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【レジュメ編】 商法(その2)

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     ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-45 ★★★
           【レジュメ編】 商法(その2)

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■■■ 商法 ■■■
■■■ 偽造・盗難カード保護法 ■■■
■■■ 最近の最高裁判例 ■■■
■■■ 高年齢者雇用安定法 ■■■
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■■■ 商法 ■■■
今般、カタカナ混じりの(旧)商法から現代語化された会社法に変更されました。今回
は、表現は別として、実質的に変更されなかった箇所を中心に取上げます。

なお、例えば、これまではある特定の方法等のみが認められていたのに対して(甲とい
う方法)、複数の方法等が認められたものがあります(乙と丙という方法)。こうした
場合には、甲と、それと同じ乙を取上げ、丙は対象とはしません(ただし、行政書士
実務に欠かすことができない場合には、できる限り丙についても言及します。)。

■■ 株主の権利行使
■ 株券発行会社の株式の譲渡
第百二十八条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、
その効力を生じない。

会社法では、「株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の
 株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。」(214条)となり、
 株券は、原則として、定款に定めた場合に限って発行することとされた。
→ 株券が発行されている限り(株券発行会社である限り)、当事者間では、株券の交
  付が対抗要件になる。

■ 株式の譲渡の対抗要件
第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿
に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。

・会社に対する関係では、株券発行会社であっても、株券不発行会社であっても、株主
 名簿に自己の氏名又は名称及び住所が記載されることが対抗要件になる。
→ 株主が会社に対して株主の地位(例えば、配当金の受領)を法的に主張するには、
  株主名簿に自己の氏名又は名称及び住所が記載されなければならない。

●● 最高裁判例「株主総会決議取消請求」(民集第9巻11号1657頁)
【判示事項】
株式の譲渡につき名義書換が未了の場合、会社はその譲渡を認めることができるか。
【裁判要旨】
商法旧第二〇六条(昭和二五年法律第一六七号による改正前のもの)の施行当時、記名株
式の譲渡があつたにかかわらず株主名簿名義書換が会社の都合でおくれていても、会
社が右譲渡を認め譲受人を株主として取り扱うことは妨げないと解するのが相当であ
る。

●● 最高裁判例「株式引渡請求」(民集第20巻6号1251頁)
【判示事項】
過失により株式譲受人の名義書換請求に応じない株式会社は、当該株式の譲渡を否認す
ることができるか。
【裁判要旨】
株式譲受人から株式会社に対し株式名義の書換の請求をした場合において、会社の過失
により書換が行なわれなかつたときは、会社は、株式名義の書換のないことを理由とし
て、株式の譲渡を否認することができない。

●● 最高裁判例「株券引渡請求」(民集第14巻11号2146頁)
【判示事項】
親株の譲渡行為がなされたにかかわらず名義書替手続が失念された場合と新株引受権。

【裁判要旨】
株主総会の決議に基き一定時の株主に新株引受権が付与されたとき、親株について右一
定時より以前に譲渡行為がなされていても、その日時までに譲受人の失念により名義書
替手続がなされていなければ、譲受人は新株引受権を取得するものではない。
★ 一定の期日までに名義書換手続が完了していなければ、譲受人は、会社との関係で
  は、当該期日までに株主に付与された新株引受権を主張できない(取得できな
  い。)。なお、商法改正・会社法施行に併せて、上場会社の株券等の電子化(ペー
  パーレス化)が予定されていて、これが実施されると、こうした名義書換の失念と
  いう人為的エラーの問題は解消することになる。

■ 権利の推定等
第百三十一条 株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するも
のと推定する。
2 株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。ただ
し、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

■ 株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録
第百三十三条 株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式
会社を除く。以下この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、
当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求するこ
とができる。

第百三十四条 前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合に
は、適用しない。

・第133条1項に相当する明文の規定は(旧)商法にはなかったが、株主名義書換
 求権として当然に認められていた(ただし、譲渡制限会社の場合を除く。)。
譲渡制限株式とは、株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡に
 よる当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合
 における当該株式をいう(2条17号)。
譲渡制限株式の譲渡の承認は、(旧)商法では取締役会(だけ)であったが、会社法
 では、取締役会が設置されない株式会社も認められたこと等から、譲渡の承認機関は
 取締役会だけに限られない(取締役会が設置されない場合には、株主総会。なお、定
 款に別段の定めがある場合には、その定めによる。)(139条1項)。

