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【レジュメ編】 一般知識(その1)

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     ★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-46 ★★★
           【レジュメ編】 一般知識(その1)

****************************************

■■■ 行政機関政策評価法 ■■■
■■■ 独占禁止法 ■■■ 
■■■ 地方交付税制度 ■■■
■■■ 地方譲与税 ■■■
■■■ 地方債 ■■■
■■■ 電子消費者契約法 ■■■
■■■ 最高裁判例 ■■■
■■■ 受験当日までの対応 ■■■ 
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■■■ 行政機関政策評価法 ■■■
行政機関が行う政策の評価に関する法律(行政機関政策評価法)は、平成14年4月1日
から施行されています。

■■ 総則
■ 目的(1条)
行政機関が行う政策の評価に関する基本的事項等を定めることにより、政策の評価の客
観的かつ厳格な実施を推進しその結果の政策への適切な反映を図るとともに、政策の評
価に関する情報を公表し、もって効果的かつ効率的な行政の推進に資するとともに、政
府の有するその諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的
とする。

(1)国民に対する行政の説明責任を果たすこと
(2)国民本位の効率的で質の高い行政を実現すること
(3)国民の視点に立ち、成果重視の行政を実現すること

■ 政策評価の在り方(3条)
(1)行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、その政策効果を把握し、こ
   れを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じ
   て必要な観点から、自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に
   反映させなければならない。
(2)政策評価は、その客観的かつ厳格な実施の確保を図るため、次に掲げるところに
   より、行われなければならない
一 政策効果は、政策の特性に応じた合理的な手法を用い、できる限り定量的に把握す
ること
二 政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見の活用を図ること

■ 政策評価の結果の取扱い(4条)
政府は、政策評価の結果の取扱いについては、予算の作成及び二以上の行政機関の所掌
に関係する政策であってその総合的な推進を図ることが必要なものの企画及び立案に当
たりその適切な活用を図るように努めなければならない。

■ 基本方針(5条)
政府は、政策評価の計画的かつ着実な推進を図るため、政策評価に関する基本方針を定
めなければならない。
★ 政策評価に関する基本方針(平成13年)は、昨年改定されている。詳しくは、総務
  省のURLをご参照下さい。
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/051216_1_2.pdf
→ 各府省はこの改定を受け、平成18年3月末までに基本計画の改定等を実施した。

・政策評価については、各府省が、その所掌する政策について自ら評価を行うことが基
 本となる。また、各府省とは異なる評価専担組織としての総務省が、府省の枠を超え
 て、政策評価の総合性及び一層厳格な客観性を担保するため、各府省の政策につい
 て、統一的若しくは総合的な評価を行い、又は政策評価の客観的かつ厳格な実施を担
 保するための評価を行う。これにより、各府省が行う政策評価と総務省が行う政策の
 評価とは、それぞれに分担する機能を的確に発揮することで、内閣の統轄の下におけ
 る的確な政策評価の実施を確保する。
・このような政策評価制度について、明確な枠組みを与え、その実効性を高めるととも
 に、これに対する国民の信頼を一層向上させる観点から、「行政機関が行う政策の評
 価に関する法律」が制定された。
・これにより、各行政機関において、明確な計画の下、政策を決定した後においてその
 評価を行うべき責務を明らかにし、また、適切な形で政策決定前における評価の実施
 も確保するとともに、総務省が行う政策の評価について、手続的側面も含めて、その
 内容等を明確にした。

■■ 行政機関が行う政策評価
■ 基本計画(6条)
行政機関の長は、基本方針に基づき、当該行政機関の所掌に係る政策について、3年以
上5年以下の期間ごとに、政策評価に関する基本計画を定めなければならない。
★ 政策評価に関する基本方針(平成13年)が、昨年改定されたことを受けて、各府省
  は平成18年3月末までに基本計画の改定等を実施した。

・政策評価は、各行政機関が所掌する政策について、適時に、その政策効果を把握し、
 これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて
 必要な観点から、自ら評価を行うことにより、政策の企画立案や政策に基づく活動を
 的確に行うための重要な情報を提供するものであり、政策の決定とは異なるものであ
 る。政策評価は、これを「企画立案(Plan)」、「実施(Do)」、「評価(See)」
 を主要な要素とする政策のマネジメント・サイクルの中に制度化されたシステムとし
 て明確に組み込み、その客観的かつ厳格な実施を確保し、政策評価の結果を始めとす
 る政策評価に関する一連の情報を公表することにより、政策の不断の見直しや改善に
 つなげるとともに、国民に対する行政の説明責任の徹底を図るものである。
・政策評価に関する一連の情報の公表によって、国民に対する行政の説明責任の徹底が
 図られることにより、政策やそれに基づく活動についての透明性が確保され、ひいて
 は行政に対する国民の信頼の向上が図られることとなる。

■ 事後評価の実施計画(7条)
(1)行政機関の長は、一年ごとに、事後評価の実施に関する計画を定めなければなら
   ない。
(2)行政機関の長は、実施計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これ
   を総務大臣に通知するとともに、公表しなければならない。

・政策評価を行うに当たっては、政策の特性等に応じて合目的的に、「事業評価方
 式」、「実績評価方式」及び「総合評価方式」やこれらの主要な要素を組み合わせた
 一貫した仕組みなど、適切な方式を用いる。
(ア)事業評価方式:事前評価、個々の事務事業が中心、事務事業の採否、選択等に資
   することが目的(→事業評価書の作成)
(イ)実績評価方式:事後評価、各府省の主要な施策等が対象、政策の不断の見直しや
   改善に資する見地から実施(→実績評価書の作成)
(ウ)総合評価方式:事後評価、特定のテーマ(狭義の政策・施策)が対象、問題点の
   把握やその原因の分析等総合的に評価することが目的(→事後事業評価書の作
   成)

