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労使協定における労働者の過半数代表者の選出の手続きとは?

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第61回 労使協定における労働者の過半数代表者の
                  選出の手続とは?
                                   
<第76号>     平成23年10月31日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

さて本論ですが、ある事業所を訪問した際に、その事業所に
労働組合がないため、1年に一度、

労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)
を選出して、必要な労使協定を締結しているとのことです。

そこで当該事業所の経営管理部長が、本年3月の36協定
締結の時に選出した過半数代表者を、

今回、新たに「時間単位年休」に係る協定にも労働者側の
当事者として締結したいと考えているが、
何か法的に問題はないでしょうかと質問されました。

今回は、この点について考えてみます。

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◆◆ 労使協定が必要とされる場合とは ◆◆

○ 労基法の条項の中に、よく次のような規定が置かれて
います。

事業場労働者の過半数で組織する労働組合があるときは
その労働組合労働者の過半数で組織する労働組合
ないときは、

労働者の過半数を代表する者との書面による協定」と
いうものです。

すなわち、事業場労働組合がある場合には、その組合の
執行委員長と使用者との間で、

もし労働組合がない場合には、当該事業場労働者
過半数を代表する者を選出し、

その者と使用者との間で、書面による協定を締結する
ことにより適法に運用することができることになります。

○ ところで、我が国における労働組合の単一企業組織率は
年々、逓減傾向にあり平成22年度で18.3%程度とされ

労働組合のない事業場が増えてきており、特に中小企業では
ほとんど組合がないという現状です。

従って、多くの事業場では必然的に過半数代表者と
労使協定を締結する必要があることになります。

○ 参考までに、労基法に定められている労使協定を締結する
必要のある条項は次の通りです。

(1)労働者の貯蓄金の委託管理に関する協定(法18条2項)
(2)賃金の一部控除に関する協定(法24条1項但書)

(3)1か月単位の変形労働時間制に関する協定(法32条の2)
(4)フレックスタイム制に関する協定(法32条の3)

(5)1年単位の変形労働時間制に関する協定(法32条の4、
1項、2項)
(6)1週間単位の非定形的変形労働時間制に関する協定(法32条
の5、1項)

(7)休憩時間一斉付与の例外に関する協定(法34条2項)
(8)時間外及び休日労働に関する協定(法36条1項)

(9)1か月60時間超の時間外労働に係る代替休暇に関する
協定(法37条3項)
(10)事業場外労働に関する協定(法38条の2、2項)

(11)専門業務型裁量労働制に関する協定(法38条の3、1項)
(12)企画業務型裁量労働制に関する協定(法38条の4、2項)

(13)時間単位年休に関する協定(法39条4項)
(14)年休の計画的付与に関する協定(法39条6項)

(15)年休の日の賃金支払(標準報酬日額)に関する協定(法
39条7項但書)
(16)就業規則作成(変更)に係る過半数代表者からの意見
聴取(法90条1項)

以上の16種類がありますが、事業場として上記のいずれかの
導入をする場合に、労使協定の締結が必要となります。

◆◆ 過半数代表者の要件とは ◆◆

○ 事業場労働者の過半数で組織する労働組合がない場合、
すなわち、労働組合自体がない場合又は、労働組合があっても

それが当該事業場労働者の過半数で組織されていない
場合には、当該事業場の過半数代表者が協定当事者となります。

○ 過半数代表者の要件については、次のいずれにも該当する
者とされています(労基法施行規則第6条の2)。

(1)労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位に
ある者でないこと。

(2)労基法に規定する協定等をする者を選出することを
明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により
選出された者であること。

ただし、上記の(1)に該当する労働者がいない事業場
つまり労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の
地位にある者のみの事業場である場合にあっては、

労基法第18条第2項、第24条第1項但書、第39条
第4項、同条第6項及び第7項但書並びに第90条第1項に
規定する過半数代表者については、

上記(2)の要件を満たすだけで足りるとしています。
(施行規則第6条の2第2項)

