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労務管理

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社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

最終更新日:2011年11月17日 21:20

いつも勉強させていただいております。
この度、零細企業の労務をすることになり、気になったけれど分からないことがあるのでご相談させていただきます。

パートの方がひとり、年収が200万程あるのですが、社会保険を旦那様の扶養内に入っております。
旦那様は会社を興し、経営者でいらっしゃいます。

私の拙い知識では、週5日、日に7~8時間働かれているこのパートの方は、本来こちらの会社の社会保険に入るのではと思うのですが、会社の経営状況のこともあるのか、旦那様の扶養内です。ですので、会社は社会保険料を負担せず、ご本人も手取りが多いです。

弊社は全社員が、裁量労働制をとっており、正社員に比べて~というパートの社会保険加入の基準がいまいち成り立たないような感じです。(正社員の方も何時まで働いても残業代はいっさい出ません)。

この方のような措置は社会保険上問題ないのでしょうか?
あるようであれば、他のパートさんのこともあるので、労働時間の調整などをしていただいた方がいいかと思っております。
(この方のみ、何時まで働いてもそのまま、社会保険料控除されず手取りが多いというかたちになっており、会社もそれを利用しているふしがあります)。

零細企業なので会社の事情も分かりますが、他の方や、後々にこのことを知ってしまった方に不公平な気持ちを持っていただきたくないと思います。
扶養範囲内のルールについて、詳しい方がいらっしゃれば教えて下さい。

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Re: 社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

著者Mariaさん

2011年11月18日 02:00

まず、貴社での健康保険厚生年金への加入と、
ご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になることは、
完全に分けて考えてください。

貴社での健康保険厚生年金への加入についてですが、
1日の所定労働時間と月の所定労働日数の両方が、
一般従業員の概ね3/4以上であれば、
賃金の額にかかわらず強制加入となります。
ですので、もし上記を満たしていれば、賃金の額がたとえ130万未満であろうと、
貴社で健康保険厚生年金に加入させる必要があります。
逆を言えば、貴社で健康保険厚生年金に加入させたくないのであれば、
上記の要件を満たさないよう、所定労働時間所定労働日数を調整するしかありません。

上記は、実労働時間や実労働日数ではなく、
所定労働時間所定労働日数で判断されるものですから、
ご質問の方の所定労働時間所定労働日数の両方が、
一般従業員の3/4以上となるかどうかをご確認ください。
ただし、これはあくまでも“原則として”です。
パートさんの雇用契約上の所定労働時間所定労働日数では、
一般従業員の3/4未満となる場合であっても、
所定労働時間を超える労働が“常態”となっているような場合は、
労使間の暗黙の了解により、実際の雇用契約の内容が変更されたものと見なされる場合があります。
そのような場合は、実際の労働時間や労働日数が、
一般従業員所定労働時間所定労働日数の3/4以上かどうかで判断されることになり、
場合によっては遡及して強制加入となることもありえます。
(当然、保険料も遡及して徴収されます)
ですので、そういったトラブルを避ける意味でも、
パートさんの労働時間や労働日数はきちんと管理し、
雇用契約の内容と実態に乖離が生じないようにしておくべきです。

次に、ご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者についてですが、
これは、被扶養者となる者自身が、健康保険厚生年金強制被保険者でないことが大前提です。
したがって、前述の強制加入要件を満たしている場合は、
たとえ被扶養者認定の収入制限を満たしていたとしても、
被扶養者になることはできません。
ご自身が健康保険厚生年金強制被保険者ではなく、
かつ被扶養者認定要件を満たしている場合は、
ご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になることが可能になるわけですが、
ご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になるには、
年間収入が130万未満(60歳以上は180万未満)であることが必要です。
ご質問の方の年齢は記載されていませんが、
年間収入が200万とのことですので、
60歳未満にせよ、60歳以上にせよ、収入基準をオーバーしていることになります。
したがって、ご質問の方が、貴社で強制加入とならない場合、
この方はご自身で国民健康保険国民年金第1号被保険者として加入する必要があります。

簡潔にまとめますと、
●貴社で強制加入要件を満たしている場合
 →収入の額にかかわらず、貴社で健康保険厚生年金に加入させる必要がある
●貴社で強制加入要件を満たしておらず、
 かつご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になる要件を満たしている場合
 →ご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になることが可能
●貴社で強制加入要件を満たしておらず、
 かつご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になる要件を満たしていない場合
 →ご質問の方ご自身が、国民健康保険国民年金第1号被保険者として加入する必要がある
ということになります。

なお、ご質問の方がご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者のままでいる点については、
貴社が処理するべきことではなく、何ら責任があるわけでもありませんので、
上記の点を説明してあげるくらいでよいかと思いますが、
貴社で健康保険厚生年金に加入させるか否かは、
貴社に届出や保険料納付の義務がありますから、
しっかり対応なさってください。

