2017年12月28日号 (no. 1054)
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本日のテーマ【1人の人間に職業は1つ。これが社会保険の弱点。】
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http://www.yomiuri.co.jp/national/20170924-OYT1T50108.html
ダミー会社通じ給与の一部、厚生年金保険料逃れ
( - 引用開始 - )
東京都内のタクシー会社が、香港に設立したダミー会社を通じて従業員に給与の一部を支払う方法で、国に納めるべき厚生年金の保険料を低く抑えていたことが、関係者の話でわかった。
納付を免れた保険料は、2年間で少なくとも6000万円超に上る。海外企業を利用した保険料逃れが明らかになるのは初めて。厚生労働省は、他にも同様の事案があるとみて全国の年金事務所に調査を指示した。
関係者の話などによると、タクシー会社の従業員は採用後、同社社長(56)が代表を兼務する香港の会社に転籍。この会社からタクシー会社に出向する形で、日本国内で働いていた。
従業員は、基本給として一律に月14万5500円をタクシー会社から支給される一方、歩合給や深夜手当などの給与は、香港の会社名で受け取っていた。同社では遅くとも2012年頃からこの仕組みを取り入れ、国に基本給分だけの保険料を納めていたという。
( - 引用終了 - )
海外の法人を経由させて社会保険料を少なくしたというのが話の焦点です。
例えば、基本給の部分が25万円として、歩合給の部分が40万円だとします。この場合は、月収は65万円であるとして社会保険料が決まります。月収65万円だと、厚生年金の保険料は約11万円(会社側と社員側を合算した額)です。
一方、歩合給の部分を海外法人に移すと、40万円の部分が社会保険料の計算から外れるため、月収25万円を基準に社会保険料が計算されます。これだと厚生年金の保険料は約5万円です。
両方を比べると2倍ほどの保険料の差がありますから、社会保険料を減らす効果としては高いものです。半額になるわけですからね。さらに、健康保険も厚生年金とセットで加入しますから、健康保険料も低く抑えられていたと考えられます。ただ、このような手法を用いるのが良いのかどうかは物議を醸します。
収入を分けて、その一部を社会保険料の計算対象から外すために海外法人を使ったということですが、国内法人と海外法人が実質的には1つの法人なり事業所だと判断されれば、社会保険料の未払いが発生します。
税金の話で例えると、10万円の買い物をしたら、8%の消費税がかかるので、支払額は8,000円増えますよね。それを何らかの手法でもって、3万円分だけ消費税がかかるようにして、残りの7万円は消費税が課税されないようにすると、増える支払額は2,400円だけで済みます。
今回の社会保険料の話はこれと同じような仕組みです。一部を計算対象から外すのがポイントです。
国際税務でも、本社がある国で法人税を納付し、その国では大して商売の規模は大きくない。一方、本社を置いていない国では活発に商売をやっていく。こういう手法は当たり前のように用いられています。
このような税務手法を応用して、社会保険料を減らす場面に適用していったのでしょう。
1人の人間は1つの会社にしか所属していない。この前提で社会保険の制度が設計されているのも問題の原因となっています。
正社員でフルタイム勤務、1つの会社でお勤め。こういう典型的な働き方がベースになっていて、社会保険制度は複数の会社で勤務する人への対応が苦手なのです。
日本国内で社会保険料を計算する場合は、複数の事業所、収入を合算して社会保険料を計算する仕組みはありますが、これにも欠点があります。
同一法人の中では収入を合算して社会保険料を計算できるのですが、別法人になると収入は別扱いになり、社会保険料も別計算になります。この部分の話は以下のページでも書いていますので、そちらを参照ください。
http://www.growthwk.com/entry/2017/06/03/172637
book919(副業している会社の勤務時間は通算される?)
夫が会社員、妻が専業主婦で、子供は2人。これが社会保険でのロールモデルになっていて、この形から外れるイレギュラーな生活をしている人に対しては社会保険制度が上手く機能しないんですね。特に「1人1職業」の枠から外れた人には。
マイナンバーを使って名寄せ機能を強化し、別法人であっても強引に収入を合算し、それを基準に社会保険料を計算するという方法もありますが、それもそれで問題が残ります。
例えば、週15時間で勤務(社会保険に加入する条件を満たしてない)する会社(会社A)と週35時間で勤務(社会保険に加入する条件を満たしている)する会社(会社B)、この両方で働いている場合、社会保険料の計算をどうするか。両方を合算して週50時間分の収入で社会保険料を計算するのか、それとも週35時間分の収入で社会保険料を計算するのか。この部分で判断ができなくなります。
もし、週50時間で社会保険料を計算してしまうと、会社Aの立場では、社会保険に加入する基準を満たしていないのになぜ社会保険料(15時間分相当の社会保険料を支払うと仮定)が必要なのか、となります。
となると、15時間分については社会保険料の計算から外さざるを得ないわけです。
じゃあ、これで問題は解決するのかというと、別法人を利用すれば収入を通算しにくいという点を突いて、今回のような社会保険料削減方法が用いられてしまうのです。
今回のケースでは、国内法人と海外の法人が実質的に同一であると判断して、それぞれでの収入を合算し社会保険料を計算するという結論に至ると思います。しかし、全くの別法人(互いに何らの繋がりもない関係)を利用された場合は、社会保険料が減ってしまうという問題は残ります。
特定の国に本社を置いて節税するのと同じように、社会保険でもそれと似たような悩みに対処しないといけない状況になったということです。
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合格率0.07%を通り抜けた大学生。
今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。
子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。
「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。
私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。
実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。
そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。
http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20171228_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20171228_3
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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
一例として、
Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
▽ ▽ 『仕事のハテナ 17のギモン』 ▽ ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20171228_4
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