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★★★ 新・
行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-54 ★★★
【合格祈念号】
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■■■ 最終確認 ■■■
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■
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■■■ 最終確認 ■■■
各法令に関する最高裁の判例の中から、以下の判例取上げました。関連条文と併せて、
最終確認をしてください。
■ 憲法
●● 最高裁判例「管理職選考受験資格確認等請求事件」(民集第59巻1号128頁)
【裁判要旨】
(ア)普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で、日本国民で
ある職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは、
合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別す
るものであり、上記の措置は、
労働基準法3条にも、憲法14条1項にも違反す
るものではないと解するのが相当である。そして、この理は、前記の特別
永住者
についても異なるものではない。
(イ)
上告人において、上記の管理職の任用制度を適正に運営するために必要があると
判断して、職員が管理職に昇任するための資格要件として当該職員が日本の
国籍
を有する職員であることを定めたとしても、合理的な理由に基づいて日本の
国籍
を有する職員と在留外国人である職員とを区別するものであり、上記の措置は、
労働基準法3条にも、憲法14条1項にも違反するものではない。
☆ 被
上告人は、昭和25年に岩手県で出生した大韓民
国籍の外国人であり、日本国
との平和条約に基づき日本の
国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に
定める特別
永住者である。そして、
上告人(東京都)に保健婦として
採用され
た。
〔反対意見〕
外
国籍を有する者が我が国の
公務員に就任するについては、国民主権の原理から一定の
制約があるほか、一定の職に就任するにつき日本
国籍を有することを要件と定めること
も、法律においてこれを許容し、かつ、合理的な理由がある限り、認めるものである。
しかしながら、
上告人のように、多数の者が多様な仕事をしている地方公共団体におい
て、その管理職に就く者が、その職務の性質にかかわらず、すべて日本
国籍を有しなけ
ればならないものとすることには、その合理的根拠を見いだすことはできない。したが
って、
上告人が管理職選考において日本
国籍を有することを受験資格とした措置は、在
留外国人である職員に対し
国籍のみによって昇任のみちを閉ざしたものであり、憲法1
4条に由来し、
国籍を理由として差別することを禁じた
労働基準法3条の規定に反する
違法なものであると考える。
★ 区別と差別はまったく異なる。合理的な区別は認められるが、そもそも合理的な差
別はあり得ない。
【日本国憲法】
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は
門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
【
労働基準法】
(
均等待遇)
第三条
使用者は、
労働者の
国籍、信条又は社会的身分を理由として、
賃金、
労働時間
その他の
労働条件について、
差別的取扱をしてはならない。
■ 行政法
●● 最高裁判例「小田急線連続立体交差事業認可処分取消、事業認可処分取消請求事
件」(民集第59巻10号2645頁)
【裁判要旨】
(ア)都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち事業が実施されることにより
騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれ
のある者は同事業の認可の取消しを求める訴訟の原告適格を有する。
(イ)鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業認可の取消訴訟において事業地
の周辺に居住する住民が原告適格を有するとされた事例
(ウ)鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事
業認可の取消訴訟において事業地の周辺に居住する住民が原告適格を有しないと
された事例
【行政事件訴訟法】
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)
は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決
の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取
消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することがで
きる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の
有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみに
よることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の
内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考
慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び
目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処
分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内
容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
■
国家賠償法
●● 最高裁判例「
損害賠償請求事件」(民集第59巻6号1569頁)
【裁判要旨】
公立図書館の職員である
公務員が、閲覧に供されている図書の廃棄について、著作者又
は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをすることは、
当該図書の著作者の人格的利益を侵害するものとして
国家賠償法上違法となる。
【憲法】
第二十一条
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
【
国家賠償法】
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る
公務員が、その職務を行うについて、故
意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償
する責に任ずる。
■ 情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)
