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年次有給休暇制度に関するQ&A(その2)

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第63回 年次有給休暇制度に関するQ&A(その2)
        Q3.年休の計画的付与とは?
        
                           
<第79号>     平成23年11月21日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

○ 年次有給休暇(以下「年休」)の計画的付与については、
労基法第39条第6項に定められているもので
年休の取得方法の一つです。

近年、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が
時代の潮流となりつつありますが、

その実現のためには、年休を取得しやすい環境の整備と、
表裏の関係とも言える時間外労働の削減の実現が
大きなカギとなります。

その中で、年休取得率向上の有力な方法の一つとして
この計画的付与制度が有効であり、国としても
その推進を図っていこうとしています。

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・詳細は、以下からご覧ください。

http://www.mag2.com/m/0001323932.html

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○ 年休の計画的付与とは、その事業場労働者の過半数で
組織する労働組合がある場合はその労働組合と、

その労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者
使用者とで書面による協定により

労基法の要件を満たして付与された年休について
有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは

労働者に付与された年休の日数のうち5日を超える部分に
ついては、労使協定の定めにより年休を与えることができる
(労基法第39条第6項)という制度です。

そして、計画的付与の方式として解釈例規では次のように
示しています。

年次有給休暇の計画的付与の方式としては、
(1)事業場全体の休業による一斉付与方式、(2)班別の交替制
付与方式、(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
等が考えられる」(昭63.1.1基発第1号)とし、

さらにそれぞれの場合の労使協定で定めるべき事項として
(1)の場合は、具体的な年休の付与日、(2)については

班別の具体的な年休の付与日、(3)の場合は計画表を作成する
時期や個人ごとの付与日を設定する手続等としています。

なお、特別の事情により年休の付与日があらかじめ
定められることが適当でない労働者については、

計画的付与に係る労使協定を結ぶ際に、計画的付与の対象から
除外することも含め、労使関係者が十分話し合うことが
大事であるとしています(前掲通達)。

○ 各労働者が有する年休日数のうち、計画的付与の対象と
できるのは、年休のうち5日を超える部分となります。

この5日を超える部分と限定するのは、
労働者の病気その他の個人的事由による取得のために、

労働者の指定した時季に与えられるものとして
一定の日数を留保しておく必要があるためとしています。

また、5日を超える年休日数が少なく計画的付与として
設定した休暇日数より少ない労働者については、年休の
付与日数自体を増やすことなどの措置も必要となります。

例えば、事業場として協定で計画的付与日数を6日と
した場合に、5日を超える部分の年休日数が6日に
満たない場合、

つまり、年休残日数が7日しかない労働者の場合、
5日を超える部分は2日しかないため、

不足する4日間については事業場として特別有給休暇として
付与するなどの措置が必要となります。

なお、年休の日数のうち5日を超える部分には、
前年度からの繰り越された年休がある場合には、その年休も
含むものとしています(昭63.3.14基発第150号)。

従って、前年度からの年休が3日間繰り越され、当年度に
12日分の年休権が発生する労働者については、

合わせて15日の年休のうち5日を超える部分である
10日を計画的付与の対象とすることができることになります。

◆◆ 計画的付与制度の有効性 ◆◆

○ 最初に年休の計画的付与制度の普及状況について
「労働政策研究・研修機構」による調査データを紹介します。
(2011年5月25日発表)

(1)導入されている   21.8%
(2)導入されていない  34.7%
(3)わからない     42.2% となっています。

全国的にはそれほどの普及はしていないと言えます。
ただし、企業規模が大きいほど、かつ労働組合がある
事業場ほど5割弱の導入率となっています。

なお、わからないとの回答が42.2%ということは、
この計画的付与制度自体が良く理解されていないのでは
ないかとも考えられます。

○ 次に「年次有給休暇を取り残す理由」に関して
同機構の調査データを紹介します。

この調査は「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の
合計でみたものです(複数回答)。

第1位:病気や急な用事のために残しておく必要があるから
                ・・・・64.6%
第2位:休むと職場の他の人に迷惑になるから
                ・・・・60.2%
第3位:仕事量が多すぎて休んでいる余裕がないから
                ・・・・52.7%
第4位:休みの間仕事を引き継いでくれる人がいないから
                ・・・・46.9%
第5位:職場の周囲の人が取らないので年休が取りにくい
                ・・・・42.2%
となっています。

○ 以上のデータから言えることは、
年休の計画的付与制度自体の理解を深めるとともに、

その事業場における業務の繁閑の時期を勘案して、
閑散期を中心として事業場として決定した計画的付与日を

事業場全体及び各労働者に事前に予告することにより、
業務の調整、休暇中の引継ぎ、取引先との連携等から

周囲に気兼ねすることなく年休の取得が可能となるものと
考えるものです。

◆◆ 計画的付与に係る協定例 ◆◆

○ 計画的付与制度の理解を深めるため、また
実際に導入する際の実務に役立てれるように、

厚生労働省のモデル協定例として定めたものから
紹介したいと思います。

(1)計画的付与に関する就業規則の規定例;