■ 株主名簿
第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主
簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類
ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているも
のに限る。)に係る株券の番号

■ 株主名簿の備置き
第百二十五条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあって
は、その営業所)に備え置かなければならない。

■ 株主に対する通知等
第百二十六条 株式会社株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は
記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該
株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達し
たものとみなす。

・会社の株主に対する通知又は催告が5年以上継続して到達しない場合、会社は、当該
 株主に対する通知又は催告をすることを要しない(196条1項)。

■ 基準日
第百二十四条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定
めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条にお
いて「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることがで
きる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利
(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。

・従前には株主名簿の閉鎖制度があったが、平成16年の商法改正で廃止されている。


■■ 株主総会の議事と決議
■ 株主総会の権限
第二百九十五条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管
理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に
規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

・第1項は、会社法で新設された(したがって、今年の行政書士試験では無視でき
 る。)。一方、第2項は(旧)商法の内容と同じである((旧)商法の下では、株式
 会社の場合、取締役会は必置の機関であった。)。
→ このことは、つぎのようになる。
会社法で認められた取締役会「非」設置会社と異なり、(旧)商法株式会社と同様
に、会社法下で取締役会を設置する株式会社の場合、株主総会では、法律と定款で定め
られた事項しか決議することができない。

■ 議長の権限
第三百十五条 株主総会議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2 株主総会議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退
場させることができる。の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。

・議事の方法について、会社法には特段の規定はない。
→ 定款や慣習による。

■ 取締役等の説明義務
第三百十四条 取締役会計参与監査役及び執行役は、株主総会において、株主から
特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなけ
ればならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場
合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由
がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。

・「会計参与」と「執行役」は新しく追加されたが、「取締役」と「監査役」について
 は(旧)商法と同じである。
・なお、定時株主総会において会計監査人の出席を求める決議があったときは、会計
 査人は、定時株主総会に出席して意見を述べなければならない(398条2項)。

■ 議事録
第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を
作成しなければならない。
2 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなけれ
ばならない。
3 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置
かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合で
あって、支店における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置と
して法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
4 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をするこ
とができる。
一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写
しの閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記
録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
5 株式会社の親会社社員(株主等のこと)は、その権利を行使するため必要があると
きは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすること
ができる。

・「法務省令で定めるところにより」は新しく追加されたが、それ以外の内容は(旧)
 商法と同じである。
・議事録は証拠のためであり、株主総会での決議の効力とは関係がない。

■ 決議方法
(1)普通決議議決権を行使することができる株主議決権の過半数を有する株主
   出席し、出席した当該株主議決権の過半数をもって行う(309条1項)。

(2)特別決議株主総会において議決権を行使することができる株主議決権の過半
   数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有す
   る株主が出席し、出席した当該株主議決権の三分の二(これを上回る割合を定
   款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければ
   ならない(309条2項)。
・カッコ内は新しく追加されたが、それ以外の内容は(旧)商法と同じである。


■■ 取締役会
(旧)商法では、取締役会は必置の機関であったが、会社法では、監査役設置会社等一
定の場合(327条1項)を除き、設置は任意となった。

■ 取締役会の権限等
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役委任するこ
とができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

(1)第1項は新設であるが、内容に変更はない(なお、監査役は、取締役会に出席す
   る義務を負うが(383条1項)、取締役会の構成員ではない。また、監査役は、
   当該株式会社とその子会社の取締役を兼ねることはできない(335条2項)。)。
(2)法律や定款株主総会の権限とされている事項は、取締役会では決定できない。
   また、取締役会で決定しなければならないと法律で規定されている事項は、取締
   役会で決定しなければならず、これを代表取締役に委ねることはできない(定款
   に定めても、委任できず、また、代表取締役が決定しても、効力は生じな
   い。)。
(3)第4項について、会社法では第5号以下が追加されたが、(旧)商法では第1号
   から第4号の事項が明文で規定されていた。

