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改正労働契約法について

平成24年9月15日 第108号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.改正労働契約法について
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1.改正労働契約法について

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1.はじめに

労働契約法が改正になりました。
今回の改正は「期間の定めのある労働契約労働者」について。
いわゆる有期雇用者についてです。

当然労働者保護を目的に法改正されましたが、労働者保護ではなく、むしろ労
働者間の格差を助長しかねない内容であると私は考えます。

改正点は3つ。
第一は「有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換」
第二は「いわゆる雇い止めの法理の法制化」
第三は「期間の定めのある労働契約を理由とした不合理な処遇の解消」
以下で詳細に述べたいと思います。

2.有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換

(1)期間の定めの無い労働契約となる場合
同一の使用者と2以上の有期労働契約を通算して5年を超える期間、契約関係
にある労働者が、その使用者に対して、現在働いている有期雇用契約の期間満
了までの間に、その契約の満了する日の翌日から労務が提供される期間の定め
のない労働契約の申し込みをしたときは、その使用者は申し込みを承諾したも
のとみなしますという規定です。

ポイントは
a 2以上の雇用契約が同一の使用者に対して通算して存在すること
b aが5年を超える期間であること
c 5年を超える事となる最後の労働契約期間中に期間の定めの無い労働契約
の申し込みをすること
これにより期間の定めのない労働契約満了日の翌日を始期とする期間の定めの
無い労働契約使用者が承諾したものとみなし成立する事となるのです。

この場合の待遇は、別段の定めの無い限り、5年を超える事となった有期雇用
契約と同一条件とするとあります。

期間の定めの無い労働契約だからといって月給にしなければならないというこ
とには直結しません。
また正社員にしなさいということではなく、期間の定めの無い労働者にすれば
良いのです。

同一価値労働同一賃金の原則に反しない限り、正社員とは違った待遇で処遇す
ることは問題ありません。

(2)クーリング期間
クーリング期間は原則として6ヶ月です。
有期雇用契約が満了した日と同じ使用者との間で締結されたその次の有期雇用
契約の初日との間に「空白期間」があり、その期間が6ヶ月以上であれば通算
したこととはされずに、5年という期間はリセットされます。

例外は2つ。
第一の例外は、空白期間とは認められないと厚生労働省令で定める期間。
第二の例外は、有期労働契約が1年に満たないときは6ヶ月ではなく、有期労
契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期
間とすること。但し、この1年という長さは一つの労働契約だけではなく、2
以上の労働契約であっても、契約満了日と次の契約の初日との間に空白期間が
ないときは連続した期間で一年をみることとなります。

(3)問題点

大きな問題点は高齢者雇用です。
60歳定年として再雇用をし、有期労働契約を65歳まで更新したとします。
60歳から65歳までの間にクーリング期間を満たした空白期間がない場合に
は65歳を超えた有期労働契約から改正法の対象になってきます。
一度定年した労働者を有期雇用再雇用して、65歳を超えたら期間の定めの
無い労働契約となる可能性があります。
働ける労働者は何歳になっても働いてくれという経営者の方がいらっしゃいま
すが、企業の観点からいえば、65歳になって契約期間満了退職してもらい、
クーリング期間を経た後に改めて再雇用するというあまり現実的ではない実務
が必要になってきます。
高齢者、とりわけ65歳以上の高齢者雇用に大きな影響を及ぼす法改正といわ
ざるを得ません。
60歳以降は5年ごとに職場を変えなければならないという事も想定されます。

同様の事が単純労働者にもいえます。
単純労働者については5年ごとに職場を変えることとなり、結果として格差を
生じさせることとなるのではないでしょうか。

企業としては契約締結時に「更新しても5年は超えない」旨を明記する対策が
必要です。
1年ごとの有期労働契約であれば、当初の契約書に「この労働契約の更新は最
大で4回までとする」という文言を入れておく等の対策が求められます。

2.雇い止めの法理の法制化

これは判例法理である「雇い止めの法理」を法制化したものです。
法制化により従前より厳しく判断されるかもしれません。
内容は東芝柳町工場事件の場合の「期間の定めのない労働者と実態として同様
の働き方をしていること」、日立メディコ事件の場合の「期待権の保護」の考
え方を法制化しました。

条文を分かりやすく解説すると以下の通りです。
有期労働契約であって、後述する要件、すなはち「東芝柳町工場事件に代表さ
れる事例」か「日立メディコ事件に代表される事例」のいずれかに該当する有
労働契約であり、その労働契約期間が満了する日までの間に、労働者が、有
労働契約更新の申し込みをした場合、または、その労働契約期間満了後遅滞
なく有期労働契約締結の申し込みをした場合には、使用者がこの申し込みを拒
絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めら
れないときは、使用者は、従前の有期労働契約である労働条件と同一の労働条
件でこの申し込みを承諾したものとみなす。

「東芝柳町工場事件に代表される事例」として、この有期労働契約が過去に反
復して更新された事があるものであって、その契約期間の満了時にこの有期労
契約を更新しないことが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者
解雇意思表示をすることによりこの期間の定めのない労働契約を終了させ
ることと社会通念上同視できると認められること。

要するに期間の定めのない労働者解雇する事と同視出来ると社会通念上考え
られる場合がこのケースです。

次に「日立メディコ事件に代表される事例」として、労働者が有期労働契約
了時に、この労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由
があると認められること。

いわゆる「期待権保護」の考え方です。

この考え方自体に新しいものはありませんが、問題は契約期間中に申し込みを
する場合に限らず、契約期間満了後遅滞なく申し込みをした場合には同一の労
働条件で労働契約を承諾したものとされることです。

この「遅滞なく」が曖昧で実務上どの様に取り扱うのか大いに問題があるとこ
ろです。

4.期間の定めのある労働契約を理由とした不合理な処遇の解消

期間の定めのある労働者が、同一の使用者の下で働く、期間の定めのない労働
者の労働条件と相違する場合について、この労働条件の相違は「労働者の業務
の内容及び当該業務に伴う責任の程度、この職務の内容や配置の変更の範囲そ
の他の事情」を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとあり
ます。

この部分の対策はパートタイム労働法での対策で可能かと思われます。

5.まとめ

昨今の労働法制や社会保険法制の議論をみていると政策として格差社会に誘導
しているのではないかと思います。
社会保険の適用拡大。
週20時間以上の労働者社会保険に加入をしなければならない。
既に小売業を中心に動きは出ていますが、求人は20時間未満のものが中心に
なります。
その中で選別されて、優秀と認められるパートタイマーがフルタイムで働ける
ようになってくるでしょう。
フルタイムで働く職の確保が難しくなってきます。
また労働契約法の改正により単純労働については5年を超えた契約を行わない
傾向になるでしょう。
契約の条件として当初の契約から「5年を超えた契約更新は行わない」として
おけば可能なのです。優秀な労働者はそこから正社員への道が拓けてくるので
しょうが多くの労働者は5年ごとに職を変えなければなりません。

企業サイドも大変ですが、果たして労働者保護になるのであろうか。
私はそう思いません。
机上の空論で出した結論でしょうが、企業実務に携わるものとして、自信を持
って「格差を助長する政策」であるといえます。

冷静な議論をして、これらの政策の是正を行っていかなければ、我が国の国内
の購買力が落ちてしまい、結果として失業率の上昇につながるでしょう。

改正法の解説と共に問題提起を出来ればと思い今回のテーマとしました。


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