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育児短時間勤務制度の対象者に労基法の育児時間の付与は必要か?

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 経営・労務管理ビジネス用語の
   あれっ! これ、どうだった?!

  第53回 育児短時間勤務制度の対象者に
           労基法の育児時間の付与は必要か?
             
<第68号>      平成23年7月4日(月)
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発行人のプロフィル⇒ http://www.ho-wiki06.com
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こんにちは! 
メルマガ初訪問の皆さま、ありがとうございます。

1週間のご無沙汰でした。
亥年のアラ還、小野寺です。

国内観測史上最大となる震度を記録した東日本大震災。
この震災で最も大きな被害を受けた業種の一つが
ホテル・旅館業界といいます。

帝国データバンクでは、2011年1月~5月に倒産した
全国のホテル・旅館について集計・分析の結果を公表しました。

その結果、本年の倒産状況は過去最多となった2008年を上回る
過去最悪のペースで倒産が増加すると予測しています。

2008年は、低迷する景気に加えてサブプライムローン問題が
相乗効果となり123件の倒産となりましたが、今年の場合、

1月~5月ですでに68件の倒産であり、しかも、4月、5月に
集中していることからも分かります。

それは、客室や露天風呂の被害に加えて、相次いだ予約のキャンセル、
自粛ムードが経営を圧迫するとともに、

福島第一原発の事故を受けて激減した訪日外国人数も回復のメドが
立たず、経営環境はさらに厳しさを増しているからとしています。

さて、本論ですが、平成22年6月30日付のいわゆる
育児介護休業法の改正施行により、

育児と就業の両立を図る観点から育児短時間勤務制度の導入が
義務化されました。この場合、所定労働時間が短縮された
労働者にも

従来から定められている労基法上の育児時間も同様に
与えなければならないのか、との相談がありました。

今回は、この点について考えてみます。

★☆[今日のちょっといい話]★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

●今回は、映画監督・宮崎駿(ハヤオ)さんの言葉です。

「僕たちの島は繰り返し地震と台風と津波に襲われてきました。
しかし、豊かな自然に恵まれている。

多くの困難や苦しみがあっても、より美しい島にしていく努力を
するかいがあると思っている。

今、あまりりっぱなことを言いたくはないが、
僕たちは絶望する必要はない。」と。

どんな苦境に陥っても、「希望」があれば「希望」が見えれば
生きぬこうとする力が湧いてくるのではないでしょうか。
政府は、被災地や避難生活の方々へ、常に希望を明るい未来図を
送り届ける責任があるのではないでしょうか。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

◆◆ 育児短時間勤務制度と子の看護休暇とは ◆◆

○ 労働者の育児に配慮した制度には「育児休業介護休業
育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「
育介法」と略す。)に定める、

育児短時間勤務制度や子の看護休暇等があり、また労働基準法
以下「労基法」)に定める育児時間等があります。

○ 事業主は、その雇用する労働者で3歳に満たない子を
養育する労働者で、

育児休業から復帰し、又は育児休業をしていない者の申出に基づき
1日の所定労働時間を原則として6時間(ただし、従来から

所定労働時間が6時間以下の者は除かれます)とする短縮措置を
講じなければなりません(育介法第23条、規則第34条)。

この措置の趣旨は、ある程度心身が発達する3歳に達するまでの
時期は、子の養育に特に手がかかる時期であり、

とりわけ保育所に子どもを預ける場合における送り迎えなど、
子育ての時間を確保することが雇用を継続するために
重要であることから、

所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ
子を養育することを容易にするための措置を講ずる義務を
事業主に課したものとしています(平21.12.28職発1228第4号、
雇児発1228第2号)。

○ 一方、「子の看護休暇」とは、小学校就学の始期に達するまでの
子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、

一の年度(別段の定めがない限り4月1日~翌年3月31日)において
5労働日(その子が2人以上の場合は10労働日)を限度に、

負傷、疾病にかかったその子の世話または疾病予防に必要なものとして
厚生労働省令で定めるもの(当該子に予防接種又は健康診断
受けさせること)についての休暇を取得できる、と定めています。
(育介法第16条の2第1項・第3項、規則第29条の3)

