来、長期不況が続き中小企業は
どの事業場も四苦八苦しているようです。
しかも、少数精鋭で企業活動をしているため、
このような経営圧迫の中ではなかなか、年休も自由に
取得できないようです。
否、それよりも会社を護り抜くため、休みも返上して
働いている方も多い実態にあります。
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