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休職発令を行わない決裁書の効力

著者 ディーコン さん

最終更新日:2011年05月16日 17:11

私どもの法人では、欠勤3か月を経過した段階で休職とする就業規則を持っていますが、精神疾患で休んだ職員が休職期間に入る段階で、休職発令をせず、「復職の意思が強い」「経済的状況を考慮する」という理由で「休職発令をしない」という決裁書を代表の名前で作る例が2例続いています。でもこの決裁書は掲示されることもなく、本人にそのような決裁書が作られたことを通知することもありません。このような場合の決裁書の存在理由と効力に疑問を感じています。
休職発令をしたらくびになってしまうから、可哀そうだから発令はしない という説明を受けましたが、状況によって法人休職期間の延長が出来る という就業規則があるのに、なぜこのような措置をするのが職員の役に立つのか、本人が存在さえ知らされない決裁書がどれだけ役に立つのか、理解できません。
法人にとっての「1.休職発令をしないメリットとデメリット」、職員にとっての「2.決裁書の存在さえもしらされないのにメリットがあるのか」「3.突然休職期間満了と言われてくびになる という事態をこの決裁書によって防げるのか」以上3点を伺いたく存じます。

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Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者まゆち☆さん

2011年09月29日 00:10

1.休職対象者と変な関わり方をしたくないため、休職発令をしないではなく、「現時点では」休職発令をしない、つまり発令を保留していると解するのが妥当と思います。

 発令保留の理由として考えられるのは、①会社や取引先の縁故者であること。 ②休職事由発生の契機が、過重労働パワハラ等、会社側の雇用状況にあるため、紛争化した場合に会社側がダメージを被る危険性がある場合 ③労使関係が殺伐となることを嫌うため ④休職発令を厳密化すると、それが前例となり、今後あらゆる事案を同様に扱わねばならなくなること。⑤対象者の過去に何らかの功労等があること…などが想定されます。

 結局のところは事業者の経営方針に起因する話です。ここでメリットとデメリットは表裏一体の関係であり、労使全体の意思が一致する解答がないため、進行方向のメリットに対し、180度逆方向にリスクが発生します。①の縁故者と揉めたくないというメリットは、縁故者だけ特別扱いするとの反感が社員に生じる…という具合です。

2.発令を保留しているなら、それを知らせることに意味はなく、実際に発令する際に妨げとなります。「なぜ、いま発令するのか?」と問われた場合に、妥当な返答ができるとは限りません。

3.休職命令が出て、その内容が対象者に通知されていない以上、決裁書の有無に関わらず休職期間が満了することはありません。一般的な就業規則等では「***の場合、休職を命じることがある」といった旨の規定文となっており、発令の事実がなければ期間満了も含め、当該規定が適用されないと解します。

Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者ディーコンさん

2011年09月29日 09:28

まゆち様
このような事例に明快な回答を賜り、ありがとうございます。

ただ、休職について当社の就業規則が一般的でないのか、更に質問させてください。

> 3.休職命令が出て、その内容が対象者に通知されていない以上、決裁書の有無に関わらず休職期間が満了することはありません。一般的な就業規則等では「***の場合、休職を命じることがある」といった旨の規定文となっており、発令の事実がなければ期間満了も含め、当該規定が適用されないと解します。

とのことでしたが、当社では勤続5年未満で欠勤が2カ月に及んだ場合6カ月、5年以上は欠勤が3か月に及んだ場合1年の休職期間を定めています。また「休職を命じる」ではなく「休職とする」となっており、通知が無くても就業規則に書いてあるのだから自動的に休職期間が満了する仕組みと言えるのではないかと思います。

このような場合の決裁書の効力について再度ご教示をいただければありがたく存じます。

Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者外資社員さん

2011年09月29日 09:43

削除されました

Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者まゆち☆さん

2011年09月29日 23:19

休職は、一般的に労働者使用者の合意または使用者の一方的な命令(休職命令)により行なわれるもので、休職期間の満了、または期間中や満了時に休職事由が消滅することより終了するものです。

 ここで休職使用者の処分の1つです。公務員を例に挙げると分限処分の1つであって、相手方への通知を経て、意思到達することで効力が発生します。よって実際には、労働者の長期欠勤について、会社側は自動的に「休職となったもの」解する一方で、労働者本人が「単に長期の自己都合欠勤」と認識したまま放置された場合、結果的に会社側は「休職期間満了による契約解除」が出来ない。

