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始末書の取り方について

平成23年9月15日 第96号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.始末書の取り方について
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1.始末書の取り方について

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1.人事考課始末書

人事考課者研修の講師を拝命しています。
人事考課者研修とは、事例を検討してどの様な評価をすべきか考えるのです。
人事考課とは評価であり、この評価が賃金賞与に反映され、また昇進にも反
映をされるわけです。

評価ですから評価が低くて昇給しない若しくは降給した場合であっても、“評
価の結果”であり“ペナルティー”という概念はありません。

しかしペナルティーを課さなければならない事もあります。

無断欠勤や過失により車両や器具等を破損させた場合です。

同時にこれらは人事考課という評価の対象にもなります。

2.「仕事の質、仕事の量」と「怠慢、ルール違反」

人事考課を行う場合には「仕事の質」や「仕事の量」で考えます。
経験年数や立場、役職により求められる基準は違いますが、それを踏まえて評
価をします。

しかし「仕事の質」や「仕事の量」という基準だけでは評価できない問題があ
ります。

これが「怠慢」や「ルール違反」です。

「備品を元の位置に戻さずに紛失した」
「機械が故障したという部下の報告を確認せずに、自分の上司に報告をして被
害を拡大させた。」

この様な事例は「評価」だけで良いのでしょうか。
当然評価は低くなります。
しかし評価が低いと言うだけで終わらせる問題なのでしょうか。

例えば「備品を元に戻す」ということ。
これはルールとして決められていなくても常識です。
常識とは何か。
これはルールとして決めなくても、当然にやるべき事です。
「元の位置に戻す」ということは、大人の世界においてルールとして決めるべ
き事ではありません。

歴史学の先生が、歴史的な文献を読むときに注意することは「当時常識とされ
ていたことは、わざわざ記録に残さない」ということです。

社内においても当たり前のことを書面で残していたら、非常に息苦しい職場に
なるでしょう。

常識はその人の生活環境により違いますが、「遅刻をしない」「元の位置に戻
す」といったことはわざわざ明文化することではなりません。

明文化されていることと違ったことをやった場合には、これはルール違反であ
ります。
このルール違反に関しては“ペナルティー”を考えるべきです。

次に「機械が故障したという部下の報告を確認せずに、自分の上司に報告をし
て被害を拡大させた。」事例。

これは明らかに怠慢ですよね。

現場を確認して、本当に故障をしているのか。
本当に自分たちの力では直せないのか。
応急処置は妥当であるのか。

最低限このことを確認すべきでしょう。

これをやらないということは怠慢なのです。
怠慢ですから評価だけではなく“ペナルティー”を課さなければなりません。

3.ペナルティーの妥当性を考えよう

ペナルティーを労働者に課す場合には、就業規則等において懲戒規定が必要に
なります。
これを前提に処分を考えますが、一般的には始末書の提出が多いのではないで
しょうか。
それ以上の懲戒処分については、本稿では省略いたします。
横領や業務中における暴力行為は懲戒解雇として取り扱うケースが多いですが、

事例ごとに専門家を交えて処分を検討すべきです。

4.労働基準監督署長の解雇予告除外認定と懲戒解雇は別であると考えましょう

始末書以外の懲戒処分については本稿では省略と書きましたが、誤解が多いの
でまとめてみたいと思います。

懲戒解雇であろうとも、労働基準法による解雇予告手当か解雇予告をしなけれ
ばなりません。
これを行わない場合に労働基準監督署長の認定が必要になります。
懲戒解雇をすることは労働基準監督署長の認定の必要はありません。

懲戒解雇は、契約終了の一形態であり、司法警察職員たる労働基準監督官はそ
の妥当性については、民事不介入の原則により判断することは出来ません。

最終的には裁判所が判断するのです。

しかし、労働基準法に定められている解雇予告手当や解雇予告については、そ
れが行われない場合には労働基準法違反になりますので、労働基準監督官は是
正を求め、従わない場合には送検することが出来るわけです。

この点は整理をしましょう。

5.始末書について

反省をして始末書を提出する場合には問題はありません。
しかし、始末書の提出を拒んだ場合にはどうしたらよいのでしょうか。
始末書を強制的にとることは避けるべきです。
始末書が嫌であれば、その事案の経緯の報告を求める顛末書(てんまつしょ)
の提出を求めましょう。

始末書の目的は、「本人に反省をしてもらう」事だけではなく、「後日の証拠
のために事実関係を認めさせる」という2つです。

後者だけでも達成できれば十分です。

本人の一方的な主張になるケースがありますが、その事実が確認できればいい
のです。
むしろ本人に弁明の機会を与えたという証拠になり、手続きの妥当性を証明し
ていると考えることも出来ます。

6.まとめ

始末書をとるべき行為、そしてとる際の注意点を中心に書きました。
仕事の質や量に起因する問題で始末書をとることはあまりお勧めできません。
始末書の乱発の感があるからです。

仕事の質や量を超えた「怠慢」や「ルール違反」について、個々の事例を検討
してとるべきものであると考えます。

出来ることとならそこに専門家を加えて検討すべきでしょう。
但し、自称専門家にはご注意を!

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編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
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