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給与前借りサービスは闇金と同じ。







2018年1月10日号 (no. 1067)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【給与前借りサービスは闇金と同じ。】
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https://www.bengo4.com/c_5/n_6978/
広がる「給料前払い」サービス、法律上は借金? 中にはグレーなものも…課題を検証


すでに働いた分を先に受け取る『給与前払いサービス』というものがあるようです。

通常、給与は1ヶ月分をまとめて支給するものですが、出勤日数が10日に達すれば、10日分の給与は受け取れます。10日分の給与債権はすでに発生しており、それを前払いサービスで現金化して受け取るというわけです。

さも新しいサービスのように思えますが、金融業界では古典的な手法です。債権の流動化という手法で、携帯電話端末の割賦債権、不動産を購入する際に発生した債権、あとは住宅ローンなども債権ですが、この債権を短期間で回収するのが流動化です。




債権を流動化して一気に現金を回収する。


例えば、通信会社が携帯電話端末(スマホなど)を1台48,000円で販売しているとします。通信契約と携帯端末をセットで販売し、24回払いで金利は0%。

利用者が毎月支払う額は2,000円ずつ。一方、通信会社は24ヶ月間、じっと携帯端末の割賦債権を持ち続ければ、48,000円満額を回収できます。しかし、満額を回収するには24ヶ月の期間が必要で、その間は現金を一部しか回収できません。

そこで、携帯端末の割賦債権を譲渡して、一気に現金を回収します。この場合は、割賦債権の流動化です。

仮に、1ヶ月に10万件の通信契約を獲得したとして、1台48,000円の端末を売っているとすると、合計で48億円の割賦債権を通信会社は手に入れます。ただ、これは債権であって現金ではないため、24回分割で毎月2億円づつしか回収できません。

回収していない現金は、いわば寝ている状態ですので、収益を生み出しませんし、金利0%で販売していますから利息収入もありません。となると、そのままジーっと放置するのは勿体無い。

そこで、割賦債権を購入してくれる業者に、48億円分の債権を買い上げてもらいます。手数料を5%支払うとして、残りの45億6千万円の現金が通信会社に入ってきます。

債権を買い取るならば、なるべく高ロットで買い取ったほうが儲かりますから、48億円の債権で手数料が5%なら、2億4千万円もの手数料収入を得られますからウハウハです。とはいえ、債権を回収リスクも引き受けないといけませんので(債権買い取り業者が回収リスクを負うのか、通信会社が回収リスクを負うのか、そこは債権譲渡契約の中身次第です)、中には債務履行になる契約者もいて厄介な作業が発生します。

携帯端末を販売し、ある程度まで割賦債権が貯まったら売却して現金化する。そうすれば、24ヶ月も待たず、早ければ1ヶ月程度で現金が入ってきます。

回収した現金をさらに商売へ投入し、次の販売に繋げていく。こうやってドンドンと拡大再生産して商売は大きくなっていくわけです。


24ヶ月間、債権を持ち続ければ、手数料は引かれませんので、48億円満額を回収できます。しかし、現金が眠った状態になりますから、商売にはマイナスの影響があります。

売掛金の回収と話は同じです。早く売掛金を回収できれば、キャッシュショートしにくくなります。売掛金が膨らんでいって、回収が遅いと、黒字倒産する場合もあります。債権であれ売掛金であれ、現金を早く回収するのは大事なことなのです。

「じゃあ、給与も早く回収するほうがいいのか?」というと、これは悩ましいところです。






■業者は、いかほど鞘抜きするつもり?


サービスとして給与を前払いするとなると、手数料を取られます。

給与債権を早く現金化することそのものは良いと思いますが、業者がどれだけの鞘抜きをするつもりなのか。この点に最も関心があります。

どれぐらいの鞘抜きをするつもりなのかというと、6%の手数料を取るとのこと。

6%というと安そうに感じますが、果たしてそうでしょうか。消費税が8%ですし、6%なんて大したことないんじゃないか。そう感じてしまう人がいても不思議ではありません。

もし、1ヶ月分を先取りして6%の手数料だとすると、年率換算で72%。つまり、金利72%でお金を借りているような状態です。年72%でお金を貸しているとなれば、消費者金融よりも高い金利ですし、もう闇金業者と同じと言っても過言ではない水準です。

10万円を前借りすると、6千円を手数料として取られるのですから、10日で1割の闇金業者と比べてもさほど差はないぐらいです。


利息制限法では最大で20%が利息の上限です。金額によって15%から20%まで変わりますが、年20%までが法律の上限です。





■適正な手数料はどれぐらい?


