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平成18年6月8日
知った日から利益を生み出す
社会保険・
労務管理
第72号
□■--------------------------------------------------------------■□
みなさん、こんにちは。
『利益を生み出す
社労士』のコエヅカです(^o^)丿
今回も
雇用リスクの説明をします。
企業経営は、「人、物、金、情報」を活用して利益を上げることと考えます。
「人」をうまく活用し利益を上げることが大切ですが、一方で
人を雇うことに
伴いリスク(
雇用リスク)が発生し、利益に影響を与えます。
社会保険労務士の立場から見た
雇用リスクについて説明します。
2.
安全配慮義務違反で訴えれるリスク
長時間労働によるうつ病での自殺、心臓疾患による過労死その他
事業場の設備
の欠陥による
労災事故等が発生すれば、
労災保険からの給付だけで済むことは
ありません。職場の
安全配慮義務(健康配慮義務)違反を根拠に遺族から民事
上の
損害賠償請求をされ、1億円を超える賠償金の支払を命ずる判決、
和解契
約も珍しいことではなくなりました。中小企業なら企業存続の危機に陥ること
でしょう。
裁判等に訴えられた時に敗訴した場合、金銭的な負担も大変ですが、裁判は公
開で行われるため、企業イメージがマイナスとなり、企業の売上にも影響が出
てくる可能性が心配です。
3.解雇・雇止めのリスク
(1)
就業規則に該当するから解雇しても大丈夫だろうと解雇するのは危険で
す。解雇を有効とするには、
就業規則の解雇事由に該当するだけでは不十分で、
社会通念上、解雇が妥当と判断される必要があります。(高知放送事件、最高
裁昭和52年1月31日判決)
(2)パート・アルバイト等の「
有期雇用契約」社員の場合、
契約期間が満了
したので、雇止め(
契約の更新をしないこと)にした場合、雇止めが無効とな
る場合がありますので、注意が必要でです。
「
有期雇用契約」の場合でも、
契約更新を繰り返し、「期間の定めのない
雇用
契約」と同様と見做され、その雇止めの
意思表示は実質において解雇の意思表
示にあたり、その判断にあたっては、解雇に関する法理を類推適用すべきであ
るとされた判例があります。(東芝柳町工場事件、最高裁昭和49年7月22
日判決)
4.
退職金制度を設けるリスク
退職金制度を設けるかどうかは、企業の自由です。実際、日本の企業のうち、
退職金制度を有する企業は、企業全体の約90%です。従来、
退職金制度を設
けていた企業の多くは、人材の定着率を高めることが目的でした。
現在、多くの企業では、
基本給連動型と呼ばれる
退職金制度を導入しています。
これは、経済が右肩上がりで勤続と技能の向上が正比例していた時代の名残で
す。現在のように、技術が高度化し、人材が流動化している時代にはマッチし
ている制度とはいえません。
また、
基本給連動型は、勤続年数を重視しており、
賃金制度が
成果主義に傾き
つつある現代には合わない制度と考えられます。
さらに、
退職金制度を設け、
退職金規程を
労働基準監督署に提出してしまうと、
労働者から見れば、労働
債権、企業からみれば、労働
債務となり、
退職金規程
を廃止しない限り、この労働
債務は無くなりません。
退職金規程を廃止するのは、
労働条件の不利益変更に当たるため、合理的な理
由等がない限り認められません。勤続年数が長く、
賃金の高い
従業員が多くい
る企業の場合、
退職者が一度に出るとその負担に耐えることが出来るかどうか
心配です。その危惧が、2007年以降の「団塊の世代」の
退職をむかえ、表
面化してきました。
5.戦力とならない社員を
雇用するリスク
人を
採用する場合、選考試験を行ないます。正社員の場合なら、筆記試験、適
性試験、論文試験、面接試験(1次~3次)、パートタイマーなら面接試験等
を行うのが普通です。
これらの試験をクリアして、この人物なら大丈夫と
採用したところ、入社後の
仕事振りが期待したものとかけ離れていたり、遅刻、欠勤を繰り返すといった
問題行動をとったり、まわりの社員と協調性のない社員、パートタイマーがい
ます。
一旦こうした
問題社員の
雇用してしまうと解雇するには、相当な努力が必要で
す。すなわち、その解雇が合理的で社会的妥当性がないと、解雇権の濫用で解
雇は無効と判断されます。
最近の
従業員は、経営者、
役員、管理職の失言、脅迫、違法な発言があった場
合、ICレコーダー、ボイスレコーダーで録音している場合があります。
それを証拠として、
和解金の交渉材料にしようとしています。
労務管理は合法
的に処理しないと結局高くつきます。ご相談は
労務管理の専門家の
社労士まで
ご相談下さい。
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【編集後記】
2005年の出生率が、1.25であることが公表されました。2005年度
の出生者数が106万2604人、死亡者数が108万4012人となり、2
005年から人口減少が始まったことがはっきりしました。
この人口減少は、政府の予測より2年も早まったものです。
人口減少が社会に及ぼす影響は非常に大きなものがあります。特に、
社会保障
制度の維持、中でも年金制度には大きな衝撃を与えました。
2004年の年金制度改革では、2007年に出生率は1.30で底を打ち、
その後緩やかに増加し、2050年には、1.39まで回復するという前提で
制度改革が行われましたが、その前提が大きく崩れました。
このまま、出生率の低下が続くようだと、保険料の更なる引き上げ、給付額の
削減が予想されます。現在のように年金が主な収入で生活することは、困難な
時代がやってくることは間違いないでしょう。
政府の一層の少子化対策と子供生んでも安心して育てられる社会になることが
求められていると思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。コエヅカでした。
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当メールマガジンの記載内容には細心の注意を払っておりますが、
記載の内容によって生じた損害については責任を負いかねますので
