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「労働時間」の法改正動向

夕方、仕事が終わって 「さあ、やっと会社から家に帰れる」というときになると憂鬱になる
旦那様が増えているそうです。早く帰れることを喜ぶどころか、憂鬱となってしまうため、
居酒屋やファーストフード、映画館やネットカフェなどで時間をつぶし、家族が寝静まったのを
見計らってやっと帰宅する・・・・・。
さらにもっと酷くなると、カプセルホテルなどを泊まり歩いて、家に帰らなくなる人も
いるそうです。これが最近急増している「帰宅拒否症」です。

 本来なら安らぎの場所であるはずの家に、なぜ帰りたくなくなるのでしょうか?
それは、自宅にいる妻との関係、更には子供を味方に家の雰囲気を決めてしまう妻の態度や
行動に原因がある場合が多いんだそうです。
でもそれ以上に問題なのが、「マイホームなのに自分の居場所が無い、ひとりになれる場所
がない」と漠然とそう感じている男性サラリーマンが少なくないことだそうです。
「狭いながらも楽しい我が家」、その一国一城の主になることを夢見て、男性
サラリーマンは一生懸命働いて住宅を購入しているのでしょう。その際、多くは自分の
書斎や通勤時間の長さを我慢しても、妻や子供たちの日々の暮らし安さを最優先して
購入決定しているに違いないと思います。それは、やっと購入出来た狭い我が家の現状
を見れば、一家の主として(もっと広い家を買えない)自らの経済力に多少の負い目を
感じているからなのかもしれません。その負い目があるからこそ、マイホーム購入段階から、
すでに「男の居場所を確保する」という自らの希望は
諦めてしまっているのかもしれません。

昭和22年から24年生まれのいわゆる団塊の世代は、昨年をもって目出度く
全員が65歳以上の『高齢者』になりました。現役時代は、『猛烈社員』と
言われてガムシャラに働き、日本の経済成長を支え、同時に消費文化もリード
してきたこの世代。
過酷な競争社会を生き抜いてきた世代と言ってもよいでしょう。
その人たちが、仕事を終えて家庭や地域に帰ってきたのです。
この仕事人間に果たして「男の居場所」はあるのでしょうか?
 かつて、多くのサラリーマンは、定年を前に、「定年後は“夫婦水入らず”で、
のんびりと余生を過ごしたい」と願っていました。また、そんな芳醇な時間が
来ることを信じて疑いませんでした。現役時代に家庭を顧みなかった罪滅ぼし
として、定年後は「愛妻を海外旅行に連れて行きたい、温泉にも行きたい。」
と夢を見ながら、苦しいサラリーマン晩年時代を乗り越えて来ました。
しかし、実際にそのときが訪れると、それは単なる“願望”にしか過ぎなかった
ことに気がつくのです。
55歳以上の男女を対象に行ったある調査(2012年)によると、『「夫婦であっても
ひとりの時間が欲しい。それでこそ仲良く暮らせる」と思っている人は、
男性が12%、女性が30%と、大きな開きがありました。中でも、60歳~64歳に
至っては、男性が10%、女性が39%』にまで広がっていました。
  あなたの奥様も心の中では、「定年後は“夫婦水入らず“なんてとんでもないわ」
と、思っているかもしれませんよ。まさに、同床異夢かもしれないのです。
「さて、ではどうするか」、これが実に難問なのです。
長い時間を会社一筋で過ごしてきた元サラリーマンが、「会社の他に居場所を作れ」
と言われても、そんなに簡単には作れないのが現実でしょう。
退職して間もなくの間は、元同僚たちとゴルフに行ったり、一杯やることもあるかも
しれませんが、それも長くは続かないでしょう。

やはり男性に最も必要なのは、「自分の居場所」なんだろうと思います。
会社という組織の中で長い人生を過ごして来た人は、会社卒業後も何らかの“組織”に
属していることで、心の平安が保たれるものかもしれません。
とすれば、地域の町会活動や、ボランティア・同好会などでもいいですし、
スポーツクラブの仲間でもいいでしょう。何とか会社ではない新しい“居場所”を
作るのが、奥様に心の平穏を与え、夫婦ともども楽しい老後を過ごすための術(すべ)
なのかもしれません。

前回の「改正労働契約法施行後の状況」についての話、如何でしたでしょうか。
今回は、「「労働時間」の法改正動向」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○ 「「労働時間」の法改正動向」
────────────────────────────────
労働時間をめぐる法改正の動きが活発化してきました。
本年2月6日に労働政策審議会労働条件分科会(第124回)が開催され、
「今後の労働時間法制等の在り方について(報告書案)」が示されました。
前回の分科会(1月29日)での議論を踏まえて「報告書骨子案」から
「報告書案」となりましたが、労使間での合意までには至らず、正式な
「報告書」の決定は持ち越しとなっています。
上記で示された報告書案では、主に次の内容が記載されています。
(1)改正労働基準法の施行は「平成28年4月」とすること。
(2)月60時間超時間外労働に対する割増賃金率(5割以上)の中小企業への
適用猶予の撤廃時期は「平成31年度」とすること。
(3)使用者年次有給休暇時季指定を義務付ける日数(付与日数が10日以上
である労働者が対象)については「年5日」とすること。
(4)上記措置に伴い「有休管理簿」の作成を義務付け、3年間保存しなければ
ならないとすること。
(5)フレックスタイム制の精算期間の上限について現行の1カ月から「3カ月」
に延長すること。
(6)上記精算期間内における当該月の割増賃金の支払対象は「1カ月ごとに
1週平均50時間を超えた労働時間」とすること。
(7)裁量労働制の適用拡大の対象は「課題解決型提案営業の業務」、
「企画立案調査分析を一体的に行う業務」等とすること。
(8)高度プロフェッショナル制度の対象者の年収は「平均給与額の3倍程度
を相当程度上回る」(1,075万円を想定)とすること。
(下線部分は中小企業への影響が特に大とみられるもの)

今後、これまでの議論を踏まえて案ではなく正式に「報告書」が示された後、
その報告書の内容をもとにした労働基準法の改正案が通常国会に提出される見込み
となっています。
未だ労使の対立が激しい内容も含まれていますが、企業実務に大きな影響を与える
大改正になりそうですので、弊事務所では議論の行方を引続き注視し、
皆様に適宜その動向をご報告申し上げて行く所存です。ご質問等がある場合は、
弊事務所にご照会下さい。
ご質問いただいた内容については、メールマガジンを通してご回答させて頂きます。
ご質問・ご意見はinfo@node-office.comからどうぞ。

当事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、http://www.node-office.com/index/index.html
または、http://www.humansource.co.jp/ へどうぞ

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