なお、子の看護休暇の日数は最低基準として保障したものであり、
対象となる子が2人以上いる場合に、

子1人につき5日間までしか取得できないものではなく、
同一の子について10日間取得することも可能であると
しています(前掲通達)。

◆◆ 労基法の育児時間とは ◆◆

○ 労基法上の育児時間とは、生後満1年に達しない子を
育てる女性から請求があった場合には、

同法第34条に定める休憩時間労働時間が6時間を超える
場合は少なくとも45分、同じく8時間を超える場合は
少なくとも1時間)とは別に、

1日2回、それぞれ少なくとも30分、子への哺乳その他の
世話のための時間を与えなければならないと定めています。
(労基法第67条)

ただし、乳児のもとへの移動に時間を要する場合であっても
移動時間を含めて1回30分間の育児時間を付与すれば

違法とはなりませんが、移動時間を除いて実質的な育児時間
与えられることが望ましいとされています。
(昭25.7.22基収第2314号)

○ このように、休憩時間のほかに育児時間を請求することが
できる旨を定めた趣旨は、

通常の休憩時間を育児のために用いることとした場合、
乳児を持つ女性労働者はその休憩時間に哺乳その他の世話に加えて

労働者自身の食事等を行わなければならず、また労働時間
継続により蓄積される心身の疲労を回復させるという、
休憩時間の意味をなさないと考えられるための措置です。

◆◆ 育児短時間勤務制度と育児時間の関係 ◆◆

○ 先に述べたように、育児短時間勤務制度は、ある程度
心身が発達する3歳に達するまでの時期は子の養育に
特に手がかかる時期であり、

保育所への送り迎えなど、子育ての時間を確保することが
雇用を継続するために重要であることから、

雇用を継続する労働者について所定労働時間を短縮することに
よって就業と育児の両立を容易にすることを企図したものです。

以上から、労基法上の育児時間と育介法の育児短時間勤務制度は
その趣旨及び目的が異なるところから、使用者として
それぞれの申出があれば、両方とも付与しなければなりません。

そのことは、育介法改正後(平成22年6月30日施行)の
通達でも、それぞれ別に措置すべきものとしています(前掲通達)。

○ 労基法上の育児時間は、1日の労働時間を8時間とする
通常の勤務態様を予想し、その間に1日2回の育児時間の付与を
義務づけるものとしています。

従って、1日の労働時間が4時間以内であるような場合には、
1日1回(30分)の育児時間の付与で足りるものと
解されています(昭36.1.9基収第8996号)。

なお、1日2回、各30分間の育児時間を一括して請求すること、
つまり、1日30分間の育児時間を連続して取得することによって

60分間の育児時間を取得することも可能とされています。

また、育児時間を与える時間帯についても、当該女性労働者
請求した時間に与えることになります。

従って、当該労働者勤務時間の始め、又は終わりに請求した
場合でも、その請求された時間に育児時間を付与しなければ
なりません(昭33.6.25基収第4317号)。

以上から、ご相談の件については、申出があれば、育児短時間
勤務制度及び育児時間の両方とも付与しなければなりません。

なお、関連する子の看護休暇について実務面のポイントについて
述べておきます。

◆◆ 子の看護休暇の付与日数の捉え方 ◆◆

○ 小学校入学前の子を養育する労働者に対し、
一の年度に5労働日、また2人以上の子を養育する場合は
10労働日を限度として看護休暇を取得できますが、

当該子が年度の途中で生まれたり、逆に亡くなったりした場合の
付与日数について、どのように算定すれば良いのでしょうか。

例えば、年度のはじめの時点では、小学校就学前の子の数が
1人であった場合で、年度の途中で子が生まれ、

養育する小学校就学前の子の数が2人となった場合、
看護休暇の付与日数については「申出時点の子の人数で
判断するものであること」(平11.12.28職発1228第4号、
雇児発1228第2号)とされています。

従って、小学校就学前の子が2人になった後で子の看護休暇
取得を申し出た場合には、その年度において年10労働日までの
休暇を付与する必要があります。

○ また、これとは逆に、例えば年度のはじめには
養育する小学校就学前の子が2人いて、子の看護休暇
10日間取得した後に、

年度の途中でその2人の子の一人が別居したり、亡くなったり
したことにより、養育する小学校就学前の子の数が1人と
なった場合でも、

すでに取得した子の看護休暇は、5日を上回る取得日数に
ついても有効であるとされ、

その上回る日数について遡及して不就業(欠勤扱い)として
取扱うことや、翌年度分に付与される子の看護休暇の日数から
差し引くことは許されないとしています(前掲通達)。

