2012年4月7日号 (no. 673)
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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【在職中に1日も使えなかった
有給休暇を
退職時に金銭で賠償請求。】
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■休暇を使わせないリスク。
有給休暇については
労働基準法にルールが書かれており、半年なり1年なりの勤務期間を経過すると一定の日数の休暇が付与される。
ただ、
労働基準法では、「条件を満たすと休暇が付与される」ことについては書かれていますけれども、実際に休暇を使うかどうか、どうやって使うか、といったことについては特に決めていません。
そのため、法的には休暇を付与されているものの、実際にはそれを使えないような職場もあります。
有給休暇があることを伝えないとか、休暇の残日数を
給与明細に書いていないとか、休暇があることを社員に伝えていてもそれを使いにくい雰囲気ができていたり。
有給休暇には
賃金が伴いますから、1日でナンボと価値が分かりますので、それを使えないと何だか損した気持ちになるのではないでしょうか。無給の休暇ならば感じないことでも、有給の休暇だと感じてしまう。
経営者の立場に立つと、「なぜ休んでいるのに給与が出るの?」と思うはず。休むのはいいとして、なぜ
賃金までくっつくのか。この点に疑問を感じている経営者は少なくないのではないでしょうか。働けば
賃金はある。休めばもちろん
賃金はない。これが当たり前なのですね。ごく真っ当な価値観です。
有給休暇は
賃金とセットになった休暇であるため、
退職の段階になって「使えなかった休暇を金銭で賠償せよ」と言う人が出てくるかもしれない。
有給休暇は休暇ですが、視点を変えると「
賃金」と解釈できます。例えば、
有給休暇を取得すると1日10,000円の
賃金が付く人ならば、20日の休暇を金銭換算すると、200,000円になります。
有給休暇を金銭換算するのは容易ですから、賠償請求も難しくはない。
では、
有給休暇を使えなかったために失った経済的利益を賠償してもらうように請求できるのでしょうか。
「
有給休暇は
労働者の権利です」という立場を強調すると、権利を行使出来なかったために失った利益があれば、その利益に相当するものを請求できそうに思えます。とはいえ、
退職する人が請求するのだろうし、また、
有給休暇を金銭に換えてしまうという点も気になる。
在職中にキチンと休暇を使えるような環境になっていれば、金銭で賠償などという場面にも遭遇しませんからベストではあります。
とはいえ、普段からマメな
労務管理を実施している組織もそう多くはないのかもしれませんので、上記のように
有給休暇に関するゴタゴタが発生しうる。
■損害があるから請求できる。ないならできない。
使えなかった
有給休暇を処理する方法は1つではなくいくつかある。ざっくり分けると3パターンです。
1,
退職時に全て消化する。
2,
退職時に金銭換算して支払う。
3,そのまま休暇を残したまま
退職。
ちなみに、どの選択肢を選んでも法的には差し支えありません。最終出勤日以降に在職しながら休暇だけを消化するのもいいし、
退職時に一括で清算するのもいい。さらには、何もせずそのまま
退職という流れでもいい。
私自身の経験では、1の選択肢で休暇を消化していましたね。
退職した時に、残っていた休暇を
退職後に消化する方式でした。
雇用関係を継続させて
有給休暇だけを消化する期間を設けるのが特徴で、おそらく最も無難な処理方法だと思います。
2のように、一括で金銭処理すると買い取っているという感じが強く出るので、在職のまま
有給休暇だけ消化した方が波風が立ちにくい。もちろん、
退職時に
有給休暇を金銭処理することは可能ですから、2のような処理もできます。
使えなかった
有給休暇をどうするのかに関して法律には根拠がありませんので、上記のように対処法を定めにくい。だからといって、法律で
有給休暇の使い方まで指定すると、息苦しさを感じるのではないかと思います。そのため、あえて休暇の取得条件だけ法律で決めておいて、その後は企業と社員間の自主性に任せるようにしているのだと思います。
退職したらもう在職していないのだから
有給休暇を請求できないと考えた場合、上記の3のパターンになる。
有給休暇を請求できるのは在職している社員であって、
退職したら請求できない。このように考えれば、
退職時に
有給休暇の処理について何か手当てをする必要はない。
さらに、
有給休暇をすべて消化する義務はないので、在職中にどれだけの休暇を使うか、
退職時にどういう処理をするか。これは企業次第です。そのため、すべての会社で同じように休暇を取り扱っているわけではありません。
使えなかった休暇を賠償せよ表現するからには、何らかの損害が発生していないといけない。
民法をご存知の方は分かるかと思いますが、損害の賠償を請求するには実際に損害が発生していないといけないのです。発生しているかどうか不明な損害を法的に請求するのは不可能ではないもののちょっと難しい。
じゃあ、休暇を使えないことにより損害が発生しているのか、それとも発生していないのか。これは立場により結論が変わる。
上記の1や2のような立場から判断すると、使えなかった
有給休暇があるならば、損害もあると判断しやすい。一方、3の立場だと、
有給休暇を完全に消化する義務はないし、
退職した人は休暇を請求する立場ではなくなっていると考え、休暇を使えないことによる損害は無いと判断しやすくなる。
有給休暇は全て使う義務はないし、使っても使わなくてもいい休暇ですから、使わなかったから損害が発生したという理屈は難しいのではないかと思います。
有給休暇には