●● 最高裁判例「株主権確認」(民集第48巻1号1頁)
【判示事項】
(ア)商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に当たるか否かの判断基準
(イ)会社の総資産の約1.6パーセントに相当する価額の株式の譲渡が商法二六〇条二
   項一号にいう重要な財産の処分に当たらないとはいえないとされた事例
【裁判要旨】
(ア)商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に当たるか否かは、当該財産の価
   額、その会社の総資産に占める割合、保有目的、処分行為の態様及び会社におけ
   る従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断すべきである。
(イ)株式が、帳簿価額では七八〇〇万円で会社の総資産の約1.6パーセントに相当
   し、適正時価を把握し難く、その譲渡が、代価いかんによっては会社の資産及び
   損益に著しい影響を与え得るものであり、営業のため通常行われる取引に属さな
   いなど判示の事実関係の下においては、右株式の譲渡は、商法二六〇条二項一号
   にいう重要な財産の処分に当たらないとはいえない。

■ 取締役会設置会社取締役の権限
第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業
務を執行する取締役として選定されたもの
2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役
会に報告しなければならない。

■ 招集権者
第三百六十六条 取締役会は、各取締役招集する。ただし、取締役会招集する取締
役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役招集する。

取締役会は常設の機関ではなく、必要に応じて適宜開催される。

■ 招集手続
第三百六十八条 取締役会招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間
定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役監査役設置会社にあ
っては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役監査役設置会社にあっては、取締
役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することが
できる。

株主総会の場合と異なり(299条1項、298条1項)、取締役会招集には議題を示す
 必要はない。

■ 取締役会の決議
第三百六十九条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これ
を上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数
(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができな
い。

株主総会の場合と異なり(308条1項、310条1項)、取締役は一人について1個の議
 決権を有する。なお、この議決権委任して代理行使することは認められない。
・また、株主総会の場合と異なり(830条、831条等)、「決議が存在しない」ときや
 「招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なと
 き」であっても、会社法には、そのための特別の規定はない(株主総会の場合には、
 訴えをもって、当該決議が存在しないことの確認や当該決議の取消し等を請求するこ
 とができる。)。

●● 最高裁判例「株主総会決議取消等請求」(民集第20巻6号1289頁)
【判示事項】
(ア)特別の利害関係を有する取締役取締役会定足数算定
(イ)議決時に定足数を欠くにいたつた取締役会の決議の効力。
【裁判要旨】
(ア)株式会社取締役会定足数は、決議に特別の利害関係を有する取締役の員数を
   控除して算定すべきではない。
(イ)株式会社取締役会定足数は、開会時に充足されただけでは足りず、討議・議
   決の全過程を通じて維持されるべきであり、議決時にこれを欠くにいたつた場合
   には、当該決議は無効というべきである。

●● 最高裁判例「債権譲渡無効確認、譲渡債権請求」(民集第23巻3号645頁)
【判示事項】
代表取締役の解任に関する取締役会の決議についてその代表取締役は特別利害関係人に
あたるか。
【裁判要旨】
代表取締役の解任に関する取締役会の決議については、その代表取締役は、特別利害関
係人にあたる。
【理由】
代表取締役は、会社の業務を執行・主宰し、かつ会社を代表する権限を有するものであ
つて(商法二六一条三項・七八条)、会社の経営、支配に大きな権限と影響力を有し、
したがつて、本人の意志に反してこれを代表取締役の地位から排除することの当否が論
ぜられる場合においては、当該代表取締役に対し、一切の私心を去つて、会社に対して
負担する忠実義務商法二五四条三項・二五四条ノ二参照)に従い公正に議決権を行使
することは必ずしも期待しがたく、かえつて、自己個人の利益を図つて行動することす
らあり得るのである。それゆえ、かかる忠実義務違反を予防し、取締役会の決議の公正
担保するため、個人として重大な利害関係を有する者として、当該取締役議決権
行使を禁止するのが相当だからである。

■ 議事録
第三百六十九条
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議
事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名
し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録
記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらな
ければならない。
5 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないもの
は、その決議に賛成したものと推定する。

・「法務省令で定めるところにより」(3項)は新しく追加されたが、それ以外の内容
 は(旧)商法と同じである。

第三百七十一条 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決
議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録
又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条
において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、い
つでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の
請求
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記
録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 監査役設置会社又は委員会設置会社における前項の規定の適用については、同項中
株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
4 取締役会設置会社債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があると
きは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第二項各号に掲
げる請求をすることができる。
5 前項の規定は、取締役会設置会社の親会社社員(株主等のこと)がその権利を行使
するため必要があるときについて準用する。


