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成長し続ける企業に!サービス業専門
社労士日記(第909回)
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おはようございます。
メルマガ発行者のこまつじゅんいちです。
このメルマガは
サービス業特に飲食店経営者及び店長
売上が上がらないとお悩みの経営者
労務管理の難しさを感じている
人事担当者
同業の
社労士さん
へ向けてこまつが自由に書きたいこと書いているメルマガです。
テーマは
「
従業員のやる気と売上は本当に連動している」
です。
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◎お客様の売上アップのため!サービス業専門
社労士日記
のバックナンバー・配信停止はこちら
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http://archive.mag2.com/0000250571/index.html
小松潤一
社会保険労務士事務所
http://www.style-neo.jp http://www.style-neo.com
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目次
■はじめに
■企業の
解雇権
--------------------------------------------------------------
■はじめに
こんなニュースが先週ネットで
ルネサス、リストラ拡大1万数千人規模に
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120526-OYT1T00094.htm
2年間で2700人削減 オリンパス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120608-00000123-jij-bus_all
大きな企業ではちょっと歯車がかみ合わなくて修正ができなければ
一気に業績が悪化してこんな大人数のリストラ案が発表されます。
そしてこの記事を見た多くの経営者が一言
「よしうちも使えない
従業員が一人いるから
解雇しよう!!」
出来たらネットとかで記事を書く人に注意してほしいのですが
リストラと書かずに希望
退職を募るって書いてほしいです。
勘違いする人が出てきます。
結論から言うと企業に
解雇権なんて与えられていません。
今日はそんなお話
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■企業の
解雇権
「能力の悪い
従業員を
解雇したら訴えられた!」
と言う話は良く聞きます。
そんな経営者の相談をしてみたらいつもこんな答えが返ってきます。
「大企業だって大人数の人をリストラしているじゃないか!!
どうしてうちみたいにひとりだけリストラして訴えられるんだ!!!!!」
大企業が一万人規模のリストラの実施してその記事をネットで見た中小企業の経営者が
「なんだ簡単に
解雇できるんだ!」
と勝手に解釈して
解雇するのです。
大半の場合は
従業員が泣き寝入りして
解雇しても問題はないのですが
泣き寝入りしない
従業員もたくさんいます。
まず
解雇の撤廃を企業に訴えます。
「不当
解雇」
それと同時に過去2年分の
残業代の未払いなどを
かぶせて請求するのです。
不当
解雇ですからもし裁判で負けてしまうと職場復帰してきます。
その話をすると経営者は
「職場に戻ってこれるもんなら戻ってこい!」
と思うのでしょうが
正直職場に戻ってくる人はほとんどいません。
(大手企業ならいるのでしょうけど)
じゃー何を狙っているのか?
あくまでも一般的な話で全員がそういうわけではないのですが
まず
解雇無効の訴えを裁判所にします。
そのうえで
地位保全の仮処分請求をします。
これが認められたら今までの地位が保全されるので
裁判の判決が出るまで会社はその
解雇した人の給与を
払い続けなければいけません。
仮処分が認められるのにはいくつか条件があったり
企業が払い続ける人件費も丸々給与全額というわけではありませんが
裁判は通常1年以上続きますので働いていないにもかかわらず
給与を払い続けなくてはいけません。
そして企業が
従業員を
解雇できる要件と言うのは
企業が思っている以上に難しいのです。
企業が一発
解雇出来るのは
悪意を持って会社のお金を着服した
無断欠勤がずっと続いている
くらいでしょうか
業績が悪化しただけではリストラは出来ないのです。
能力が低いだけでもリストラは出来ません。
そもそも能力を低い方を
採用した責任は企業にありますし
教育する義務も会社にはあります。
何度も何度も何度も教育を実施して
教育と言っても
例えば営業向けの教育で
「何でも良いからとりあえず飛び込み営業をして来い!!」
みたいな投げやりな教育ではダメです
本気の教育を何度も何度も何度もやって
それでもだめならまず給与を下げる
そして教育をさらに続けてダメなら給与を下げる
そこまでやって初めて辞めてもらう選択が出来るようになるのです。
【企業には
解雇権なんてありません】
残念ことに
