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パートタイマー店長は管理監督者たりうるか?(その1)

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第34回  パートタイマー店長は
           管理監督者たりうるか?(その1)

<第44号>      平成23年1月10日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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新年あけましておめでとうございます! 
本年も宜しくお願い致します。

亥年のアラ還、小野寺です。
初訪問の皆さま、ありがとうございます。

さて、平成20年4月1日付で改正施行された
いわゆる「パートタイム労働法」により

パートタイマー等の処遇などの見直しが行われ
正社員転換制度とも相まって、自社の中枢要員として
活用するようになってきています。

ある時の会合で、知り合いの事業主に会った際、
自社の優秀なパートタイマーを店長に登用し、

店舗におけるアルバイトの採用人事考課、解雇等が
できるようにした場合、

労働基準法(以下「労基法」と略す。)第41条第2号の
管理監督者に該当するかどうかと聞いてきました。

今回は、この点について考えてみたいと思います。

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◆◆ 労基法に定める管理監督者とは ◆◆

○ 労基法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外
第2号に次のようにあります。

「二.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」

この「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者
という。)に対しては、

労働時間休憩休日等の規制が適用除外となり、
労基法第37条に定める時間外割増賃金の支払が不要となります。

○ 管理監督者の範囲についての行政解釈では、
「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他
労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり

名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。」と
した上で、

1.企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する
職制上の役付者であればすべてが管理監督者として
例外的取扱いが認められるものではないこと、を示し

さらに適用除外の趣旨として、

2.職制上の役付者のうち、労働時間休憩休日等に関する
規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、

重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も
労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って

管理監督者として限定することとし、加えて待遇面でも
基本給役付手当賞与等についても

一般労働者よりも優遇措置が講じられていること等としています。
(昭和22.9.13 発基17号、昭和63.3.14 基発150号

○ この行政解釈はどちらかといえば、余りに抽象的であり
具体性に乏しいとされてきました。

すなわち、「経営者と一体的な立場」とは
具体的にどういう内容を指すのか、

「重要な職務と責任」とはどの程度のものなのか。
賃金等の待遇とは、どの程度の内容を指すのか、等々。

このため従来から、管理監督者(一般に企業では「管理職」と
称する場合が多いようです。)の範囲については

各企業の判断、使用者の裁量に委ねられている面が
強くありました。

特に不況期には人件費自体が経営を圧迫し、
リストラにより少数精鋭にしても、結局、今いる社員が

残業等で減少した社員の業務を穴埋めしなければならず
その分、割増賃金が増大し、新たな経営圧迫要因となるや

拡大解釈した「管理監督者」に仕立てて時間外手当を
カットするという都合のいい管理監督者
大勢誕生するという現象をもたらしたのです。

こういう役付者のことを流行語大賞にもノミネートされた
名ばかり管理職」と呼ぶようになったものです。

◆◆ 名ばかり管理職裁判~日本マクドナルド事件~ ◆◆

○ 平成20年1月28日に「日本マクドナルド事件」について
東京地裁で出された判決は、新聞等の報道を賑わせました。

日本マクドナルドでは全国展開している店舗の店長を
管理監督者」と位置付けていたのですが

ある店舗の店長(原告)が、自分の処遇内容が
管理監督者には当たらず割増賃金等の支払を求めて
提訴した事件です。

○ これに対して東京地裁は、
日本マクドナルドの店長は管理監督者には該当しないと

次のように判示し、残業代など約750万円の支払いを
命じたものです。

管理監督者については、労基法の労働時間等に関する
規定は適用されないが、これは管理監督者は、

企業経営上の必要から経営者と一体的な立場において
同法所定の労働時間等の枠を超えて事業活動をすることを
要請されてもやむを得ないといえるような

重要な職務と権限を付与され、また、賃金等の待遇や
その勤務態様において、他の一般労働者に比べて

優遇措置が取られているので・・・・当該労働者の保護に
欠けるところがないという趣旨によるものと解される。」と。

○ そして、本件の原告・店長についてはこう判示しました。

1.店舗運営について重責があるとはいえ、その権限は
店舗内に限られ、経営者と一体的な立場にあるとは
認められないこと。

2.店長が行う職務は、情報提供された方針や
配布されたマニュアルに基づいて行うにすぎず、
労働時間等の規制になじまないような内容等とは言えないこと。

3.店長の年収についても、一般の職務の者の年収と
大差はなく、店長の職務実態も考慮すると
管理監督者に対する待遇として十分でないこと。

○ この判決を不服として日本マクドナルドは
東京高裁に控訴しましたが、

最終的に平成21年3月18日、原告の主張を
全面的に認める形で和解が成立しています。

○ 本判決後、新聞報道等の影響もあり、
各企業で自主的に見直しがなされています。

例えば、某ファミリーレストランの店長、某紳士服
チェーン店の店長等の管理職外しなど。

また、平成20年10月15日岡山地裁で
ホテルのレストラン料理長の管理監督者否認判決が
なされたことも、全国のホテルレストランに
大きな影響を与えているかも知れません。

○ 以上の「管理監督者」についての、ほぼ確定していると
言える法的位置付けを踏まえて、

パートタイマーを店長にした場合の管理監督者性について
次号で考えてみたいと思います。(次号に続く)

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よく日本語は難しいといいます。

そこで、間違いやすい日本語について考えてみましょう。

次の文章のうち、どちらが正しいでしょうか

■A 彼は「躍気(ヤッキ)」になって否定した。
■B. 彼は「躍起(ヤッキ)」になって否定した。

答えは、編集後記で。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

~~~~~[[今日あった昔の歴史─1/10]]~~~~~
●1723年の今日、江戸時代、徳川幕府が設置した無料の
 医療施設「小石川養生所」が開設。
●1863年の今日、ロンドンで世界初の地下鉄が開業。
●1922年の今日、第8代・17代総理大臣、早稲田大学の
 創設者、大隈重信没す。
●1946年の今日、第1回国際連合総会がロンドンで開幕。
●1971年の今日、香水で有名なデザイナー、ココ・シャネル
 逝く。
 ⇒ 詳細をご覧になりたい方は
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●1990年の今日、講談専門の寄席、上野本牧亭が閉館。
  
~~~~~~[[今日の主なバースデー]]~~~~~~
○福澤諭吉(思想家:1835)
○尾崎紅葉(小説家:1868)
○トルストイ(ロシアの小説家:1883)
○伴淳三郎(喜劇俳優:1908)
○三宅久之(政治評論家:1930)
○長門裕之(俳優:1934)
○あおい輝彦(俳優:1948)
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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

さて、どちらが正しいか分かりましたか?

答えは「B」です。

「ヤッキになる」とは、切羽詰まった気持ちや一生懸命の
気持ちの表れのため、漢字で書くとすると「躍気」と
書いてしまいがちです。

しかし、こういう熟語の用法はありません。

「躍起になる」とは、焦ってむきになること、とか
非常に熱心にすること、等の意味があり、

従って、この場合はBの表現が正しい事になります。
「躍起になって弁明する」とも言います。

では、また次号でお会いしましょう。
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