━━☆━━━━━━━━━ 企業はどこまで
雇用確保義務があるのか ━━━━━━━━━━
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏ C O N T E N T S┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏
┏┏┏
┏┏ ◇ はじめに
┏┏ ◇ ケース:工場閉鎖
┏┏ 解雇回避努力はどこまで
┏┏
出向先の確保は義務か
┏┏ ◇
有期雇用契約の変更
┏┏ 変更解約告知
┏┏┏
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はじめに
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世界不況で職を失う人が増えています。派遣切りや雇い止めにあった人もいます。
そんな中、企業は
雇用を守る責任をどこまで負うのでしょうか。
存続自体が危うい場合、
雇用を維持していくのは当然ながら至難の業です。
しかし、そこまでいかない企業は
賃金を減らし
ワークシェアリングで
雇用の維持に努めたり、
休業して
雇用調整助成金でしのいでいます。
どうしても
雇用調整をしなければならない場合は?
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工場閉鎖~解雇回避努力はどこまで
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
『入社時に工場
採用であり、転勤は無いと聞いた。他工場への転勤は遠すぎて家の事情から
できないし、
退職することも考えられない。近くに子会社があるのだから、そこへの
出向で
雇用を確保してほしい。』
この会社の場合、提示している
雇用対策は転勤と早期優遇
退職制度です。
そのどちらにも
労働者は応じられないとしていて、このままでいくとこの
労働者は、工場閉鎖
に伴い解雇されることが予想されます。
工場閉鎖が経営上の必要性に基づき、客観的合理性、社会的相当性が認められるとすると、会
社の解雇回避努力に応じない
労働者の
整理解雇は有効となるのでしょうか。
それとも会社は
出向先を確保してまで
雇用確保の義務を負うのでしょうか。
ご一緒に考えてみましょう。
入社時に勤務地が工場であるという限定があったとしても、それだけで
労働契約上勤務地限定
の合意が成立しているとされるわけではなく、
就業規則の規定や、実際にこれまで転勤がどの
範囲の
従業員についてどの程度行われていたのか、等の事情を総合的に勘案しておそらく判断
されることでしょう。
経営環境の悪化のなかで企業が
配置転換・
出向などさまざまな手段を尽くして
雇用確保を図っ
ている昨今では、裁判所も容易に職種や勤務地限定の合意を認めない傾向があります。
ただし、仮に勤務地限定の合意が認められてとしても、肝心の勤務地が閉鎖されるのですか
ら、会社としては合理的な
雇用確保措置を尽くせば
整理解雇は認められるということになるで
しょう。
つまり、工場閉鎖の場合にどこまで解雇回避措置をとらなければならないか、という問題に
おいては、勤務地が限定されたということが判断に大きな影響を与えるとは考えにくいと言え
ます。
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出向先の確保は義務か
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
人員削減の必要性が生じた場合、解雇回避措置としてどんな措置をとるべきか、配転や希望退
職を募るだけでなく、
出向までも行うべきか、などの法的な義務付けは存在しません。
したがって、企業が選択した手段と手順が人員整理の具体的状況の中で全体として合理的かつ
真摯な解雇回避努力と認められるか否かが問題となってくるのです。
上記工場閉鎖のケースにおいて、もし近隣に
出向を受け入れてくれそうな子会社や関連会社が
あるというのなら、当然
出向も解雇回避措置として検討すべきでしょう。
ただし、そのような
出向については期間や
出向先での
賃金など現実的な制約があり得ますから
これらも併せた
出向の提案という形になります。
出向先を見つけられない、無い、という場合、これは
出向を選択肢に加えることは事実上でき
ないわけで、解雇回避義務としては要請されません。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
有期雇用契約の変更
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
経営状況の変化により、部門閉鎖や事業縮小など、
労働条件を変更せざるを得ない(しかも
不利益なほうに)場面が出てきた場合、
労働者と円滑に、速やかに対応するためには、期間
雇用者の
採用時に、担当部署の変更、
通勤可能な近隣事業所への転勤が発生すること等に関し
て、事前に合意を得ておくことも必要になってくるでしょう。
●変更解約告知
使用者が労働
債務の内容や
賃金等の
労働条件の変更を内容とする新しい
労働契約を申し込む
とともに、それに応じない
労働者との
労働契約の解約(解雇)を通知するものです。
しかし、もちろん一方的な
労働条件の不利益変更は
不当労働行為です。
変更解約告知の合理性が認められるためには、
・
労働条件の変更が会社運営にとって必要不可欠であること
・その必要性の程度が、
労働者が
労働条件変更によって受ける不利益を上回っていて、かつ
新しい
契約の申し込みが、それに応じない場合の解雇を正当化するに足るものであること
・解雇回避努力が尽くされていること
を要件としてあげている判例(スカンジナビア航空事件 東京地裁H.7.4)が、あります。
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┛┃┏━┳━┛ ̄ ̄ ̄ ┃ 社労・暁(あかつき) ┃
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┓ ┗┳┛
http://www18.ocn.ne.jp/~akatukip/
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┏┏ ◇ ケース:工場閉鎖
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┏┏ ◇ 有期雇用契約の変更
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はじめに
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世界不況で職を失う人が増えています。派遣切りや雇い止めにあった人もいます。
そんな中、企業は雇用を守る責任をどこまで負うのでしょうか。
存続自体が危うい場合、雇用を維持していくのは当然ながら至難の業です。
しかし、そこまでいかない企業は賃金を減らしワークシェアリングで雇用の維持に努めたり、
休業して雇用調整助成金でしのいでいます。
どうしても雇用調整をしなければならない場合は?