■■ 代表取締役
■ 選定
代表取締役は、取締役会の決議で取締役のなかから選定する(362条2項3号、3
項)。

・(旧)商法と異なり、会社法では、取締役会「非」設置会社では、代表取締役を選定
 しないこともできる(349条1項、2項)。
代表取締役も、取締役会の下部機関であり、取締役会の指揮監督の下に位置する。
代表取締役の員数に制限はない。(旧)商法の場合と同様、会社法取締役会設置
 社の場合、取締役の員数は3名以上でなければならない(331条4項)。

■ 終任
取締役の地位を失ったとき、任期が満了した時、辞任したときに終了する。

取締役の地位を失うと、当然に代表取締役の地位も失うが、代表取締役の地位を失っ
 ても、当然には取締役の地位は失わない(引き続き取締役であり続けられる。)。
代表取締役の解職は取締役会の決議で行うことができるが(これにより、(代表権の
 ない単なる)取締役になる。)、取締役会では取締役の解任を決議することはできな
 い(株主総会でのみ可能)。

●● 最高裁判例「貸金請求」(民集第20巻10号2160頁)
【裁判要旨】
株式会社代表取締役の解任の効果は、取締役会解任決議によつて生じ、当該代表取
締役であつた者に対する告知があつてはじめて生ずるものではない。
【理由】
株式会社における取締役会代表取締役解任の決議は、代表取締役の会社代表機関たる
地位を剥奪するものであつて、右決議によつて右機関たる地位が失われることの効果と
して、被上告会社を代表する権限も当然消滅するものと解するのを相当とし、所論告知
をまつてはじめて解任の効果が生ずると解すべきではない。

■ 取締役会設置会社取締役の権限
第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業
務を執行する取締役として選定されたもの

■ 株式会社の代表
第三百四十九条
4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限
を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

■ 表見代表取締役
第三百五十四条 株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社
を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行
為について、善意の第三者に対してその責任を負う。

・(旧)商法では「専務取締役常務取締役」も含まれていたが、会社法では除かれて
 いる。上場会社のような大規模な会社には「専務取締役常務取締役」にも類推適用
 され得る。

●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第23巻11号2301頁)
【裁判要旨】
代表取締役代行者なる名称は、商法二六二条にいう会社を代表する権限を有するものと
認むべき名称に該当する。

●● 最高裁判例「貸金等請求」(民集第14巻12号2499頁)
【判示事項】
会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為に対
する商法第二六二条の類推適用の有無。
【裁判要旨】
商法第二六二条は、会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用
してなした行為につき、類推適用されると解するのが相当である。

●● 最高裁判例「約束手形金請求控訴、同附帯控訴」(民集第20巻9号1771頁)
【判示事項】
表見代表取締役の行為につき会社が責任を負うためには第三者の無過失を要するか。
【裁判要旨】
表見代表取締役の行為につき会社が責任を負うためには、第三者が善意であれば足り、
その無過失を要しない。

●● 最高裁判例「約束手形金」(民集第31巻6号825頁)
【裁判要旨】
会社は、商法二六二条所定の表見代表取締役の行為につき、重大な過失によりその代表
権の欠缺を知らない第三者に対しては、責任を負わない。

●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第19巻3号632頁)
【判示事項】
表見代表取締役が直接代表取締役の記名押印をして会社名義の約束手形を振り出した場
合と商法第二六二条の適用の有無。
【裁判要旨】
会社名義で振り出された約束手形につき、手形面上に会社代表者として表示されている
者に代表権はあるが、右代表者の記名押印をした者に代表権がない場合であつても、会
社が後者に対して常務取締役等会社を代表する権限を有するものと認められる名称を与
えており、かつ、手形受取人が右後者の代表権の欠缺につき善意であるときは、右後者
が自己の氏名を手形面上に表示した場合と同様、会社は手形金支払の責を負うものと解
するのが相当である。

●● 最高裁判例「登記抹消等請求」(民集第17巻8号909頁)
【判示事項】
代表取締役の権限濫用の行為と民法第九三条
【裁判要旨】
株式会社代表取締役が自己の利益のため会社の代表者名義でなした法律行為は、相手
方が右代表取締役の真意を知り、または、知りうべきものであつたときは、その効力を
生じない。

民法
(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであって
も、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は
知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

■ 代表者の行為についての損害賠償責任
第三百五十条 株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三
者に加えた損害を賠償する責任を負う。