従業員は職業選択の自由が憲法で保障されているので
簡単に辞めることが出来るのに
企業から
解雇は出来ないのです。
よってもし不当
解雇と訴えれたら
同時に
残業代も請求が来るでしょうから
あともっとも恐ろしい法律である
「
付加金制度」があって
裁判所が未払いの
残業代を確定したら
それを同じ金額の
付加金を払う必要が出てきます。
要するに倍の金額を払う必要があるのです。
ここから本当にあった怖い話
給与25万円で飲食店に就職した人がいました。
残業代なんて一円も出ていません。
月に平均したら15万円は未払いの
残業代がありました。
(月間の
労働時間が300時間を超えるとこれ位の未払いが発生する)
その人があまりにも出来が悪いのでついに経営者はこの
従業員を
解雇します。
そして翌月に突然裁判所から通知が来るのです。
実はこの
従業員は過去にも
労務紛争を行ったことのある人物で
わざと
解雇されようとしているのではないかと
過去に働いた企業でも同じ訴えを起こして
示談金を受け取ったことのある
常習犯だったそうです。
この段階で早期に
示談に持ち込めば良かったものの
経営者が
「なんでそんなことしなければいけないんだ」
と怒り
相手側を怒らせて
示談に全く応じてくれず
弁護士の説得もむなしく裁判を続行して出た判決
かかった時間1年間
地位保全により支払われた
賃金
240万円
未払い
賃金
360万円
付加金
360万円
その他未払い給与に対する遅延延滞金
年利14.6%
精神的苦痛に伴う
慰謝料
などなど総額1000万円強
結局この飲食店は潰れてしまいました。
たった一人の
従業員が訴えただけで会社がつぶれるのです。
このような事例は極端な例なのかも知れませんが
普通の会社でもあり得る話です。
だから
解雇する際には手順が必要です。
大手企業では1万人単位でリストラする際には
突然
「君来月から会社に来なくて良いから」
って1万人に言っているわけではありません。
まずは
役員や上位役職者が給与を大幅カットして
希望
退職を募り
再就職支援制度を作って再就職しやすい環境を整備して
労働組合や
労働者の代表と何度も何度も何度も話し合いを行い
従業員の給与を一部カットさせてもらい
そしてまた希望
退職を募り
希望
退職に応じてくれた
従業員には
退職金を上乗せしたり
それでも会社が倒産の危機を脱せなければ
最後の最後に
従業員を
解雇して
最後には経営陣も責任を取って自ら辞める
このようなことをして1万人単位でのリストラを実施するのです。
【企業には
解雇を防ぐ義務がある】
皆さん気をつけてください
おしまい
よかったら感想をください
info@style-neo.jp
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創造人材
株式会社
小松潤一
社会保険労務士事務所
小松潤一
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目次
■はじめに
■企業の解雇権
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■はじめに
こんなニュースが先週ネットで
ルネサス、リストラ拡大1万数千人規模に
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120526-OYT1T00094.htm
2年間で2700人削減 オリンパス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120608-00000123-jij-bus_all
大きな企業ではちょっと歯車がかみ合わなくて修正ができなければ
一気に業績が悪化してこんな大人数のリストラ案が発表されます。
そしてこの記事を見た多くの経営者が一言
「よしうちも使えない従業員が一人いるから解雇しよう!!」
出来たらネットとかで記事を書く人に注意してほしいのですが
リストラと書かずに希望退職を募るって書いてほしいです。
勘違いする人が出てきます。
結論から言うと企業に解雇権なんて与えられていません。
今日はそんなお話
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■企業の解雇権
「能力の悪い従業員を解雇したら訴えられた!」
と言う話は良く聞きます。
そんな経営者の相談をしてみたらいつもこんな答えが返ってきます。
「大企業だって大人数の人をリストラしているじゃないか!!
どうしてうちみたいにひとりだけリストラして訴えられるんだ!!!!!」
大企業が一万人規模のリストラの実施してその記事をネットで見た中小企業の経営者が
「なんだ簡単に解雇できるんだ!」
と勝手に解釈して解雇するのです。
大半の場合は従業員が泣き寝入りして解雇しても問題はないのですが
泣き寝入りしない従業員もたくさんいます。
まず解雇の撤廃を企業に訴えます。
「不当解雇」
それと同時に過去2年分の残業代の未払いなどを
かぶせて請求するのです。
不当解雇ですからもし裁判で負けてしまうと職場復帰してきます。
その話をすると経営者は
「職場に戻ってこれるもんなら戻ってこい!」
と思うのでしょうが
正直職場に戻ってくる人はほとんどいません。
(大手企業ならいるのでしょうけど)
じゃー何を狙っているのか?
