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有給⇒代休に

著者 きたなしゅらん さん

最終更新日:2010年08月16日 11:32

いつも参考にさせていただいております。
きたなしゅらんと申します。

つきましては 有給を代休にすることが可能かどうかの
ご相談です。
有給と代休は別物であるということを前提にして
弊社では 休日出勤(法定を含む)した場合はなるべく
代休を取るように通達しています(ここでは振休を考慮せず)休日出勤するとそのあとの休みを有給で出してくる
従業員が多々おります。会社としては労務費の観点から
代休にしてもらいたいですし 従業員からみれば 有給は
権利のもの ここに代休と有給が根本から違うという論議
になってしまうますが 単純に会社は代休をとるように通達
しているので 休日出勤したあとの休みは自動的に代休にすることは会社側の判断でできるのでしょうか?
ご教授願えれば幸いです

例:8月7日(土)出勤(法定外休日
  8月19日(木)有給申請
  優先的に19日を有給でなく代休扱い
  0.25分の割増賃金を支払う

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Re: 有給⇒代休に

著者Mariaさん

2010年08月16日 12:25

会社が代休を与えるのが先か、従業員年次有給休暇の申し出をするのが先か、
という問題になるかと思います。

年次有給休暇は、賃金を減じることなく労働の義務を免除するというものですから、
休日等でそもそも労働の義務がない日や、すでに労働の義務が免除されている日に対しては、
年次有給休暇を取得する余地はない、とされています。
したがって、たとえば土曜日に休日出勤して翌月曜に休むとすると、
先に会社側が月曜日に代休を取得するようにと指示した場合、
月曜の労働の義務はすでに免除されているため、その日に年次有給休暇を取得する余地はありません。

逆に、先に年次有給休暇の申し出があった場合、
まだ月曜の労働の義務は免除されていないのですから、
会社側が勝手にその日を年次有給休暇から代休に振り替えることはできません。
会社に年次有給休暇拒否権はなく、
時期変更権も、その方が休みを取ると会社の正常な運営が妨げられ、かつ代替要員の確保が困難である場合にしか行使できないことになっています。
したがって、代休を取らせることが可能な時点で、時期変更権を行使する要件を満たしていないので、
年次有給休暇の取得を認めるしかないわけです。

代休を取得する日が未定の状態で、先に年次有給休暇の申し出があった場合、
年次有給休暇ではなく代休として休んでほしいという“お願い”をすること自体は問題ありませんが、
それに応じるかどうかは、あくまでも従業員本人の自由であり、会社側がそれを強要することはできません。
(会社側には年次有給休暇拒否権がありませんし、
 前述のとおり、時期変更権を行使することもできませんので)
勝手に代休として処理することもできないものとお考えください。

年次有給休暇ではなく代休として休みを取得させたいのであれば、
休日出勤が決まった時点で「○曜日に代休を取得するように」というような指示も同時に出しておくべきでしょう。
もちろん、就業規則等に、
「やむを得ない事情がある場合、休日に出勤を命じる場合がある。その際、別の日に代休を与える(or与えることがある)」
というような旨の規定も必要です。
(会社命令として代休を与えるための根拠)

Re: 有給⇒代休に

著者きたなしゅらんさん

2010年08月16日 13:43

Maria様

お忙しい中 早々のご返信誠にありがとうございます。
とてもわかりやすく もやもやしていたものが 晴れて
きた気がします。
ひとつ 振休に関してお伺いしたいのですが 

>> 年次有給休暇ではなく代休として休みを取得させたいのであれば、
> 休日出勤が決まった時点で「○曜日に代休を取得するように」というような指示も同時に出しておくべきでしょう。

会社が休みを指示指定する場合は振休になる(割増賃金
発生しない)というような意味合いがあるように思うのですがもう少し補足していただければ幸いです。

> もちろん、就業規則等に、
> 「やむを得ない事情がある場合、休日に出勤を命じる場合がある。その際、別の日に代休を与える(or与えることがある)」
> というような旨の規定も必要です。
> (会社命令として代休を与えるための根拠)

また 弊社の就業規則では【業務の都合によりやむ得ない場合には、他の日に振りかえることがある。ただし、休日
4週間を通じ4日を下回らないものとする】
2.【前項の場合、会社は事前に振り替える休日を指定
して通知】するとあります。

振休に関する要素は含まれておりますが この就業規則
要件でMaria様のアドバイスを網羅できるでしょうか?
個人的には割増賃金が発生する代休振休より従業員
とっては有利のためOKのような気がしますがいかがでしょう?

