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派遣先の変更について。

著者 いちごの森 さん

最終更新日:2010年01月31日 10:48

こんにちは。あるアルバイトさんから相談を受けました。
アルバイトさん→今年で5年目 スキルの高い人材。 直接雇用。 当方、派遣業もしております。
 
1.現職場から派遣請負先である現場に人不足の為に行って欲しいと上司から依頼された。 依頼の仕方が「あなたがいかないと社員の誰かを出向させるしかない」と言われ圧力をかけられた。

2.数ヶ月の手伝いで必ず今の直接雇用の現場に戻すとも言われた。
(このアルバイトさんは以前、数日間だけお手伝いに借出された過去有。この時に2枚契約書を渡されたそうです。派遣契約と数日後の直接雇用契約書。)

このアルバイトさんは、本人が断る事で社員が出向させられるという事を気にしています。そして期限付きならば(必ず戻れる)
と承諾の意向を示しましたが、契約もしていないのに、派遣先のシフトに組込まれて渡されたり、朝礼で発表されたりして「行かざるを得ない状況」になっています。

相談内容
この要請のやり方は理にかなっているのでしょうか?
上記の様に契約書を2枚用意して「戻れる約束」は有効なのでしょうか?

よろしくお願いします。

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Re: 派遣先の変更について。

いちごの森さん こんにちは

専門職ではありませんが、企業内部の労務管理改善施策を行っています。
多少厳しくもありますが、ご意見させていただきます。
まず、二重就労についてですが、複数の職業で就労することあり、兼業ということも多いと思いますが、ほとんどは、派遣社員とか、専門職の方々がその就業姿勢を取っていると思います。
 現状では、就業規則二重就労を禁止している企業は多いと思いますが、現経済環境では必ずしもすべてを禁止しているわけではないと思います。
 古くは、兼業農家の農業との兼業や、アパート経営などといった自社での就労に大きな支障がないと容認し、二重就労について認している企業も多いと思います。
 これまで二重就労を禁止されるのは、職務への専念・集中を欠いたり、あるいは社内で副業の営業を行なうなど規律・風紀を害したり、機密が漏洩したりすることなどを恐れるからであり、とりわけ問題なのが、労働基準法38条の定める労働時間通算原則が一番の問題点となっています。
 すなわち、労基法第38条は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」となっています。例えば早朝に4時間新聞販売店で就労した従業員については、一日の労働時間が4時間を超えた時点から割増賃金の支払を要することになります。これはもちろんコストアップ要因となるだけではなく、現実には他社での就労時間を把握することが困難であることや、割増賃金を二つの企業でどのように負担するかという問題もある。一日八時間就労後の従業員が、その後アルバイト就労した場合などは、アルバイト先はいきなり割増賃金の支払を要することになります。これらの点を考えますと不合理かつ煩雑な規定であるといわざるを得ません。
結局は企業としては二重就労を禁止するにこしたことはないということになります。
 この規定を廃止した場合には、形式的に二つの会社を設立し、最初の6時間は第一の会社、続く6時間は第二の会社で就労したという取り扱いをすれば、4時間分の割増賃金の支払を免れることができると考える方も多いと思いますが、これには問題がありますし、廃止も簡単にはできません。しかし、現実に二重就労する人は増えていますし、実務的なルールの検討が必要と思います。
 お話のアルバイトの方ですが、すでに5年を経ていますし、スキルも社員同等の条件状況と考えれば、社員に登用、就業規則での出向派遣契約等での管理を行うことも必要と思います。
昨今、派遣労働法他、労基法での不正就労に関する監督官庁の改善命令も下されています。
貴社の適正なる労務管理を実行してください。

Re: 派遣先の変更について。

著者soumunosukeさん

2010年02月01日 13:41

はじめまして。

ご質問の内容に今一つ理解できない部分があるのですが、
以下のように整理したうえでご回答いたします。

※恐縮ですが回答に当たり、ご本人その他の感情論は
抜きにして法律上の関係のみを回答させて頂きます。
(依頼時における「優越的地位の乱用」その他法律関係は
別の議論としてください。また、今回の派遣就業において、
直接雇用下における労働条件からの賃金その他の不利益変更
は無いものとして回答します。)
また、派遣法上の業務内容の取り扱い(政令業務・自由化
業務など)についても議論に含めないものとします。