・政策評価の観点としては、法第3条第1項に明示された必要性、効率性及び有効性の
 観点がある。

■ 事後評価の実施(8条)
行政機関は、基本計画及び実施計画に基づき、事後評価を行わなければならない。

・政策効果の把握に当たっては、対象とする政策の特性に応じた、適用可能であり、か
 つ、政策効果の把握に要するコスト、得られる結果の分析精度等を考慮した適切な手
 法を用いるものとする。
・政策評価の観点
(1) 企画立案(Plan):必要性(目的の妥当性、行政が行う必要性)
(2) 実施(Do):有効性(得ようとする効果と得られている効果との関係)
(3) 評価(See):効率性(効果と費用等との関係)

■ 事前評価の実施(9条)
行政機関は、その所掌に関し、次に掲げる要件に該当する政策として個々の研究開発、
公共事業及び政府開発援助を実施することを目的とする政策その他の政策のうち政令で
定めるものを決定しようとするときは、事前評価を行わなければならない。
一 当該政策に基づく行政上の一連の行為の実施により国民生活若しくは社会経済に相
当程度の影響を及ぼすこと又は当該政策がその実現を目指す効果を発揮することができ
ることとなるまでに多額の費用を要することが見込まれること
二 事前評価に必要な政策効果の把握の手法その他の事前評価の方法が開発されている
こと

〔行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令〕
第三条
一 個々の研究開発(人文科学のみに係るものを除く。次号において同じ。)であって
十億円以上の費用を要することが見込まれるものの実施を目的とする政策
二 個々の研究開発であって十億円以上の費用を要することが見込まれるものを実施す
る者に対し、その実施に要する費用の全部又は一部を補助することを目的とする政策
三 道路、河川その他の公共の用に供する施設を整備する事業その他の個々の公共的な
建設の事業(施設の維持又は修繕に係る事業を除く。次号において単に「個々の公共的
な建設の事業」という。)であって十億円以上の費用を要することが見込まれるものの
実施を目的とする政策
四 個々の公共的な建設の事業であって十億円以上の費用を要することが見込まれるも
のを実施する者に対し、その実施に要する費用の全部又は一部を補助することを目的と
する政策
五 個々の政府開発援助のうち、無償の資金供与による協力(条約その他の国際約束に
基づく技術協力又はこれに密接な関連性を有する事業のための施設(船舶を含む。)の
整備(当該施設の維持及び運営に必要な設備及び資材の調達を含む。)を目的として行
われるものに限る。)であって当該資金供与の額が十億円以上となることが見込まれる
もの及び有償の資金供与による協力(資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負
担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものであっ
て、国際協力銀行法第二十三条第二項第一号の規定に基づき外務大臣が定める者に対し
て、その行う開発事業の実施に必要な資金を貸し付けるものに限る。)であって当該資
金供与の額が百五十億円以上となることが見込まれるものの実施を目的とする政策

・事前評価は、政策の決定に先立ち、当該政策に基づく活動により得られると見込まれ
 る政策効果を基礎として、的確な政策の採択や実施の可否の検討に有用な情報を提供
 する見地から行うものとする。その際、複数の政策代替案の中からの適切な政策の選
 択、政策の改善・見直しの過程を可能な限り明らかにするよう努めるものとされてい
 る。

■ 評価書の作成等(10条)
(1)行政機関の長は、政策評価を行ったときは、評価書を作成しなければならない。
(2)行政機関の長は、評価書を作成したときは、速やかに、これを総務大臣に送付す
   るとともに、当該評価書及びその要旨を公表しなければならない。

・事後評価は、政策の決定後において、政策効果を把握し、これを基礎として、政策の
 見直し・改善や新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるための情報
 を提供する見地から行うものとされている。

■ 政策への反映状況の通知及び公表(11条)
行政機関の長は、少なくとも毎年一回、当該行政機関における政策評価の結果の政策へ
の反映状況について、総務大臣に通知するとともに、公表しなければならない。

・政策評価の結果については、各行政機関において、政策評価の結果が政策の企画立案
 作業(予算要求(定員等を含む。)、法令等による制度の新設・改廃といった作業)
 における重要な情報として適時的確に活用され、当該政策に適切に反映されるように
 する必要がある。
・評価書の作成に当たっては、政策評価の結果の外部からの検証を可能とすることの重
 要性を踏まえ、同項各号に掲げられている事項について可能な限り具体的かつ明確に
 記載し、その際、評価結果の政策への反映の方向性を明らかにするものとされてい
 る。なお、評価の際に使用したデータ、仮定、外部要因等についても明らかにするも
 のとされている。
・評価書や政策評価の結果の政策への反映状況等の公表に当たっては、インターネット
 のホームページへの掲載のほか、プレスリリース、広報拠点への備置き、窓口での配
 布等、国民が容易に内容を把握できるよう、適切な手段により行うものとし、その具
 体的な方法については、基本計画において示すものとされている。

■■ 総務省が行う政策の評価
■ 総務省が行う政策の評価(12条)
総務省は、二以上の行政機関に共通するそれぞれの政策であってその政府全体としての
統一性を確保する見地から評価する必要があると認めるもの、又は二以上の行政機関の
所掌に関係する政策であってその総合的な推進を図る見地から評価する必要があると認
めるものについて、統一性又は総合性を確保するための評価を行う。

・政策評価制度が目的とする国民本位の効率的で質の高い行政の実現、国民的視点に立
 った成果重視の行政への転換及び国民に対する行政の説明責任の徹底を図るため、各
 行政機関による政策評価と各行政機関とは異なる評価専担組織としての総務省による
 政策の評価とが、それぞれに分担する機能を的確に発揮していくものとする。
・評価専担組織としての総務省の取組み
(ア)統一性・総合性確保評価(各府省横断的政策の評価)
(イ)客観性担保評価(「やり方点検」及び「内容点検」)

