こんにちは。社会保険労務士の田中です。
渋谷、立川、新宿を中心に労務相談などを行っています。
☆☆ はじめに ☆☆
このコラムでは、成長ステージにあるスタートアップ企業に
人事・労務面のアドバイスをご提供しております。
『会社と社員の関係安定』と『急ぎ過ぎない着実な会社成長』を
実現して頂きたいと思っております。
当所では、スタートアップに向けた無料相談も実施しています。
よろしければご活用ください。
※スタートアップ企業の支援プログラムはこちらです。↓
http://www.tanakajimusho.biz/startup
☆☆ スタートアップのための人事・労務 ☆☆
時代を追い抜かすほどのスタートアップ企業でも、
日本で経営するには、旧来の法律に従わなければいけません。
法令はどうしても時代の変化に遅れてしまうので、
時に理不尽な思いや窮屈な感じを抱くかも知れませんが、
そこはご理解頂き、法令遵守で経営してください。
例えば、自社に合った人を採用して企業を成長させるためには、
労働基準法はじめ、各種の労働法の理解と遵守が必要です。
また、高いモチベーションで働ける会社の仕組みづくりには、
社会保険制度や労務管理の理解や、助成金の活用も必要です。
これらのルールなどを分かり易く、また、実務面を重視して、
「何をすれば良いのか」の視点で解説していきます。
スタートアップの皆様のお役に立つことができれば幸いです。
☆☆ 第1回 会社は労災保険に加入しなければなりません。 ☆☆
まず、会社を立ち上げると、社会保険に加入しなければなりません。
健康保険・厚生年金保険・雇用保険・そして、労災保険です。
健康保険と厚生年金保険は、年金事務所に手続が必要です。
雇用保険はハローワークに、労災保険は労働基準監督署に手続きします。
10年以上前は、これら社会保険の加入手続きは面倒でした。
特に、健康保険と厚生年金保険は、細かなルールが多々ありましたが、
現在は、それ程には大変では無くなっています。
☆☆ 労働者災害補償保険は会社のための保険です。 ☆☆
前述の健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の4つですが、
実は、労災保険だけが他の保険と性格が異なります。
健康保険、厚生年金、雇用保険は、労働者のための保険ですが、
労災保険は会社のための保険という位置づけになります。
なぜなら、労働者が仕事でケガをしたり、病気になった時、
本来は会社が治療費や所得補償などをしなければいけません。
万が一、死亡労災で従業員が無くなってしまった場合は、
遺族のために補償をし続ける必要も出てきます。
相当の高額になることが予想されます。
これらを考えると、会社の負担はどこまで増えるか分からず、
心配と不安で経営どころではなくなってしまいます…
しかし、労災保険はそれを肩代わりしてくれる保険です。
だから、労働者の保険ではなく、会社の保険なのです。
☆☆ 従業員を雇ったら、まずは労災保険に加入! ☆☆
従業員を1人でも雇ったら、とにかく労災保険に入ることが大切です。
週に数時間でも働かない労働者にも労災保険が適用されます。
極論すれば、月に1時間でも働く人は労災の対象になります。
さらに、保険料も高くありません。「その他の各種業種」といって、
いわゆる現場仕事が無い多くの企業では人件費×3/1000の負担です。
たとえば、年収300万円の労働者を雇った場合、
年間の労災保険料は9,000円となります。(全額会社負担)
☆☆ 労災保険ではどのようなカバーがされるか? ☆☆
それでは、どのようなメリット=保険給付があるのでしょうか。
大まかに言って次の4つです。
・療養補償給付
労災病院や指定医療機関において無料で、治療を受けたり入院ができます。
・休業補償給付
労災で仕事を休んだ場合、所得補償(給与の約8割)を受けられます。
・障害補償給付
労災で障害が残った場合、年金や一時金が受けられます。
・遺族補償給付
労災で死亡した場合、遺族は年金や一時金が受けられます。
また、仕事中だけではなく、通勤途中も対象となります。
☆☆ どこにどのような手続きをすれば良いのか? ☆☆
労働基準監督署に次の書類を作成して手続きします。
1 保険関係成立届
2 概算保険料申告書
「概算保険料」とは、その年度内で予想される
(総額人件費)×(労災保険料率)で算出した労働保険料のことで、
この労働保険料を支払う必要があります。
また、法人登記簿謄本とオフィスの賃貸借契約書等を添付してください。
労災保険の詳細は厚生労働省が発行しているパンフレットをご覧ください。
http://urx.red/LKBt
☆☆ 社長や役員も労災が適用できる。☆☆
労災保険は、原則として「労働者」が対象となりますが、
中小企業では、役員も従業員と同様に仕事をしている事が多いため、
「特別加入」という制度があります。
特別加入をするには、「労働保険事務組合」に委託する必要があります。
労働保険事務組合は、商工会議所などが設置していたり、
社会保険労務士が窓口になっています。
特別加入をすると、社長や役員も労働者と同じように、
療養補償給付や休業補償給付の対象となります。
特別加入についてはこちらをご覧ください。
http://urx.red/LKBz
☆☆ スタートアップの人事・労務 ☆☆
他にも、次のようなコラムがあります。ぜひ、お読みください。
1 スタートアップの人事・労務 1 なぜ、労災保険は必要か?
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173536/
2 スタートアップの人事・労務 2 雇用保険はどのように役立つか
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173554/
3 スタートアップの人事・労務 3 人を採用する前後のアクション
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173565/
4 スタートアップの人事・労務 4 法人は社会保険の加入が法的に必須
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173577/
5 スタートアップの人事・労務 5 就業規則を作った方が良い?
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173605/
6 スタートアップの人事・労務 6 就業規則 作成時のポイント
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173676/
7 スタートアップの人事・労務 7 フリーな勤務と裁量労働制
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173692/
8 スタートアップの人事・労務 8 求人、採用時の注意点
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173711/
9 スタートアップの人事・労務 9 黎明期の労務管理
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173723/
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
(立川・渋谷・新宿 で主に仕事をしています。)
未来を拓く次世代の経営者に、当所の経験とノウハウをお伝えします。
1人からスタートして、社会に影響を与える会社になるまで、
貴社に寄り添ってサポートします。
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