 これは「期間満了した」と会社側が主張しても、労働者自身が自身に就業規則休職規定が適用されていたことに認識が全くなく、期間初日が確定しない状態で休職期間が経過したとの主張では、会社側の主張自体に合理性が担保されないからです。

 確かに貴社の規定上は、「休職とする」であっても、その手続として通知が含まれていると考えるのが妥当と考えます。

Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者ディーコンさん

2011年10月03日 13:49

まゆち様
休職」について理解できました。ありがとうございます。

>  確かに貴社の規定上は、「休職とする」であっても、その手続として通知が含まれていると考えるのが妥当と考えます。

「通知をしなければ効力は発生しない」ことは労基法に規程されているのでしょうか?明示しているテキストとか、裁判事例とかありますでしょうか?あったら教えていただきたいのですが・・・・

実は以前、当法人で長期欠勤者を(休職発令をせずに)休職期間満了として辞めていただいたことがあります。訴えられませんでしたが、訴えられたら負けますよね。たまたま相手が知らなかったとは言え、危ない橋を渡ってしまったのではないかと思います。
辞めていただいた方がいい方に争わずに辞めていただく手順を、代表や部長達に正しく理解させる(少なくとも人事のスタッフは正しく理解しておく)必要があると感じています。
参考資料があったらご紹介いただけませんか?

Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者まゆち☆さん

2011年10月03日 22:46

休職とは労働者を就労させることが適切でない場合に、就労を一時禁止したり免除することです。

主な種類としては
[1]労働者の業務外の疾病・負傷を理由とする傷病休職
[2]傷病以外の事故による欠勤を理由とする事故欠勤休職
[3]刑事事件起訴された者を、一定期間または判決確定時まで休職させる起訴休職
[4]国内・海外留学や公職就任のための自己都合休職
[5]出向期間中の出向休職
などがあります。

休職は、労働者使用者の合意、あるいは使用者の一方的な命令(休職命令)によって行われます。休職期間の満了、または期間中や満了時に休職事由が消滅することによって終了することになります。

   ↑↑
 のように解釈されており、実務上、社会通念上、このような解釈が一般的であり、労働法規関係の書籍にもそのような旨の記述があると思います。これは法律論の話であり、労基法本文に休職の定義はありません。

 なお、私の不勉強もありど真ん中直球の判例はわかりません。参考として古いものを。

 1966年5月31日 大地裁控訴審・近畿大学事件(昭和34年(ワ)3092 )で、「一般に休職処分とは当該従業員に執務させることが不能であるか、もしくは適当でないような事由が生じた場合に、従業員の地位は現存のまま保有させながら執務のみを禁止する処分であると解されるから…」と触れられています。

 つまり「命令」であり「処分」ですから、「明確な相手側への意思到達が必要であること」は疑う余地がないと考えます。被処分者の知らないところで命令や処分が出て有効とされるなら、合理性や妥当性が全く担保されません。

 さらにベタな検討をすると、社員が休む場合…①所定休日(無給) ②年次有給休暇(有給) ③産休・介護休暇(大抵が無給) ④会社側の了解を得た欠勤(無給・短期なら懲戒対処とならない) ⑤無断欠勤(懲戒対象) ⑥会社側の休業命令(休業手当の支払) ⑦法定伝染病の羅患による休業命令(無給) ⑧特別休暇(冠婚葬祭等で有給・無給)等…とある訳で、ここで休職事由に該当する事例の場合、予め就業規則等で定義し、明文化され周知された制度として運用することが必要になります。これを定義しないと、賃金の有無、懲戒の有無、さらに会社側の法的責任の有無が不明のまま、休ませることとなり、そのリスクは使用者側に作用します。

 本来、休職事由の存在を立証すべきは使用者側にあると考えます。これはエール・フランス事件(東京地判1984(昭59)・1・27判決)で、「使用者が当該従業員復職することを容認しえない事由を主張立証してはじめてその復職を拒否して自然退職の効果の発生を主張しうる」と例示していることから、休職に係る処分の合理性に関する立証責任は、処分権者である使用者側にあると考えるのが妥当だと思います。


 貴法人の長期退職者の件は、休職規定を根拠とするなら、根拠が余りにいい加減な話です。ただご当人は広義の退職勧奨の一環と解して争わなかったように感じます。

 読みづらい駄文で済みません。

Re: 休職発令を行わない決裁書の効力

著者ディーコンさん

2011年10月06日 09:26

まゆち様
早速に詳しいご説明と資料をいただき、ありがとうございます。

今後このような事態が発生した時は慎重に、弁護士や社労士の先生に伺いながら進めていきたいと思います。ありがとうございました。

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