■ 評価書の作成等(16条)
(1)総務大臣は、第12条の規定による評価を行ったときは、評価書を作成しなければ
   ならない。
(2)総務大臣は、評価書を作成したときは、速やかに、これに必要な意見を付して関
   係する行政機関の長に送付するとともに、当該評価書及びその要旨並びに当該意
   見の内容を公表しなければならない。

■ 勧告等(17条)
総務大臣は、第12条の規定による評価の結果必要があると認めるときは、関係する行政
機関の長に対し、当該評価の結果を政策に反映させるために必要な措置をとるべきこと
を勧告するとともに、当該勧告の内容を公表しなければならない。

■■ 雑則
■ 国会への報告(19条)
政府は、毎年、政策評価及び第十二条第一項又は第二項の規定による評価(以下「政策
評価等」という。)の実施状況並びにこれらの結果の政策への反映状況に関する報告書
を作成し、これを国会に提出するとともに、公表しなければならない。
★ 総務省が公表した「平成17年度 政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策へ
  の反映状況に関する報告」については、つぎのURLをご参照ください。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060609_1_gai.pdf

★ 「報告」の概要
(1)あらかじめ達成目標を設定し、政策実施後にその達成度合いを測定する評価手法
   (目標管理型の評価手法)を17 府省中16 府省が採用
→ 政策評価制度が定着
(2):評価法が事前評価を義務付けている研究開発課題、個別公共事業及び個別政府
    開発援助の3分野以外の一般政策の評価において、各府省が自主的・積極的な
    取組み
→ 自主的な取組も進展
(3)評価に基づく廃止・休止・中止件数の増加
→ 公共事業等における未着手・未了事業に対する再評価が積極的に行われ、その結果
  を踏まえ、事業を廃止・休止・中止するものが増加している。
→ 平成17年度では、41事業で廃止・休止・中止が決定された。その総額は約8000億円
  に上る。なお、平成14年度からの4年間では、164事業、約3.2兆円が、再評価を踏
  まえ、廃止・休止・中止されている。


■■■ 独占禁止法 ■■■ 
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)が一部改正され、平成
18年1月4日から施行されている。今回の改正の主なポイントは、課徴金算定率の引上
げ等と課徴金の減免制度の導入である。

■ 課徴金
課徴金とは、国が行政権や司法権に基づいて国民に賦課し、国民から徴収する金銭負担
で租税以外のものをいう。
★ 課徴金は刑事罰ではない。したがって、司法権の介在した裁判手続は必要なく(た
  だし、課徴金の納付命令に不服がある場合には、行政事件訴訟法により取消訴訟を
  提起して、裁判で争うことが可能である。)、違反行為の程度や態様に応じた機動
  的な行政上の規制が可能になる。

〔財政法〕
第三条 租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独
占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の
議決に基いて定めなければならない。

★ 課徴金は、二重処罰の禁止規定に抵触しない。したがって、民事制裁金である課徴
  金と刑事罰は併科できる(刑事罰で罰金刑に科せられても、課徴金の額が減免され
  ることはない。)。

〔憲法〕
第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為について
は、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問は
れない。

・他に課徴金が課される場合として、証券取引法の規定に基づき、インサイダー取引
 行ったこと、虚偽の有価証券報告書等を作成したことに対して課される場合がある。

■■ 課徴金算定率の引上げ等 
■ 課徴金算定率の引上げ
(1)改正前
・製造業:大企業6%、中小企業3%
・小売業:大企業2%、中小企業1%
・卸売業:大企業1%、中小企業1%
(2)改正後
・製造業:大企業10%、中小企業4%
・小売業:大企業3%、中小企業1.2%
・卸売業:大企業2%、中小企業1%
(注)大企業か中小企業かは、製造業、小売業、卸売業毎に、資本(出資)金の額及び
   従業員の数で決められる。

・平成3年改正による課徴金算定率引上げ以降も違反行為は減少しておらず、違反行為
 を繰り返す事業者が跡を絶たないことなど、不当利得相当額を徴収するという旧法の
 制度では、違反行為防止の観点からは不十分であると考えられることから、課徴金の
 算定率の引上げが行われた。

■ 再度の違反の重課
過去10年以内に課徴金納付命令を受けたことのある事業者に対しては、課徴金算定
につき、通常の5割増しの算定率が適用される。
・製造業:大企業15%、中小企業6%
・小売業:大企業4.5%、中小企業1.8%
・卸売業:大企業3%、中小企業1.5%

・違反を繰り返す事業者は通常の率の課徴金を支払っても、なお得られる不当利得が大
 きいから違反を繰り返すのであって、通常の算定率では違反の抑止に十分でないと考
 えられたためである。

■ 早期離脱の軽減
違反行為に係る実行期間が2年未満である場合で、公正取引委員会が立入検査等を行っ
た最初の日の1ヶ月前までに違反行為をやめた場合には、課徴金算定率が2割軽減され
る。
・製造業:大企業8%、中小企業3.2%
・小売業:大企業2.4%、中小企業1%
・卸売業:大企業1.6%、中小企業0.8%

・課徴金制度は、違反行為の防止を図るものであり、その趣旨・目的には、違反行為に
 着手すること自体を防止すること(いわゆる一般予防)のほか、仮に違反行為に着手
 した場合でも、短期間に違反行為をやめさせることが含まれる。そこで、違反行為を
 早くやめるインセンティブを高めるため、公正取引委員会の立入検査前(1か月前ま
 で)に早期(違反行為の実行期間が2年未満)に違反行為をやめた事業者について
 は、通常より2割低い算定率が適用される規定を設け、より効果的に違反行為を抑止
 できるようにした。
・ただし、早期に違反行為をやめていた場合であっても、違反行為を繰り返したことに
 より割増の算定率が適用される場合(再度の違反行為者である場合)には、この早期
 離脱の軽減は適用されない。

