2012年6月1日号 (no. 685)
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本日のテーマ【
現金じゃなく
有給休暇が
賃金?】
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賃金を買掛金に変えている。
給与は
現金で払うのが当然なのですが、中にはちょっと変わった考え方をする人もいて、「
賃金を
現金ではなく
有給休暇で支払う」ことを思いつく人がいるようです。
給与支給日に、封筒で
現金を渡す、もしくは指定された金融機関の口座に振り込む。この2パターンのいずれかで給与を支給している会社がほとんどだろうと思います。
有給休暇は、普通の休暇と違って、
賃金が伴う休暇です。そのため、毎月の給与を
有給休暇中の
賃金に振り替えて取り扱えば、
現金と休暇を混ぜて給与を支給できるのではないかと考えるようです。
さらに、
有給休暇を給与の一部として扱うと、実際に
有給休暇を利用するまではキャッシュアウトが発生しないですから、支払いを繰り延べる効果も期待できる。
商売では掛けで取引が行われることがよくありますので、給与を買掛金と同じように支払い時期を遅らせることができるとなると、経営する側にとっては好都合です。もちろん、支払い時期は変わるものの、給与の支払額は変わらないですから、給与が減ることもない。
さて、上記のような考え方に何か問題があるでしょうか。
有給休暇を給与の一部として取り扱う。パッと考えると、さも問題がなさそうに思えますが、法律の知識がなくても何となく違和感を感じるのではないでしょうか。
■
通貨払いの原則ではなく、
全額払いの原則に反する。
賃金の支払には5つの原則がありあす。
通貨払い、直接払い、全額払い、毎月払い、一定期日払い、この5つが
賃金の支払に関する原則です(
労働基準法24条)。
有給休暇を給与の一部にする方法を考えると、まず直接払いは問題なさそうです。
現金部分も休暇の部分も本人に渡すのでしょうから、直接払いという点に支障はない。
残りは4つですが、ここから雲行きが怪しくなる。
まず、通貨払いという点を考えると、
現金を
賃金を伴う休暇に変えているのですから、これは通貨払いではない。「
有給休暇には
賃金が付くのだから、実質的に通貨と同じじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、価値がブレる可能性のあるものは給与としては扱えないのです。
なぜ給与を通貨で支払う必要があるか。それは、通貨以外のものは価値が一定しないからです。
有給休暇を給与の一部にしてしまうと、実際に
有給休暇を利用するまでは、
有給休暇中の
賃金は確定しない。休暇を取得する直近3ヶ月間の
賃金によって
有給休暇中の
賃金が決まりますから、給与として休暇が支給された時点と実際に休暇を利用した時点の
平均賃金が変わっていた場合、
有給休暇中の
賃金も変わるということになる。
つまり、
有給休暇を給与として支給すると、
賃金の支給額が変わってしまう可能性があるわけです。
全額払いの原則からも問題がある。
有給休暇を給与の一部とする目的は、支払い時期の繰り延べですから、
全額払いの原則に反すると指摘する方が分かりやすい。通貨で支払っていないという指摘もできますが、給与の一部を
有給休暇という名目で控除して、
現金の支払時期を繰り延べているので、
全額払いの原則に反していると指摘する方が容易かもしれません。
毎月払いと一定期日払いの原則には問題がなさそうに思えますが、
有給休暇を給与の中に含ませることで、その時点で支払うべき給与を後払いにしているのですから、毎月1回、一定期日に支払っていないと指摘することも可能だと思う。
上記の中では、「
賃金の一部を
有給休暇の名目で控除し、支払い時期を遅らせている」と指摘するのが最も分かりやすいように思います。
有給休暇を使って給与を遅配していると言ってもいいかもしれない。
ゆえに、
賃金の一部を
有給休暇で支払う方法は、
労働基準法24条に違反しており、認められない。
「
賃金は
現金で」この点を忘れなければ、上記のような問題は起こりませんから、ほとんどの企業や組織では大丈夫だろうと思います。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理の"ミソ"】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
【本では読めない
労務管理の"ミソ"】
▽ ▽ <登録はこちら> ▽ ▽
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※配信サンプルもあります。
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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。
タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで
勤務時間を集計しないといけない。
しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては
勤務時間の集計は悩みのタネですよね。
そんな悩みをどうやって解決するか。
そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。
Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても
勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、