------------------------------------------------------
貴社(以下、甲といいます)
アルバイトさん(以下、乙といいます)
貴社派遣先(派遣請負先と書いておられますが、「派遣」
と「請負」は似て非なるものであり、契約形態その他が
大きく異なります。ここでは貴社が一般労働者派遣事業
許可をもとに実施している派遣事業であるという認識の元に
回答いたします。以下、丙といいます)


【発生している関係】

1.甲-乙間の労働契約
2.甲-丙間の労働者派遣契約

> この要請のやり方は理にかなっているのでしょうか?
> 上記の様に契約書を2枚用意して「戻れる約束」は有効なのでしょうか?

結論から申し上げますと、、契約書面の内容を確認しない限りなんとも言えませんが、
総論として有効であると思われます。
具体的な理由については以下に述べます。

> 1.現職場から派遣請負先である現場に人不足の為に行って欲しいと上司から依頼された。
 依頼の仕方が「あなたがいかないと社員の誰かを出向させるしかない」と言われ圧力をかけられた。

→乙を丙に派遣すること自体は合法。依頼の仕方がどうであれ労働者が同意したのであれば、
労働者派遣契約も有効。本関係は“出向契約”ではなく“労働者派遣契約”となるので、「直接雇用に戻すうんぬん」の「戻れる約束」は不要。
但し、甲は乙に対し派遣法に基づく“就業条件明示書”の提示義務があり、これには派遣就業期間を明確に記さなければならない。甲-乙間の労働契約派遣契約上の就業期間を超えて継続するのであれば、どこで働くのかは別として派遣終了後も雇用は維持されなければならない。(個別派遣契約労働契約ではない)
雇用期間が既に5年とのことなので、実態として「期間の定めの無い雇用契約」とみなされ、甲は乙の派遣契約終了後に合理的な理由が無く直ちに乙を雇い止めするようなことはできないと認識すべき。
また、甲-乙間の労働契約書をもって派遣就業条件を定めるのであれば、締結中の労働契約書の記載事項等について変更が必要。
ご参考:http://www.fujisawa-office.com/haken5.html

> 2.数ヶ月の手伝いで必ず今の直接雇用の現場に戻すとも言われた。
> (このアルバイトさんは以前、数日間だけお手伝いに借出された過去有。この時に2枚契約書を渡されたそうです。派遣契約と数日後の直接雇用契約書。)

→1.同様、「現場に戻す」うんぬんは関係なく、あくまで「数ヶ月の手伝い=労働者派遣契約」のみが有効となる。それ以降の取り扱いについても1.同様。


> このアルバイトさんは、本人が断る事で社員が出向させられるという事を気にしています。そして期限付きならば(必ず戻れる)と承諾の意向を示しましたが、契約もしていないのに、派遣先のシフトに組込まれて渡されたり、朝礼で発表されたりして「行かざるを得ない状況」になっています。

→「派遣」と「出向」を混同されているようですが、お話を伺う限り、今回の関係において「出向」は発生しないと思います。(貴社及び派遣先が、労働者派遣契約においてなんらかの理由により複雑な雇用管理をしようとしているのであれば別ですが)
契約もしていないのに」とのことですが、労働者派遣契約において派遣先との契約関係は発生しません。
よって、1.の時点で甲-乙が同意している以上、「派遣先のシフトに組み込む」といった派遣元の行為に違法性は見当たりません。
確認して頂きたいのですが、「2枚渡された契約書」というのが、恐らく甲-丙間の労働者派遣契約に基づく“明示書”であると思われます。明示書の内容に違法性が無く且つ派遣労働者が同意したのであれば、本件は妥当であると思慮します。

重要なのは、乙本人が、今回の一連の関係が“労働者派遣契約”に基づくものであるということを認識しているかということではないでしょうか。派遣元たる貴社がきちんと説明しているかにもよります。
仮に、本件で争うようなことがあるのであれば、論点はそれぞれの契約関係についてではなく、貴社側が善管注意義務履行しているかどうか、及びアルバイトさんが派遣先で就業することにより発生する不利益変更の有無についてでは無いかと思います。

以上、ご参考まで。

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