相談の広場
いつもお世話になっています。うちの会社では就業時間が7時間30分になっているのですが、このご時勢ですので8時間に延長せよとの社長判断がありました。労働組合の同意が必要だと聞きましたが、書面で同意書をとっておくような手続きが必要でしょうか。
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> いつもお世話になっています。うちの会社では就業時間が7時間30分になっているのですが、このご時勢ですので8時間に延長せよとの社長判断がありました。労働組合の同意が必要だと聞きましたが、書面で同意書をとっておくような手続きが必要でしょうか。
●質問の範囲だけで考えるのであれば、明らかに典型的な不利益変更であって、労組の同意だけでは重大な禍根を残します。
一見不利益変更に見える労働条件の変更が、そのすべてが「不利益変更」ではありません。
貴問の場合、1日7時間30分労働を8時間労働に変更するのですから、労働時間が30分長くなります。この30分分を7時間30分に対する超過時間と考え、超過割増賃金相当額を基本給に上乗せするならば、不利益変更のそしりはほとんど免れうるでしょう。
例としては、今まで1日7,500円の基本給だった労働者は7,500円+500円+125円=8,125円を時間延長後の1日当たり基本給にします。従来の時間より多くなった分は超過勤務と考え、その額にするのです。
細かく考える労働者は、これだけでは納得しないおそれがあります。家族手当、特殊作業手当、役職手当、皆精勤手当等の労働に対する賃金はすべてこの割合で増額しなければ、結果として理論的には総支給額の平均単価が低下するからです。通勤手当は通勤時間の延長を伴わないので除外します。
これら各種手当を1.083333・・・倍にしなければなりません。
以上の賃金引き上げ(労組から言えば計算やり直しに過ぎない)をするならば、労働者側には賞与、退職金への跳ね返りを除いては損失がないので、「不利益変更」の言い分がなくなります。
そこまでやらなければ「不利益変更」の認定をはね除けられないか否か、と言われると、「さあ、どうでしょう?」としか言えません。私見は「十分」を考えたものです。
労働契約法は大多数の判例をふまえ、労働条件の変更には「合理的理由」を求めています。それは単に企業経営が苦しい、世間並み、と言った理由でなく、労働者に代替措置があるか否かを重要視しています。
労組の同意書を取っていても、「合理的な変更」と裁判所が認めなければ無価値の証文になります。その場合労組に責任を取らせることはできません。なぜならば賃金支払は会社の全責任だからです。
また、労組の一部幹部に勉強不足の方がある事が原因と思いますが、労組が安易に同意しても、個別の労働者が裁判で勝った例が頻発しています。
それを防ぐには冒頭述べたように、労組の同意だけでなく、条件変更時の全労働者の自筆署名による同意書を徴求しておく必要があります。1人でも抜けているのを強行すると、後日当該労働者から提訴され、労組が同意していることはコッパミジンに裁判で負けた例が山積しています。
大手企業、そこの労組では前車の轍を踏まぬよう配慮したお陰で、最近は同種の失敗は影を潜めました。
これは相当困難なことになると思います。労組が有るのであれば相当な準備が必要でしょう。他の方も言っておられるように、見識の高い、深慮遠謀のある、社会保険労務士に十分ご相談されることをお勧めします。
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