相談の広場
当方歯科医院を経営しています。労働に関する疑問なのですが、歯科でよくあることで治療が長引くことがあります。勤務医はやはり経験が少ないため業務が長くなることがあります。それに伴って、歯科助手や衛生士をアシスタントにつけて残業になってしまうことがままあります。ここで問題なのが
「勤務医に残業命令が出せるか」です
もし出せるとしたら、勤務医は管理職にあたるのか。管理職ならば、残業代などの発生はないのか。人事権は歯科医師にはあるのか。経験年数などは加味されないのか。
もし出せないのなら、勤務医は一労働者なので診療が伸びた場合、業務を引き続き行う場合は残業命令を院長が行い残業代を支給するのか
衛生士や歯科助手は、「歯科医師の管理のもと業務を遂行する」ので役職に就けば残業命令も出せるかもしれません。一方、歯科助手、衛生士を管理監督する業務を担う歯科医師には免許を持ったと同時に、残業命令を出せる権限が付随していると考えたほうがいいものでしょうか。
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> 当方歯科医院を経営しています。労働に関する疑問なのですが、歯科でよくあることで治療が長引くことがあります。勤務医はやはり経験が少ないため業務が長くなることがあります。それに伴って、歯科助手や衛生士をアシスタントにつけて残業になってしまうことがままあります。ここで問題なのが
>
> 「勤務医に残業命令が出せるか」です
>
> もし出せるとしたら、勤務医は管理職にあたるのか。管理職ならば、残業代などの発生はないのか。人事権は歯科医師にはあるのか。経験年数などは加味されないのか。
> もし出せないのなら、勤務医は一労働者なので診療が伸びた場合、業務を引き続き行う場合は残業命令を院長が行い残業代を支給するのか
>
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> 衛生士や歯科助手は、「歯科医師の管理のもと業務を遂行する」ので役職に就けば残業命令も出せるかもしれません。一方、歯科助手、衛生士を管理監督する業務を担う歯科医師には免許を持ったと同時に、残業命令を出せる権限が付随していると考えたほうがいいものでしょうか。
>
→勤務医に残業命令を出す権限が付与されている場合は可能ですが、そうでない場合(これが通常であると思います)は不可と思います。
残業命令と労基法第41条2号の管理監督者(適用除外)とは別個の概念で、イ 自分は管理監督者で残業等適用除外になり、かつ残業命令権が付与されている場合、ロ 自分は管理監督者で残業等適用除外になり、かつ残業命令権が付与されていない場合、ハ 自分は管理監督者でなく残業等適用除外にならず、かつ残業命令権が付与されている場合、ニ自分は管理監督者でなく残業等適用除外にならず、かつ残業命令権が付与されていない場合、
の四通りが理論上はありえます。
ところで、管理監督者であるためには、
(1)事業経営者と一体をなし、経営及び従業員について管理的立場にある者であって、使用従属関係上の拘束が一般労働者に比較して弱く、これらの一般労働者を使用者(事業主)に代わって指揮監督する者またはそれと同等のスタッフ職の者であること、
(2)職務の性質上、労働時間、休憩及び休日に関する規定の枠を超えて働くことが要請されていること、
(3)そのためこれらの者は労働時間(始業、終業時刻等)などについての拘束を受けておらず、自己の判断によって自由に出社、退社、休憩をとりうるという自由裁量権限があること
が必要です。
これらの要件を具備する場合は、米国の弁護士事務所のパートナー(経営者)的な弁護士といえ、残業命令権が付与されている場合(イ)、付与されていない場合(ロ)があるということです。
要件を具備しない場合は、アソシエイト的な弁護士といえ、自らは残業代請求権を有し、残業命令権が付与されている場合(ハ 事例は多くないでしょうが)、付与されていない場合(ニ)がある。
まとめると残業命令権は経営者的立場と不即不離なので、管理監督者にも付与せず、経営者がいわば一身専属的に行使するのが原則(歯科医師免許の付与=事業経営者と一体をなし、経営及び従業員について管理的立場にある者との認定でないことはいうまでもありません)。
みずからが残業代を請求しうる労働者的立場にあるのか否かは、経営者と一体的立場か否かのメルクマールによって(1から3)判断されるということでしょう。
なおどうしても残業代の支払いを免れない場合の、定額残業代等合法的な潜脱手段?については別論です。
ご回答ありがとうございます
> > 「勤務医に残業命令が出せるか」です
いくつか質問があります
法的な用語についてもよくわからないので噛み砕いて言いますので解釈が間違っていたらご指摘ください
> →勤務医に残業命令を出す権限が付与されている場合は可能ですが、そうでない場合(これが通常であると思います)は不可と思います。
まず
一般的な社会の認識としては、勤務医には残業命令の権限はないと認識されているのですか?
または
法規上、勤務医には残業命令の権限はないと認識されているのですか?
