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兼業禁止 その2 ~ 兼業の落とし穴

◇◆                               ▲▽
◆◇                               ▽▲

=======---- 労働法で 生き残る!! ----=======


   < みなさん。これからは本当に労働法が大事になりますよ! >


              《 Vol.36 》               
               

隔週 月曜日配信予定

   ~ 1月 15日 号 ~
   

─────────────────────────────────── 

 【 目次 】

●  兼業禁止 その2
   ~ 兼業の落とし穴

●  編集後記


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★  兼業禁止  その2


   1月6日の朝日新聞朝刊、31面。
   
   
   『シャンソン先生あかん?』
   ~ 大阪の私立小教諭、コンサート開き停職 ~
   
   
   こんな見出しの記事が出てました。
   
   
   簡潔に続けますと、
   
   『シャンソンのコンサートを開いたことを理由として停職処分
   を受けたのは不当だとして、同教諭が学校法人を相手取り、処分
   無効確認と慰謝料などの支払を求める労働審判を大阪地裁に申し
   立てた』
   
   
   こんな内容の事件です。
   (教諭はシャンソン歌手としても活動していたようです)
   
   
   前回において、兼業した=即刻解雇は、無効と判断される可能性が
   高いと書きましたが、今回の処分は解雇ではなく30日間の停職処
   分です。
   
   (兼業に関するルールは、学校法人就業規則に規定がありました。
   
   公立学校の教諭の場合は地方公務員法などにより原則兼業禁止です
   が、私立学校については各校の判断に一任。今回の学校法人
   原則禁止、といったところでしょうか)
   
   
   労働審判ですから、通常よりも早く決着される可能性があります。
   (もちろん、納得いかないと民事訴訟に移行することも考えられ
   ますけど)
   
   どういった判断が下されるのか。注意しておきたいですね。
   
   
   そうそう、この事件は兼業についてばかりではなく、個人情報
   関する問題もはらんでいます。
   
   
   その内容はといいますと。
   
   「コンサート前、担任をしていた児童33人に家族の分も含めた
   約100枚の無料招待券を郵送した。」
   
   というもの。学校側の言い分の中にも、今回の処分にはこの行為に
   ついてもその処罰の一因となった、といった旨の発表があります。
   
   
   これは・・・ 別にタダだからいいじゃん、とは言いがたいな。
   
   
   通常、保護者・児童はその個人情報を学校側に提供しますよね。当然
   のこととして。
   
   しかし常識的には、その利用目的を「学校行事といった公的なことに
   使用されるもの」といった認識の上でのことです。
   
   しかるに、今回の行為はどう考えても公私の”私”の部分による利用
   です。私的利用まで許容してその個人情報を提供していた方は
   ほぼいないと考えていいと思います。
   
   なのでりっぱに「目的外利用」が成立すると個人的には思います。
   
   ただし、今回の事件においてこれがどこまで影響するのかはわか
   りませんけどね。
   
   
   
       ──────────────────────────
   
   
   さて、前置きが長くなりましたが本題へ。
   
   
   ~ 兼業の落とし穴 ~
   
   
   
   昨今「日雇い派遣」なる言葉を聞かれたことありませんか?
   
   携帯電話等を使って、空いた細切れ時間などに働くというもの
   が代表的、と思う。
   
   たとえば、予定していたバイトが突然都合がつかなくなり
   欠員状態で困ってる居酒屋があるとします。
   
   そこで、
   「本日、18時から22時までバイトできる方、至急連絡を」
   こんなメッセージを店長が発信します。
   
   と、これが派遣登録してる人達に配信され、そのうちの誰かが手を
   上げる。
   「僕(私)いけますよぉ」
   「じゃあ、お願い。ふーっ、やれやれ」と、一息つく店長。
   簡単にいうとこんなシステム。
   