あくまでも一般的な話で全員がそういうわけではないのですが
まず解雇無効の訴えを裁判所にします。
そのうえで地位保全の仮処分請求をします。
これが認められたら今までの地位が保全されるので
裁判の判決が出るまで会社はその解雇した人の給与を
払い続けなければいけません。
仮処分が認められるのにはいくつか条件があったり
企業が払い続ける人件費も丸々給与全額というわけではありませんが
裁判は通常1年以上続きますので働いていないにもかかわらず
給与を払い続けなくてはいけません。
そして企業が従業員を解雇できる要件と言うのは
企業が思っている以上に難しいのです。
企業が一発解雇出来るのは
悪意を持って会社のお金を着服した
無断欠勤がずっと続いている
くらいでしょうか
業績が悪化しただけではリストラは出来ないのです。
能力が低いだけでもリストラは出来ません。
そもそも能力を低い方を採用した責任は企業にありますし
教育する義務も会社にはあります。
何度も何度も何度も教育を実施して
教育と言っても
例えば営業向けの教育で
「何でも良いからとりあえず飛び込み営業をして来い!!」
みたいな投げやりな教育ではダメです
本気の教育を何度も何度も何度もやって
それでもだめならまず給与を下げる
そして教育をさらに続けてダメなら給与を下げる
そこまでやって初めて辞めてもらう選択が出来るようになるのです。
【企業には解雇権なんてありません】
残念ことに
従業員は職業選択の自由が憲法で保障されているので
簡単に辞めることが出来るのに
企業から解雇は出来ないのです。
よってもし不当解雇と訴えれたら
同時に残業代も請求が来るでしょうから
あともっとも恐ろしい法律である
「付加金制度」があって
裁判所が未払いの残業代を確定したら
それを同じ金額の付加金を払う必要が出てきます。
要するに倍の金額を払う必要があるのです。
ここから本当にあった怖い話
給与25万円で飲食店に就職した人がいました。
残業代なんて一円も出ていません。
月に平均したら15万円は未払いの残業代がありました。
(月間の労働時間が300時間を超えるとこれ位の未払いが発生する)
その人があまりにも出来が悪いのでついに経営者はこの従業員を解雇します。
そして翌月に突然裁判所から通知が来るのです。
実はこの従業員は過去にも労務紛争を行ったことのある人物で
わざと解雇されようとしているのではないかと
過去に働いた企業でも同じ訴えを起こして示談金を受け取ったことのある
常習犯だったそうです。
この段階で早期に示談に持ち込めば良かったものの
経営者が
「なんでそんなことしなければいけないんだ」
と怒り
相手側を怒らせて示談に全く応じてくれず
弁護士の説得もむなしく裁判を続行して出た判決
かかった時間1年間
地位保全により支払われた賃金
240万円
未払い賃金
360万円
付加金
360万円
その他未払い給与に対する遅延延滞金
年利14.6%
精神的苦痛に伴う慰謝料
などなど総額1000万円強
結局この飲食店は潰れてしまいました。
たった一人の従業員が訴えただけで会社がつぶれるのです。
このような事例は極端な例なのかも知れませんが
普通の会社でもあり得る話です。
だから解雇する際には手順が必要です。
大手企業では1万人単位でリストラする際には
突然
「君来月から会社に来なくて良いから」
って1万人に言っているわけではありません。
まずは
役員や上位役職者が給与を大幅カットして
希望退職を募り
再就職支援制度を作って再就職しやすい環境を整備して
労働組合や労働者の代表と何度も何度も何度も話し合いを行い
従業員の給与を一部カットさせてもらい
そしてまた希望退職を募り
希望退職に応じてくれた従業員には退職金を上乗せしたり
それでも会社が倒産の危機を脱せなければ
最後の最後に従業員を解雇して
最後には経営陣も責任を取って自ら辞める
このようなことをして1万人単位でのリストラを実施するのです。
【企業には解雇を防ぐ義務がある】
皆さん気をつけてください
おしまい
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