○ なお付与日数が「5労働日」等とされているように、
「労働日」とは原則として暦日計算によるものとしています。

しかし、例えば交替制により2日にわたる一勤務の労働者及び
常夜勤勤務者の一勤務等の場合のように、

勤務時間が2日にわたる場合の子の看護休暇取得については、
取得当日の労務提供開始時刻から継続24時間を1労働日として
取扱うこととされています(前掲通達)。

○ また、パートタイマー等の期間を定めて雇用される
労働者であっても労働契約の残期間の長短にかかわらず、

5労働日又は10労働日の子の看護休暇を取得することが
できます。

例えば、6か月契約雇用されている労働者の場合には
2.5日分の子の看護休暇取得とする取扱いは、法の定める
最低基準を満たさないため違法となります。

一方、労働契約が更新された場合、その労働契約が実質的に
連続しているとしても、新たな労働契約期間の開始に伴い、

改めて子の看護休暇として5労働日、10労働日を
取得できることとする必要はないとしています(前掲通達)。

つまり、子の看護休暇の付与日数の算定の単位は、あくまでも
一年度を単位として付与するという仕組みだからです。

◆◆ 育児短時間勤務制度等の適用除外労働者とは ◆◆

○ 育児短時間勤務制度の適用除外となる労働者については
育介法第23条第1項に次のように規定されています。

なお、事業場の過半数労組もしくは過半数代表労働者との
書面による協定があるときは、当該適用除外対象者であっても
除外することができるものとしています。

(1)1日の所定労働時間が6時間以下の労働者(育介法
第23条本文、施行規則第33状の2)。

(2)雇用期間が1年未満の労働者
(3)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

(4)業務の性質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間
短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

上記(4)については、同法指針の中で次のように例示されて
います。

イ.業務の性質に照らして制度の対象とすることが困難と
認められる業務として、

国際路線等に就航する航空機において従事する
客室乗務員等の業務。

ロ.業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが
困難と認められる業務として、

労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる
労働者数が著しく少ない業務。

ハ.業務の性質及び実施体制に照らして制度の対象と
することが困難と認められる業務として、

●流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を
勤務体制に組み込むことが困難な業務。

●交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を
勤務体制に組み込むことが困難な業務。

●個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、
他の労働者では代替が困難な営業業務。

○ また、「子の看護休暇」制度の適用除外とすることができる
労働者については、労使の書面による協定で、次の者を
除外することができます。

(1)雇入れ後、6か月未満の労働者
(2)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者。(了)

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■■ 編集後記 ■■
きょうも最後までお読みいただきありがとうございます。

今日は、高崎経済大学の八木秀次教授の興味ある論文から
一部をご紹介します。

●確かに、最近の首相は目が泳ぎ、精気がない。が、菅首相は
辞めない。辞めるつもりは毛頭ない。これは・・・菅首相による
奇妙な憲法理解とそれに伴う権力観によるものと考えるべきだ。

首相は昨年6月11日、国会での所信表明演説の冒頭で
「国会内閣制」という耳慣れない言葉を使った。・・・

簡単に言えば衆院総選挙で多数派となった政党(与党)は
4年間の任期中、内閣を私物化してよいと国民から白紙委任されたと
理解しているということだ。

●このことを首相は自身の著書や国会で繰り返し主張してきた。
副総理時代の昨年3月16日には「議会制民主主義というのは、
期限を区切った、あるレベルの独裁を認めることだと思っている。

(中略)4年間なら4年間は一応まかせる」とまで発言している。
4年間は「独裁」を許されると理解しているのだ。

●「政治主導」に異常なこだわりを見せているのも、同じ事情がある。
とにかく官僚には任せない、判断させない。政権政党が国政全般を
仕切らなければならないと考えている。

首相は、山口二郎北大教授が「なるべく本来の役所の行政ラインを
活用すべきです。役人にちゃんと仕事をさせることが必要です」と
助言した際、「本当はその種の政治任用のポストが必要なんだよな」と
応じたという。が、このことが被災地での被害を拡大させている。

政務三役と官僚とでは人数も専門性の高低においても雲泥の差がある。
政治家は大きな方向性を示して後は実務家に任せ、結果責任を取れば
よいのだが、細部に至るまで彼らは「独裁」しようとする。

少人数の素人集団による「政治主導」は政治空白そのものであり、
これが復旧・復興の阻害要因となっている、と。

○ 会期延長して1週間以上が経ちますが、まったく審議は
なされていません。

この八木教授の指摘を念頭に置いて、日々の菅首相の言語・動作・
態度を見ると、良く分かるような気がしますが、
皆さんは、いかがでしょうか。

では、また次号でお会いしましょう。
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