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契約社員を更新できる最長期間に限度はあるのか?

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第47回  契約社員を更新できる最長期間に
                  限度はあるのか?
 
<第62号>      平成23年5月23日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

先週、永田町に激震が走りました。

「三権の長」の一角を占める、かつ、与党・民主党に推挙された
西岡参院議長が読売新聞に寄稿した論文で、

菅首相の即刻退陣を求めていることが明らかになりました。
その後、19日の国会内で記者会見した際も、

「全部が駄目だ。サミット(主要8カ国首脳会議)には
日本の状況と方針を語れる首相に行ってもらいたい」と
改めて、退陣を求めたという。

遅まきながら、やっと第一次補正予算が成立し、
いよいよ本格的な復興予算となる第二次補正予算・・・・

しかし、管総理は、国会延長をせず、第二次補正予算は
8月以降に臨時国会に提出し審議するという
信じられない発言をして驚かせた。

今は、非常時であり、平時ではないと思うのだが・・・
被災地ではいまだに11万人が不自由な避難生活を余儀なくされ
行方不明者もまだ9千人もいる現状にあって、

当然、通年国会も然るべきと言われており、それを会期延長もせずに
国会を閉めるのは、管批判を避け自己中心の延命策と言われても
当然かもしれない。カラ菅に加えて逃げ菅の本領発揮か・・・

さて、本論ですが、ある事業所の使用者から、IT関係の専門能力を
持つ人材を契約期間を1年とする契約社員として採用しようと
考えているが、

ある知人から契約社員の更新は2回まで(雇用期間でいうと3年)が
上限だと聞きましたが、本当なのか、

また、最初から更新回数を5回というように上限を決めることは
可能なのか、とのお尋ねがありました。

今回は、この点について考えてみます。

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◆◆ 契約社員とは ◆◆

○ 近年、雇用調整を容易にするためなどの目的で、
パートタイマーや派遣労働者などの非正規社員の雇用
増加しています。

厚生労働省が平成19年に実施した「就業形態の多様化に関する
総合実態調査」(平20.11.7発表)によると、

労働者に占める非正規社員の割合は37.8%と調査のたびに
増加しています。

そして、非正規社員の59%はパートタイマーであり、次いで
嘱託社員12.9%、派遣労働者11.6%、そして契約社員
10.9%を占めています。

なお、契約社員については全労働者に占める割合は2.8%ですが、
契約社員雇用している企業割合は10%を超えており、
首都圏など都市部に限れば、その割合はもっと高いと考えられます。

○ さて、契約社員について、その定義は必ずしも定まってはいません。
ただし、上記の厚労省による総合実態調査では、契約社員について

「特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間
定めて契約する者」としています。

そして一般的に、労働契約期間を「1年」(なかには6か月の場合も
あります。)とする形態が多いとされています。

しかし、企業によっては人事政策の都合上、特に専門的能力が
ない者も契約社員として雇用していることもあり、

本稿では「いわゆる正社員とは別の労働条件に基づき、給与額や
雇用期間など個別の労働契約を締結して働く常勤社員」のことを
契約社員として論を進めることにします。

◆◆ 有期労働契約について ◆◆

○ 労基法第14条に労働契約の期間について、次のように
定めています。

労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に
必要な期間を定めるもののほかは、3年を超える期間について
締結してはならない。」ことを原則としています。

ただし、公認会計士、弁護士、医師等の高度の専門的知識等を
必要とする業務に就く者、及び満60歳以上の労働者等との
労働契約の期間は5年とされています。

○ しかし、この規定は、「3年以上雇用してはいけない」との
趣旨ではなく、1回の契約期間として3年を超えてはいけない
ということを示しています。

つまり、契約更新によって働ける「最長の期間が3年」という
ことではないので、契約更新の結果、雇用年数が
長期に及ぶことも可能と言えます。

従って、お尋ねの件も、例えば労働契約期間を3年として、
3年ごとに更新することもできるし、

1年の契約期間を反復更新することも可能であるため、
結果的に長期雇用もできることになります。

◆◆ 有期労働契約基準について ◆◆

○ 有期労働契約については、契約更新の繰り返しにより
一定期間、雇用を継続したにもかかわらず、

突然、契約更新をせずに期間満了をもって退職させる等の、
いわゆる「雇止め」をめぐるトラブルが大きな問題と
なっていました。

このため、労基法第14条第2項に基づき、
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」
(平15.10.22厚生労働省告示357号)が策定されています。

以下に、その概要を紹介します。

1.契約締結時の明示事項等。
(1)使用者は、有期契約労働者に対して契約の締結時に、
その契約の更新の有無を明示しなければなりません。

(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると
明示したときは、労働者に対して、更新する場合又は
更新しない場合の「判断の基準」を明示しなければなりません。

明示すべき「判断の基準」の具体的な内容については、例えば

契約期間満了時の業務量により判断する。
労働者の勤務成績、態度により判断する。
労働者の能力により判断する。
●会社の経営状況により判断する。
●従事している業務の進捗状況により判断する、等々。

(3)使用者は、有期労働契約の締結後に(1)又は(2)について
変更する場合には、労働者に対して、速やかにその内容を
明示しなければなりません。

(4)これらの事項については、トラブルを未然に防止する
観点から、労働者に対して書面により明示することが
望ましいとされています。

具体的には、労働条件通知書の中にこれらの内容を
盛り込むようにしている企業が多いようです。

2.雇止めの予告。
使用者は、有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されて
いるか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります)を

更新しない場合には、少なくとも契約の期限が満了する日の
30日前までに、その予告をしなければなりません。

3.雇止めの理由の明示。
使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について
証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければ
なりません。

