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就業規則作成講座(17)~健康・メンタルヘルスリスク(1)

1.会社で働く人が、心身の健康を害したら?

かつては、健康管理は本人の責任とされていました。
しかし、今日では、このような考えは通用しません。

もちろん、本人の責任もあります。
当然。
しかし、会社で働く人の健康に関しては、会社にも責任があります。


2.会社の法的義務は?

まず上げられるのが、労働安全衛生法などの法的義務。
ここには、健康診断や安全衛生管理体制など、会社が取るべき措置が定められています。

次に上げられるのが、企業の「安全配慮義務」。

これは判例で次のように定義されています。

「雇傭契約は、労働者労務提供と使用者報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから、使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解するのが相当である。」

ここは会社としても、注意が必要です。

と言うのは…

労働安全衛生法が規制の対象にしているのは、職場環境など、あくまでも働く場所です。
一方、安全配慮義務の方は、「労働契約に付随する義務」。
範囲が広いのです。


また、安全衛生に関する会社の義務も、様々な広がりを見せています。

・脳・心臓疾患(長期にわたる疲労の蓄積も、業務災害の対象となる)
メンタルヘルス(これも業務災害、会社の安全配慮義務が問われる)
・長時間労働(脳・心臓疾患やメンタルヘルス障害との関係が強いとされる)


会社が働く人の心身の健康のためにするべきことを怠っていたら。

つまり…
労働安全衛生法などの義務を果たしていなかった
安全配慮義務を果たしていなかった

この場合、まず、労基署の指導を受けます。
これについては以前ご説明したとおりですね。

でも、それだけで済めば、いいほうです。
いや、重大なことが起こる前に、指摘を受けて是正できていれば、幸運です。

重要なのは、労働災害、過労死・過労自殺といった、取り返しのつかないことが起こってしまうことです。

こうなってしまっては…

訴訟、そして損害賠償
そして社会的信用の失墜。

会社の受けるダメージは計り知れません。

その面からも、就業規則の規定がどうなっているか、会社の体制はどうなっているか、しっかり確かめる必要があるのです。

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就業規則作成講座(16)~人的リスク(3)~情報漏洩リスク
カテゴリ労務管理 > 労働基準法 最終更新日2007年11月22日 15:59
著者社労士事務所HRMオフィス さん ポイント 142,397ポイント
1.情報漏洩リスク

人的リスクの中でも、情報漏洩リスクは、危険度の高いものと言っていいでしょう。

ネットワーク社会、IT社会の今日、企業内の機密情報が、悪意や不注意で、簡単に外に持ち出せてしまいます。

会社の顧客情報、契約上の秘密、技術情報、ノウハウ情報など、重要な情報が漏れてしまったときの打撃は、計り知れません。

また、個人情報保護法の施行で、会社は個人情報の漏洩を防ぐために必要な措置を取ることが義務づけられています。

実際に、顧客データが盗み出されたり、紛失したりといった事故が、新聞などで報道されることも少なくありません。
そのようなことが起こると、企業の信用は大きく損なわれてしまいます。

2.情報漏洩を防ぐための労務管理

情報漏洩を防ぐためには、ファイアウォールなどのネットワーク環境の整備、会社への入退館の管理、機密情報へのアクセス管理など、物理的・技術的対策が欠かせません。

それと並んで重要なのが、就業規則で機密保持に関する定めを置くことです。

3.在職中の守秘義務

これは明解です。
判例でも、「労働者労働契約に伴う付随義務として、信義則上、使用者の利益をことさら害するような行為を避けるべき義務を負うが、その1つとして使用者の業務上の秘密を漏らさないとの義務を負うものと解せられる」として、労働者守秘義務労働契約に当然に付随する義務と定義しています。

ですから会社は、企業秘密を漏らした社員を懲戒処分にすることができます。

4.退職後の守秘義務、競業避止義務

ここは議論のあるところです。

退職後も、どこまでその人は守秘義務を負うのか?
この義務が無制限に存在するのだとすると、労働者の自由を不当に制約することになりかねません。

これについては、会社と本人との間に、秘密保持に関する特別な合意がある場合に、退職後の秘密保持義務が成立すると考えられます。

また、競業避止義務とは、競合関係にある会社への就職をしないという義務です。
社員がライバル会社に転職して、身につけたノウハウ、知識、情報などを活用されるのは、会社としては避けたいところです。

しかし、これも、職業選択の自由との関係もあり、制約があります。
やはり、特別な合意がある場合に成立すると考えていいでしょう。
そして具体的な判断にあたっては、次のような要素が考慮に入れられます。

労働者の地位
・競業制限の対象期間、地域などからみて労働者の職業選択の自由を不当に制限していないか
・競業制限に対する代償措置


では、退職後の守秘義務、競業避止義務を有効にするためには、何をしたらいいのでしょうか?

まずひとつは、就業規則に、退職後の守秘義務、競業避止義務に関する定めを置くことです。
期間、地域など、できるだけ具体的なものにした方がいいでしょう。
ただ、業務内容、労働者の地位によって、一概に定義できないこともあるでしょうから、その点も考慮に入れた定め方をします。

もうひとつは、退職時に誓約書を書いてもらうことです。
これは個別的なものになりますから、就業規則よりも具体的にします。

http://www.hrm-solution.jp

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