こんにちは。社会保険労務士の田中です。
スタートアップ企業の支援をしています。
☆☆ スタートアップのための人事・労務 ☆☆
このコラムは、成長ステージにあるスタートアップ企業に
人事・労務面のアドバイスをご提供しています。
スタートアップ企業を対象とした無料相談も実施しています。
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☆☆ 第3回 人を採用したら雇用契約書を取り交わす ☆☆
順番としては、第1回 労災・第2回 雇用と説明してきたので、
本来なら健康保険・厚生年金ですが、先に、人材採用のお話しをします。
☆ 1人+αの時期 ☆
1人でスタートした会社でも、仕事が増えてくるにつれて、
配偶者やパートナーに手伝ってもらうこともあります。
ここまでは身内です。「労働者性」が問題になることはないでしょう。
☆ 友人・知人が手伝ってくれる時期 ☆
友人や知人が好意で仕事を手伝ってくれることもあります。
この場合は、給与ではなく「お礼」という形でお金を渡したり、
時には食事をご馳走して終わり、という事もあるでしょう。
つまり、「仕事に対して賃金を支払う」訳ではありません。
しかし、短時間であっても仕事をしてもらうのであれば、
きっちりと「仕事」として依頼した方がいいでしょう。
後々、「お金」のことでしこりが残ることもあり得ますし、
何よりも事故などで怪我をした時に労災保険が使えません。
この話しをすると、多くの方は次のように答えます。
「うちで労災事故は起こらないよ。ましてや大きな事故なんて絶対にないよ」
しかし不幸にして死亡労災や障害が残るような大きな労災事故が発生すると、
その会社の社長・役員・担当者の方々は、決まって次のように言います。
「まさか、うちでこんな大きな事故が起こるとは思わなかった…」
そうです。どんな会社でも大きな事故が起こる可能性はあります。
そして、それをほとんどの場合は予見していません。
スタートしたばかりの会社であっても労災が起こる可能性はあります。
第1回の労災保険でもお伝えした通り、仕事で怪我をして、
労災が適用されないと会社の負担は巨額になりかねません。
そして、会社が労災保険に入っていても、怪我をした人が、
「労働者」ではないと、労災保険は適用されません。
従って、好意で手伝ってくれる友人・知人も、労働者として、
仕事の範囲や時給を明確にして、それらを書面で通知して、
会社の指示命令によって働いてもらう、とした方が安心でしょう。
☆ 個人事業主への仕事の依頼 ☆
その他、いわゆるクラウドワーカーやフリーランサーなどの
個人事業主に仕事の一部分を依頼することもあるでしょう。
専門的で高度な仕事や、一時的に発生する作業などは、
自社で人を採用するよりも、個人事業主に外注した方が、
費用面やアウトプットの質などでメリットもあります。
その際には、前述の「自社で雇用した労働者」と「外部委託」の
線引きをきちんとしないと、トラブルの原因になりかねません。
なお、厚生労働省は「テレワーカーへの業務依頼時の注意」という
観点で、ガイドランインを発しているので、ご確認ください。
(ガイドラインはこちら↓)
http://ur2.link/M2aa
(全体的な注意↓)
http://homeworkers.mhlw.go.jp/guideline_new.html
☆ 採用はハローワークであれば無料 ☆
さて、いよいよ全く知らない人を採用する時期となります。
ネット社会ではありますが、意外に古くからの求人媒体である、
「職安(ハローワーク)」は有効です。
しかも無料ですから、活用することをお奨めします。
事業所登録をすれば、その後は電話で求人の更新もできます。
ハローワークのサイトに会社の求人票もアップされるので、
仕事を探している人はネットで貴社の求人を見られます。
また、シングルマザー、障碍者などをハローワークの紹介で
雇用すると助成金がもらえる場合もあります。
(助成金の詳細はこちら ↓)
http://ur2.link/M2ag
☆ 雇用契約期間を設けるか否か ☆
初めて「他人」を採用したのであれば、
1ヶ月や3ヶ月などの雇用契約期間を設けることをお奨めします。
この期間は自由に設定できますが、次の点に注意してください。
・募集の時点で雇用契約期間がある旨を伝える。
・雇用契約書に雇用契約期間を明記する。
・相手方にもこの事をしっかりと理解してもらう。
採用後に自社には合わない事が判明する人材もいます。
雇用契約期間を設けることで、そのような人には、
他社で活躍してもらうためにも、契約期間の満了時に
更新をせずに退職してもらうことができます。
また、自社で活躍できる人材と判断できれば、
「期間の定めなし」に雇用契約を切り替えられます。
なお、この雇用形態になると会社の都合で従業員に
退職してもらうことは難しくなります。
また、雇用契約期間がある場合でも複数回、更新すると
「期間の定めなし」と同様の状態と判断される場合も
あり得ますので、ご注意ください。
☆ 忙しかったら、採用基準を下げても良いか ☆
数人を採用すると、自社の採用基準ができてきます。
そして、どんなに人手が足りずに困った時でも、
その採用基準を安易に下げることは避けるべきです。
一旦、採用した場合は退職してもらうことは難しいですし、
会社は「一定期間だけ手伝ってもらう」というつもりでも、
その事が相手にうまく伝わっておらず、相手は、
「いつまでも働ける」という認識でいることもあります。
また、採用基準を下げて採用した人は、仕事の質が
決して高くないため、他の従業員との関係がアンバランスに
なり、社内に不協和音が生じることもあり得ます。
☆ 雇用条件通知書か、雇用契約書か? ☆
人を採用した場合は、トラブルを予防したり、
安心して働いてもらうためにも、雇用条件を書面で伝える必要があります。
厚生労働省は「労働条件通知書」としてひな形を公開しています。
ワードなので、自社に合わせてカスタマイズして使用できます。
(厚生労働省の各種書類のサンプルはこちら ↓)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/
これは「労働条件通知書」なので、
会社から労働者に対して一方通行で通知するだけの文書です。
一方、内容はほぼ同様ですが、「雇用契約書」となると、
会社と労働者がそれぞれ署名捺印して取り交わすことになります。
先の「労働条件通知書」の形式を変更するだけでもよいです。
どちらが良いとは一概には言えませんが、
双方が同意して締結した、という手順を踏んだ
雇用契約書の方がトラブル予防になると思います。
そして、「労働条件通知書」「雇用契約書」のいずれにしても、
雇用契約期間や試用期間を設けるなら、しっかりと明記して下さい。
また、雇用契約期間を設けた場合は、更新する条件も
明記する必要があります。
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1 スタートアップの人事・労務 1 なぜ、労災保険は必要か?
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2 スタートアップの人事・労務 2 雇用保険はどのように役立つか
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10 スタートアップの人事・労務 10 助成金との適正な距離
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11 スタートアップの人事労務 11 地味だけど大切な労使協定1
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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