■ 課徴金と罰金の調整
課徴金と罰金の両者を併科する場合には、罰金額の2分の1に相当する金額が課徴金か
ら控除される。

・今回の見直し後の課徴金は、カルテル等の違反行為防止という行政目的を達成するた
 め、行政上の措置として不当利得相当分を超える金銭的不利益を課すものである。こ
 れは、違反行為の反社会性・反道徳性に着目して科される刑事罰とは、趣旨・目的・
 性格が異なっている。他方、罰金と課徴金はいずれも国が強制的に課す金銭的不利益
 であり、違反行為を抑止するという機能面で共通する部分がある制度である。このた
 め、この共通する部分についての調整を行い、所要の減額を行うことが政策的に適当
 であると判断された。

■■ 課徴金の適用対象範囲の拡大
従来は、対価・供給量等を制限するカルテル・談合が対象であった。これが、対価・供
給量・購入量・シェア・取引先を制限するカルテル・談合、購入カルテル(ユーザー側
で購入価格を取り決める等のカルテル)、支配型私的独占(他の事業者の事業活動を支
配することにより対価や供給量等を制限する私的独占)に拡大された。

■■ 課徴金の減免制度の導入
課徴金減免制度とは、事業者が、自らが関与したカルテル・談合について、公正取引委
員会に対して、単独で、その違反内容を報告し、それを裏付ける資料を提出した場合
は、その報告順位等に応じて課徴金が免除又は減額されるという制度である。

・このような制度は日本独自のものではなく、アメリカ、EU 及びヨーロッパ各国、オ
 ーストラリア、韓国等国際的にも一般的にある。
・課徴金減免制度は、他社の違反行為を密告するものではなく、会社が自社の判断で自
 社の違反行為に係る事実の報告を公正取引委員会に行う場合に、当該会社に対する措
 置を減免するものである。したがって、他社の違反行為のみを報告しても、課徴金減
 免制度は適用されるものではなく、密告を奨励する制度ではない。

・課徴金減免制度は、カルテル・入札談合等が密室の行為であり、発見・解明が困難で
 あることを踏まえ、違反事実を自ら報告してきた事業者に対して課徴金を減免するこ
 とにより、カルテル・入札談合の摘発、事案の真相究明、違法状態の解消及び違反行
 為の防止を図るものである。
・今回新たに課徴金の対象となる購入カルテル、私的独占のうち、購入カルテルは、販
 売カルテルと違反行為の実態が同じであるため、課徴金減免制度の適用の対象とな
 る。他方、私的独占については、カルテル・入札談合のように事業者の相互拘束によ
 る密室の行為である面が薄いことから、適用の対象ではない。

■ 減免制度の対象
・立入検査前の1番目の申請者:課徴金を免除
・立入検査前の2番目の申請者:課徴金を50%減額
・立入検査前の3番目の申請者:課徴金を30%減額
・立入検査後の申請者:課徴金を30%減額
→ 合計3社までについて、課徴金が減免される(立入検査後の申請の場合、立入検査
  前に既に3社の申請が認められていた場合には、立入検査の後に最初に申請をして
  も、全体では4番目となるので、課徴金減免の対象とはならない。なお、先順位の
  事業者の虚偽報告が発覚して優先順位を失った場合でも、後順位の申請者が繰り上
  がることはない。)。

・課徴金制度は、原則として、カルテル等の違反行為を行った事業者に対しては、必ず
 課徴金を徴収することで違反行為防止の目的を達成するためのものである。そこで、
 課徴金減免制度において、順番に関係なく相当程度の減額が認められるとすれば、課
 徴金制度の趣旨が没却され、「やり得」を認めることになる。また、同制度に基づき
 早く違反行為について報告しようとするインセンティブが損なわれかねないこと等を
 踏まえれば、減免を認めるとしても、その対象事業者数はある程度限定する必要があ
 る。
・他の違反事業者と共同での申請は認められない。

■ 課徴金減免の公表
課徴金が減免された事業者の有無、事業者名の公表は予定されていない。

・なお、公共工事入札契約適正化指針(H18.5.23 閣議決定)において、「独占禁止法
 違反行為に対する指名停止に当たり、課徴金減免制度の適用があるときは、これを考
 慮した措置に努めるものとする。」とされたこと及び中央公共工事契約制度運用連絡
 協議会モデルの運用申合せで「課徴金減免制度が適用され、その事実が公表されたと
 きの指名停止の期間は、当該制度の適用がなかったと想定した場合の期間の2分の1
 の期間とする。」とされたことを受け、課徴金減免制度の適用を受けた事業者から申
 出がある場合には、課徴金納付命令を行った際に、事業者の名称、所在地、代表者名
 及び免除の事実又は減額の率を公表することとされた(平成18年9月)。

→ これに基づき、公正取引委員会は、9月8日、「旧首都高速道路公団が発注するト
  ンネル換気設備工事の入札参加業者に対する課徴金納付命令関係」を公表した。
・三菱重工業株式会社、免除
・石川島播磨重工業株式会社、30%減額
・川崎重工業株式会社、30%減額
(注)課徴金減免制度が初めて適用された事例である。新聞報道によれば、他の受注企
   業である日立製作所と荏原は通常の課徴金が科せられた。
・詳しくは、公正取引委員会の発表 http://www.jftc.go.jp/genmen/genmen.html をご
 参照ください。

→ 課徴金の納付が確定すると、企業や経営者には、住民訴訟や株主代表訴訟のリスク
  が高まることになる。住民訴訟については、地方自治法のレジュメ編を確認してく
  ださい。なお、株主代表訴訟については、会社法で要件等に改正があったため、今
  年のレジュメ編では取上げていません。


