相談の広場
弊社の就業規則では14日以上の無断欠勤は解雇扱いとなっています。
解雇だとなにかとリスクがあるので、「自然退職」にすることを無断欠勤者に通知しようと思うのですが、いかがでしょうか?
なお、就業規則の退職欄にはその旨は記載していません。
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> 弊社の就業規則では14日以上の無断欠勤は解雇扱いとなっています。
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> 解雇だとなにかとリスクがあるので、「自然退職」にすることを無断欠勤者に通知しようと思うのですが、いかがでしょうか?
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> なお、就業規則の退職欄にはその旨は記載していません。
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無断欠勤14日以上で解雇とする就業規則に基づき、「自然退職」として処理し通知する案について
1. 「自然退職」の法的リスク
- 就業規則に記載がない点: 就業規則に「自然退職」の規定がない場合、無断欠勤者を一方的に「自然退職」として処理することは法的リスクを伴います。日本の労働基準法では、退職は労働者の意思表示または合意に基づく必要があり、会社が勝手に「退職」とすることはできません(民法627条)。たとえ解雇より穏便な意図であっても、労働者が「退職の意思がなかった」と主張した場合、紛争に発展する可能性があります。
- 解雇との違い: 解雇は使用者の一方的な意思表示ですが、「自然退職」は労働者の退職意思を前提とします。無断欠勤者が退職の意思を示していないのに「自然退職」と通知すると、労働者側から「解雇された」とみなされ、解雇の有効性を巡る争い(不当解雇訴訟など)に発展するリスクがあります。
2. 解雇手続きの適切性
- 解雇のリスク: 無断欠勤14日以上で解雇が可能と就業規則に規定されている場合、解雇は正当な理由に基づくものとして認められる可能性が高いです。ただし、解雇には以下の手続きが必要です
1. 事前警告: 無断欠勤者に連絡を試み、職場復帰を求める通知を内容証明郵便などで送付する。
2. 弁明の機会: 労働者に弁明の機会を与える(例:事情聴取)。
3. 合理性・相当性: 無断欠勤の理由(病気、家庭事情など)を確認し、解雇が客観的に合理的かつ社会通念上相当であることを確認する。
- これらの手続きを怠ると、解雇が「濫用」と判断され、無効となるリスクがあります(労働契約法16条)。
3. 「自然退職」通知の代替案*
「自然退職」とする通知は、就業規則に根拠がないため推奨できません。以下の対応を検討してください
- ステップ1: 連絡試行と警告
- 無断欠勤者に電話、メール、内容証明郵便などで連絡を試み、欠勤理由の確認と職場復帰を求める通知を送る。
- 例: 「〇日までに連絡がない場合、就業規則に基づき解雇手続きを進める可能性があります」と明記。
- ステップ2: 解雇通知
- 連絡が取れない、または正当な理由がない場合、就業規則に基づき解雇通知を行う。通知書には解雇理由(無断欠勤14日以上)と就業規則の該当条項を明記する。
- 内容証明郵便で送付し、記録を残す。
- ステップ3: 記録の整備
- 連絡試行の記録(メール、郵便の控えなど)や解雇に至る経緯を文書化し、万一の紛争に備える。
4. その他の考慮点
- 労働者の状況確認: 無断欠勤の背景(病気、メンタルヘルス問題、家庭事情など)を可能な限り確認してください。病気などが理由の場合、解雇が無効と判断される可能性があります。
- 就業規則の改定検討: 今後同様のケースに対応するため、「長期間の無断欠勤は退職とみなす」といった規定を就業規則に追加するのも一案です。ただし、こうした規定も労働者の意思確認なしに適用するとリスクが残るため、慎重な運用が必要です。
- 労働基準監督署や弁護士への相談: 解雇や退職処理に不安がある場合、事前に労働基準監督署や労働問題に詳しい弁護士に相談することを強く推奨します。
5. 結論
無断欠勤者を「自然退職」と通知することは、就業規則に規定がなく、労働者の退職意思が確認できないため避けるべきです。代わりに、就業規則に基づく解雇手続きを進め、事前連絡や弁明機会の付与を徹底してください。これにより、法的リスクを最小限に抑えつつ、適切な対応が可能です。具体的には、内容証明郵便で復帰要請を行い、応答がない場合に解雇通知を送る手順を推奨します。
> ご返信ありがとうございます。感謝いたします。
>
> 接触を試みて、進展なければ、最終的には解雇通知を送付する形で検討いたします。
>
> 追加で質問ですが、解雇通知日を送付する場合、解雇日については、内容証明書が届く30日後に設定しようと思うのですが、いかがでしょうか?
