━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆
労働時間フリーの「
労働者」とは? その1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆さんもよくご存じの通り、
従業員が
労働基準法に定める「
労働者
」である限り、
労働時間を把握し、仕事をする時間を一定以内にセ
ーブしておく必要があります。
ところが「
労働者」によっては
労働時間を把握する義務がなく、し
かも残業時間、
残業手当、
休日、
休憩が法的に規制されないケース
があります。
※ 深夜(22:00~翌5:00)業、
深夜手当については規制される
そのケースの一つが、「出社退社等について厳格な制限を受けない
管理監督者等」です。
労働条件の決定その他
労務管理などを経営者側に立って行うという
ような重要な業務を行うことから、
労働時間の規制がなじまないと
され、
労働基準法の一部
適用除外となります。
実は「
管理監督者」の基準については具体的な基準はありません。
だからといって、法の抜け穴に付け込んだ無理がまかり通るわけで
はありません。
新人の課長を「
管理監督者」といって残業させ放題、手当不支給な
どにしているとあとで監査が入ったときなどに大変な目を見ること
になります。
「
管理監督者」かどうかは以下のような原則によって、総合的に判
断されます。
【実態に基づく判断】
資格(経験、能力等に基づく格付け)及び職位(職務の内容と権限
等に応じた地位)の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と
権限、勤務態様に着目する。
【待遇に対する留意】
賃金等の待遇面についても
基本給、
役付手当など、その地位にふさ
わしい待遇がされているかについて留意すること。待遇面で優遇さ
れていても、実態がない場合は認められない。
加えて、金融機関(都市銀行以外)に対して出された
通達が他の企
業でも参考になるので、ここに取り上げておきます。
【本社の組織の長については以下の通り】
1.経営者に直属する部等の組織の長(部長)
2.課またはこれに準ずる組織の長(課長等)
3.部長、課長等と同格以上に位置づけられ、職務の全部または相
当部分を代行または補佐する権限を持つ者(副部長、次長等)
※ 副課長、課長補佐、課長
代理などは除く
【支社、支店の組織の長については以下の通り】
4.支社、支店等の長(支社長、支店長)
※ 法の適用単位と認められないような小規模な出先機関は除く
5.大規模支社、事務所における部、課等の組織の長で1-4と同
格以上に位置づけられる者
※ 支店、事務所の次長、支店長
代理などは除く
【組織の長以外のケース】
6.1-4と同格以上に位置づけられる者で、経営上の重要な事項
に関する企画、立案、調査等を担当する者(スタッフ職)
(東京都
社会保険労務士会会報より引用・編集)
要件についてはまだ曖昧なところがあります。
そのつど実態を見て判断しますので、お困りの際は
労働基準監督署
か私のところへご連絡ください。
こうした条件を満たし、
管理監督者等と認められた場合、
労働時間
等については柔軟に働いてもらうことができます。
しかし、
管理監督者層が統計的に過労やストレスなどを抱えやすい
ということだけは覚えておきましょう。
ストレスケア、
休日の確保などのメンテナンス策に全く無頓着でい
るわけには行きません。
何か起こってからでは手遅れです。
福利厚生、
労働者保護、企業防衛など考え方は色々ですが、
労働者
の生活(または生命)を守ることは、最も重要な
人事の仕事です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 年金についてよく聞かれるので、お答えを。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社会保険労務士という仕事柄、年金について意見を求められること
が良くあります。
最も多いのが、「年金は支給されるのか」という質問です。
60歳(もしかすると70歳)まで毎月数万の保険料を支払っていく
わけですから、当然の質問でしょう。
社会保険に入ろうとする企業の社長からも同様の事を聞かれます。
法律で義務づけられているとはいえ、安い保険料ではありません。
今後の年金制度を維持するために政府が行う対応について、まと
めますと以下の通りです。
【徴収の強化】
・ 保険料率を上げる(現行13.58%→18.35%程度・平成29年)
・ 在職高齢者から保険料を徴収(70歳まで導入済・さらに?)
・ 未納対策の徹底(徴収の
アウトソーシングによる効率化など)
【支給の調整】
・ 支給年齢を遅らせる(現行
厚生年金65→70歳)
・
被保険者数の減少に対応して給付額を調整(減額傾向・現役時
の50%程度を確保)
【運用の適正化】
・ 保険料の無駄遣いの排除(グリーンピアや住宅融資の廃止)
【当面の資金不足の
担保】
・ 国の負担率を上げる(現行1/3→1/2)
※
社会保険庁の改革についても検討されているところです。パー
トへの保険適用は引き続き議論されています。
私は聞かれて冗談交じりに百年大丈夫ですなどとは言いますが(笑)、
実際は皆さんそれぞれが政府の展望を聞いて信頼できるかどうかと
いったところです。
ちなみに国の
年金資産は 16 年3月末で総額が147兆円、みずほ銀
行の
資産規模が140兆円、UFJ+東京三菱の
資産規模が190兆円
ほどです。
銀行と同じく、諸方面に与える影響が大きすぎる(当然国の体裁が
ありますし)といったことから、せっかく支払った保険料が全くの
ムダになることは無いと私は見ています。
銀行でもペイオフ制度が開始されましたので、それに準じる仕組み
が導入されることがあるかもしれませんが…。
私も引き続き、厳しい目で年金制度を見守っていきます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【メルマガ】
人事なんかで負けない!