Re: 社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

> 簡潔にまとめますと、
> ●貴社で強制加入要件を満たしている場合
>  →収入の額にかかわらず、貴社で健康保険厚生年金に加入させる必要がある
> ●貴社で強制加入要件を満たしておらず、
>  かつご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になる要件を満たしている場合
>  →ご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になることが可能
> ●貴社で強制加入要件を満たしておらず、
>  かつご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者になる要件を満たしていない場合
>  →ご質問の方ご自身が、国民健康保険国民年金第1号被保険者として加入する必要がある
> ということになります。
>
> なお、ご質問の方がご主人の健康保険被扶養者国民年金第3号被保険者のままでいる点については、
> 貴社が処理するべきことではなく、何ら責任があるわけでもありませんので、
> 上記の点を説明してあげるくらいでよいかと思いますが、
> 貴社で健康保険厚生年金に加入させるか否かは、
> 貴社に届出や保険料納付の義務がありますから、
> しっかり対応なさってください。

Maria様、早速のお返事をありがとうございます。

私も、このパートさん(40代後半)は130万以上の収入で、加入要件も見たしている(労働時間、日数など)と思うのですが、弊社の社員の方が、皆「裁量労働」もしくは「みなし労働」で、いまいち労働時間がはっきりしないので困っておりました。確かに社員さんたちはかなりの労働時間、また週に1日の休みなどの働き方なので、どこまでが3/4以上なのか、このパートさんもフルタイムですが、実態としては「一般従業員の3/4以上働いている」と言えるのか。。。等々。。。(裁量労働などの知識も足りないと思い、勉強しているのですが、知識不足があり申し訳ありません)。

この方の社会保険については、弊社で加入要件を満たしているとは思うのですが、上司に相談しても、「そういうことはよく分からない」と言うばかりで困惑しております。

尚、今までこの方がずっと経理と労務をかねておりまして、私の入社によって労務のみ私の担当になりました。なので、ご本人も「何も知らない、知識がない」というはずはないのです。

弊社は上司や社長は法律や税金、社会保険に疎く、そちらの方面はすべてこの方が取り仕切られておりましたので、個人的には、この方は、弊社の上司にはご主人の扶養に入るから、(入ることが可能だから)と伝え弊社の社会保険を抜け、ご自分で第1号被保険者になられておられるような気がするのです。それを会社側が「よく分からないけれど、この人がそう言うなら大丈夫なんだろう」ということにして、利用しているような気がします。
とても優しい、良い方で、なおかつ会社の経営状況を知っているので、ご自分が進んで犠牲になられておられるような気がします。そこもずっと気になっておりました。

雇用契約の変更は、少なくとも書類上ではないようですし(何も残っていない)、一度ご本人ときちんと話してみようと思います。

こちらでご相談し、しっかりした規定が分かり、どこをどう対処したらいいか分かって、とてもほっとしました。(ずっとひとりでもやもや悩んでおりました)。

Maria様、ありがとうございます。

Re: 社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

著者Mariaさん

2011年11月18日 10:44

貴社は裁量労働制とのことですが、
裁量労働制であっても所定労働時間所定労働日数は定めてられているはずです。
なので、その3/4以上かどうかで判断なさってください。

実態を元に判断されることがあるという点についてですが、
それは“パートさん”の労働実態のほうですよ。
パートさんは、一般従業員の方と違って、
雇用契約の内容しだいで所定労働時間所定労働日数が変わるものですから、
会社の所定労働時間所定労働日数とは違いますよね。
ですから暗黙の了解で雇用契約の内容が変更されたものとみなされる場合があるというだけで、
一般従業員所定労働時間所定労働日数は常に定められた時間と日数で判断します。

たとえば、弊社でも専門業務型裁量労働制を適用していまして、
9~10時間勤務している方も多いですが、
所定労働時間は8時間と規定されていますので、8時間の3/4以上かどうかが基準になります。
また、休日出勤をしている方もいらっしゃいますが、
それはあくまでも所定外休日に勤務しているだけであって、
所定労働日数が変わったわけではありませんから、
あくまでも所定労働日数の3/4以上かどうかが基準になります。

あと、ご質問のパートさんの雇用契約上の所定労働日数所定労働時間はどうなっているのでしょうか?
もし雇用契約上の所定労働時間所定労働時間で見ても、
両方が一般従業員の3/4以上なのであれば、
問答無用で強制加入ですけども。

Re: 社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

Maria様

ご返信ありがとうございます。

従業員の方の裁量労働の労働条件所定労働日数所定労働時間)は「一応」のものはあります。あまりに現状と乖離しているので、これが適応されるのか信用できず、「こういうことにしているだけで、裁量労働というものはもっと違う考え方、計算の仕方があるのではないか」と思っておりました。知識不足で申し訳ありません。

これは弊社のすべての従業員に言えるのですが、「お役所用」の書類は一応ありますが、会社設立時(60年程前)からほとんど内容が変わっておらず、かなり現状と乖離しているので、これをどう解釈するかも、この前任だったパートさんとお話ししようと思います。

途中で雇用条件(所定労働日数所定労働時間、時給、賃金等々)が何も書類のないまま口頭の話し合いで変わることもしょっちゅうだったようで、とりあえず、社内で話し合うことから始めようと思います。