なお、明示すべき「雇止めの理由」は、「契約期間の満了」
ではなく別の理由とすることが必要です。

例えば「担当していた業務が終了・中止したため」や
「事業縮小のため」などです。

◆◆ 有期労働契約の途中解約について ◆◆

○ 平成20年3月1日施行の労働契約法(以下「労契法」)
第17条に次の規定があります。

使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない
事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間に
おいて、労働者を解雇することができない。」

本条に関する解釈例規(平20.1.23基発第0123004号)では
次のように示されています。

●法第17条第1項の「やむを得ない事由」があるか否かは、
個別具体的な事案に応じて判断されるものであるが・・・

「やむを得ない事由」があると認められる場合は、
解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、

社会通念上相当であると認められない場合」以外の場合よりも
狭いと解されるものであること。

●法第17条第1項は、「解雇することができない」旨を
規定したものであることから、

使用者が有期労働契約契約期間中に労働者を解雇しようとする
場合の根拠規定になるものではなく、

使用者が当該解雇をしようとする場合には、従来通り、
民法第628条が根拠規定となるものであり、

「やむを得ない事由」があるという評価を基礎付ける事実に
ついての主張立証責任使用者側が負うものであること。

○ このように、やむを得ない事由で中途解約をしようとする場合、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると
認められない場合に無効となりますが、

その事由の判断の幅は、通常社員の解雇の場合よりも
狭いものと解されています。

つまり、この労契法の規定により、有期労働契約を締結している
間は、企業の一方的な都合による解雇はできないことになります。

◆◆ 契約期間満了による雇止めに関する留意点 ◆◆

○ 本来、有期労働契約は、契約期間の満了をもって
労働契約を終了させることが原則となっています。

しかし、労働契約が反復更新されて一定期間雇用を継続すると
「あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で
存在していた」として、

その場合の雇止めの意思表示は「実質において解雇の意思表示
あるから、解雇に関する法理を類推すべきである。」との
(「東芝柳町工場事件」昭49.7.22最高裁第一小法廷)
裁判例があります。

従って、この場合は就業規則等に定める解雇事由に照らし、
労働契約の終了の合理性が判断されることになります。

しかも労契法第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を
欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。」とあるように、

客観的に合理的な理由を示し、かつ、その事由が社会通念上も
相当であることの主張立証責任使用者側にあり、

その立証ができなければ、その解雇(雇止め)は無効となります。

結局、前項の中途解約の場合も期間満了における雇止めも
解雇法理が類推適用されることを示しています。

○ なお、「実質的に期間の定めのない労働契約」に該当するか
否かの判断基準は次の観点が目安とされています。

(1)正社員と有期労働社員の業務内容が明確に分かれているか。

(2)契約更新の際、有期労働社員の意思の確認や契約期間
明示を行う等の厳格な手続きを行っているか。

(3)長期の労働契約を期待させるような言動が行われていないか。

(4)契約更新は多数回にわたり繰り返されていないか。

なお、「多数回」に該当するか否かの明確な基準はないとされて
いますが、先に紹介した厚労省告示の場合は更新回数を
3回以上としています。

◆◆ 更新回数の上限の設定は可能か ◆◆

○ 原則として、先に示した「有期契約基準」に準じて、
最終の労働契約の更新時点で、

当該契約をもって労働契約を終了する旨を明示することで
雇止めを行うことは可能です。

ただし、その場合でも、その理由等をていねいに説明し
労働者が納得して合意することが大事なポイントです。

従って、お尋ねのあった「更新回数の上限」についても
(1)最初の有期契約の際、あらかじめ契約更新の回数を
明示すること。

(2)最終の契約更新の際に、当該労働契約をもって
契約更新は行わない旨を通知すること、

等により可能と考えられます。

ただし、これらの手続が行われていない場合で、契約期間
満了時点で、例えば「契約回数は5回を上限とする会社の
方針」であることを理由に雇止めをすることは、

合理性がないとされ、雇止めは無効と判断される可能性が
高いものと言えます。

○ 最後に、契約社員は、一般に高度な専門的能力を持つ
スペシャリストとして、正社員に対する給与体系等で

処遇しきれないことから、別体系として契約社員制度を
導入するケースも多いとされています。

そのため、正社員とは別に、更新回数や雇止めの事由、
福利厚生関係も含めた「契約社員就業規則」を
調製されるべきことをお勧めします。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

ある日のテレビ報道をみていて怒りが込み上げてきました。
全国からの、さまざまな団体・個人等から寄せられた真心の義援金。

なかなか、被災者の手元に渡らず、イライラしていましたが
やっと、ある役場での手続が放映されていました。

その手続の際、印鑑を押す場面で、震災で全て失った高齢者が
「血判」(拇印のことと思います)ではダメかと語っていましたが
担当者は、冷たく拒否していました。

しかも、いつもらえるのか、との問いに「1か月先です」との返答。

冒頭でも言いましたが、今は非常時ではないか。
しかも、津波被害で全てを失った方も多いのに、この対応は
なんなのか。

また、原発事故で警戒区域になっている地域に2時間の
一時帰宅が認められましたが、

帰宅にあたって、国から同意書に署名を求められたといいます。
「自己の責任において立ち入ります」と。

何のための署名なのでしょうか。冷たく突き放すような手続に
住民から反発の声があがるのも当然といえます。

いずれも「お役所仕事だから・・・」と言ってしまえばそれまでだが
人間を相手にして人間のために仕事をしているとの、
当たり前の基本が見失われていないでしょうか。

書類を整えるための仕事ではない筈です。

今の我が国には、大事な「何か」が見失われているような
気がしてなりません。

では、また次号でお会いしましょう。
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