■■■ 地方交付税制度 ■■■
■ 目的
地方交付税制度は、地方団体の自主性を損なわずにその財源の均衡化を図り、交付基準
の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することにより、地方自治の本旨の実現
に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。
★ 地方交付「税」という名称ではあるが、所得税法人税消費税等の税金とは性格
  が異なり、徴収した税金の再配分が目的である。

(1)財源の均衡化(財政調整機能):地方団体間における財政力の格差を解消するた
   め、地方交付税の適正な配分を通じて地方団体相互間の過不足を調整し、均衡化
   を図ることを目的としている。
(2)財源の保障(財源保障機能):マクロ的には、地方交付税の総額が国税5税の一
   定割合として法定されることにより、地方財源は総額として保障されている。一
   方、ミクロ的には、基準財政需要額、基準財政収入額という基準の設定を通じ
   て、どの地方団体に対しても行政の計画的な運営が可能となるように、必要な財
   源を保障している。

■ 運営の基本
・地方交付税の総額を財源不足団体に対し、衡平に交付しなければならない。
・交付にあたっては地方自治の本旨を尊重し、条件を付け、又はその使途を制限しては
 ならない。
・地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、
 少なくとも法律又はこれに基づく政令により義務づけられた規模と内容とを備えるよ
 うにしなければならない。

■ 地方交付税の性格
(1)地方団体共有の固有財源:地方交付税は、本来地方団体の税収入とすべきである
   が、地方団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持
   しうるよう財源を保障するという見地から、国税として国が代わって徴収し、一
   定の合理的な基準によって再配分することとされており、「国が地方に代わって
   徴収する地方税である。」(固有財源)という性格をもっている。
(2)地方の一般財源:地方交付税の使途は、地方団体の自主的な判断に任されてお
   り、国がその使途を制限したり、条件を付けたりすることは禁じられている。
   この点で、地方交付税は国庫補助金と根本的に異なる性格を有しており、地方税
   と並んで、憲法で保障された地方自治の理念を実現していくための重要な一般財
   源(地方の自主的な判断で使用できる財源)である。
(3)国と地方の税源配分を補完:国と地方は相協力して公経済を担っており、歳出面
   での国と地方の支出割合(純計)は、約2:3となっており、地方の役割が相対
   的に大きい。これに対して、租税収入全体の中における国税地方税の比率は約
   3:2となっており、地方に配分されている税収は相対的に小さい。?地方交付
   税は、国と地方の財源配分の一環としてこうしたギャップを補完する機能を果た
   している。

■ 地方交付税の総額
(1)法定5税の合算額
所得税法人税、酒税の32%(ただし、法人税は、当分の間35.8%)+消費税の29.5%
+たばこ税の25%
(2)特例加算分等
このほか、各年度の地方財政対策による、一般会計からの加算、借入金の返済などがあ
る。
★ 平成18年度の地方交付税の総額は、約15兆円(都道府県分が約8.5兆円、市町村分
  が約6.5兆円。なお、前年度比約1億円の減少)。

■ 地方交付税の種類
(1)普通交付税:財源不足団体に対し、交付税総額の94%を交付する。
(2)特別交付税:普通交付税で捕捉されない特別の財政需要に対し、交付税総額の6
   %を交付する。
★ 平成18年度の地方交付税の不交付団体は、増加している。都道府県では愛知県が加
  わり、2団体になった(他は東京都)。政令指定都市では1団体から4団体にな
  り、その他の市町村では145団体から165団体になった。

■ 地方交付税の交付時期
(1)普通交付税:毎年、4月、6月、9月及び11月の4回に分けて交付される。
(2)特別交付税:年度途中における財政需要等も考慮する必要があること等から、
   12月及び3月の2回に分けて決定・交付される。


■■■ 地方譲与税 ■■■
徴税の都合により、いったん国が国税として徴収し、その全部または一部を地方に譲与
する地方税をいう。現在、所得譲与税、地方道路譲与税、石油ガス譲与税、自動車重量
譲与税、航空機燃料譲与税、特別とん譲与税がある。
★ 地方交付税と同様に、「税」が付されているが、所得税法人税消費税等の税金
  とは性格が異なり、徴収した特定の税金の再配分が目的である。
★ 消費税譲与税は、平成9年度に廃止された。

■ 所得譲与税(国税所得税
所得税収入額のうち所得譲与税法に定められた額が譲与される。
・譲与団体は、都道府県・市町村(特別区を含む。)。
・使途については、条件・制限はない。
・平成17年度実績は、約1兆円(平成18年度は約3兆円)。

■ 地方道路譲与税(国税は地方道路税)
・地方道路税収入額の全額が譲与される。
・譲与団体は、都道府県・市町村(特別区を含む。)。
・使途は、道路費用に限定されている。
・平成17年度実績は、約3000億円。

■ 石油ガス譲与税(国税は石油ガス税)
・石油ガス税収入額の1/2が譲与される。
・譲与団体は、都道府県と指定都市。
・使途は、道路費用に限定されている。
・平成17年度実績は、約100億円。

■ 自動車重量譲与税(国税は自動車重量税
・自動車重量税収入額の1/3が譲与される。
・譲与団体は、市町村(特別区を含む。)。
・使途は、道路費用に限定されている。
・平成17年度実績は、約4000億円。

■ 航空機燃料譲与税(国税は航空機燃料税)
・航空機燃料税収入額の2/13が譲与される。
・譲与団体は、空港関係都道府県・市町村。
・使途は、騒音による障害防止・空港対策に限定されている。
・平成17年度実績は、約200億円。

■ 特別とん譲与税(国税は特別とん税
・特別とん税収入額の全額が譲与される。
・譲与団体は、開港所在市町村(都を含む。)。
・使途については、条件・制限はない。
・平成17年度実績は、約100億円。