   あくまでも日雇いですから、契約期間は一日だけ。
   あと腐れなく、両者の欲求を満たせます。
   
   事業主側も派遣労働者側も双方幸福!!
   みたいなことを言われてますが、実際はそうじゃない場合もあります。
   
   例えば年長フリーター。彼らは若くない。故にそれだけで数ヶ月単
   位の派遣にさえつけないことがある。
   
   そこでこの日雇い派遣を繰り返し、ようやく日々の糧を得ている。
   こんな感じ。
   
   
   もっとも、今回問題にするのは日常的に派遣社員として働いている
   方ではなくて、これを利用する正社員についてです。
   
   
   ある休日の一日。予定もないし、ちょっと日雇い派遣で稼ごっかな。
   
   これが思わぬ悲劇をもたらすかもしんないという話し。
   
   
   【労働基準法第19条】
   
   ・使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために
    休養する期間およびその後30日間並びに・・・解雇してはならな
    い。
    
    
   業務中の事故。これについては1日だけの日雇い派遣だろうとなんだ
   ろうと、業務形態にかかわりなく発生する危険性は常に潜んでいます。
   
   労災扱いにするとかしないとかではなく、その前段階の「事故が生じ
   るかもしんない」という部分においてはそうでしょ?
   
   それが居酒屋での、1日限りの短時間のバイトでもね。
   
   もちろん、事故そのものが重篤なものでなければ、そうですね、
   たとえば運んでいたお皿を落し、それを片付けているときに指先を
   ちょこっと切った、とかいう程度で済めば問題も少ないでしょう。
   
   しかし、軽い怪我ばかりではなく、アルコールを飲めないのにお客に
   勧められるまま口にし、急性アルコール中毒でそのままひっくり返っ
   て、運が悪いことにその拍子に床とかサイドボードとかに頭を強く打
   ちつけ大怪我をしてしまった。
   
   こんな可能性はありますよね。めったにないよって言う頻度は度外視
   して。
   
   この場合ですよ、労災が認定されてもその居酒屋とは1日限りの労働
   契約ですからその日がすめば当然労働契約そのものは打ち切られます。
   上記のような解雇制限の問題は生じません。
   
   では、業務中だから、という理由で正規雇用の会社がこの業務中の
   災害による解雇制限に拘束されるでしょうか?
   
   答えはNO。
   
   そりゃそうですよね。自身のあずかり知らないところで起こった事故
   なんですから。
   
   そうすると、当然とは言い切れませんが、事故の程度が重く、回復
   までに時間がかかるといった場合は、その正規社員の地位を失うこ
   とは充分あり得るんですよね。
   
   先の指先を切ったという程度でも、完治までに相当日数がかかり(僕
   みたいにね)、具合が悪いことにその仕事がパソコンを駆使する必要
   がある(スピィーディに)なんて場合には、その完治を待ってくれる
   保証なんてないからねぇ。
   
   目先の僅かな利益に拘りすぎる。
   
   最近のわが国社会は、この言葉がピッタリしすぎてる気がするけどね。
   
   お小遣いを稼ぐつもりで。こんな場合でも、充分に注意してください。
   
   
   
   あと、事業主側の落とし穴。
   
   【労働基準法第38条】
   
   ・労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する
    規定の適用については通算する。
    
    
    
   たとえば、A社に常勤しているb君が休日を利用してレストランCに
   てバイトしているとしましょう。
   
   A社の労働時間は1週間40時間。
   (1日8時間×5日)
   
   この時点でb君は1週間の法定労働時間を満たしきっています。
   
   ですから、レストランC(こちらの方が、後から働きに出たとする)
   は当初から時間外割増賃金を支払う必要があります。
   
   時給800円なら最低でも1,000円になります。もちろん、店舗の
   従業員の時給を統一する必要はありませんから、時給800円には当初
   から時間外の割増分を含んでいる、と労働条件通知書に記載してあれば
   問題はないです。
   
   ですが、その場合は時給ベースだと640円になってしまいます。
   (640円×1.25=800円)
   
   都道府県、業種別の最低賃金をクリアしていればいいですが、咄嗟に苦
   し紛れの言い逃れを口にしたとしても、この部分で違法になっている
   こともあり得ます。
   
   ただ、最近の学説等ではこの労基法第38条の解釈について
   「使用者が異なる場合までは想定していないのではないか?」
   といった意見もありますが、現在のところの行政解釈は使用者
   が異なっていても「通算する」とのことですから、まだ充分注意
   する必要があるでしょう。
   
