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年俸制のお話

━━☆━━Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      ◆はじめに 

      ◆中途入社は「年俸制」企業のほうがしやすい

      ◆年俸制の問題点

 up!(12.10)◆不利益変更になる場合の合理性とは

      ◆年俸制でも割増賃金はある

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                   はじめに
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 企業経営にとって人件費が占めるウエイトは結構大きいかもしれません。いわゆる総額人件
費管理という観点から、賃金総額が毎年上昇してゆくのを避けるために年俸制を導入しようと
することもあるでしょう。
 年俸制を導入している企業は現在約35%。当初は管理職向けの制度でしたが、成果主義
入の進行と共に係長・主任クラスや一般従業員と非管理職層への導入率も10%割を超えてい
るようです。
サービス業など第3次産業ではもっと高く20%超。

 「終身雇用」という考え方が次第になくなりつつあります。今後の企業経営では、年俸制導入の検討ははずせないかもしれません。    

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           中途入社は「年俸制」企業のほうがしやすい 
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 年齢を重ねる毎に給料が上昇していく年功序列型の給与体系採用している企業では30歳
代以上で中途入社を希望してくる人達には比較的厳しい審査を行うようです。これは基本給
年齢毎に設定されていて、年齢が高ければ能力の優劣に関わりなく、高い月給を支払わなけれ
ばならない為。給料の変動要因が少ないため実力による差も付けにくい。
 一方、給与体系年俸制を導入している企業は、年齢よりも仕事の成果に応じて給料を設定
することができるために、やる気さえあれば中途入社のハードルを下げて、入社後にじっくり
と実力を判断したり育てることができます。各労働者について毎年の目標を設定して、年度の
終わりにその達成度を評価するなど、いわゆる「目標管理」が重要となる、成果主義的な賃金
制度ですので。

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                  年俸制の問題点
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 完全年俸制の場合は1年間の収入が固定化するために、年度中における社員の自発的努力を
引き出しにくいという欠点があります。そのため月額給与部分だけを年俸制とし、賞与当期の
実績に応じて変動していくインセンティブ制を採用する方が業績向上につながるようです。
年俸制のメリットは各社員がどれだけ業績に貢献したか、これから貢献してくれるかの期待
度、により年俸をアップできる反面、実績が出せなかった社員に対しては簡単に年俸をダウン
させることができる点にあります。
 しかし実際には社員側にも安定した生活をしていく権利があるため年俸の変動幅は最高でも
20%程度に抑えられるのが一般的。

 また年俸制を導入する場合は、就業規則の変更という方法がとられることが多いと思われま
すが、この変更が労働者にとっての不利益変更である場合には、トラブルも発生します。適用
するためには、就業規則の変更に合理性があることが必要です。

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不利益変更になる場合の合理性とは
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年俸制は、年功序列型の賃金制度とは違い、いわば実力がダイレクトに反映される賃金制度
ですから、成果や実績により、従来よりも賃金総額が高くなる労働者もいれば、低下してしま
労働者も発生します。
低下してしまう場合、その労働者にとっては年俸制の導入は事実上、労働条件の不利益変更
になってしまいます。

賃金制度を能力主義成果主義に変更すること自体はできないわけではありませんが、不利
益変更にあたる場合に、合理性の有無を判断するポイントとして重視されるのは、
賃金総額の原資が大きく変更しないこと
従業員全体から同意を得る努力をすること
③不利益が生じる場合の代償措置(緩和措置)が講じられること
などが挙げられます。

判例では(ハイスイテック事件H.13大阪高)
①普通程度の評価の者は会社の実施した補償制度により不利益変更は小さい。
②普通以下の仕事しかできない者に高額の賃金を補償することはむしろ公平を害するもので
合理性がない。
③赤字経営で収支の改善措置が必要だった。
ことなどから、高度の必要性を認め、不利益変更の合理性を認めているケースがあります。 

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               年俸制でも割増賃金はある
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 年俸制がとられると、支払われる賃金は年俸額のみで、時間外割増賃金は支払われないとい
ったイメージがあるようですが、年俸制をとったからといって、直ちに労基法上の割増賃金
規制が外れるわけではありません。
 賞与部分を含めて金額が確定している年俸制の場合は、一時金の形をとる部分についても算
定基礎からの除外はなされず、確定した年俸額全額を割増賃金算定の基礎とする必要が生じま
す。

 割増賃金の支払が必要となりうる一般の従業員について年俸制採用する場合には、割増賃
金をとりあえず固定額で支払うという方法もあります。つまり、従来の平均的な実績などによ
って計算した一定額の残業手当を支払うことにして年俸額を算定する方法です。このような割
賃金の支払方法は必ずしも違法ではありませんが、実際の労働時間によって計算した割増賃
金の額が固定額による残業手当を上回る場合には、差額を支払う必要があります。また、この
ような扱いをする場合には、通常の労働時間に対応する賃金と、割増賃金に相当する賃金とが
区別できるようになっている必要があります(最高裁平6.6.13 高知県観光事件)。


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名無し

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