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派遣社員を受け入れる時の注意点は??

こんにちは。人事コンサルタント石川弘子です。

少し前に「ハケンの品格」なんてドラマがヒットしていましたが、日本における派遣社員の数は250万人を超え、
今後もおそらく増加していくと思われます。
夫が転勤族のため、正社員ではなかなか働けない方や、語学などのスキルを生かして働きたい女性などには
派遣という働き方は確かに働きやすい面があります。
企業側も事務職等の間接業務は、正社員に比べて雇用調整のしやすい派遣社員で!といったニーズを持っています。

ところが、現実として、派遣社員をめぐるトラブルは増加傾向にあるようです。
一体どういった事がトラブルとなってしまうのでしょうか?


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■1.派遣社員を迎えるにあたって・・
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派遣社員とは、派遣会社に雇用されている社員が派遣先で就労し、派遣先の指揮命令に従う、という
ちょっと込み入った関係図にあります。

通常の正社員やパート・アルバイトは、仕事上の指示を出す人と、雇用している人が同じですが、
派遣社員は指示を出すのは派遣先雇用しているのは派遣元(派遣会社)という仕組みになっています。

このように、通常とは違う、あくまでも例外的な雇用関係ですから、それだけ法律の規制も厳しいわけです。
日常的にトラブルとなる主なケースは次のようなものです。


1.「事務用機器操作の業務」と聞いていたのに、実際はお茶くみやコピー取りがほとんどだった。

2.有休を取りたいと言ったら、派遣先から駄目だと言われた。

3.残業は月に10時間程度という契約だったのに、50時間を超えるような月もある。

4.派遣先が何故か自分の履歴書を持っていて、自宅に電話がかかってきた。


これらのトラブルのどこが問題なのでしょうか?



1.「事務用機器操作の業務」と聞いていたのに、実際はお茶くみやコピー取りがほとんどだった。

→派遣では、業務の内容によって派遣期間の制限が違ってきます。また業務によっては派遣を禁止されている
ものもあります。ですので、派遣契約では業務の内容を特定する必要があります。
「事務用機器操作業務」は、いわゆる26業務といわれる派遣受け入れ期間の制限がない業務となっています。
ですが、実態がお茶くみ、コピー取りがほとんど、となると、「事務用機器操作業務」ではないので、
派遣期間について制限がかかってくる可能性があります。
派遣契約の内容をよく検討して、派遣社員に行ってもらえる業務の範囲を担当者に周知させておく必要が
あります。


2.有休を取りたいと言ったら、派遣先から駄目だと言われた。

有給休暇の取得申請は、派遣元に行うもので、派遣先は有休の取得について何ら関与できません。
したがって、派遣先が「今の時期は忙しいから、有休はとらないでくれ」という権利はないのです。


3.残業は月に10時間程度という契約だったのに、50時間を超えるような月もある。

雇用主は派遣会社とはいえ、派遣先には指揮命令権があるので、残業の指示をすること自体は問題ない
のですが、あくまでも派遣会社の36協定の範囲内で、という事になります。
派遣社員は派遣会社と36協定を締結しますので、派遣先は派遣社員と派遣会社の36協定の内容を踏まえて
その範囲内でしか時間外労働はさせられないのです。


4.派遣先が何故か自分の履歴書を持っていて、自宅に電話がかかってきた。

派遣先が派遣会社から取得できる派遣社員に関する個人情報は、「氏名」「社会保険加入状況」
「業務遂行能力に関する情報」の3つのみです。
ですから、派遣会社に対して、派遣社員の履歴書を出すよう強制したり、連絡先を聞き出すことは
認められません。
ただ、派遣社員自身が派遣先に自ら電話番号や住所を開示することは問題ありませんが、あくまでも
自主的にです。
ですから、「緊急連絡網を作るため、派遣社員も自宅電話番号を書くように」といった指示はできないのです。



労働者派遣には、細かい規制がありますから、派遣社員を迎え入れる企業は事前に現場の社員にも
周知させておくことが、トラブル回避に有効と言えます。

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■2.労務管理110番 ~フレックスだからといって、打ち合わせに出ない社員~
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□■質問■□

弊社は労働時間の短縮を目的として、フレックスタイム制度を導入しました。コアタイムが10時~15時で、
フレキシブルタイムは8時~10時と、15時~19時です。
フレックスではありますが、お客様との打ち合わせのため、お客様の都合で午前中に打ち合わせが入る
こともあり、その際は社員に「8時に出社するように」と指示を出すこともあります。
ところが、ある社員が「自分はフレックスなので、8時に出社する義務はない」といって打ち合わせへの
出席を拒否してきました。
業務命令違反のため、懲戒にしたいのですが、いかがでしょうか?

■□回答□■

結論から申し上げると、この社員の方の主張は法的に正しく、したがって懲戒は認められません。
フレックスタイムというのは、「始業・終業の時刻を社員の自主的な決定に委ねる」という趣旨の制度
ですから、会社が何時までに出社しろ!という命令を出すことはできません。

この場合、たとえば命令ではなく、あくまでも8時に出社するように社員にお願いすることは構いませんので
社員が同意して8時までに出社してくれれば問題はありません。
ただし、業務命令として指示することはできないのです。

このように、お客様との打ち合わせ等で、会社が出社時刻を命じる可能性がある部署では、そもそもフレックス
自体がなじまないと言えます。

様々な企業のフレックスタイム制度を拝見させていただくと、かなり本来の趣旨から外れた運用をされている
ところもあるようです。
もう一度、フレックスが適切かどうかも含めて検討してみてはいかがでしょうか?

<編集後記>
━☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

急に寒くなりました。ご近所ではクリスマスイルミネーションが年々豪華になっていき、
帰宅途中の疲れを和ませてくれています。
家に帰ると家族と夕食を囲んだり、くっつきあって一緒にテレビを見たりと、寒いからこそ家族の
温かさをより一層感じています。

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ではまた次回お会いしましょう。石川弘子でした。

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