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コラムの泉

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会社で人事制度がうまく機能しない理由ほか・・・

● 目 次 ●

1.はじめに

2.最新人事労務情報

3.人事労務屋のつぶやき

4.社長の疑問 Q&A

5.労働判例紹介

6.サービス残業とその周辺


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1.はじめに

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 はじめまして、人事労務屋でございます。現在、運輸系の某大手企業に勤務
しております。会社に入って20年、そのうち8年半を人事部で勤務する傍ら
、勤務社会保険労務士として、東京都社会保険労務士会港支部に所属し、社労
士としても精力的に活動しております。

 会社に不満があるわけではありませんが、自分の価値観でさらに広いフィー
ルドで仕事がしたい、また、自分の専門分野である人事労務で世の中の幸福の
総量を増やしたいと考えるようになり、今年新たな出発をしようと考えており
ます。

 すでに、昨年9月より、人事労務関連情報ブログ「人事労務屋のつぶやき」
(http://blog.livedoor.jp/etashiro1/)を運営しており、経営者・人事担当者
・ビジネスマン・社労士の方々に好評を博しております。そこで、新年を迎え
るにあたり、人事労務のプロフェッショナルとして、同題名のメルマガを創刊
することと致しました。原則として毎週発行する予定です。場合によっては、
週2回となったり、繁忙期には隔週になるかもしれませんが、その場合はご容
赦願います。

経営者・従業員ともにwin-winの関係になるような理想の人事労務の実
現をめざし、そういった観点から少しでも役に立ちそうな情報をご提供し、記
事を執筆していきたいと思います。人事労務担当者のサポーターの立場で書い
ていきますが、広く一般のビジネスマンの方にとっても役に立つような内容に
していきたいと思っています。

月初に発行する号は、事務所通信をイメージしたもの、その他の週に発行する
号は、《ブログ》「人事労務屋のつぶやき」の最新記事の中で特に重要なもの
をピックアップし、それらとオリジナルの記事をミックスしてお送り致します

 企業に勤務する人事担当者のご苦労は、同じ世界に身をおくものとして十分
に承知しております。私も日々答えのない世界で格闘する毎日を送っておりま
す。この記事に限らず、ご質問やご意見があれば、お気軽にメール
(etashiro@withe.ne.jp)でご連絡下さい。

また、「人事労務屋のつぶやき」(http://blog.livedoor.jp/etashiro1/)では
、毎日記事を投稿しておりますので、こちらも合わせてご愛読戴ければ幸甚で
す。


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2.最新人事労務情報  (2004年12月27日~2005年1月4日)

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■ 過重労働対策について 

 厚生労働省発表 2004年12月27日
 「今後の労働安全衛生対策について」3.過重労働メンタルヘルス対策
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1227-6.html


厚生労働省の労働政策審議会は27日、月100時間を超える残業で従業員
疲労を訴えた場合、事業者に医師の面接指導を義務付ける制度の導入を求めた
。厚生労働省は、2005年の通常国会に労働安全衛生法改正案を提出し、2
006年4月から実施する方針だ。

義務付けは、「月100時間を超える残業」と「従業員からの申し出」の両方
があった場合だけだ。ただ、100時間以下でも疲労が見られたり、従業員
身が健康の不安を申し入れたりした場合には、面接指導を受けさせるよう努め
るとしている。

過重労働による脳・心臓疾患の労災認定は2003年度312件に上り、うち
過労死認定は157件と、3年前の3.5倍に増えている。厚生労働省の調査
によると、301人以上の企業で働く人の5%が月100時間超の残業をして
いる。

(コメント)
私の勤務する会社でも、月100時間を超える過重労働実施者に対して産業医
の保健指導を受けさせています。残業の実績を調べて、該当者にはメールで受
診を案内し、社内にある診療室にいくように指示しています。この場合、本人
からの申し出があろうとなかろうと関係なく、強制的に受けさせています。そ
うしないと、彼らはまず受診しないからです。

今回の建議は、その点で若干疑問を感じます。「従業員からの申し出」は、ま
ず期待できないと思います。100時間を超えるほどの残業をする人は、時間
的余裕がないのですから、100時間を超えたら即受診を義務付けるほうがよ
いと思います。法改正するのなら、実効性のあるものにして戴きたいと思って
います。