なお、上記(2)の文中にある「投票、挙手等」の
「等」には、

労働者の話し合い、持ち回り決議等、労働者の過半数が
当該代表者の選任を支持していることが明確になる民主的な
手続が該当する(平11.3.31基発第169号)としています。

○ 労働者の過半数以上の信任と民主的な方法により
選出された過半数労働者に対しては、各種の不利益取扱いが
禁止されています。

すなわち、過半数代表者であること、あるいは過半数代表者に
なろうとしたこと、又は過半数代表者として正当な行為を
したことを理由として、

解雇、賃金の減額、降格等、労働条件について不利益な
取扱いをしないようにしなければなりません。
(施行規則第6条の2第3項)

なお、「過半数代表者として正当な行為」には、

法に基づく労使協定の締結の許否、1年単位の変形労働時間制
についての労働日ごとの労働時間についての不同意等も
含まれると解されています。

◆◆ 過半数を占めない労働組合が数個ある場合 ◆◆

○ 事業場に数個の労働組合があり、かつ、いずれも過半数の
労働者を組織していない場合に、

そのうちのいくつかの労働組合の組合員を合計すれば
過半数となるという事案についての裁判(「全日本検数協会
事件」昭46.4.10名古屋高裁判決)では、

同一期間内に適用すべき同一の内容の協定を数組合との間に
別個に締結すれば、

それら数個の協定書を合一して施行規則第16条(筆者注:
36協定の締結内容)所定の要件を充足するときは

第36条に基づく有効な協定(筆者注:時間外、休日労働
関する協定)が存すると解されると判示しています。

つまり、それぞれの組合との間に締結された協定は、
いずれも適法な協定とはならず、

このような複数組合が協定当事者となり同一の内容の協定を
締結すれば過半数に達する場合、当該協定は有効であると
示したものです。

従って、この事案のように有効な協定と認められるためには
当該複数組合の意思が一つに統一されていると
認められる形式、

すなわち、それらの組合代表の連署による協定が必要で
あると解されています。

◆◆ 事由ごとに過半数代表者の選任が必要 ◆◆

○ そこで本件の場合は、本年3月の「36協定」の時に
選出した過半数代表者を、

今回の時間単位年休(労基法第39条第4項)に係る
協定当事者たる過半数代表者にしたいとのことですが、
その是非について考えてみます。

結論から言いますと、このような方法には問題が
あります。

労基法では、各条項に規定する事由ごとについて、
労使協定労働者側の当事者として「過半数代表者」を
規定しています。

しかも同法には、「複数の事由を包括して」当事者とさせる
過半数代表者の規定は置かれていません。

つまり、本件の場合でいいますと、
36協定締結に当たり選出した「過半数代表者」は、

36協定締結という事由に基づいて選任されたものであって
他の事由における「過半数代表者」にはなり得ないと
いうことになります。

○ 以上から、本件の時間単位年休導入における労使協定
労働者側の当事者である「過半数代表者」について、

改めて投票や挙手等の民主的な方法により選出する
必要があります。

なお、たまに使用者が黙示的に指名なり推薦した労働者
ついて、信任投票をするという方式をとる事業場
ありますが、

法の趣旨からみて、適切でないと考えられます。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

先日政府は、2018年度にも厚生年金と共済年金の制度を
一元化し、保険料率を統一する考えであることを
明らかにしました。

この一元化については、過去、自公政権時代の2007年に
被用者年金一元化法案」を提出しましたが、
廃案となっています。

先日、テレビでも紹介していましたが、
共済年金の支給額は厚生年金の倍近くの年金額となっています。

もし一元化した場合の保険料率は、高い共済年金ではなく
厚生年金に合わせるしかないと考えられますが、
果たして公務員等の共済年金受給対象者は納得するでしょうか。

逆に、厚生年金を共済年金に合わせることについては
事業主の折半負担から考えて経済界の反発は必至と思います。

ましてや、今の野田政権は財務省(旧大蔵省)に
からめ取られていると言われており、看板倒れに終わると
危惧するのは筆者だけでしょうか。

では、また次号でお会いしましょう。
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