賃金が伴う、だから金銭換算して請求はできそうではある。しかし、必ず取得しなければいけない休暇ではないため、損害として認定するのは無理がある。
キチンと
労務管理をしていなかった事業所が悪いといえばそうですが、取得出来なかった
有給休暇を金銭補償せよというのは、気持ちはわかるものの、行き過ぎた感があります。
その気になれば請求できそうな感じもするけれども、法律を使った強請というかタカリというか、トゲトゲした関係を感じる。
労務管理全般に言えることですが、「義務や
罰則の無いことは守らなくてもいい」と考えられているフシもあって、今回の
退職時の有給休暇の処理にも義務や
罰則がありませんので甘く見られがちです。
もし、毎月1日のペースで休暇を消化すれば、
有給休暇の
時効は2年ですから、2年で24日の休暇を取得できる。休暇の付与日数は最大でも20日ですので、月1日のペースならば確実に全ての休暇を消化できます。
マメにコツコツと普段から休暇を使えるようにしていれば、今回のような問題を回避できますので、言い争いとか、法的な請求とか、仕事とは関係ないことに時間を使わないで済みます。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理の"ミソ"】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
【本では読めない
労務管理の"ミソ"】
▽ ▽ <登録はこちら> ▽ ▽
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カードを使わないタイムカード Clockperiod のご紹介です。
タイムカードを使うときに負担なのは、専用の打刻機を用意しなければいけないし、
新しい紙のカードを毎月作らないといけない。さらに、カードを見ながら、電卓や
表計算ソフトで
勤務時間を集計しないといけない。
しかも、給与の締め日から支給日までの短期間で集計作業をしないといけないので、
作業する人にとっては
勤務時間の集計は悩みのタネですよね。
そんな悩みをどうやって解決するか。
そこで、電子タイムカードの Clockperiod が登場です。
Clockperiod は、紙のカードと打刻機を使わない電子タイムカードですから、
打刻機を用意しなくても
勤務時間を記録できますし、給与計算のためにカードを
集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
書いてカードストッカーに入れることもなくなります。
始業や終業、
時間外勤務や
休日勤務の出勤時間を自動的に集計できれば勤怠集計
の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
や
出勤簿で
勤務時間を管理している企業にオススメです。
さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
また、勤務記録の改ざんや不正な打刻を把握できるログ機能もあります。
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
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本日のテーマ【在職中に1日も使えなかった有給休暇を退職時に金銭で賠償請求。】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■休暇を使わせないリスク。
有給休暇については労働基準法にルールが書かれており、半年なり1年なりの勤務期間を経過すると一定の日数の休暇が付与される。
ただ、労働基準法では、「条件を満たすと休暇が付与される」ことについては書かれていますけれども、実際に休暇を使うかどうか、どうやって使うか、といったことについては特に決めていません。
そのため、法的には休暇を付与されているものの、実際にはそれを使えないような職場もあります。有給休暇があることを伝えないとか、休暇の残日数を給与明細に書いていないとか、休暇があることを社員に伝えていてもそれを使いにくい雰囲気ができていたり。
有給休暇には賃金が伴いますから、1日でナンボと価値が分かりますので、それを使えないと何だか損した気持ちになるのではないでしょうか。無給の休暇ならば感じないことでも、有給の休暇だと感じてしまう。
経営者の立場に立つと、「なぜ休んでいるのに給与が出るの?」と思うはず。休むのはいいとして、なぜ賃金までくっつくのか。この点に疑問を感じている経営者は少なくないのではないでしょうか。働けば賃金はある。休めばもちろん賃金はない。これが当たり前なのですね。ごく真っ当な価値観です。
有給休暇は賃金とセットになった休暇であるため、退職の段階になって「使えなかった休暇を金銭で賠償せよ」と言う人が出てくるかもしれない。
有給休暇は休暇ですが、視点を変えると「賃金」と解釈できます。例えば、有給休暇を取得すると1日10,000円の賃金が付く人ならば、20日の休暇を金銭換算すると、200,000円になります。有給休暇を金銭換算するのは容易ですから、賠償請求も難しくはない。
では、有給休暇を使えなかったために失った経済的利益を賠償してもらうように請求できるのでしょうか。
「有給休暇は労働者の権利です」という立場を強調すると、権利を行使出来なかったために失った利益があれば、その利益に相当するものを請求できそうに思えます。とはいえ、退職する人が請求するのだろうし、また、有給休暇を金銭に換えてしまうという点も気になる。
在職中にキチンと休暇を使えるような環境になっていれば、金銭で賠償などという場面にも遭遇しませんからベストではあります。
とはいえ、普段からマメな労務管理を実施している組織もそう多くはないのかもしれませんので、上記のように有給休暇に関するゴタゴタが発生しうる。