Re: 有給⇒代休に

著者Mariaさん

2010年08月17日 03:13

> 会社が休みを指示指定する場合は振休になる(割増賃金
> 発生しない)というような意味合いがあるように思うのですがもう少し補足していただければ幸いです。

休日の振替というのは、所定休日と所定労働日を入れ替えることであり、
休日労働の慰労目的で与える代休とは根本的に意味合いが異なります。
たとえば、月曜~金曜が所定労働日、土曜日が法定外休日、日曜が法定休日と規定している会社で、
日曜に出勤して同一週の金曜日に休みを与えるとしましょう。
(8時間を超える勤務や深夜労働はないものと仮定)
代休として処理する場合、
日曜日:法定休日の労働
金曜日:代休
となります。
金曜に代休を与えたとしても、日曜は法定休日のままですから、
金曜に代休を与えたことにより欠勤控除を行うとしても、
日曜の35%の割増賃金は残ります。
これに対し、休日の振替の場合、
労働日と休日を入れ替えることにより、
日曜日:所定労働日
金曜日:法定休日
と変わりますから、日曜の勤務は休日労働にはなりません。
したがって、8時間を超える労働をしない限りは、そもそも割増賃金が発生しません。
代休休日の振替の違いは、
もし金曜日に勤務することになったら?と考えるとさらに分かりやすいかと思います。
代休の場合、金曜日は所定労働日のままですから、
もし金曜日に勤務することになっても、この日に対する割増賃金は発生しません。
休日の振替の場合、法定休日を金曜に振り替えたことにより、
金曜が法定休日に変わっていますから、
金曜に勤務することになれば、この日に対して35%の割増賃金が発生することになります。

上記のとおり、代休休日の振替は、根本的に異なる制度です。
たしかに休日の振替を行うには、事前に振り替える日を特定しておかなければならないことになってはいますが、
これは、あくまでも、事前に振り替える日が特定されていない限り、
休日の振替として扱うことはできない、というだけにすぎません。
そもそも根本的に異なる制度なのですから、
事前に振り替える日を特定したからといって、代休休日の振替に変わるわけではないのです。
代休休日の振替をあいまいに併用している会社も多いようですが、
根本的に異なる制度であるうえ、割増賃金が発生するか否かという部分にも関わってきますから、
両方を併用するor両方が就業規則に規定されているのであれば、
本来休みである日に勤務させることになった時点で、
休日出勤代休として扱うのか、休日の振替として扱うのかをはっきりさせておくべきです。

また、休日の振替を行えば割増賃金が発生しない、というのは、
厳密に言うと間違いです。
休日の振替を行うことにより、割増賃金が発生しないのは、
同一週内で振り替えたときや、休日に勤務させた週に祝日があるときなど、
結果として週の労働時間が40時間に収まる場合のみです。
就業規則等で週の始期が定められていない場合、日曜から土曜までが同一週として扱われます)
逆を言えば、たとえ休日の振替を行った場合でも、
週の労働時間が40時間を超えることになれば、割増賃金は発生します。
具体的な例をあげてみましょう。
休日の振替により、同一週の月曜と土曜を入れ替えたとします。
月曜:所定労働日から所定休日に変わる
火曜~金曜:所定労働日
土曜:所定休日から所定労働日に変わる
この場合、いずれの日も8時間労働であれば、労働時間の合計が40時間ですから、
割増賃金は発生しません。
これに対し、休日の振替により、土曜と翌週の月曜を入れ替えたとします。
1週目月曜~金曜:所定労働日
1週目土曜:所定休日から所定労働日に変わる
2週目月曜:所定労働日から所定休日に変わる
2週目火曜~金曜:所定労働日
この場合、いずれの日も8時間労働であれば、
1週目の労働時間は48時間、2週目の労働時間は32時間となり、
1週目の8時間分には、割増賃金が発生することになります。
もし1週目の月曜~金曜のいずれかの日が祝日であれば、
1週目の労働時間は40時間ですので、
この場合は1週目も2週目も割増賃金は発生しません。

> また 弊社の就業規則では【業務の都合によりやむ得ない場合には、他の日に振りかえることがある。ただし、休日
> 4週間を通じ4日を下回らないものとする】
> 2.【前項の場合、会社は事前に振り替える休日を指定
> して通知】するとあります。
>
> 振休に関する要素は含まれておりますが この就業規則
> 要件でMaria様のアドバイスを網羅できるでしょうか?
> 個人的には割増賃金が発生する代休振休より従業員
> とっては有利のためOKのような気がしますがいかがでしょう?