■ その他の重要な厚生労働省発表  ( )内は発表日です。
解説記事は、いずれもブログ~人事労務屋のつぶやき~に掲載しています。
http://blog.livedoor.jp/etashiro1/ よりアクセスして下さい。

1.身体障害者及び知的障害者の雇用状況 (2004年12月28日)
  www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1228-3.html

2.労働者災害補償保険制度の改善について (2004年12月21日)
  http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1221-1.html

3.今後の労働時間対策について (2004年12月17日)
  http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1217-6.html



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3.人事労務屋のつぶやき (今回は人事制度運営に対するぼやきです。)

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■ 会社で人事制度がうまく機能しない理由

 人事制度がうまく機能している会社なんて、殆ど存在しないのではないか?
企業の人事部で制度設計から運用までを担当してみて、そんな感触を持ってい
る。制度と運用は車の両輪に例えられるが、より重要なのは、多くの方がそう
思われているように、やはり運用の方だと思う。

 目標管理人事考課を運用する主体は、あくまで現場の管理職と一般社員で
ある。特に管理職は、日常業務をこなしつつ、プレーイングマネージャーたる
ことを求められており、業務負荷は大変なものとなっている。現場の負担も考
慮して、制度改革や運用の見直しを検討していくことも必要ではないかと思う


 また一方で、目標設定・評価、自己申告の締切期限を守れない者に対する追
い出しが、人事担当者にとって負担のかかる仕事となっている。新制度に移行
して3年、Web Systemを導入して2年が経過したが、決められたス
ケジュール通りにはなかなか進んでいかない。こんな状態で、「制度改革だ、
運用の見直しだ」と言って議論をしても空しくなるばかりである。

思うに、会社には、「特に期限を守らなくても構わない」等という目には見え
ないが潜在的な意識があるのではないかと感じている。私が勤務している会社
だけかもしれないが、このような時間感覚が支配しているような組織は、まず
はこのあたりの意識改革に取り組むことが重要であろうと考える。

時間感覚を取り上げたが、それ以外にも旧態依然の意識・組織・システムを残
したまま、制度だけ新しくしているようなことがないか、よく点検することが
必要ではないだろうか。


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4.社長の疑問 Q&A

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Q:就業規則よりも労使慣行が優先されることがあるって本当ですか?

A:「通勤手当は月額一律1万円支給」という規定が就業規則にあるところ、
いつの間にか「定期券代実費支給」という慣行ができあがり、今では労使当然
のごとくこの扱いをして十数年経っていました。ところがある日、新任の経理
担当者が「就業規則ではこう書いてあるのだから規程どおり一律1万円にする
」と言い出しました。社員にとっては実質減額となることから、突然のこの発
言に一同反発しています。

就業規則等にある労働条件を下回る労使慣行が無効となることはいうまでもな
いでしょうが、それを上回る労使慣行についても、「長い期間にわたって反復
継続し」「労使双方が特段に異議をとどめていなかった」のであれば、上の例
でいう「一律1万円」の明文があっても、なんら異議なく続いた「実費支給」
の慣行のほうに軍配があがるということになります。つまり、労使慣行が就業
規則よりも優先されることがあるわけです。

もちろん、どのくらい反復継続していたか等により判断は変わりますが、社内
ルール(労使慣行)を明文化しておかないと、こうした問題がいつ起きても不
思議ではありません。
就業規則・社内規定の見直しは、とても重要なことだといえます。


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5.労働判例紹介

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「雇い止めの可能性が示されず7回更新された有期雇用契約の更新拒絶は、
合理的な理由がなく無効」

■ ユタカサービス事件 (東京地裁 平成16年8月6日)

 本件は、1年間の雇用契約を7回更新してきた労働者の雇い止めが争点にな
った事案。

 会社は、ビルの警備業務等を行っており、警備員として勤務していた原告が
66歳となる平成15年7月15日をもって労働契約を終了する旨を5月に通
知し、契約の更新を拒絶。そこで、原告が、雇用継続の期待を抱くのは当然で
あり、雇い止めは権利の濫用であるとして、地位確認等を求めた。