>
> 残業命令と労基法第41条2号の管理監督者(適用除外)とは別個の概念で、イ 自分は管理監督者で残業等適用除外になり、かつ残業命令権が付与されている場合、ロ 自分は管理監督者で残業等適用除外になり、かつ残業命令権が付与されていない場合、ハ 自分は管理監督者でなく残業等適用除外にならず、かつ残業命令権が付与されている場合、ニ自分は管理監督者でなく残業等適用除外にならず、かつ残業命令権が付与されていない場合、
>
>
> の四通りが理論上はありえます。
>
よくわかりました
> ところで、管理監督者であるためには、
>
> (1)事業経営者と一体をなし、経営及び従業員について管理的立場にある者であって、使用従属関係上の拘束が一般労働者に比較して弱く、これらの一般労働者を使用者(事業主)に代わって指揮監督する者またはそれと同等のスタッフ職の者であること、
経営及び従業員について管理的立場とは
「治療に対する指示、指導、管理監督」
「患者に対する処置の一切の責任」
では足りませんか?
経営の管理的立場とは勤務医が
「帳簿等をつけて金銭管理する」
「債務の一部を担う」
ぐらいやらないとだめですk?
医療の現場で法規上の実例になったものはありますでしょうか?
使用従属関係上の拘束が一般労働者に比較して弱く
とは何をすれば弱いのでしょうか
たとえば
「治療計画、実施における報告、相談、連絡の義務がない」
では足りませんか?
ほかのスタッフは当然報告連絡の義務があるのですが
一般労働者を使用者(事業主)に代わって指揮監督する者
というのは「残業命令を出す」ことで成り立ちませんか?
>
> (2)職務の性質上、労働時間、休憩及び休日に関する規定の枠を超えて働くことが要請されていること、
>
当然患者の急変などがあれば職務上、立ち会う必要があるのですがいかがでしょう
> (3)そのためこれらの者は労働時間(始業、終業時刻等)などについての拘束を受けておらず、自己の判断によって自由に出社、退社、休憩をとりうるという自由裁量権限があること
>
自由裁量権限は「この時間にいてほしい」というものを作ったらいけないということでしょうか
事前にシフトを引いて個々の時間帯は患者さんを見てねと指示することが全くできず
自分で勝手に来て勝手に診療するというスタイルでないと難しいのでしょうか
勝手にシフトを引くことは経営者でもできない状態だと思うのですがいかがでしょうか
たぶんすごい基本的なことなので何度も上がっていることでしょうが
すみませんご教授ください
> これらの要件を具備する場合は、米国の弁護士事務所のパートナー(経営者)的な弁護士といえ、残業命令権が付与されている場合(イ)、付与されていない場合(ロ)があるということです。
>
> 要件を具備しない場合は、アソシエイト的な弁護士といえ、自らは残業代請求権を有し、残業命令権が付与されている場合(ハ 事例は多くないでしょうが)、付与されていない場合(ニ)がある。
(ハ)自分は管理監督者でなく残業等適用除外にならず、かつ残業命令権が付与されている場合
がまさに現在の勤務医の形かと思いますので辞令がたくさんあるのですがいかがでしょうか
>
> まとめると残業命令権は経営者的立場と不即不離なので、管理監督者にも付与せず、経営者がいわば一身専属的に行使するのが原則(歯科医師免許の付与=事業経営者と一体をなし、経営及び従業員について管理的立場にある者との認定でないことはいうまでもありません)。
よくわかりましたが
ハのケースになってしまうところにどのように管理監督検眼を付与していくのか、労務管理を理解させるのかが課題になっています
ご教授いただけると幸いです
> 一般的な社会の認識としては、勤務医には残業命令の権限はないと認識されているのですか?
> または
> 法規上、勤務医には残業命令の権限はないと認識されているのですか?
→そんなことはありません。実態を詳しくお聞きしないとなんともいえません。
課長以上のような役職を作り(●●主任等)、残業代見合いの役付手当て(基本給×15%くらいが目安 内訳は10%=時間外、5%=役付手当)を支払うようにすることで、管理監督者の入れものはできます(「賃金テキスト」(楠田 丘)186p)。
> > ところで、管理監督者であるためには、
> >
> > (1)事業経営者と一体をなし、経営及び従業員について管理的立場にある者であって、使用従属関係上の拘束が一般労働者に比較して弱く、これらの一般労働者を使用者(事業主)に代わって指揮監督する者またはそれと同等のスタッフ職の者であること、
>
> 経営及び従業員について管理的立場とは
> 「治療に対する指示、指導、管理監督」
> 「患者に対する処置の一切の責任」
> では足りませんか?
→これでよしとして「主任」等の肩書きを付与することです。
> 経営の管理的立場とは勤務医が
> 「帳簿等をつけて金銭管理する」
> 「債務の一部を担う」
> ぐらいやらないとだめですk?
> 医療の現場で法規上の実例になったものはありますでしょうか?