■■ 交付税及び譲与税配付金特別会計
特別会計である「交付税及び譲与税配付金特別会計」は、地方交付税、地方特例交付金
及び地方譲与税の配付に関する経理を明確にするために設けられているいわゆる整理区
分特別会計である。
★ なお、交通安全対策特別交付金の交付に関する経理を明確にするため、当分の間、
  この「交付税及び譲与税配付金特別会計」で経理することとされている結果、「交
  付税及び譲与税配付金勘定」と「交通安全対策特別交付金勘定」の2つの勘定が設
  けられている。

■ 仕組み
(1)歳入:(ア)一般会計からの受入れ(地方交付税交付金、地方特例交付金)、
   (イ)租税(所得税、地方道路税、石油ガス税、航空機燃料税、自動車重量税
   特別とん税)の全額または一定額の受入れ、(ウ)借入金が、「交付税及び譲与
   税配付金特別会計」の歳入になる。
(2)歳出:地方交付税および地方譲与税として、都道府県・市町村に交付・譲与する
   とともに、その一部は借入金の返済に充てられる。

■ 歳入歳出の規模
(1)歳入:約73兆円(このうち、(ア)は約15兆円、(イ)は約4兆円で、(ウ)が約
   53兆円である。)。
(2)歳出:約72兆円(このうち、地方交付税交付金が約15兆円、地方譲与税譲与金が
   約4兆円、国債整理基金特別会計への繰入(借入金の返済)が約52兆円であ
   る。)。
★ 歳入と歳出の差額は、翌年度の歳入に繰り入れられる。
★ 平成15年度末では、約26兆円の債務超過の状態になっている。


■■■ 地方債 ■■■
■ 地方自治法
第二百三十条 普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めると
ころにより、地方債を起こすことができる。
2 前項の場合において、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の
方法は、予算でこれを定めなければならない。

・この予算は、普通地方公共団体の議会の議決を得なければならない(96条1項2
 号)。
・別に定める法律とは、地方財政法のことである。

★ 地方公共団体の歳入・歳出の面からみると、「地方債」は歳入に計上される(地方
  債を発行することで、その発行代り金が得られる。)。一方、地方公共団体は、地
  方債を発行した以上、毎年利払いをしたうえで、償還しなければならず、これは
  「公債費」として計上される。

■ 地方財政法
(1)地方債の協議等
第五条の三 地方公共団体は、地方債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の
方法を変更しようとする場合は、政令で定めるところにより、総務大臣又は都道府県知
事に協議しなければならない。ただし、軽微な場合その他の総務省令で定める場合につ
いては、この限りでない。
2 前項に規定する協議は、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、資金、利率、
償還の方法その他政令で定める事項を明らかにして行うものとする。
5 地方公共団体が、第一項に規定する協議の上、総務大臣又は都道府県知事の同意を
得ないで、地方債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようと
する場合には、当該地方公共団体の長は、その旨をあらかじめ議会に報告しなければな
らない。

総務大臣又は都道府県知事との協議で同意を得られない場合であっても、地方債の起
 債は可能である。ただし、その旨をあらかじめ議会に報告しなければならない。
→ しかしながら、総務大臣又は都道府県知事との協議を経ないで地方債を起債するこ
  とは違法になる。
★ この協議制度は平成18年から施行された。なお、従来は、同意ではなく、許可が
  必要であった(許可がなければ、地方債を発行できなかった。)。北海道夕張市等
  が、この許可を得ないで地方債を発行していた問題(ヤミ起債問題)が、新聞等で
  報道されたところである。

(2)地方債についての関与の特例
第五条の四 次に掲げる地方公共団体は、地方債を起こし、又は起債の方法、利率若し
くは償還の方法を変更しようとする場合は、政令で定めるところにより、総務大臣又は
都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 赤字の地方公共団体
二 地方債の元利償還金の支払を遅延している地方公共団体
三 協議をしないで地方債を起こし又は起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更し
た地方公共団体のうち、総務大臣が指定したもの
(以下略)
★ 上記の場合には、協議ではなく、許可を得なければならない。
★ こうした規制の主な目的は、早期の財政健全化への取組みを促すとともに、地方債
  の元利金の支払いを実質的に確実なものとすることにある(国は、国債と異なり、
  地方債の元利金の支払いを保証していない。また、地方公共団体には、会社や個人
  等と異なり、そもそも破産能力が認められていないという法的問題もある。)。

■ 地方財政再建促進特別措置法
(歳入欠陥を生じた団体の地方債の制限等)
第二十三条 昭和三十六年度以降においては、歳入欠陥を生じた団体で政令で定めるも
のは、地方財政法第五条ただし書の規定にかかわらず、前条第二項の規定によつて財政
の再建を行う場合でなければ、地方債をもつて同法第五条第五号に掲げる経費の財源と
することができない。ただし、政令で定める事業に要する経費の財源とする場合におい
ては、この限りでない

・地方財政法
(地方債の制限)
第五条 地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければな
らない。ただし、次に掲げる場合においては、地方債をもつてその財源とすることがで
きる。
五 学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾そ
の他の土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費(公共的団体又は国若しくは地
方公共団体が出資している法人で政令で定めるものが設置する公共施設の建設事業に係
る負担又は助成に要する経費を含む。)及び公共用若しくは公用に供する土地又はその
代替地としてあらかじめ取得する土地の購入費(当該土地に関する所有権以外の権利を
取得するために要する経費を含む。)の財源とする場合

■ 住民参加型ミニ市場公募地方債
地方債は、一般には、証券会社や銀行等を通して販売されているが、この「住民参加型
ミニ市場公募地方債」は、そのなかでも、住民の行政への参加意識の高揚や地方公共団
体の資金調達手段の多様化を図ることを目的として、発行されている。