この規定は休日の振替に関しての記述ですね。
前述のとおり、代休休日の振替は根本的に異なる制度ですから、
これだけでは代休を与える根拠にはなりません。
なお、休日の振替であっても割増賃金を支払う、ということ自体は、
法の規定を上回る労働者有利な規定なので問題ありません。
しかしながら、代休の規定がない場合、
休日の振替として処理しない限り、別の日に従業員業務命令として休ませることはできない、ということです。
たとえば、もし、何らかの理由で、
代わりの休みを指定しないまま本来休日である日に勤務させることになってしまった場合、
振り替える日が特定されていない=休日の振替ではない、ということですから、
その後会社が「○曜に代わりに休んでね」と言ったとしても、
業務命令として代休を取らせる根拠がない以上、
もし本人が拒否したら休ませるすべがないということです。
(それでも強制的に休ませたら、休業手当を支払う義務が発生する)
こうなると、それこそ、代休を拒否して年次有給休暇を取る、ということがまかり通ってしまいます。

急な出勤だったり、直近の予定が未定だったりで、
代わりの休みを事前に指定することが難しいケースは十分に考えられますから、
今後休日の振替としてのみ運用していく予定であっても、
そういった場合のことを考えて、代休の規定も設けておいたほうがいいのではないでしょうか。
ちなみに、当社では、
業務の都合上、事前に代わりの休日を指定することが難しいため、
休日の振替はまったく利用されていませんが、
休日の振替の規定と代休の規定がそれぞれ別にあります。

Re: 有給⇒代休に

著者きたなしゅらんさん

2010年08月17日 16:44

Maria様

お忙しい中 重ねてのご教授誠にありがとうございます。
具体例まで例示していただき とてもわかりやすくすっきり
いたしました。
弊社のポイントとしては代休ができる根拠作り(就業規則の改定)が必要ですね。
管理者の雇用管理能力を上げる必要があることも改めて
認識させられます。
また 週40時間の考え方を再確認させていただきました
まず 40時間という点(変形労働時間でない場合)を
明確にして割増の判断が必要ですね。
日(法定休)月~木通常出勤 金(有給)土(法定外休日
の場合は32時間?40時間?改めて考えますと
曖昧な処理をしていたように感じます。
どちらなのでしょう?よろしければご教授願います。
すべて法だからということでもないでしょうが きちんと
した知識のがあり それに会社の環境をミックスさせ
ルール化する。Maria様の知識の高さ 正確さをみならければと思います。ありがとうございました。
32 40だけ教えてください。お願いいたします。
すいません。

Re: 有給⇒代休に

著者Mariaさん

2010年08月18日 11:15

> 日(法定休)月~木通常出勤 金(有給)土(法定外休日
> の場合は32時間?40時間?改めて考えますと
> 曖昧な処理をしていたように感じます。
> どちらなのでしょう?よろしければご教授願います。

労働基準法では実労働時間主義を取っていますので、
年次有給休暇を取得した日は労働時間にはカウントしません。
ですから、上記のような場合、
1日の労働時間が8時間なら、その週の労働時間は32時間で、
支払う賃金は40時間分ということになります。

また、法定休日の労働は、1時間であっても10時間であっても休日労働として扱われるため、
時間外労働の時間数にはカウントしません。
(週の実労働時間にかかわらず、35%の割増が発生するためです)
法定外休日は実労働時間にカウントします。
このため、上記のケースで、休日の振替を行わずに日曜、土曜ともに出勤したとすると、
日曜の勤務については休日労働の割増込みで135%の賃金
土曜の勤務については、週の実労働時間が40時間に収まっているため、
割増なしの100%分の賃金を支払えばよいことになります。

なお、上記はあくまでも労働基準法上での取り扱いですから、
これを上回る取り扱いを行うこと自体は特に問題ありません。
また、就業規則等で労働基準法の規定を上回る労働者有利の規定がある場合、
就業規則等の規定が優先されますので、
もし就業規則等で、土曜日に出勤した場合には25%の割増賃金を支払うというような規定がある場合は、
たとえ週の実労働時間が40時間を超えていなくても、
土曜日の勤務に対し25%の割増賃金を支払わなくてはならないのでご注意ください。
(そういう規定にしてしまったほうが、賃金計算は簡単になりますけどね)

Re: 有給⇒代休に

著者きたなしゅらんさん

2010年08月23日 09:45

Maria様

おはようございます。きたなしゅらんと申します。
ご丁寧にご返信いただき誠にありがとうございます。
また、御礼のご連絡が遅くなり大変失礼いたしました。
曖昧な部分を解決でき、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。
また、ご教授いただけることがございましたら
よろしくお願いいたします。

PS 昨日の社労士試験…ほんとに難しい試験でした…

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