Maria様の仰られる通りの計算をすると、このパートさんは雇用契約上、一般従業員とまったく同じ日数、時間を働いているので、明らかに社会保険に入るということになります。(そもそもが、経営上正社員をこれ以上増やせないのでパートなのです。私も短時間のパートです)。

ただ、弊社はその状態で何十年もやって来て、経営陣も、そのパートの方も(勤続10年以上です)、色々を持ちつ持たれつ調整していくのが暗黙の了解にはなっているようです。

このことをどう解釈するかは人それぞれですが、入社して以来、オーナー社長の零細企業の実態を見ていて「あまり急くことなく、ゆっくり進めていこう」と思いました。

正確な情報を教えていただき、ありがとうございます。

Re: 社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

著者Mariaさん

2011年11月18日 23:14

> Maria様の仰られる通りの計算をすると、このパートさんは雇用契約上、一般従業員とまったく同じ日数、時間を働いているので、明らかに社会保険に入るということになります。(そもそもが、経営上正社員をこれ以上増やせないのでパートなのです。私も短時間のパートです)。

ご質問のパートさんの雇用契約上の日数・時間で見ても、一般従業員と同じなのであれば、
明らかに強制加入ですね。
もし強制加入の人を加入させないままでいた場合、
健康保険法第48条違反、および厚生年金保険法第27条違反です。
双方とも、「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金」という罰則規定があります。
(よほど悪質でない限り、実際に罰則が科されることはそうそうありませんが・・・)

また、もし行政機関の調査等でそれが判明すれば、職権で強制加入させられます。
その時点からの加入ですめばまだいいほうで、
場合によっては、過去2年前まで遡及して強制加入となる場合もあります。
(遡及加入できるのは最大で2年までだからです)
その場合、当然ながら、過去2年間分の保険料も徴収されることになるわけで、
会社にとって大きな負担になることは間違いありません。
ですので、会社の社会保険料負担を増やしたくないのであれば、
強制加入の人を違法に加入させないのではなく、
パートさんの勤務時間勤務日数を減らして強制加入とならない範囲におさめ、
その代わりにパートさんの人数を増やす、というような合法的な方法で対処するべきです。

ちなみに、裁量労働制を適用している会社は、
ほかの会社に比べると、行政機関の調査が入る可能性が高いそうですよ。
なぜなら、裁量労働制なのに該当者に出退勤の裁量がないなど、
運用上の問題があるケースが多いうえ、
残業代逃れのために、この制度を悪用している会社すらあるからです。
(本来なら裁量労働制が適用できない範囲の人まで裁量労働制扱いにしていたりなど)
また、1つ何か違反をしている部分が見つかると、
ほかの部分にも違反があるのではないかと疑われ、
細かいところまでチェックされる可能性大です。
こういう面もあって、弊社ではコンプライアンス(法令順守)にはけっこう力を入れています。

今まで調査が入らなかったからといって、今後も入らない保証はありません。
早急に適正な対処をすべきです。
ご質問の内容を見る限り、ほかにも問題点はたくさんありそうな気がします。
そもそも、裁量労働制等の労使協定労働者代表選出でさえ、
法に則った適正な手順でなされていないかもしれません。

Re: 社会保険加入の件(扶養範囲はどこまで?)

Maria様

ご返信有り難うございます。
早急にやる方がいいことは重々承知しておりますが、とりあえず、弊社で進められるスピードでしか進められないので、ご了解ください。

もちろん、弊社の従業員の裁量労働も残業代逃れの可能性はかなり大きいですし、問題があります。ただ、雇用される側も、する側も、それを了承の上で成り立っている零細企業です。いきなりメスを入れると、全ての社員さんに悪い方へ影響しかねません。まず、事実関係の確認をしようと思います。

なお、社会保険未加入の罰則については、私の方でも調べており、分かっておりますが、それもこれも、すべて「双方の了解の上で成り立っている」面もあるようなので、入社間もない私が急速な改善をすることは難しいです。(それであれば私が退社をすることになると思います)。

その方の他のパートさんがなかなか続かないため、その方の仕事の量が増えてしまい、時間が延びてしまう、でも無い袖は振れないので社会保険料は払えないし、ご本人もそれを了解の上で働いている、という状況のようなので、さて、どこから。。と考えております。

おそらく問題は山積だと思いますが、法律や規則で割り切って考えられるほど簡単にはことは進まないと思いますので、そういった意味で、弊社なりのスピードで進めていこうと思います。

弊社のような会社は想像を絶するかも知れませんが、このような零細企業も確かに存在し、そこに勤めて家族を養っておられる方もいらっしゃいます。会社に今まで違反があったと仮定して、それらの罰則金をいま諸々支払っていたら即倒産する可能性はかなり高いのです。いきなり全てを取り上げかねない行動はできませんので、まずは、経営陣、前任者の方と、話し合いから始めようと思います。

私も困っていますが、それ以上に会社が困っているのもよくわかるので、Maria様に教えていただいたことを踏まえ、今後は社内のことに集中し、事実関係の確認から努めます。
よって、今回をもって、この相談は終りにさせていただこうと思います。

Maria様にいろいろ教えていただき、正確なことがわかったので、とても助かりました。重ねてお礼申し上げます。

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