 会社は、本件雇い止めに解雇法理の類推適用があるとしても、原告には非違
行為(1.無断早退、2.本件社屋の浴室の使用、3.勤務中の喫煙、4.勤
務中の新聞読み、5.巡回業務の懈怠等)があるとして、権利の濫用にはあた
らないとした。

 裁判所の判断は、「原告が雇用継続の期待を抱いたことには、合理的な理由
があるというべきであり、会社が更新拒絶するに当たっては、解雇法理が類推
適用される。原告の行為に問題があると考えられる点を総合したとしても、本
件雇い止めに客観的に合理的な理由があるとは言えず、原告の請求を認容した。

有期雇用契約の雇い止めの判例は多くあります。本件の争点は次の2点です。
1.原告と会社の間の労働契約に解雇法理の類推適用があるかどうか。
2.本件雇い止めに客観的で合理的な理由があるかどうか。
裁判所は、
1.については、原告には雇用が継続される期待権があり、更新拒絶には解雇
法理が適用されるとし、
2.については、この会社の従業員の大半が有期雇用契約者であり、それらの
者が会社の本業に従事していることから、
本件雇い止めには正社員の場合と同程度の合理性が求められるとしました。


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6.サービス残業とその周辺

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■ 労働基準監督署の立ち入り調査とは?

 一向に減らないサービス残業(賃金不払い残業)への強化対策の1つとして
、厚生労働省は、夜間臨検監督の対象事業所を従来の2~3倍に増やし、残業
の実態把握と労働基準法違反の摘発に力を入れることを挙げています。「臨検
監督」とは、労働基準監督署が実施する事業場への立ち入り調査のことを言い
ますが、一体どのようなものなのでしょうか?

そもそもこの調査は、労働基準法労働安全衛生法などの法令違反の発見とそ
の違反事項の是正を目的としています。労働基準監督官には立ち入り権限や帳
簿書類の提出を求める権限があります。通常、臨検監督は、日中に行われるこ
とが多いのですが、サービス残業や過労死問題は違法な長時間労働が背景にあ
ることから、夜間の臨検監督を行うこととしたようです。

この臨検監督には以下の3種類があります。

<定期監督> 重点業種を定めて定期的な計画に基づいて行われる監督。

<申告監督> 法令違反があったとして労働者が行った申告に基づく監督。

 最近では、この申告監督が増加しています。このケースでは、事業主を労働
基準監督署に出頭させる場合もあります。

<再監督>  定期監督等のその後の実施状況を確認するために行われます。
是正報告書が期日まで提出されていない場合等に行われる監督です。

また、労災申請があった場合、労働基準監督署内で申請内容のほか、その後の
調査で把握した労働時間の実態や残業代の支払い状況、健康診断の実施状況を
、これまでつながりが薄かった労働基準監督署内の監督部門と労災補償部門が
担当者同士で情報を共有するとされました。

最後に、ご存知ないかもしれませんが、労働基準監督署の監督官は、「司法警
察官」であるということです。よほど悪質でないと逮捕や送検ということはあ
りませんが、指導に従わない場合には、逮捕もあり得るということをお忘れな
く・・・。



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● 編集後記 ●

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ブログと違って、メルマガの立ち上げはスムースにいきませんでした。まあ、
慣れるまでの辛抱でしょう。年末年始の休暇中に取り組むことができて良かっ
たと思います。これから、エンジンがかかってくれば、発行頻度を増やしてい
きたいのですが、人事労務屋もこれから5月くらいまでが繁忙期となりますの
で、どこまでやれるか心配ではありますが、頑張っていきたいと思っておりま
す。宜しくお願い申し上げます。
今後、人事労務担当者のお役にたつと思われる専門業者やメルマガなどをご紹
介していきたいと思っています。
何でも結構ですので、ご意見・ご質問をお送り下さい。ブログへの書き込みも
歓迎致します。必ず当方よりご返事を致します。

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★ お問い合わせ・ご意見等は、下記のアドレスにお送り戴ければ幸甚です。
  etashiro@withe.ne.jp

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  登録解除はこちらから⇒ http://www.mag2.com/m/0000146826.htm

★ 発行者: 人事労務屋 
        東京都社会保険労務士会所属(登録番号13970286)
        1級DCプランナー (200403-01-00218)

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