→帳簿作成云々は直接関係ないと思います。
>
>
> 使用従属関係上の拘束が一般労働者に比較して弱く
> とは何をすれば弱いのでしょうか
> たとえば
> 「治療計画、実施における報告、相談、連絡の義務がない」
> では足りませんか?
> ほかのスタッフは当然報告連絡の義務があるのですが
→ある程度独立して職権行使するということですね。結構です。
>
> 一般労働者を使用者(事業主)に代わって指揮監督する者
> というのは「残業命令を出す」ことで成り立ちませんか?
>
→肩書きを与えて、残業命令権を付与するということでよいかと思います。
その主任なら主任の権限の範囲を明確にすることです。
> > (2)職務の性質上、労働時間、休憩及び休日に関する規定の枠を超えて働くことが要請されていること、
> >
>
>
> 当然患者の急変などがあれば職務上、立ち会う必要があるのですがいかがでしょう
→これは他の医師にも該当する、医療特有の論点でしょう。
>
> > (3)そのためこれらの者は労働時間(始業、終業時刻等)などについての拘束を受けておらず、自己の判断によって自由に出社、退社、休憩をとりうるという自由裁量権限があること
> >
>
>
> 自由裁量権限は「この時間にいてほしい」というものを作ったらいけないということでしょうか
> 事前にシフトを引いて個々の時間帯は患者さんを見てねと指示することが全くできず
> 自分で勝手に来て勝手に診療するというスタイルでないと難しいのでしょうか
> 勝手にシフトを引くことは経営者でもできない状態だと思うのですがいかがでしょうか
→これは柔軟に解してよいかと思います。
>
> (ハ)自分は管理監督者でなく残業等適用除外にならず、かつ残業命令権が付与されている場合
> がまさに現在の勤務医の形かと思いますので辞令がたくさんあるのですがいかがでしょうか
→そのとおりです。
>
> >
> > まとめると残業命令権は経営者的立場と不即不離なので、管理監督者にも付与せず、経営者がいわば一身専属的に行使するのが原則(歯科医師免許の付与=事業経営者と一体をなし、経営及び従業員について管理的立場にある者との認定でないことはいうまでもありません)。
>
>
> よくわかりましたが
> ハのケースになってしまうところにどのように管理監督検眼を付与していくのか、労務管理を理解させるのかが課題になっています
→理論上は4通りありますが、実務上は冒頭述べましたように、主任等肩書きを与えて、役付手当てを支給、残業命令権を付与する、ということで、自分は残業代はもらえないが、代わりに残業代見合いの役付手当てで補填されている、他の医師は残業命令に従って、残業代をもらえる、という大まかな区分けができるかと思います。
正直いって、直に見せていただかないとわかりませんね(困)。
こんにちは。
横から失礼致します。
専門家ではありませんが、私見を書かせて頂きます。
衛生士や歯科助手は、管理監督者ではないので当然に労働基準法に基づいて就労する事になります。また、医師や歯科医師と異なり応召義務もないかと思います。よって、「歯科医師の管理のもと業務を遂行する」とはあくまでも就業時間内の事であり、資格のみで自動で残業命令ができるという事ではなく、切り離して考える必要があります。
○管理監督者について
下記は病院のケースですが、「管理監督者」の要件は同じかと思われます。
<ほ~納得>
http://www.hou-nattoku.com/consult/685.php
抜粋:つまり、労働基準法上の「管理監督者」とは一般的な病院の職階制の管理監督者とは異なり、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者の意味であり、呼び名にとらわれず実態に則し判断すべきであるところ(昭和22年9月13日次官通達15号。昭和63年3月14日労働基準局長通達150号。)、勤務医は自己の勤務形態を選択することができませんので労働基準法上の「管理監督者」にはあたらないと考えられるのです。
また、某ファストフード店の店長が「管理監督者」に当たらないという判決もあります。店長なので、当然に人事や勤怠管理、残業命令等を行っていたと思います。つまり、残業命令等の権限を委譲していれば、「管理監督者」でなくても残業命令は可能と解釈できます。
○実務的な対処
勤務医が残業命令をする事が可能かどうかについては、ケースバイケースになるので回答できませんが、今回のケースでは、残業命令可能かを論じなくても、通常の36協定の範囲内で対処可能かと思われます。
36協定を締結し「治療が終了しない場合は、終了するまで残業を命じる。その時は、担当歯科医師の指示に従う事。」(上限は36協定の通り)といった内容の就業規則もしくは雇用契約を交わす。
これで、残業については勤務医が独断で命令することは無くなると考えます。
規則や契約を現状のままにしたい場合は、辞令等で残業命令ができる権限を付与すれば可能かと思われます。役職を付けたり手当を払っても、辞令等が無ければ権限があるとは確認できません。
医療法人に携わる社労士等に相談すれば現実的な対応を教えて貰えると思いますので、ご参考までに・・・
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