代表取締役不法行為についての会社の責任については、民法715条(使用者等の責
 任)は適用されない。また、代表取締役個人も責任を負う。

■ 委員会設置会社の特例
(1)執行役
執行役の権限)
第四百十八条 執行役は、次に掲げる職務を行う
一 第四百十六条第四項の規定による取締役会の決議によって委任を受けた委員会設置
会社の業務の執行の決定
二 委員会設置会社の業務の執行

委員会設置会社では、取締役でなく、執行役が業務の執行を行う。会社との関係は委
 任である(402条3項)。
委員会設置会社とは、指名委員会監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社をいう
 (2条12号)。
委員会設置会社には、取締役会(327条1項3号)および会計監査人(同5項)を設
 置しなければならないが、監査役を設置することはできない(同4項)。

(2)代表執行役
第四百二十条 取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。こ
の場合において、執行役が一人のときは、その者が代表執行役に選定されたものとす
る。

委員会設置会社では、代表「取締役」ではなく、代表「執行役」が、会社の業務執行
 に関しては、会社を代表する。


■■ 取締役の義務と責任
■ 善管注意義務
株式会社役員等との関係)
第三百三十条 株式会社役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

民法
(受任者の注意義務)
第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任
務を処理する義務を負う。

●● 最高裁判例「約束手形約束手形金本訴並びに売買代金反訴各請求」(民集第22
   巻3号625頁)
【理由】
商法二五四条三項によれば、会社と取締役との間の関係は委任に関する規定に従うべき
ものであり、民法六五三条によれば、委任委任者または受任者の破産に因つて終了す
るのであるから、取締役は会社の破産により当然取締役の地位を失うのであつて、同時
破産廃止決定があつたからといつて、既に委任関係の終了した従前の取締役商法四一
七条一項本文により当然清算人となるものとは解し難い。

■ 忠実義務
第三百五十五条 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社
ため忠実にその職務を行わなければならない。

●● 最高裁判例「取締役の責任追及請求(八幡製鉄政治献金事件)」(民集第24巻6
   号625頁)
【裁判要旨】
商法二五四条ノ二の規定は、同法二五四条三項、民法六四四条に定める善管義務をふえ
んし、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、
高度な義務を規定したものではない。
★ 最高裁は上記のように解したが、一般的には善管注意義務忠実義務は別の概念で
  あると解されている。

■ 監視義務
代表取締役および取締役は、他の代表取締役または取締役の職務の執行が法令及び定款
に適合することを監視する義務を負っている。

●● 最高裁判例「損害賠償請求」(民集第27巻5号655頁)
【判示事項】
代表取締役の業務執行についての取締役監視義務
【裁判要旨】
株式会社取締役は、会社に対し、代表取締役が行なう業務執行につき、これを監視
し、必要があれば、取締役会をみずから招集し、あるいは招集することを求め、取締役
会を通じてその業務執行が適正に行なわれるようにする職責がある。
【理由】
株式会社取締役会は会社の業務執行につき監査する地位にあるから、取締役会を構成
する取締役は、会社に対し、取締役会に上程された事柄についてだけ監視するにとどま
らず、代表取締役の業務執行一般につき、これを監視し、必要があれば、取締役会を自
招集し、あるいは招集することを求め、取締役会を通じて業務執行が適正に行なわれ
るようにする職務を有する。

■ リスク管理体制構築義務
(旧)商法では明文の規定はなかったが、有名な大和銀行事件判決で認められた。会社
法では、このリスク管理体制は取締役会で決定することとされた。そのため、取締役
は、取締役会の構成員として、リスク管理体制を構築すべき義務を負うことになる。

・リスク管理体制とは「法令及び定款に適合することを確保するための体制」(362条
 4項6号)であるが、この「法令」は会社法に限られない。

●● 最高裁判例「取締役損失補填責任追及請求控訴及び共同訴訟参加事件(野村証券
   株主代表訴訟事件)」(民集第54巻6号1767頁)
【判示事項】
商法二六六条一項五号にいう「法令」の意義
【裁判要旨】
商法二六六条一項五号にいう「法令」には、取締役を名あて人とし、取締役の受任者と
しての義務を一般的に定める商法二五四条三項(民法六四四条)、商法二五四条ノ三の規
定及び取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定のほか、会
社を名あて人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定が含まれ
る。

■ 競業取引避止義務
第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき
重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとす
るとき。

第三百六十五条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、
同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

