相談の広場
当社では、これまで時間外手当を「全社員一律 1時間あたり1,000円」で支払われておりました。
とても割増賃金としての水準を満たしておらず、法令順守の観点からこれでは問題があるとして是正を検討しております。
しかしながら、現状の給与体系で基礎賃金を算出すると、大きなギャップが生じるため少しでも緩和できる策はないかと、次のような提案がなされました。
※毎月定額で支払われている給与・手当のみ記載
従来…基本給、役職手当、食事手当 → 変更後…基本給、職務手当(時間外手当の固定支給)
従来型では、上記の各手当が算入され基礎賃金がかなり高額となるため、「基本給のみを基礎賃金とする」ことが目的です。
たとえば、基本給20万円、役職手当3万円、食事手当1万円の社員の場合、従来型で計算するとこれらの合計24万円が基礎賃金(月額)となり、割増賃金単価は約1,800円/時間。現状の1,000円とは相当ギャップがあります。
一方、変更後の給与で計算すると、上記の例では割増賃金単価が約1,500円/時間になります。
上記の条件で、時間外手当部分1,500円×仮に40時間として6万円+従来の固定手当4万円=10万円が「職務手当」となります。
なお、職務手当を「時間外手当の固定支給分」と賃金規定および雇用契約上で定義するため、表面上役職手当などは消滅することになります(社員の収入を担保するため金額的には反映しています)。
しかも、40時間を超えた分についても、手当の額面10万円を超えるまでは超過で支払わないという扱いで考えています。
(たとえば、時間外勤務が45時間の場合、45×1,500円=67,500円<10万円なので超過の手当は支給しない)
しかしながら、なんとなく脱法な手段に思えて総務担当者として躊躇しています。
上記のような規定が適法に成立するのか、ご意見を賜りたく存じます。あくまで私見で結構です。
よろしくお願いします。
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こんにちわ。
賃金規定等にご質問の「職務手当」について、仮に10万円と記載があればその金額を支給しなければ労基法24条(全額払いの原則)に抵触する可能性があります。よって、ご質問例(>たとえば、時間外勤務が45時間の場合、45×1,500円=67,500円<10万円なので超過の手当は支給しない)といったことは問題かもしれません。
対処方法としては、「職務手当」の金額設定を下げる方法が考えられます。「職務手当」を60,000円などに設定しておけば、先ほどの例文からすれば7,500円を差額支給すれば問題ない事となります。
本件においては、賃金規定にどのように記載するかが重要といえます。単に「職務手当」を10万円と記載すれば、超過の手当分の支給が無ければ問題となる可能性がありますので、「職務手当は、60,000円とする。これは、第〇条の深夜・休日・時間外割増賃金分として支給する。職務手当の額を超えて割増賃金を支給するべきときは、差額支給する」というような記載方法などが考えられます。
わかくささくら様
ご回答ありがとうございます!
ご指摘いただいた点につきまして、私の書き方がややこしく誤解となってしまったように思えますので追加でコメントさせていただきます。
※これも誤解であれば申し訳ございません…
「たとえば、時間外勤務が45時間の場合、45×1,500円=67,500円<10万円なので、超過の手当は支給しない」という文面について、「超過の手当」というのは「職務手当の10万円は必ず支給する」という前提で、
「職務手当には40時間分の時間外手当が含まれており、それを超過した5時間分の手当」に関しての記述でした。
私個人の見解では、「とはいえ『40時間分の時間外手当』と明記してあるのだから、それを超過した5時間分は別途支払われるべきだ」と思いますが、ある識者の方に聞くと
「(上記の例で)45時間分でも67,500円であるため、支給額の10万円の枠に収まるので、超過分の時間外手当は別途支給しなくてよい」
つまりこの例でいくと10万円÷1,500円=66時間まではこの10万円の職務手当以外に時間外手当を支払わなくていいという見解です…この点にも少々違和感が残っておりました。
なお、ご回答いただいた賃金規定の記載に関して、とても参考になりました!