>
> 理由としては、
> ・解雇予告手当の支払いに抵抗感有。(対象労働者は入社して3日程度の新入社員)
> ・解雇日を30日後に設定しても、対象労働者が出社することはなさそう。
> ・数か月分の社会保険料の負担が弊社にも発生するが許容範囲である。
1. 解雇予告期間と30日後の解雇日の設定
労働基準法第20条では、使用者は労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に解雇の予告をするか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。ご質問のケースでは、解雇予告手当の支払いを避け、内容証明書が届く30日後に解雇日を設定する方針は、法的に問題ありません。30日前の予告義務を満たしているため、労働基準法の要件に適合します。
ただし、以下の点に留意してください:
- 内容証明書の到達日:解雇予告の起算日は、内容証明書が労働者に実際に到達した日(通常は配達日)です。郵送遅延や受取拒否の可能性を考慮し、到達日を確認できる方法(配達証明付き内容証明郵便など)を用いることを推奨します。
- 予告期間中の賃金:解雇予告期間中(30日間)、労働者が出社しない場合でも、雇用契約が存続しているため、原則として賃金支払い義務が発生します。ただし、労働者が自主的に欠勤する場合、就業規則に基づき無給扱いとできる場合があります(後述)。
2. 入社3日目の新入社員の解雇
入社3日程度の新入社員であっても、労働基準法の保護は適用されます。ただし、以下のケースでは解雇予告の義務が除外される場合があります(労働基準法第21条):
- 試用期間中の解雇:入社14日以内に解雇する場合、試用期間中の労働者であれば解雇予告義務が免除される可能性があります。ただし、試用期間中の解雇であっても、解雇事由が合理的かつ客観的でなければ不当解雇と判断されるリスクがあります(労働契約法第16条)。
- ご質問のケース:入社3日目であっても、試用期間中の解雇予告免除を適用せず、30日前の予告を行う方針であれば、この点は問題になりません。
3. 労働者が出社しない場合の賃金
ご質問では、対象労働者が解雇予告期間中に出社しないと想定されています。この場合、以下の点を確認してください:
- 就業規則の確認:就業規則に「無断欠勤の場合の賃金控除」や「欠勤時の無給扱い」の規定がある場合、労働者が自主的に出社しない場合に賃金を支払わなくて済む可能性があります。ただし、労働者が「解雇通知を受けたため出社しない」と主張した場合、賃金請求のリスクが生じる可能性があります。
-休業指示の検討:労働者に出社を求めず、予告期間中を休業とする場合、休業手当(平均賃金の6割以上、労働基準法第26条)の支払い義務が発生する可能性があります。この場合、解雇予告手当を支払う方がコストが低いケースも考えられます。
4. 社会保険料の負担
解雇予告期間中(30日間)は雇用契約が継続するため、社会保険(健康保険・厚生年金)の事業主負担が発生します。ご質問で「許容範囲」とされているため、この点は問題ないと考えられます。
5. 解雇事由の明確化と不当解雇リスク
入社3日目の新入社員を解雇する場合、解雇事由が合理的かつ客観的である必要があります(労働契約法第16条)。例えば、以下のような事由が考えられます:
- 試用期間中の勤務態度や能力が著しく不適格である。
- 採用時の条件(資格や経歴)に虚偽があった。
- 業務遂行が不可能な重大な理由がある。
解雇事由を内容証明書に明記し、客観的な証拠(例:勤務記録、評価記録)を残しておくことが重要です。解雇事由が不明確または不合理だと、労働者から不当解雇として訴訟や労働審判を提起されるリスクがあります。
6. 実務上の留意点
- 内容証明書の記載内容:解雇通知書には、以下の内容を明確に記載してください:
- 解雇の対象者(労働者の氏名)