民法
(自己契約及び双方代理
第百八条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理
人となることはできない。ただし、債務履行及び本人があらかじめ許諾した行為につ
いては、この限りでない。

■ 利益相反取引回避義務
第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき
重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社取締役債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式
会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。

第三百六十五条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、
同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

・ただし、形式的には利益相反取引に該当する場合であっても、普通取引約款による場
 合等(通常料金での鉄道切符の購入、一般預金者と同じ金利での預金取引等)につい
 ては、利益相反取引には含まれないと解されている。

●● 最高裁判例「約束手形金請求」(民集第25巻7号900頁)
【裁判要旨】
株式会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為は、原則として、商法二六五条
にいう取引にあたる。

●● 最高裁判例「貸金返還請求」(民集第17巻12号1664頁)
【判示事項】
利息担保の金銭消費貸借商法第二六五条にいう取引にあたるか。
【裁判要旨】
株式会社に対しその取締役が無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為は、商法第二六五
条にいう取引にあたらない。
【理由】
商法二六五条が、取締役が自己又は第三者のためにその会社と取引をなすには取締役会
の承認を要する旨規定するのは、会社と取締役個人との間の利害衝突から会社の利益を
保護することをその目的とするものであるところ、取締役がその会社に対し無利息、無
担保で金員を貸付ける行為は、特段の事情のない限り会社の利益にこそなれ不利益であ
るとはいえないから、取締役会の承認を要しないものと解するのを相当とする。

●● 最高裁判例「所有権移転登記手続請求」(民集第24巻9号1305頁)
【裁判要旨】
会社と取締役間に商法二六五条所定の取引がなされる場合でも、右取締役が会社の全株
式を所有し、会社の営業が実質上右取締役の個人経営のものにすぎないときは、右取引
によつて両者の間に実質的に利害相反する関係を生ずるものでなく、右取引について
は、同条所定の取締役会の承認を必要としない。

●● 最高裁判例「売掛代金請求」(民集第22巻13号3511頁)
【裁判要旨】
会社は、商法第二六五条に違反する取引のうち、取締役と会社との間に直接成立すべき
取引については、右取締役に対して、その無効を主張することができるが、取締役が会
社を代表して自己のためにした会社以外の第三者との間の取引については、右第三者が
取締役会の承認を受けていなかつたことについて悪意であるときにかぎり、その無効を
主張することができる。

■ 役員等の株式会社に対する損害賠償責任
第四百二十三条 取締役会計参与監査役執行役又は会計監査人(以下この節にお
いて「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによっ
て生じた損害を賠償する責任を負う。
2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する
場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一
号の取引をしたときは、当該取引によって取締役執行役又は第三者が得た利益の額
は、前項の損害の額と推定する。


■■■ 偽造・盗難カード保護法 ■■■
偽造キャッシュカードによる不正預金引出等が社会問題となったことから、平成17年8
月に、議員立法により、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械
式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(偽造・盗難カード保護法)
が成立し、平成18年2月10日から施行されている。

偽造・盗難カード保護法によって、偽造・盗難カードによる不正預金引出に伴う被害に
ついては、原則として金融機関が被害者に補償を行うこととなった。また、金融機関
は、被害の補償に加え、偽造カード犯罪の事前予防策として、認証技術の強化などが義
務付けられることとなっている。

■ 目的
偽造カード等又は盗難カード等による機械式預貯金払戻し等に関して、民法の特例等を
定めるとともに、これらのカード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等から
の預貯金者の保護を図ることを主な目的にしている。

■ 金融機関
預貯金を取扱っている金融機関が対象である。銀行のほか、信用金庫、信用協同組合、
農業協同組合、労働金庫等が含まれるほか、日本郵政公社も含まれる。

■ 民法の特例
真正なカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等でない場合には、民法478条の
規定は適用されない。

民法
債権の準占有者に対する弁済
第四百七十八条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であ
り、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

