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労働安全衛生法改正の概要

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平成18年4月15日 第30号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.労働安全衛生法改正の概要

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ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

今日で私も32歳。1年早いですね。

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1.労働安全衛生法改正の概要

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労働安全衛生法が改正されました。
社会保険労務士試験でも、この法律は技術的な部分で極めて専門的な条文が多
く、本稿では下記の実務上重要である部分に限定してお話ししたいと思う。
<1> 医師による面接指導
<2> 安全管理者の要件の改正
<3> 製造業における元方事業者の役割

<1> 医師による面接指導

(1)概要

改正法で、「事業者は、その労働時間の状況等が厚生労働省令で定める要件に
該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接
指導を行わなければならない」(法68条の8第1項)となっている。

当該面接指導の要件としては以下の通りである。
第1に、医師による面接指導の対象労働者については、週40時間を超過した
時間が100時間以上で、なおかつ、疲労の蓄積が認められるもの。
第2に、労働者本人から面接指導の申し出があったもの。

(2)面接指導の検討1 労働時間

1 概要

週40時間を超過した時間の計算方法は、フレックスタイム制や1ヶ月単位の
変形労働時間制における所定労働時間の計算方法と同様で以下の式により計算
される。

1ヶ月の総労働時間休日労働含む)-1ヶ月の総労働日数/7×40

具体的には、31日の月は177時間8分、30日の月は171時間25分、
28日の月は160時間、閏年の2月は29日ですので、165時間42分に
なる。

この時間数の計算に当たり、毎月一定の期日を締め切り日として計算する事と
されているが、賃金締め切り日で行えば実務上問題はなく管理もしやすい。

面接指導を実施する医師については、会社が指定する医師でなければならない
とは限らず、労働者の希望する医師でも構わない。

また、期日前1ヶ月以内に面接指導やそれに類するものを受けた労働者で、面
接指導を受ける必要がないと医師が判断した労働者は当該措置を受けなくても
良いとされた。

2 一般の労働者の場合

一般の労働者の場合、上記時間を超過した場合については本人の申し出がなさ
れた場合について、医師の面接指導を受けさせなければならない。

当然医師とは、産業医産業医の資格を持つ医師である。

法改正の背景として、長時間労働と脳血管疾患及び虚血性心疾患等及び精神疾
患の発症が医学的見地よりある程度の関連性が認められることであるから、本
改正によりこのような規定が盛り込まれたわけである。

筆者の私見ではあるが、産業医といっても専門があり、例えば腰痛の多い職場
において整形外科の医師が産業医として選任されている場合、精神疾患のフォ
ローがどこまで出来るかが問題である。

筆者の実務上の経験から、医師より保健師の活用の方が実効性があると思われ
るが、法にはその様な規定はなく、あくまで医師による面談である。

この点通達では、メンタルヘルスの観点から精神科医との連携を図ることが適
当であるとなされているが、事業者費用負担の観点からすると、特にサービ
ス業においては、精神科医を産業医として選任した方が良いと思われる。

 3 管理監督者裁量労働制適用者の場合

・裁量労働適用者
専門型裁量労働制及び企画型裁量労働制を適用されている労働者については、
労働時間ではなく、健康保持の観点からある程度の拘束時間を把握する義務が
使用者にあるが、その時間を基に、事業場毎に医師による面接指導基準を取り
決めることとされている。

管理監督者
管理監督者、機密の事務を取り扱うもの及び断続的業務に従事するものについ
ては、労働者が自ら判断し、時間外労働が100時間を超過し、疲労の蓄積が
認められると判断した場合には申し出て面接指導を受けることになっている。

(3)面接指導の検討2 申し出

当該申し出を行ったことをもって、当該労働者に不利益な取り扱いを行っては
ならないとされているとおり、疲労の蓄積を感じていても申し出を行えない状
況があり得る。

この場合、医師が労働者に対して申し出を行い面接指導を受ける勧奨を行える
とされているが、その為にも、医師と会社間で勤怠情報の共有等が必要になっ
てくる。

また、本人に自覚症状が無くても周囲が異変を感じたりするケースもあること
から、労働者の親族からの情報提供も受け付け、それに基づいて事業者自ら労
働者に対して面接指導の勧奨を行うことが望ましいとされている。

(4)努力義務

法66条の9では、前述の医師による面接指導に該当しない労働者についても、
面接指導に準ずる措置を努力することが義務づけられた。

時間外及び休日労働の合計が当該計算期間に於いて80時間以上のものが対象
であり、保健師による健康指導、チェックリストを用いて疲労蓄積の状況を把
握し、当該結果を見て医師等の面談を受けさせる、事業場の健康管理について
医師からの助言を受けること等の措置を行う努力義務が課せられている。

また、その他にも衛生委員会労働者代表の意見聴取を通じて、自助努力が求
められ、一定の基準を設け、当該基準を満たしたものについては、時間外及び
休日労働が80時間以上のものと同様に取り扱う努力義務がなされている。

基準を定めるにあたり、下記の要件に留意することとされている。
・時間外及び休日労働が100時間以上のものは当然として、2ヶ月から6ヶ
 月を平均して80時間以上のものは全員面接指導を受けさせるような基準で
 あること。

・時間外及び休日労働が1ヶ月あたり45時間以上の労働者については、何ら
 かの健康管理措置をとるように努力義務が課させている。

(5)まとめ

面接指導に関して法律に明記され、今後過労死に関して、事業者の刑事責任の
追及は免れないと考える。
本稿の対策を行い、事業者として刑事責任を追及されないようにまた、民事の
損害賠償請求においても、本稿の措置を適正に行っていたかどうかが訴訟の結
果に大きく影響することは容易に想像でき、しっかりとした対策を考えていか
なければならない。

次回は、労働安全衛生法安全管理者と製造業における元方事業者、労災法の
改正をまとめてみたい。


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発行者 山本経営労務事務所 (URL http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
編集責任者 社会保険労務士 山本 法史
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