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工場閉鎖~解雇回避努力はどこまで
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『入社時に工場採用であり、転勤は無いと聞いた。他工場への転勤は遠すぎて家の事情から
できないし、退職することも考えられない。近くに子会社があるのだから、そこへの出向で
雇用を確保してほしい。』
この会社の場合、提示している雇用対策は転勤と早期優遇退職制度です。
そのどちらにも労働者は応じられないとしていて、このままでいくとこの労働者は、工場閉鎖
に伴い解雇されることが予想されます。
工場閉鎖が経営上の必要性に基づき、客観的合理性、社会的相当性が認められるとすると、会
社の解雇回避努力に応じない労働者の整理解雇は有効となるのでしょうか。
それとも会社は出向先を確保してまで雇用確保の義務を負うのでしょうか。
ご一緒に考えてみましょう。
入社時に勤務地が工場であるという限定があったとしても、それだけで労働契約上勤務地限定
の合意が成立しているとされるわけではなく、就業規則の規定や、実際にこれまで転勤がどの
範囲の従業員についてどの程度行われていたのか、等の事情を総合的に勘案しておそらく判断
されることでしょう。
経営環境の悪化のなかで企業が配置転換・出向などさまざまな手段を尽くして雇用確保を図っ
ている昨今では、裁判所も容易に職種や勤務地限定の合意を認めない傾向があります。
ただし、仮に勤務地限定の合意が認められてとしても、肝心の勤務地が閉鎖されるのですか
ら、会社としては合理的な雇用確保措置を尽くせば整理解雇は認められるということになるで
しょう。
つまり、工場閉鎖の場合にどこまで解雇回避措置をとらなければならないか、という問題に
おいては、勤務地が限定されたということが判断に大きな影響を与えるとは考えにくいと言え
ます。
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出向先の確保は義務か
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
人員削減の必要性が生じた場合、解雇回避措置としてどんな措置をとるべきか、配転や希望退
職を募るだけでなく、出向までも行うべきか、などの法的な義務付けは存在しません。
したがって、企業が選択した手段と手順が人員整理の具体的状況の中で全体として合理的かつ
真摯な解雇回避努力と認められるか否かが問題となってくるのです。
上記工場閉鎖のケースにおいて、もし近隣に出向を受け入れてくれそうな子会社や関連会社が
あるというのなら、当然出向も解雇回避措置として検討すべきでしょう。
ただし、そのような出向については期間や出向先での賃金など現実的な制約があり得ますから
これらも併せた出向の提案という形になります。
出向先を見つけられない、無い、という場合、これは出向を選択肢に加えることは事実上でき
ないわけで、解雇回避義務としては要請されません。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
有期雇用契約の変更
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
経営状況の変化により、部門閉鎖や事業縮小など、労働条件を変更せざるを得ない(しかも
不利益なほうに)場面が出てきた場合、労働者と円滑に、速やかに対応するためには、期間
雇用者の採用時に、担当部署の変更、通勤可能な近隣事業所への転勤が発生すること等に関し
て、事前に合意を得ておくことも必要になってくるでしょう。
●変更解約告知
使用者が労働債務の内容や賃金等の労働条件の変更を内容とする新しい労働契約を申し込む
とともに、それに応じない労働者との労働契約の解約(解雇)を通知するものです。
しかし、もちろん一方的な労働条件の不利益変更は不当労働行為です。
変更解約告知の合理性が認められるためには、
・労働条件の変更が会社運営にとって必要不可欠であること
・その必要性の程度が、労働者が労働条件変更によって受ける不利益を上回っていて、かつ
新しい契約の申し込みが、それに応じない場合の解雇を正当化するに足るものであること
・解雇回避努力が尽くされていること
を要件としてあげている判例(スカンジナビア航空事件 東京地裁H.7.4)が、あります。
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