●● 最高裁判例「預託金返還請求事件」(民集第57巻4号337頁)
【裁判要旨】
(ア)現金自動入出機による預金の払戻しについても民法478条が適用される。
(イ)無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動
   入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというためには、銀
   行において、上記方法により預金の払戻しが受けられる旨を預金者に明示するこ
   と等を含め、現金自動入出機を利用した預金の払戻しシステムの設置管理の全体
   について、可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽く
   していたことを要する。
(ウ)預金通帳を使用し暗証番号を入力すれば現金自動入出機から預金の払戻しを受け
   られるシステムになっているのに、銀行がそのことを預金規定等に規定して預金
   者に明示することを怠っていたなど判示の事実関係の下では、銀行は、真正な預
   金通帳が使用され、入力された暗証番号が届出暗証番号と一致することが機械的
   に確認された場合であっても、無権限者が現金自動入出機から預金の払戻しを受
   けたことについて過失がある。
【理由】
(ア)無権限者のした機械払の方法による預金の払戻しについても、民法478条の適
   用があるものと解すべきであり、これが非対面のものであることをもって同条の
   適用を否定すべきではない。
(イ)債権の準占有者に対する弁済民法478条により有効とされるのは弁済者が善
   意かつ無過失の場合に限られるところ、債権の準占有者に対する機械払の方法に
   よる預金の払戻しにつき銀行が無過失であるというためには、払戻しの際に機械
   が正しく作動したことだけでなく、銀行において、預金者による暗証番号等の管
   理に遺漏がないようにさせるため当該機械払の方法により預金の払戻しが受けら
   れる旨を預金者に明示すること等を含め、機械払システムの設置管理の全体につ
   いて、可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽くして
   いたことを要するというべきである。
★ この判決では、「本件払戻しについて、民法478条により弁済の効力を認めるこ   とはできない。」とされた。

■ 偽造カード等を用いて行われた機械式預貯金払戻し等の効力
(ア)預貯金者の故意、または(イ)金融機関が善意無過失で、預貯金者に重過失があ
る場合に限り、払戻し等は効力を有する。それ以外の場合には、金融機関の機械式預貯
金払戻し等には効力が認められない(債権の準占有者に対する弁済とは認められな
い。)。なお、総合口座の貸越の場合も同じ。

■ 盗難カード等を用いて行われた不正な機械式預貯金払戻し等の額に相当する金額の
  補てん等
(1)預貯金者は、真正カード等が盗取された場合に、速やかに盗取された旨の通知を
   行った等の場合には、金融機関に対して、盗難カード等による払戻額に相当する
   金額の補てんを求めることができる。
(2)ただし、金融機関が善意無過失であること及び当該払戻しが預貯金者の過失(重
   過失を除く。)によることを証明した場合は、補てん対象額の四分の三に相当す
   る金額になる。

■ 適用除外
金融機関に対する通知が盗取の日から2年経過後に行われたときは、補てんは認められ
ない。

■ 強行規定
偽造・盗難カード保護法の規定に反する特約で預貯金者に不利なものは、無効である。


■■■ 最近の最高裁判例 ■■■
前回に引き続き、最近の最高裁判例を取上げます。この判例が直接出題される可能性
は、判決の時期からすると、乏しいようにも思われますが、新聞紙上で大きく取上げら
れた事案でもあり、また、行政書士の一般知識としても知っておくべきではないかと思
われ、取上げました。引用が少々長くなりますが、がんばって全文を読んで下さい。

●● 最高裁判例「認知請求事件」(平成18年09月04日)
【裁判要旨】
保存された男性の精子を用いて当該男性の死亡後に行われた人工生殖により女性が懐胎
出産した子と当該男性との間に、認知による法律上の親子関係の形成は認められな
い。
【理由】
民法の実親子に関する法制は、血縁上の親子関係を基礎に置いて、嫡出子については出
生により当然に、非嫡出子については認知を要件として、その親との間に法律上の親子
関係を形成するものとし、この関係にある親子について民法に定める親子、親族等の法
律関係を認めるものである。
ところで、現在では、生殖補助医療技術を用いた人工生殖は、自然生殖の過程の一部を
代替するものにとどまらず、およそ自然生殖では不可能な懐胎も可能とするまでになっ
ており、死後懐胎子はこのような人工生殖により出生した子に当たるところ、上記法制
は、少なくとも死後懐胎子と死亡した父との間の親子関係を想定していないことは、明
らかである。すなわち、死後懐胎子については、その父は懐胎前に死亡しているため、
親権に関しては、父が死後懐胎子の親権者になり得る余地はなく、扶養等に関しては、
死後懐胎子が父から監護、養育、扶養を受けることはあり得ず、相続に関しては、死後
懐胎子は父の相続人になり得ないものである。
そうすると、その両者の間の法律上の親子関係の形成に関する問題は、本来的には、死
亡した者の保存精子を用いる人工生殖に関する生命倫理、生まれてくる子の福祉、親子
関係や親族関係を形成されることになる関係者の意識、更にはこれらに関する社会一般
の考え方等多角的な観点からの検討を行った上、親子関係を認めるか否か、認めるとし
た場合の要件や効果を定める立法によって解決されるべき問題であるといわなければな
らず、そのような立法がない以上、死後懐胎子と死亡した父との間の法律上の親子関係
の形成は認められないというべきである。

