平成22年2月15日 第77号
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人事のブレーン
社会保険労務士レポート
───────────────────────────────────
目次
1.
改正労働基準法に係る質疑応答の検討
===================================
ブログもよろしくお願い致します。
「
人事のブレーン
社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
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***********************************
1.
改正労働基準法に係る質疑応答の検討
***********************************
1.はじめに
今回のメルマガでは、平成21年10月5日に出された「
改正労働基準法に係
る質疑応答」について検討したい。
平成22年
改正労働基準法の概要については、すでにこのメルマガで取り上げ
ているので、今回は注意点のみとしたい。
2.
特別条項付き
36協定と割増率
(1)概要
今回の改正で、割増率が引き上げらあれる基準は月間の
労働時間が60時間
を超えた
時間外労働に対する時間であり、引き上げの努力義務が課されるのは、
45時間を超えた時間である。
あわせて、いわゆる残業時間の限度時間に関する大臣告示(「
労働基準法第3
6条第1項の協定で定める
労働時間の延長の限度等に関する基準」平成10年
労働省告示第154号)を超えて労働させる場合に必要である、
特別条項の協
定項目に、大臣告示の限度時間を超過した場合の割増率が追加された。
そしてこの割増率について、いわゆる2割5分を超えて設定せよという努力義
務が課せられた。
ここでの問題点は、努力義務を果たした場合に生じてくる。
(2)
1年単位の変形労働時間制の場合
たとえば
1年単位の変形労働時間制の1ヶ月における限度時間は42時間であ
る。
45時間を超過しなくても、42時間を超過し、45時間までの時間について
は努力義務が課され、2割5分増しを超える割増率の設定がなされている場合
には、42時間を超過した時点で、その割増率が適用される。
一方で、同じ職場であっても
1年単位の変形労働時間制の適用がない
労働者に
ついては、45時間を超過した時にその割増率が適用される。
これは1ヶ月だけではなく、年間の限度時間においても同様である。
(3)1年限度時間超過と1日を超え3ヶ月以内の割増率が違う場合
36協定締結にあたり、「1日を超え3ヶ月以内」の期間と「1年」の限度時
間を定めなければならない。
1ヶ月で定めるケースが多いので、1ヶ月として述べるが、1ヶ月の限度時間
超過の場合の割増率と1年の限度時間超過の割増率が違う場合、どちらを適用
すべきかという競合の問題が生じる。
結論は、労使間の取り決めがなければ高い方の割増率を適用することとなって
いる。
しかし具体的には、割増率が異なる場合には、どのような適用をするのか決め
ているのが通常であり、労使間で協議し、協定が締結されていれば、その協定
通りにして良いということである。
1ヶ月の限度時間超過の割増率が3割で、1年の限度時間超過の割増率が4割
の場合、この2つがどのように競合するのか
労使協定で定めるべきで、定めて
いなければ1年間の限度時間である360時間(
1年単位の変形労働時間制に
ついては320時間)を超過した
時間外労働については4割で、その範囲内で
月の限度時間を超過した
時間外労働については3割となる。
特段の取り決めがない場合には、月の限度時間を超過した
時間外労働で、既に
3割り増しの
賃金を支払っている場合でも、年間の限度時間の超過時間から控
除することはできないとされている。
しかし、協定において月の限度時間を超過した場合で、3割増しの
賃金を支給
した
時間外労働については、年間の限度時間を超過した
時間外労働から控除し
て計算するという内容で締結されていれば、この様に取り扱うことができる。
割増率の引き上げについては、努力義務の部分に限り、労使間の協議に委ねて
いる項目が多い。
実務上は、様々なケースを想定して
労使協定を起案しなければならない。
3.改正法適用の
労使協定
改正法に対応した
36協定について、いつから適用になるのか。
結論は、平成22年4月1日以降に締結または更新された
36協定である。
たとえば平成22年3月31日に締結された
労使協定であり、平成22年4月
1日に
労働基準監督署へ届け出た
労使協定は改正前の
書式である。
あくまで
締結日及び更新日がいつであるかで判断される。
4.