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平成18年6月8日
知った日から利益を生み出す社会保険・労務管理
第72号
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みなさん、こんにちは。
『利益を生み出す社労士』のコエヅカです(^o^)丿
今回も雇用リスクの説明をします。
企業経営は、「人、物、金、情報」を活用して利益を上げることと考えます。
「人」をうまく活用し利益を上げることが大切ですが、一方で人を雇うことに
伴いリスク(雇用リスク)が発生し、利益に影響を与えます。
社会保険労務士の立場から見た雇用リスクについて説明します。
2.安全配慮義務違反で訴えれるリスク
長時間労働によるうつ病での自殺、心臓疾患による過労死その他事業場の設備
の欠陥による労災事故等が発生すれば、労災保険からの給付だけで済むことは
ありません。職場の安全配慮義務(健康配慮義務)違反を根拠に遺族から民事
上の損害賠償請求をされ、1億円を超える賠償金の支払を命ずる判決、和解契
約も珍しいことではなくなりました。中小企業なら企業存続の危機に陥ること
でしょう。
裁判等に訴えられた時に敗訴した場合、金銭的な負担も大変ですが、裁判は公
開で行われるため、企業イメージがマイナスとなり、企業の売上にも影響が出
てくる可能性が心配です。
3.解雇・雇止めのリスク
(1)就業規則に該当するから解雇しても大丈夫だろうと解雇するのは危険で
す。解雇を有効とするには、就業規則の解雇事由に該当するだけでは不十分で、
社会通念上、解雇が妥当と判断される必要があります。(高知放送事件、最高
裁昭和52年1月31日判決)
(2)パート・アルバイト等の「有期雇用契約」社員の場合、契約期間が満了
したので、雇止め(契約の更新をしないこと)にした場合、雇止めが無効とな
る場合がありますので、注意が必要でです。
「有期雇用契約」の場合でも、契約更新を繰り返し、「期間の定めのない雇用
契約」と同様と見做され、その雇止めの意思表示は実質において解雇の意思表
示にあたり、その判断にあたっては、解雇に関する法理を類推適用すべきであ
るとされた判例があります。(東芝柳町工場事件、最高裁昭和49年7月22
日判決)
4.退職金制度を設けるリスク
退職金制度を設けるかどうかは、企業の自由です。実際、日本の企業のうち、
退職金制度を有する企業は、企業全体の約90%です。従来、退職金制度を設
けていた企業の多くは、人材の定着率を高めることが目的でした。
現在、多くの企業では、基本給連動型と呼ばれる退職金制度を導入しています。
これは、経済が右肩上がりで勤続と技能の向上が正比例していた時代の名残で
す。現在のように、技術が高度化し、人材が流動化している時代にはマッチし
ている制度とはいえません。
また、基本給連動型は、勤続年数を重視しており、賃金制度が成果主義に傾き
つつある現代には合わない制度と考えられます。
さらに、退職金制度を設け、退職金規程を労働基準監督署に提出してしまうと、
労働者から見れば、労働債権、企業からみれば、労働債務となり、退職金規程
を廃止しない限り、この労働債務は無くなりません。
退職金規程を廃止するのは、労働条件の不利益変更に当たるため、合理的な理
由等がない限り認められません。勤続年数が長く、賃金の高い従業員が多くい
る企業の場合、退職者が一度に出るとその負担に耐えることが出来るかどうか
心配です。その危惧が、2007年以降の「団塊の世代」の退職をむかえ、表
面化してきました。
5.戦力とならない社員を雇用するリスク
人を採用する場合、選考試験を行ないます。正社員の場合なら、筆記試験、適
性試験、論文試験、面接試験(1次~3次)、パートタイマーなら面接試験等
を行うのが普通です。
これらの試験をクリアして、この人物なら大丈夫と採用したところ、入社後の
仕事振りが期待したものとかけ離れていたり、遅刻、欠勤を繰り返すといった
問題行動をとったり、まわりの社員と協調性のない社員、パートタイマーがい
ます。
一旦こうした問題社員の雇用してしまうと解雇するには、相当な努力が必要で
す。すなわち、その解雇が合理的で社会的妥当性がないと、解雇権の濫用で解
雇は無効と判断されます。
最近の従業員は、経営者、役員、管理職の失言、脅迫、違法な発言があった場
合、ICレコーダー、ボイスレコーダーで録音している場合があります。
それを証拠として、和解金の交渉材料にしようとしています。労務管理は合法
的に処理しないと結局高くつきます。ご相談は労務管理の専門家の社労士まで
ご相談下さい。
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【編集後記】
2005年の出生率が、1.25であることが公表されました。2005年度
の出生者数が106万2604人、死亡者数が108万4012人となり、2
005年から人口減少が始まったことがはっきりしました。
この人口減少は、政府の予測より2年も早まったものです。
人口減少が社会に及ぼす影響は非常に大きなものがあります。特に、社会保障
制度の維持、中でも年金制度には大きな衝撃を与えました。
2004年の年金制度改革では、2007年に出生率は1.30で底を打ち、
その後緩やかに増加し、2050年には、1.39まで回復するという前提で
制度改革が行われましたが、その前提が大きく崩れました。
このまま、出生率の低下が続くようだと、保険料の更なる引き上げ、給付額の
削減が予想されます。現在のように年金が主な収入で生活することは、困難な
時代がやってくることは間違いないでしょう。
政府の一層の少子化対策と子供生んでも安心して育てられる社会になることが
求められていると思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。コエヅカでした。
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当メールマガジンの記載内容には細心の注意を払っておりますが、
記載の内容によって生じた損害については責任を負いかねますので
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社会保険情報局
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