〔裁判官滝井繁男の補足意見〕
本来、子は両親が存在して生まれてくるものであり、不幸にして出生時に父が死亡し、
あるいは不明であるという例があるにしろ、懐胎時には、父が生存しており、両親によ
ってその子が心理的にも物質的にも安定した生育の環境を得られることが期待されてい
るのである。既に死亡している者が提供した冷凍保存精子を用いて出生した子はそもそ
もこのような期待を持ち得ない者であり、精子提供者の生前の同意によってそのような
子の出生を可能とすることの是非自体が十分な検討を要する問題である上、懐胎時に既
に父のいない子の出生を両親の合意によって可能とするというのは、親の意思と自己決
定を過大視したものであって、私はそれを認めるとすれば、同意の内容や手続について
立法を待つほかないと考えるのである。

〔裁判官今井功の補足意見〕
現行法制の下での父子関係に関する定めを見ると、婚姻関係にある夫婦の間に出生した
子は、嫡出子として、夫との間に父子関係を認められ、婚姻関係にない男女の間に出生
した子は、血縁上の父の認知により法律上の父子関係を認められる。父が認知をしない
場合には、子などによる認知を求める裁判の判決により、血縁上の父と子の間の法律上
の父子関係が形成される。現行法制は、基本的に自然生殖による懐胎により出生した子
に係る父子関係を対象として規律しているものであって、死後懐胎子と死亡した父との
父子関係を対象としていないことは明らかである。

民法
認知の訴え)
第七百八十七条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起
することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限り
でない。

〔関連判例〕
●● 最高裁判例「認知請求」(民集第8巻4号861頁)
【裁判要旨】
認知の訴は、現行法上これを形成の訴と解すべきものである。
【理由】
この訴につき言い渡された判決は、第三者に対しても効力を有するのであり、そして認
知は嫡出でない子とその父母との間の法律上の親子関係を創設するものであること等を
考えると、認知の訴は、現行法上これを形成の訴であると解するのを相当とする。

●● 最高裁判例「認知請求」(民集第22巻8号1733頁)
【裁判要旨】
未成年の子の法定代理人は、子に意思能力がある場合でも、子を代理して、認知の訴を
提起することができる。
【理由】
民法七八七条は子の法定代理人認知の訴を提起することができる旨を規定しているの
であり、その趣旨は、身分上の行為が本人によつてなされるべきであるという前記の原
則に対する例外として、法定代理人が子を代理して右訴を提起することをも認めたもの
と解すべきである。


■■■ 高年齢者雇用安定法 ■■■
前回(商法(その1〔2〕)、Vol. ’06-44)、改正高年齢者雇用安定法の用意した三
つの選択肢の導入状況についてお知らせしたところですが、社団法人日本人材紹介事業
協会が、東京証券取引所一部・二部、ジャスダック証券取引所の上場企業の人事担当者
を対象にした調査結果(137社から回答)が報道されていました(10月1日付日本経済
新聞)。

これによると、定年の引上げが3.6%、継続雇用制度の導入が92.7%、そして、定年
定めの廃止が1.5%という導入状況になっているそうです。前回と大きな違いはないよ
うです。


■■■ お願い ■■■ 
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。

質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。


■■■ 編集後記 ■■■
今回は、前回に引き続き商法です。ところが、会社法中の(旧)商法から「実質的な改
正が行われなかった部分」を探す作業がなかなかに厄介で、(やや)中途半端に終わっ
てしまったかもしれません。

しかしながら、商法会社法)は50%の得点を目標とし、最悪の場合、全滅でも構わな
いといった心構えで行政書士試験には臨むことをお勧めしてきたところです。したがっ
て、行政書士試験合格後の実務を見据えて、必要最小限のものはカバーしているのでは
ないかと思っています。

繰り返しになりますが、行政書士試験合格後の実務を見据えて、効率的な勉強によっ
て、どうか手堅く合格してください。


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 マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!
 発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)
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