時間外勤務や
休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や
出勤簿で
勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
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本日のテーマ【現金じゃなく有給休暇が賃金?】
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■賃金を買掛金に変えている。
給与は現金で払うのが当然なのですが、中にはちょっと変わった考え方をする人もいて、「賃金を現金ではなく有給休暇で支払う」ことを思いつく人がいるようです。
給与支給日に、封筒で現金を渡す、もしくは指定された金融機関の口座に振り込む。この2パターンのいずれかで給与を支給している会社がほとんどだろうと思います。
有給休暇は、普通の休暇と違って、賃金が伴う休暇です。そのため、毎月の給与を有給休暇中の賃金に振り替えて取り扱えば、現金と休暇を混ぜて給与を支給できるのではないかと考えるようです。
さらに、有給休暇を給与の一部として扱うと、実際に有給休暇を利用するまではキャッシュアウトが発生しないですから、支払いを繰り延べる効果も期待できる。
商売では掛けで取引が行われることがよくありますので、給与を買掛金と同じように支払い時期を遅らせることができるとなると、経営する側にとっては好都合です。もちろん、支払い時期は変わるものの、給与の支払額は変わらないですから、給与が減ることもない。
さて、上記のような考え方に何か問題があるでしょうか。
有給休暇を給与の一部として取り扱う。パッと考えると、さも問題がなさそうに思えますが、法律の知識がなくても何となく違和感を感じるのではないでしょうか。
■通貨払いの原則ではなく、全額払いの原則に反する。
賃金の支払には5つの原則がありあす。
通貨払い、直接払い、全額払い、毎月払い、一定期日払い、この5つが賃金の支払に関する原則です(労働基準法24条)。
有給休暇を給与の一部にする方法を考えると、まず直接払いは問題なさそうです。現金部分も休暇の部分も本人に渡すのでしょうから、直接払いという点に支障はない。
残りは4つですが、ここから雲行きが怪しくなる。
まず、通貨払いという点を考えると、現金を賃金を伴う休暇に変えているのですから、これは通貨払いではない。「有給休暇には賃金が付くのだから、実質的に通貨と同じじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、価値がブレる可能性のあるものは給与としては扱えないのです。
なぜ給与を通貨で支払う必要があるか。それは、通貨以外のものは価値が一定しないからです。
有給休暇を給与の一部にしてしまうと、実際に有給休暇を利用するまでは、有給休暇中の賃金は確定しない。休暇を取得する直近3ヶ月間の賃金によって有給休暇中の賃金が決まりますから、給与として休暇が支給された時点と実際に休暇を利用した時点の平均賃金が変わっていた場合、有給休暇中の賃金も変わるということになる。
つまり、有給休暇を給与として支給すると、賃金の支給額が変わってしまう可能性があるわけです。
全額払いの原則からも問題がある。有給休暇を給与の一部とする目的は、支払い時期の繰り延べですから、全額払いの原則に反すると指摘する方が分かりやすい。通貨で支払っていないという指摘もできますが、給与の一部を有給休暇という名目で控除して、現金の支払時期を繰り延べているので、全額払いの原則に反していると指摘する方が容易かもしれません。
毎月払いと一定期日払いの原則には問題がなさそうに思えますが、有給休暇を給与の中に含ませることで、その時点で支払うべき給与を後払いにしているのですから、毎月1回、一定期日に支払っていないと指摘することも可能だと思う。
上記の中では、「賃金の一部を有給休暇の名目で控除し、支払い時期を遅らせている」と指摘するのが最も分かりやすいように思います。有給休暇を使って給与を遅配していると言ってもいいかもしれない。
ゆえに、賃金の一部を有給休暇で支払う方法は、労働基準法24条に違反しており、認められない。
「賃金は現金で」この点を忘れなければ、上記のような問題は起こりませんから、ほとんどの企業や組織では大丈夫だろうと思います。
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内容の一例・・・
『定額残業代で残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
『半日有給休暇と半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
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本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
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書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、時間外勤務や休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や出勤簿で勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
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