■損害があるから請求できる。ないならできない。
使えなかった有給休暇を処理する方法は1つではなくいくつかある。ざっくり分けると3パターンです。
1,退職時に全て消化する。
2,退職時に金銭換算して支払う。
3,そのまま休暇を残したまま退職。
ちなみに、どの選択肢を選んでも法的には差し支えありません。最終出勤日以降に在職しながら休暇だけを消化するのもいいし、退職時に一括で清算するのもいい。さらには、何もせずそのまま退職という流れでもいい。
私自身の経験では、1の選択肢で休暇を消化していましたね。退職した時に、残っていた休暇を退職後に消化する方式でした。雇用関係を継続させて有給休暇だけを消化する期間を設けるのが特徴で、おそらく最も無難な処理方法だと思います。
2のように、一括で金銭処理すると買い取っているという感じが強く出るので、在職のまま有給休暇だけ消化した方が波風が立ちにくい。もちろん、退職時に有給休暇を金銭処理することは可能ですから、2のような処理もできます。
使えなかった有給休暇をどうするのかに関して法律には根拠がありませんので、上記のように対処法を定めにくい。だからといって、法律で有給休暇の使い方まで指定すると、息苦しさを感じるのではないかと思います。そのため、あえて休暇の取得条件だけ法律で決めておいて、その後は企業と社員間の自主性に任せるようにしているのだと思います。
退職したらもう在職していないのだから有給休暇を請求できないと考えた場合、上記の3のパターンになる。有給休暇を請求できるのは在職している社員であって、退職したら請求できない。このように考えれば、退職時に有給休暇の処理について何か手当てをする必要はない。
さらに、有給休暇をすべて消化する義務はないので、在職中にどれだけの休暇を使うか、退職時にどういう処理をするか。これは企業次第です。そのため、すべての会社で同じように休暇を取り扱っているわけではありません。
使えなかった休暇を賠償せよ表現するからには、何らかの損害が発生していないといけない。民法をご存知の方は分かるかと思いますが、損害の賠償を請求するには実際に損害が発生していないといけないのです。発生しているかどうか不明な損害を法的に請求するのは不可能ではないもののちょっと難しい。
じゃあ、休暇を使えないことにより損害が発生しているのか、それとも発生していないのか。これは立場により結論が変わる。
上記の1や2のような立場から判断すると、使えなかった有給休暇があるならば、損害もあると判断しやすい。一方、3の立場だと、有給休暇を完全に消化する義務はないし、退職した人は休暇を請求する立場ではなくなっていると考え、休暇を使えないことによる損害は無いと判断しやすくなる。
有給休暇は全て使う義務はないし、使っても使わなくてもいい休暇ですから、使わなかったから損害が発生したという理屈は難しいのではないかと思います。有給休暇には賃金が伴う、だから金銭換算して請求はできそうではある。しかし、必ず取得しなければいけない休暇ではないため、損害として認定するのは無理がある。
キチンと労務管理をしていなかった事業所が悪いといえばそうですが、取得出来なかった有給休暇を金銭補償せよというのは、気持ちはわかるものの、行き過ぎた感があります。
その気になれば請求できそうな感じもするけれども、法律を使った強請というかタカリというか、トゲトゲした関係を感じる。
労務管理全般に言えることですが、「義務や罰則の無いことは守らなくてもいい」と考えられているフシもあって、今回の退職時の有給休暇の処理にも義務や罰則がありませんので甘く見られがちです。
もし、毎月1日のペースで休暇を消化すれば、有給休暇の時効は2年ですから、2年で24日の休暇を取得できる。休暇の付与日数は最大でも20日ですので、月1日のペースならば確実に全ての休暇を消化できます。
マメにコツコツと普段から休暇を使えるようにしていれば、今回のような問題を回避できますので、言い争いとか、法的な請求とか、仕事とは関係ないことに時間を使わないで済みます。
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『定額残業代で残業代は減らせるのか』
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『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
『半日有給休暇と半日欠勤の組み合わせはダメ?』
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『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
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そんな悩みをどうやって解決するか。
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集める必要はありません。さらに、毎月、新しい紙のカードに社員全員の名前を
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の作業は随分とラクになるはず。
Clockperiodは、出退勤の時刻をタイムカード無しで記録できます。タイムカード
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さらに、タイムカードのコピーをメールで送信して社員ごとに保存することができ
ますので、個人別に毎月の勤務記録を取り置くことができます。
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『残業管理のアメと罠』
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