当社が今考えている内容ですと、賃金規定には金額を明記せずに、個別の労働契約書で金額を示すことになりそうですが、契約書の文面も「○時間分の手当」とするのではなく、この書き方であればクリアできるように思えます。
Respect玲 様。
ご返信と補足の方ありがとうございます。
賃金規定において、職務手当のうち「40時間分の時間外手当」が含まれているといった記載がされているということと解釈して回答いたします。
この明記であれば、確かに職務手当の10万円で40時間分の時間外割増賃金が収まったしても、「Respect玲 様」のご見解のように40時間超えた時間外割増賃金についての差額支給の問題は依然として残ります。
40時間を超えた際の明記がされていれば別ですが、明記がされていないのであれば、その部分については会社側だけでなく労働者側にとっても自由に判断できることとなり、トラブルの元となってしまいます。識者の方が言われていることも分かりますが、就業規則や賃金規定等は会社のルールみたいなものですので、明記がなければそれを根拠とすることも難しくなります。
従って、今までの従業員の残業時間などの統計等に基づいて40時間の時間数を多くして記載したり、前回回答したように「職務手当は100,000円を支給する。うち70,000円については、第〇条の深夜・休日・時間外割増賃金分として支給する。職務手当の額を超えて割増賃金を支給するべきときは、差額支給する」といったような記載方法が考えられます。
補足的ではありますが、職務手当に「〇時間分の時間外手当」としか記載がないのであれば、他の休日労働・深夜割増賃金が発生した際には別途支給が必要となりますので、上記記載例のように休日・深夜も含んだ記載方法もよいかもしれません。
わかくささくら様
再度のコメントいただき、ありがとうございます!
とても丁寧でわかりやすく、当方としても理解を深めることができました。
また、重ねて質問となり申し訳ございませんが、よろしければご意見を賜りたく存じます。
他のトピックでも「固定残業代」というキーワードで相談されているケースなどを見ていて、就業規則(賃金規定)または個々の雇用契約書に、上記「職務手当」(=固定残業代)に含まれる「超過勤務の時間数」を明記する必要があるのか?という疑問がわきました。
もし、記載する必要がないのであれば、賃金規定に「職務手当の全額は第○条の深夜・休日・時間外割増賃金分である」という旨のみ記載しておき(細かい計算根拠は明記せず)、雇用契約書にはその個別の金額を記載する形にすれば、その金額の範囲内で発生したすべての割増賃金をカバーするのだろうか、と思いました。
逆に記載する必要があれば、根拠となる時間数と実際の金額の整合性がとれないため(もともと、この手当には役職手当他の相当額が加算されているため)、明文化が難しいかも?
また、内訳(たとえば10万円のうち25000円が役職手当、75000円が割増賃金)を書いてしまうと、当然25000円は基礎賃金になってしまうので、そもそも基礎賃金を低くするという目的からは外れますし…
またご意見いただければ幸いです。よろしくお願いします。
Respect玲 様。
再度ご返信ありがとうございます。
割増賃金分を含めるような各種手当において、「超過勤務の時間数」を記載すること自体は会社裁量によるものですので問題はありません。ただ記載することにより混乱を招くようであれば、シンプルに「〇〇手当=深夜・時間外・休日割増賃金」というような記載方法がよろしいかもしれません。
職務手当10万円のうち区別して25,000円を職務手当、75,000円を割増賃金と記載した場合、ご認識のとおり職務手当が予め支給条件が確定され、毎月支給されるような場合には割増賃金の算定基礎に算入させなければなりません。
割増賃金の算定基礎を低くということであれば、職務手当自体を低くすることや毎月の職務手当自体を失くし、その分をボーナス等といった臨時的賃金として支給、毎月の手当は固定残業手当だけを支給する方法が考えられます。
ただ、そうなると職務手当自体の趣旨が何だったのかということにもなりかねませんので、会社で検討する必要がでてくるかもしれません。
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