社労士が教える会社切り盛り術
⇒
http://www.jinjiroum.com/mail.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ 投稿記事の著作権は、記事の執筆者に帰属します。無断で転載・複製・頒布することを深く禁じます。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用される際には、専門機関に問い合わせるなど十分な確認をなさってから実践するようにしてください。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用されたことによる損害等の保証は一切負いかねますので予めご了承願います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 労働時間フリーの「労働者」とは? その1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆さんもよくご存じの通り、従業員が労働基準法に定める「労働者
」である限り、労働時間を把握し、仕事をする時間を一定以内にセ
ーブしておく必要があります。
ところが「労働者」によっては労働時間を把握する義務がなく、し
かも残業時間、残業手当、休日、休憩が法的に規制されないケース
があります。
※ 深夜(22:00~翌5:00)業、深夜手当については規制される
そのケースの一つが、「出社退社等について厳格な制限を受けない
管理監督者等」です。
労働条件の決定その他労務管理などを経営者側に立って行うという
ような重要な業務を行うことから、労働時間の規制がなじまないと
され、労働基準法の一部適用除外となります。
実は「管理監督者」の基準については具体的な基準はありません。
だからといって、法の抜け穴に付け込んだ無理がまかり通るわけで
はありません。
新人の課長を「管理監督者」といって残業させ放題、手当不支給な
どにしているとあとで監査が入ったときなどに大変な目を見ること
になります。
「管理監督者」かどうかは以下のような原則によって、総合的に判
断されます。
【実態に基づく判断】
資格(経験、能力等に基づく格付け)及び職位(職務の内容と権限
等に応じた地位)の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と
権限、勤務態様に着目する。
【待遇に対する留意】
賃金等の待遇面についても基本給、役付手当など、その地位にふさ
わしい待遇がされているかについて留意すること。待遇面で優遇さ
れていても、実態がない場合は認められない。
加えて、金融機関(都市銀行以外)に対して出された通達が他の企
業でも参考になるので、ここに取り上げておきます。
【本社の組織の長については以下の通り】
1.経営者に直属する部等の組織の長(部長)
2.課またはこれに準ずる組織の長(課長等)
3.部長、課長等と同格以上に位置づけられ、職務の全部または相
当部分を代行または補佐する権限を持つ者(副部長、次長等)
※ 副課長、課長補佐、課長代理などは除く
【支社、支店の組織の長については以下の通り】
4.支社、支店等の長(支社長、支店長)
※ 法の適用単位と認められないような小規模な出先機関は除く
5.大規模支社、事務所における部、課等の組織の長で1-4と同
格以上に位置づけられる者
※ 支店、事務所の次長、支店長代理などは除く
【組織の長以外のケース】
6.1-4と同格以上に位置づけられる者で、経営上の重要な事項
に関する企画、立案、調査等を担当する者(スタッフ職)
(東京都社会保険労務士会会報より引用・編集)
要件についてはまだ曖昧なところがあります。
そのつど実態を見て判断しますので、お困りの際は労働基準監督署
か私のところへご連絡ください。
こうした条件を満たし、管理監督者等と認められた場合、労働時間
等については柔軟に働いてもらうことができます。
しかし、管理監督者層が統計的に過労やストレスなどを抱えやすい
ということだけは覚えておきましょう。
ストレスケア、休日の確保などのメンテナンス策に全く無頓着でい
るわけには行きません。
何か起こってからでは手遅れです。
福利厚生、労働者保護、企業防衛など考え方は色々ですが、労働者
の生活(または生命)を守ることは、最も重要な人事の仕事です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 年金についてよく聞かれるので、お答えを。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社会保険労務士という仕事柄、年金について意見を求められること
が良くあります。
最も多いのが、「年金は支給されるのか」という質問です。
60歳(もしかすると70歳)まで毎月数万の保険料を支払っていく
わけですから、当然の質問でしょう。
社会保険に入ろうとする企業の社長からも同様の事を聞かれます。
法律で義務づけられているとはいえ、安い保険料ではありません。
今後の年金制度を維持するために政府が行う対応について、まと
めますと以下の通りです。
【徴収の強化】
・ 保険料率を上げる(現行13.58%→18.35%程度・平成29年)
・ 在職高齢者から保険料を徴収(70歳まで導入済・さらに?)
・ 未納対策の徹底(徴収のアウトソーシングによる効率化など)
【支給の調整】
・ 支給年齢を遅らせる(現行厚生年金65→70歳)
・ 被保険者数の減少に対応して給付額を調整(減額傾向・現役時
の50%程度を確保)
【運用の適正化】
・ 保険料の無駄遣いの排除(グリーンピアや住宅融資の廃止)
【当面の資金不足の担保】
・ 国の負担率を上げる(現行1/3→1/2)
※ 社会保険庁の改革についても検討されているところです。パー
トへの保険適用は引き続き議論されています。
私は聞かれて冗談交じりに百年大丈夫ですなどとは言いますが(笑)、
実際は皆さんそれぞれが政府の展望を聞いて信頼できるかどうかと
いったところです。
ちなみに国の年金資産は 16 年3月末で総額が147兆円、みずほ銀
行の資産規模が140兆円、UFJ+東京三菱の資産規模が190兆円
ほどです。
銀行と同じく、諸方面に与える影響が大きすぎる(当然国の体裁が
ありますし)といったことから、せっかく支払った保険料が全くの
ムダになることは無いと私は見ています。
銀行でもペイオフ制度が開始されましたので、それに準じる仕組み
が導入されることがあるかもしれませんが…。
私も引き続き、厳しい目で年金制度を見守っていきます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【メルマガ】 人事なんかで負けない!社労士が教える会社切り盛り術
⇒
http://www.jinjiroum.com/mail.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ 投稿記事の著作権は、記事の執筆者に帰属します。無断で転載・複製・頒布することを深く禁じます。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用される際には、専門機関に問い合わせるなど十分な確認をなさってから実践するようにしてください。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用されたことによる損害等の保証は一切負いかねますので予めご了承願います。