このミニ公募地方債は、平成13年度末に群馬県が「愛県債」を発行したのが最初であっ
て、発行額は漸次増加していて、平成18年度では、約11団体による約3600億円の発行が
予定されている(平成17年度では約3300億円が発行された。)。

ミニ公募地方債の特徴として、発行目的や対象事業を明確に示し、住民や投資家の理解
を得ていることが挙げられる。これまでの発行では、購入対象者は地域住民や団体に限
っている(ただし、法的な要件ではない。)。また、地方公共団体の共同発行もみられ
る(たとえば、平成17年5月に発行された兵庫県と県内8市による「兵庫のじぎく債」
がある。)。

なお、ミニ公募地方債も地方債であることから、債券としての性格は同じである(元本
保証はない、毎年一定額の利子が支払われる、償還期間が予め定められている、中途換
金の場合には元本割れの可能性がある等)。

■ 地方財政用語
(1)起債制限比率:地方債の元利償還金に充当された一般財源のうち、普通交付税の
   算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除いたものの標準財政規模
   に対する割合であり、地方公共団体における公債費による財政負担の度合を判断
   する指標として用いられている。過去3ヵ年の平均値が20%以上になると特定の
   起債が制限される。
(2)実質収支比率:標準財政規模に対する実質収支額(歳入-歳出-翌年度へ繰り越
   すべき財源)の割合で、赤字比率が道府県は5%、市町村は20%以上の場合、地
   方財政再建促進特別措置法に定める財政再建計画を作成して財政の再建を行う場
   合でなければ、「建設地方債」を起債することができない。
(3)財政力指数:地方交付税法の規定により算定した基準財政収入額を、基準財政需
   要額で除して得た数値の過去3 年間の平均値をいい、地方公共団体の財政力を示
   す指数として用いられる
(4)地方債依存度:ある年度に新規に発行された公債発行額を、その年度の普通会計
   歳入総額で割ったものをいい、歳入の公債への依存度を表す。
(5)プライマリーバランス:国や地方自治体等の歳入と歳出のバランスを見る指標
   で、過去に発行した公債の元利払いを除いた歳出額と、公債の発行によって得る
   歳入を除いた歳入額との差額を指す。プライマリーバランスが均衡しているとい
   うことは、過去に発行した公債の元利払い以外の歳出は、公債に頼らない状態を
   いい、支払った税金と受け取れるサービスが同じであることを意味する。
(6)行政コスト計算書:行政活動のうち人的サービスや給付サービスなど資産形成に
   つながらない行政サービスのコストを表示したものである。


■■■ 電子消費者契約法 ■■■
■ 電子消費者契約に関する民法の特例
第三条 民法第九十五条ただし書の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又は
その承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤があった場合であっ
て、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者
契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。)が、当該申込み又はその承
諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若
しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又
はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があ
った場合は、この限りでない。
一 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消
費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき
二 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込
み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき

民法
錯誤
第九十五  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただ
し、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することがで
きない。

・電子消費者契約(2条1項):消費者と事業者との間で電磁的方法により電子計算機
 の映像面を介して締結される契約であって、事業者又はその委託を受けた者が当該映
 像面に表示する手続に従って消費者がその使用する電子計算機を用いて送信すること
 によってその申込み又はその承諾の意思表示を行うものをいう。
・消費者(2条2項):個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合に
 おけるものを除く。)をいう。
→ 電子消費者契約に関する民法の特例の対象になるのは、個人事業主を除く個人であ
  る。
・電磁的方法(2条3項):電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術
 を利用する方法をいう。

☆ パソコン等の電磁的方法によって、消費者が契約の申込み又はその承諾の意思表示
  を行ったところ、錯誤があった場合、相手方である事業者が消費者の意思表示の確
  認する措置を講じなかった場合には、消費者は錯誤無効を主張できる。

■ 電子承諾通知に関する民法の特例
第四条 民法第五百二十六条第一項及び第五百二十七条の規定は、隔地者間の契約にお
いて電子承諾通知を発する場合については、適用しない。

・電子承諾通知(2条4項):契約の申込みに対する承諾の通知であって、電磁的方法
 のうち契約の申込みに対する承諾をしようとする者が使用する電子計算機等(電子計
 算機、ファクシミリ装置、テレックス又は電話機をいう。)と当該契約の申込みをし
 た者が使用する電子計算機等とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法により
 行うものをいう。

民法
(隔地者間の契約の成立時期)
第五百二十六条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

(申込みの撤回の通知の延着)
第五百二十七条 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であって
も、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができ
るときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならな
い。
2 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみな
す。

・電子消費者契約に関する民法の特例の場合と異なり、対象は消費者に限定されな
 い。

☆ 民法発信主義の原則が、電子承諾通知に関しては到達主義に変更されている。


■■■ 最高裁判例 ■■■
最近、続けて注目すべき最高裁判決が出されました。これらの判決が直接出題される可
能性はありませんが、これまでの判例を踏まえた内容であるため、試験直前期であるこ
とから、再確認をしておいて下さい。

●● 最高裁判例「証拠調べ共助事件における証人の証言拒絶についての決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」(平成18年10月03日)
【裁判要旨】
(ア)報道関係者である証人が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を
   拒絶することができるかどうかを判断する基準
(イ)報道関係者である証人が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を
   拒絶することができる場合
【理由】
報道関係者の取材源は、一般に、それがみだりに開示されると、報道関係者と取材源と
なる者との間の信頼関係が損なわれ、将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられる
こととなり、報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になると解される
ので、取材源の秘密は職業の秘密に当たるというべきである。そして、当該取材源の秘
密が保護に値する秘密であるかどうかは、当該報道の内容、性質、その持つ社会的な意
義・価値、当該取材の態様、将来における同種の取材活動が妨げられることによって生
ずる不利益の内容、程度等と、当該民事事件の内容、性質、その持つ社会的な意義・価
値、当該民事事件において当該証言を必要とする程度、代替証拠の有無等の諸事情を比
較衡量して決すべきことになる。