年次有給休暇
第○条 従業員は、年次有給休暇を取得しようとするときは
所定の手続により、事前に届出をしなければならない。

2.会社は、前項の規定により請求された月日に年次有給
休暇を付与することが事業の正常な運営を妨げると認められる
場合においては、これを他の月日に変更することができる。

3.第1項及び前項の規定にかかわらず、会社が労働組合
又は労働者の過半数代表者)との協定により年次有給休暇

計画的に付与することとした場合においては、その協定の
定めるところにより同休暇を付与するものとする。

4.従業員は、その保有する年次有給休暇のうち前項の
労使協定に係る部分については、その協定の定めるところに
より取得しなければならない。

(2)計画的付与に係る労使協定例;

○ 計画的付与制度の導入方式として3種類があると
説明しましたが、ここでは「年次有給休暇付与計画表による
個人別付与方式」の場合について紹介します。

年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定

○○販売株式会社と同社従業員代表○○○○とは、標記に
関し、次のとおり協定する。

1.当社の従業員が保有する平成○○年度の年次有給休暇
(以下「年休」という。)のうち、5日を超える部分については

6日を限度として計画的に付与するものとする。なお、
その保有する年休の日数から5日を差し引いた残日数が

「6」に満たない者については、その不足日数の限度で
特別有給休暇を与える。

2.年休の計画的付与の期間及びその日数は、次のとおりと
する。

 前期   4月~9月の間で3日間
 後期   10月~翌年3月の間で3日間

3.各個人別の年休付与計画表は、各回の休暇対象期間が
始まる2週間前までに会社が作成し、発表する。

4.各従業員は、年休付与計画の希望表を、所定の様式により
各回の休暇対象期間が始まる1か月前までに、所属課長に
提出しなければならない。

5.各課長は、前項の希望表に基づき、各従業員の休暇日を
調整し、決定する。

6.この協定の定めにかかわらず、業務遂行上やむを得ない
事由のため指定日に出勤を必要とするときは、

会社は従業員代表と協議の上、第2項に定める指定日を
変更するものとする。

平成○○年○月○日
○○販売株式会社 取締役社長 ○○○○
○○販売株式会社 従業員代表 ○○○○

○ 以上の規定例を参考にしていただき、各事業場
最も適切な方式により導入することをお勧めします。

この10年間、年休取得率が全国平均で5割を下回って
いますが、国の目標として2020年70%以上取得を
目標としています。

そのためにも、労使の話し合いの機会を整備して
労働者の忌憚のない意見と、使用者の経営的な大局観からの

考え方を何度となく摺り合せていくなかに、年休取得への
工夫と知恵が出てくるものと確信します。

そして、魅力ある事業場へと労使全員の力量で
押し上げていって頂きたいと念願するものです。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

○ ワークライフバランス実現のカギは、
所定外労働の削減と年次有給休暇の取得促進にあります。

所定外労働削減のポイントは労働生産性の向上に
関わってきます。

日本生産性本部がOECD(経済協力開発機構)のデータから
就業者1人当たりの付加価値で測った労働生産性の国際比較で

日本は加盟33カ国中、第22位と大変低い位置にあり、
先進7か国では最下位であったと発表しました。

ちなみに、第1位はルクセンブルク、第2位ノルウェー、
第3位アメリカと続き、以下アイルランド、ベルギー、フランス
イタリア、オーストラリア・・・・となっています。

つまり、所定労働時間における労働の効率を上げ、密度を
濃くしていくことが重要となります。

○ また年次有給休暇の取得率がなかなか上がらない場合、
その原因は、みんなに迷惑がかかる、後で多忙になるから、

職場の雰囲気で取得しづらい、上司がいい顔をしない等々が
よく聞かれる理由となっています。

しかし、バブル経済崩壊後、
多様な働き方とともに、多様な生き方も求められる時代です。

将来人口推計でも、現在の就業人口(15歳~64歳)が
2055年には約50%近く減少することを勘案すると

いかに魅力ある企業を作っていくかが、優秀な人材確保に
欠かせない要件となってきます。

そのためにも年休の有効利用の門戸を開くことが大事です。

そのための最も有効な方式が、今回取り上げた
年次有給休暇の計画的付与制度と確信するものです。

会社全体で決定し、全従業員に周知することから
「お互い様」となり、同僚・周囲に気兼ねなく取得できると
思います。

では、また次号でお会いしましょう。
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