- 解雇日(例:2025年5月17日)
- 解雇事由(具体的かつ客観的に)
- 解雇予告期間(例:2025年4月17日から30日間)
- 労働者とのコミュニケーション:解雇通知を送る前に、労働者と面談を行い、解雇の理由を説明することで、トラブルを軽減できる場合があります。面談が難しい場合は、書面での説明を補足するとよいでしょう。
- 労働基準監督署への相談:解雇手続きに不安がある場合、事前に労働基準監督署や弁護士に相談し、法令遵守を確認することを推奨します。
7. 解雇予告手当を支払う選択肢の検討
ご質問では解雇予告手当の支払いに抵抗感があるとのことですが、以下の場合、予告手当の支払いを検討する価値があります:
- コスト比較:予告期間中の賃金+社会保険料の負担が、解雇予告手当(30日分の平均賃金)よりも高額になる場合。
- トラブル回避:労働者が出社しない場合でも賃金請求や休業手当の争いが生じるリスクを考慮すると、予告手当を支払って即日解雇する方がシンプルでリスクが低い場合があります。
結論
内容証明書が届く30日後に解雇日を設定する方針は、労働基準法の解雇予告義務(30日前)を満たしており、法的に問題ありません。ただし、以下の点に留意してください:
1. 解雇事由を明確にし、合理的かつ客観的な理由を内容証明書に記載する。
2. 労働者が出社しない場合の賃金支払い義務や休業手当のリスクを確認し、就業規則に基づく対応を準備する。
3. 社会保険料の負担を許容する一方、解雇予告手当を支払う場合のコストと比較検討する。
4. 内容証明書の到達日を確認し、予告期間の起算日を明確にする。
さらに、解雇手続きの適法性やトラブル回避のため、弁護士や社会保険労務士に相談することを強く推奨します。特に、入社3日目の解雇は労働者にとって予期せぬ事態であり、感情的な反発や法的紛争のリスクが考えられるため、慎重な対応が必要です。
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こめおくんさん
横から失礼します
蛇足ですが
接触を試みるにあたり
連絡が取れている場合
数回に亘りアプローチして信条把握に努めその内容を記録しておくこと
連絡が取れていない場合
複数の手段で連絡を試みてその経緯を記録しておくこと
解雇通知を送付する前に会社としてやれることはやったという
事実を残しておくことも肝要かと
個人的に思います
> ご返信ありがとうございます。感謝いたします。
>
> 接触を試みて、進展なければ、最終的には解雇通知を送付する形で検討いたします。
>
> 追加で質問ですが、解雇通知日を送付する場合、解雇日については、内容証明書が届く30日後に設定しようと思うのですが、いかがでしょうか?
>
> 理由としては、
> ・解雇予告手当の支払いに抵抗感有。(対象労働者は入社して3日程度の新入社員)
> ・解雇日を30日後に設定しても、対象労働者が出社することはなさそう。
> ・数か月分の社会保険料の負担が弊社にも発生するが許容範囲である。
こんにちは。
ちょっと気になったのですが、
> ・解雇予告手当の支払いに抵抗感有。(対象労働者は入社して3日程度の新入社員)
入社4日目から、連続して14日の無断欠勤があったということでよいですか。
であれば、入社3日でなく2週間以上経過していることにはなると思いますが。
無断欠勤に対して会社からどのようにアプローチしたのかも確認し記録しておいてください。出勤しない者に対して会社から事前に何の連絡もなくいきなり解雇では不当解雇で争いになる可能性はないとはいえないです。ハラスメントの可能性も否定できますでしょうか。
連絡がつくようであれば理由を確認し、本人に働く意思がないのであれば自主退職してもらうことが望ましいかと思います。
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