●● 最高裁判例「県営渡船情報非公開処分取消請求事件」(平成17年06月14日)
【裁判要旨】
公開請求の対象を公文書と定めている情報公開条例の下において、実施機関が、公開請
求に係る公文書に請求者が公開を求めた事項以外の情報が記録されている部分があるこ
となどを理由として、当該部分を公開しないことは許されない。
★
開示請求の対象となった情報公開が、ある公文書の部分に記録されている場合、当
該箇所のみが
開示請求の対象になるのではなく、当該公文書全体が対象になる。
★ 本件事案は情報公開条例に関するものであるが、基本的には情報公開法の場合にも
妥当するものと考えられる。
【情報公開法】
(定義)
第二条
2 この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得
した文書、図画及び
電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認
識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機
関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただ
し、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として
発行されるもの
二 政令で定める公文書館その他の機関において、政令で定めるところにより、歴史的
若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの
■
民法
●● 最高裁判例「土地明渡請求事件」(平成17年03月10日)
【裁判要旨】
土地の賃借人が、土地を無断で転貸し、転借人が同土地上に産業廃棄物を不法に投棄し
たという事実関係の下では、賃借人は、
賃貸借契約の終了に基づく原状回復義務とし
て、上記産業廃棄物を撤去すべき義務を負う。
【
民法】
(
使用貸借の規定の準用)
第六百十六条 第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規
定は、賃貸借について準用する。
(借用物の返還の時期)
第五百九十七条 借主は、
契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
●● 最高裁判例「家屋明渡請求」(民集第20巻8号1649頁)
【裁判要旨】
建物の借主が該建物を含む貸主所有の不動産に賦課された
固定資産税等の公租公課の支
払を負担する等原判示事実があるとしても、右負担が建物の使用
収益に対する対価の意
味をもつものと認めるに足りる特段の事情のないかぎり、当該貸借関係は
使用貸借であ
ると認めるのが相当である。
★ 近隣の地代(
賃借料)等を勘案した相当な価額が支払われていない場合には、固定
資産税相当程度の負担では、賃貸借とは認められず、(形式的にはともかく、実質
的には「無償」である)
使用貸借と認められる。
【
民法】
(
使用貸借)
第五百九十三条
使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び
収益をした後に返還をす
ることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
■
商法
●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第22巻6号1171頁)
【裁判要旨】
他人に自己の
商号を使用して営業を営むことを許諾した場合においても、その許諾を受
けた者が当該
商号を使用して業種の異なる営業を営むときは、特段の事情がないかぎ
り、
商号許諾者は、
商法第二三条(現第十四条)の責任を負わない。
【
商法】
(自己の
商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
第十四条 自己の
商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当
該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連
帯して、当該取引によって生じた
債務を
弁済する責任を負う。
●● 最高裁判例「貸金請求」(民集第15巻9号2320頁)
【裁判要旨】
甲、乙、丙の三会社が営業を廃止し、新たに丁会社が設立されて旧三会社と同一の中央
卸売市場における水産物等の卸売業務を開始するという趣旨の書面を丁会社が旧三会社
の取引先に送付しても、
商法第二八条(現第十八条)にいう
債務引受の広告をしたこと
にあたらない。
【
商法】
(譲受人による
債務の
引受け)
第十八条 譲受人が譲渡人の
商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡人の営業
によって生じた
債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の
債権者は、その譲受
人に対して
弁済の請求をすることができる。
■■■ 最終チェック ■■■
前日までに行うべき事項を取りまとめました。
■ 持ち物チェックリスト
受験票、筆記用具、消しゴム、時計、
現金、要点メモ・整理ノート、問題&解答カード
等は、大丈夫でしょうか。また、試験直前に再度確認すべき(したがって、持参する必
要のある)ノートやメモ、試験の開始直前に丸暗記する必要のある事項のチェック(ポ
ストイットの貼付等)は、終わっているでしょうか。
■ 試験当日の注意事項
「試験案内」の「8.試験当日の注意事項」を再度よく読んでおいてください。ペンケ
ースや下敷き、耳栓は禁止です。
■ 条文のチェック
憲法、
行政手続法、
行政不服審査法、情報公開法、
個人情報保護法、
国家賠償法の条文
チェックは絶対に必須です。また、重要な用語については、漢字で書けるか再確認して
ください。
■ 「新・
行政書士試験 一発合格!」
これまで、各号に掲載した「横」比較表を、不得意な分野を中心におさえておいてくだ
さい。また、直前の暗記用にコピーしたり、切り取って、試験会場に持参してくださ
い。あるいは、途中の電車のなかで最終確認をしてください。
■ 出発時刻
当日は、(多少)早めに出掛けることをお勧めします。
■■■ お願い ■■■
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと
e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。
質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。
■■■ 編集後記 ■■■
読者の皆さまの最後のご健闘を祈っています。試験の開始のベルが鳴るまでの間は、
「まだ」時間があります。絶対に諦めない強い意思をもって、ゴール直前の最後のラス
トスパートを掛けてください。これが合格への鍵です。
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マガジンタイトル:新・
行政書士試験 一発合格!
発行者:
行政書士 太田誠 東京都
行政書士会所属(府中支部)
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