当該報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法令
に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がな
く、しかも、当該民事事件が社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、当該
取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そ
のために当該証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合に
は、当該取材源の秘密は保護に値すると解すべきであり、証人は、原則として、当該取
材源に係る証言を拒絶することができると解するのが相当である。

〔民事訴訟法〕
第百九十七条 次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
一 第百九十一条第一項の場合
二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を
含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれら
の職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
三 技術又は職業の秘密に関する事項について尋問を受ける場合

●● 最高裁判例「選挙無効請求事件」(平成18年10月04日)
【裁判要旨】
公職選挙法(平成18年法律第52号による改正前のもの)14条、別表第3の参議院
(選挙区選出)議員の定数配分規定は、平成16年7月11日に施行された参議院議員
選挙当時、憲法に違反しない。
【理由】
憲法は、国会の両議院の議員を選挙する国民固有の権利につき、選挙人の資格における
人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入による差別を禁止するにと
どまらず、選挙権の内容の平等、換言すれば、議員の選出における各選挙人の投票の有
する影響力の平等、すなわち投票価値の平等をも要求していると解するのが相当であ
る。他方、憲法は、国会の両議院の議員の選挙について、議員は全国民を代表するもの
でなければならないという制約の下で、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に
関する事項は法律で定めるべきものとしている(43条、47条)。
そうすると、憲法は、投票価値の平等を選挙制度の仕組みの決定における唯一、絶対の
基準としているものではなく、どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果
的に国政に反映させることになるのかの決定を国会の裁量にゆだねており、投票価値の
平等は、参議院の独自性など、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ない
し理由との関連において調和的に実現されるべきものとしていると解さなければならな
い。それゆえ、国会が具体的に定めたところがその裁量権の行使として合理性を是認し
得るものである限り、それによって投票価値の平等が損なわれることになっても、憲法
に違反するとはいえない。

したがって、議員定数配分規定の制定又は改正の結果、上記のような選挙制度の仕組み
の下において投票価値の平等の有すべき重要性に照らして到底看過することができない
と認められる程度の投票価値の著しい不平等状態を生じさせたこと、あるいは、その後
の人口の変動が上記のような不平等状態を生じさせ、かつ、それが相当期間継続してい
るにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが、複雑かつ高度に政策的な考慮
と判断の上に立って行使されるべき国会の裁量的権限に係るものであることを考慮して
も、その許される限界を超えると判断される場合に、初めて議員定数配分規定が憲法に
違反するに至るものと解するのが相当である。
平成16年大法廷判決は、本件改正によっても前記のような較差が残り、また、前回選
挙当時において選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差が1対5.06
となっていたという状況の下で、結論として本件定数配分規定は違憲とはいえない旨の
判断をしたところ、本件選挙当時において生じていた上記の最大較差は1対5.13で
あって、前回選挙当時のそれと大きく異なるものではなかった。

投票価値の平等の重要性を考慮すると、今後も、国会においては、人口の偏在傾向が続
く中で、これまでの制度の枠組みの見直しをも含め、選挙区間における選挙人の投票価
値の較差をより縮小するための検討を継続することが、憲法の趣旨にそうものというべ
きである。


■■■ 受験当日までの対応 ■■■ 
行政書士試験まで1ヵ月となったこれからの時期に、必ず実行すべきことをお伝えした
いと思います。

行政書士試験が法学試験化した(してきた)ことについては、何度となくご説明したと
ころです。したがって、最後は、どうか法令の条文と判例をチェックして下さい(でき
れば、音読がベストです。)。特に、最近は、条文や判例をきちんと(あるいは、正確
に)理解していることを前提とした問題が出題されています。したがって、この時期
に、これまで学習してきた条文や判例を性格に理解していることを再確認して下さい。
なお、条文の(丸)暗記は意味がありません(私が受験した頃には、憲法ぐらいは条文
の暗記が不可欠であるといった合格体験談も掲載されていましたが、間違いなく、こう
した考え方は過去のものになっています。)。

この時期、何となく落着かなくなり、何も手につかなくなる傾向があります(私もそう
でした。)。何も無理して新しいことを勉強する必要はありません。繰り返しになりま
すが、どうか基本に戻って、条文と判例の復習に注力してください。

お勧めの「条文&判例」対策は、つぎのとおりです。この場合、コンサイス版の判例六
法がお勧めです。(来年には使用できないので、できれば、法令毎に分割して小ぶりに
し、ポケットに入れ、通勤通学時にも読み返すようにして)条文と判例を一体として読
むことがポイントです。1条毎に、かつ、丁寧に読むことがポイントです。

・試験4週間前:憲法(全条分&判例)、民法(人、債権総則、婚姻遺言等の特定の
 章のうち数章の条文&判例)
・試験3週間前:行政手続法行政不服審査法国家賠償法(全条文&判例)、行政事
 件訴訟法(総則&判例)、情報公開法、個人情報保護法、行政代執行法(全条文)
・試験2週間前:地方自治法、商法(総則および得点源としたい箇所の条分&判例)


■■■ お願い ■■■ 
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。

質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。


■■■ 編集後記 ■■■
いよいよ10月も中旬に入りました。そして、行政書士試験まで1ヵ月余りとなりまし
た。受験生の皆さんは、最後の追い込みに入った頃かと思います。

今回は、これまでに積み残した一般知識です。次回も、一般知識の続きの予定です。そ
の後は、最終のまとめを予定しています。


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 発行者:行政書士 太田誠   東京都行政書士会所属(府中支部)
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