法定休日と割増率
限度時間の計算に当たり、法定
休日労働は除外されることはご存じであろう。
法定休日が明確に規定されている場合には問題にはならない。
問題となるのは、
法定休日が明確に規定されていない場合である。
たとえば1週間が月曜日から始まる場合、土曜日と日曜日に
休日出勤をした。
法定休日が明確ではない場合には、後順に位置する日曜日が
法定休日となる。
これが日曜から始まる1週間の場合には、後順に位置する土曜日が
法定休日と
なる。
4週4日の
変形休日の場合で、
法定休日が明確に規定されていない場合は「あ
る
休日に労働させたことにより、以後4週4日の
休日が確保されなくなるとき
は、当該
休日以後の
休日労働が
法定休日となる」とされている。
1日の
所定労働時間が8時間の場合、4週8休制になる。
法定休日が明確にされていない、4週8休制においては、最初の4日間の
休日
に働いた場合には、残りの4日間の
休日が法定
休日労働となる。
要するに、最初の4日間の
休日労働は、60時間の計算に含める所定
休日労働
である。
当然
法定休日が明確に規定されていれば、その通りとなる。
5.
代替休暇
(1)付与の時期
改正省令第19条の2第1項第3号で「
時間外労働が1ヶ月について60時間
を超えた当該1ヶ月の末日から2ヶ月以内とする」とされている。
即ち、翌
賃金計算期間と翌々
賃金計算期間に取得しなければならないというこ
とである。
(2)付与の単位
1日または半日単位とされている。
半日については、
所定労働時間の半分の必要はない。
たとえば、9時始業、18時終業の場合、9時から12時までは3時間、13
時から18時までは5時間である。
半日の概念は、午前3時間でも、午後5時間でも半日付与したこととされるの
である。
当然、
労使協定において半日の定義を定めておく必要がある。
(3)意向確認
代替休暇については、付与することにより1.5から1.25の割増率になる
という効果がある。
実際には、忙しいから残業するわけであり、
代替休暇を取得することは実務上
困難であると推測されるが、制度としてはどのように運用をすればいいのであ
ろうか。
60時間を超過した
労働者に対して、必ず意向確認を行わなければならない。
1.5とするのか、
代替休暇を取得するのかの意向を確認する。
この意向確認がなされずに、1.5の
賃金を支払ったとしても、
代替休暇が取
得できる期間内に
代替休暇取得の申請がなされた場合には、取得をさせなけれ
ばならない。
当然に、0.25の差額は精算することに問題はない。
この意向確認の程度は、日時の特定をする必要はなく、
代替休暇を取得したい
という程度の意思確認でよしとされている。
(4)時季変更
代替休暇については、
労働者の意向を踏まえて決定すべきものとされており、
代替休暇の取得等の具体的な方法については、労使の話し合いにより
労使協定
で定めるものとされている。
6.まとめ
今回は改正法の実務的な部分の検討を行った。
しかし、大多数の中小企業は猶予されており、中小企業の猶予がなくなった際
には、制度の改正も行われているかもしれない。
改正法については、今後とも情報収集を行っていく必要がある。
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1.はじめに
今回のメルマガでは、平成21年10月5日に出された「改正労働基準法に係
る質疑応答」について検討したい。
平成22年改正労働基準法の概要については、すでにこのメルマガで取り上げ
ているので、今回は注意点のみとしたい。
2.特別条項付き36協定と割増率
(1)概要
今回の改正で、割増率が引き上げらあれる基準は月間の労働時間が60時間
を超えた時間外労働に対する時間であり、引き上げの努力義務が課されるのは、
45時間を超えた時間である。
あわせて、いわゆる残業時間の限度時間に関する大臣告示(「労働基準法第3
6条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」平成10年
労働省告示第154号)を超えて労働させる場合に必要である、特別条項の協
定項目に、大臣告示の限度時間を超過した場合の割増率が追加された。
そしてこの割増率について、いわゆる2割5分を超えて設定せよという努力義
務が課せられた。
ここでの問題点は、努力義務を果たした場合に生じてくる。
(2)1年単位の変形労働時間制の場合
たとえば1年単位の変形労働時間制の1ヶ月における限度時間は42時間であ
る。
45時間を超過しなくても、42時間を超過し、45時間までの時間について
は努力義務が課され、2割5分増しを超える割増率の設定がなされている場合
には、42時間を超過した時点で、その割増率が適用される。
一方で、同じ職場であっても1年単位の変形労働時間制の適用がない労働者に
ついては、45時間を超過した時にその割増率が適用される。
これは1ヶ月だけではなく、年間の限度時間においても同様である。
(3)1年限度時間超過と1日を超え3ヶ月以内の割増率が違う場合
36協定締結にあたり、「1日を超え3ヶ月以内」の期間と「1年」の限度時
間を定めなければならない。