   「知らなかったんだ」では許されないのが法律ですから。
   
   
   
   
   では、また。




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 当メルマガは作成時の法令等に準拠しております。また、内容に関しま
 しては個人的見解を含んでおります。
 
 あくまでも一般論ですから、個々の事例につきましては、行政及び専門家
 に詳細をお話の上、相談してください。
 
 当メルマガによって、何らかの損害を被られましても、当方は一切の責任
 を負いかねますので、ご了承ください。
 
 
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発行しています。

配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000143453.htm

発行者Webサイト: http://www.syarousi-tanaka.com/magazine.html



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★  編集後記


   ブログでも書きましたけど、
   
   http://blog.livedoor.jp/syarousitanakaatarum1868/
   
   ヒト・モノ・カネの経営資源には、「ノウハウ・情報」が追加されて
   います。
   
   ここでよく勘違いしがちなのが「情報」。
   
   10年前と比較すればインターネットの普及により、従前より情報
   は格段に入手しやすくなっています。
   
   しかし、です。
   
   ネットのみ、の情報には限界があります。
   
   例えば士業のHPを閲覧しても、自分が抱えている問題が直ちに解決
   されることは少ないんじゃないでしょうか?
   
   その問題にピッタリと当てはまる事例なんてそうそうないでしょう
   し、詳細に書き綴ってあるページもないはずです。
   
   ヒトが抱えている問題なんて、まったく同じなんてありませんからね。
   
   それに・・・
   士業の存在価値の一つに情報を収集しそれを加工し駆使することがあ
   ります。
   
   だからこそHPを閲覧するだけで全てが解決するような情報を発信
   することはないともいえます。
   
   そうでないと、生活していけませんからね。  ^^;
   
   
   また、そんなものに頼るつもりはない、と思われている方もおられる
   でしょうが、そもそもその情報をどうやって検索すればいいのか?
    
   確かにキーワードを打ち込み検索すればそれに関する多くの情報を
   目にできます。
   
   けれども「キーワードを打ち込む」ことはパソコンが自動的にしてく
   れるわけじゃない。アナタが何を探そうとしているのか。そんな内面
   のことは誰にもわかりません。
   
   加えて、多くのヒットした情報網の中で、どれが正しいのか?
   どれが自分に一番適しているのか? これを見極めることも結構
   困難な作業です。
   
   こういったことを踏まえながら、一度成功者といわれる方の書籍を読
   んでみてください。
   
   外部の専門家等をうまく利用する経営者ほど事業に専念され、適格
   な情報を収集できる分、高い業績を上げておられます。
   
   
   そうですね。情報の鮮度としてはあれですけど、現在(実際は数年
   前から)の中小企業行政がどうなっているのかご存知ですか?
   
   賢明に情報を収集されている中小企業の経営者はいち早く国の方策
   の変更を目にし、その政策に沿った経営に方向転換されています。
   
   結果、国から援助を受けておられます。補助金、税制優遇、低金利
   での融資など。(もちろん、クリアすべき要件はありますし、その
   ハードルも決して低くはないです)
   
   これなんて、いまだに御存知ない経営者が多い事を考えると、経営
   者の本気度が直接企業の未来に直結するといっても、あながちオー
   バーな表現じゃないんじゃないかな。
   
   
   今や「情報」を上手に使えない経営者・企業は衰退する可能性が高
   いといわれる時代に突入しているのですから、情報に関してはカネ
   と同じくらい、いやそれ以上に敏感になられることを願っており
   ます。
   
   時として、情報が金を運んでくる。こう考えればいいんですよ。
   
   
   



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  たなか社会保険労務士事務所
 
     URL:   http://www.syarousi-tanaka.com/
 
    eーMail:  info@syarousi-tanaka.com

      社会保険労務士/キャリア・コンサルタント
               
           田中 雅也

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