1ヶ月で定めるケースが多いので、1ヶ月として述べるが、1ヶ月の限度時間
超過の場合の割増率と1年の限度時間超過の割増率が違う場合、どちらを適用
すべきかという競合の問題が生じる。
結論は、労使間の取り決めがなければ高い方の割増率を適用することとなって
いる。
しかし具体的には、割増率が異なる場合には、どのような適用をするのか決め
ているのが通常であり、労使間で協議し、協定が締結されていれば、その協定
通りにして良いということである。
1ヶ月の限度時間超過の割増率が3割で、1年の限度時間超過の割増率が4割
の場合、この2つがどのように競合するのか労使協定で定めるべきで、定めて
いなければ1年間の限度時間である360時間(1年単位の変形労働時間制に
ついては320時間)を超過した時間外労働については4割で、その範囲内で
月の限度時間を超過した時間外労働については3割となる。
特段の取り決めがない場合には、月の限度時間を超過した時間外労働で、既に
3割り増しの賃金を支払っている場合でも、年間の限度時間の超過時間から控
除することはできないとされている。
しかし、協定において月の限度時間を超過した場合で、3割増しの賃金を支給
した時間外労働については、年間の限度時間を超過した時間外労働から控除し
て計算するという内容で締結されていれば、この様に取り扱うことができる。
割増率の引き上げについては、努力義務の部分に限り、労使間の協議に委ねて
いる項目が多い。
実務上は、様々なケースを想定して労使協定を起案しなければならない。
3.改正法適用の労使協定
改正法に対応した36協定について、いつから適用になるのか。
結論は、平成22年4月1日以降に締結または更新された36協定である。
たとえば平成22年3月31日に締結された労使協定であり、平成22年4月
1日に労働基準監督署へ届け出た労使協定は改正前の書式である。
あくまで締結日及び更新日がいつであるかで判断される。
4.法定休日と割増率
限度時間の計算に当たり、法定休日労働は除外されることはご存じであろう。
法定休日が明確に規定されている場合には問題にはならない。
問題となるのは、法定休日が明確に規定されていない場合である。
たとえば1週間が月曜日から始まる場合、土曜日と日曜日に休日出勤をした。
法定休日が明確ではない場合には、後順に位置する日曜日が法定休日となる。
これが日曜から始まる1週間の場合には、後順に位置する土曜日が法定休日と
なる。
4週4日の変形休日の場合で、法定休日が明確に規定されていない場合は「あ
る休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるとき
は、当該休日以後の休日労働が法定休日となる」とされている。
1日の所定労働時間が8時間の場合、4週8休制になる。
法定休日が明確にされていない、4週8休制においては、最初の4日間の休日
に働いた場合には、残りの4日間の休日が法定休日労働となる。
要するに、最初の4日間の休日労働は、60時間の計算に含める所定休日労働
である。
当然法定休日が明確に規定されていれば、その通りとなる。
5.代替休暇
(1)付与の時期
改正省令第19条の2第1項第3号で「時間外労働が1ヶ月について60時間
を超えた当該1ヶ月の末日から2ヶ月以内とする」とされている。
即ち、翌賃金計算期間と翌々賃金計算期間に取得しなければならないというこ
とである。
(2)付与の単位
1日または半日単位とされている。
半日については、所定労働時間の半分の必要はない。
たとえば、9時始業、18時終業の場合、9時から12時までは3時間、13
時から18時までは5時間である。
半日の概念は、午前3時間でも、午後5時間でも半日付与したこととされるの
である。
当然、労使協定において半日の定義を定めておく必要がある。
(3)意向確認
代替休暇については、付与することにより1.5から1.25の割増率になる
という効果がある。
実際には、忙しいから残業するわけであり、代替休暇を取得することは実務上
困難であると推測されるが、制度としてはどのように運用をすればいいのであ
ろうか。
60時間を超過した労働者に対して、必ず意向確認を行わなければならない。
1.5とするのか、代替休暇を取得するのかの意向を確認する。
この意向確認がなされずに、1.5の賃金を支払ったとしても、代替休暇が取
得できる期間内に代替休暇取得の申請がなされた場合には、取得をさせなけれ
ばならない。
当然に、0.25の差額は精算することに問題はない。
この意向確認の程度は、日時の特定をする必要はなく、代替休暇を取得したい
という程度の意思確認でよしとされている。
(4)時季変更
代替休暇については、労働者の意向を踏まえて決定すべきものとされており、
代替休暇の取得等の具体的な方法については、労使の話し合いにより労使協定
で定めるものとされている。
6.まとめ
今回は改正法の実務的な部分の検討を行った。
しかし、大多数の中小企業は猶予されており、中小企業の猶予がなくなった際
には、制度の改正も行われているかもしれない。
改正法については、今後とも情報収集を行っていく必要がある。
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