年率換算で、5%とか10%ぐらいだと、まあ妥当な範囲ではないかと思います。ただ、取り扱う金額が少ないと、金利は高くなる傾向がありますから、年率15%や20%という設定になったとしても不当ではないでしょう。

仮に10万円を前借りして、年利5%だとすると、1ヶ月あたりだと手数料は約417円。借りた期間が10日間だと、約139円が手数料となります。

10万円の給与を前借りして、10日後に返せば、手数料は139円。これぐらいならば妥当な範囲だと思います。もし年率20%だと考えても、手数料は500円程度ですから、10万円に対して500円の手数料ならば、まぁ納得できる水準です。

数日すれば受け取れる給与を前借りするような人をイメージすると、お金にだらしない人、信用リスクが高い、貸し倒れする可能性がある、だから手数料が高くなっているんだという判断もあり得ます。貸したら返ってこない可能性があるならば、その分だけ金利は高くなります。

金融業界では、小銭を借りる人ほど危ないという評価をされる傾向があります。一方、たっぷりとお金を借りる人ほど安全と思われています。

10万円を借りたときの金利。
10億円を借りたときの金利。
両者を比較すると、後者の方が金利は安くなります。

小銭を借りると割高で、キャッシングやカードローン、消費者金融を思い浮かべれば分かります。つまり、ドバっと融資を受ける方が安く資金を調達できるのです。


ただ、消費者金融でお金を借りるのとは違って、前借りサービスでは給与債権担保として用意されています。となると、無担保の消費者金融よりは安く資金を調達できるべきでしょう。

となると、適正な手数料としては、年率換算で10%から15%ぐらいではないかと思います。

一律に6%という手数料では、さすがに高すぎるでしょう。


アナログなワークフローでこの手のサービスを提供していると、人間がたくさん介在し、コストが高くなります。1件あたり僅か数百円程度の手数料では赤字になりますから、もっとシステマチックに給与債権現金化する必要があります。




労働基準法25条には給与の非常時払い規定がある。


給与を前払いする仕組みは、労働基準法にもあります。

労働基準法25条(以下、25条)には、非常時払いという規定があり、出産や病気、災害の際に、既往の労働に対する給与を、会社が支払うとの決まりがあります。

例えば、日給2万円で、すでに10日働いているならば、既往の労働に対する給与は20万円です。この20万円を、給与日前に会社が支払う、というのが25条の内容です。

ただし、25条に基づいて給与を支払うには一定の理由が必要で、単に「給与日までピンチだから」というだけだと25条を使えません。中には、25条に関係なく、会社の人と交渉して、5万円だけ先に給与を貰うような人もいるでしょうが、これは例外です。


すでに得られている給与の範囲で支払ってもらうのですから、25条にこだわらなくてもいいんじゃないかと、当事者の好きにしていいんじゃないかと思えるところですが、給与は全額を支払わないといけないというルールが労働基準法にありますので、前払いはあくまで例外として扱われています。





現金を減らさない方法。


給与を前借りしないといけないということは、現金が不足しているはずです。

ならば、なるべく現金が減らないように支払いをしていけば、問題を回避できるのではないかと思います。


例えば、ポストペイド式の決済方法を使う。後払いで現金を支払う決済としては、クレジットカードが最も身近です。今月使った分を翌月に精算し、支払う。クレジットカード決済だと、現金が減る時点を1ヶ月先送りできますから、現時点の現金は減りません。

iDやPiTaPaなどのポストペイド式電子マネーを使った場合も、クレジットカードと効果は同じです。

あとは、携帯電話会社のケータイ払いもポストペイド式です。

数日、長くても10日ほど待てば給与が支給される。そういう場面で前借りサービスを利用するのでしょうから、後払い式の決済方法を利用し、現金不足にならないように工夫すれば解決できる範囲ではないかと思います。

1回払いならば手数料はかかりませんから、前払いサービスで高い手数料を払うよりは有利です。










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メールマガジン【本では読めない労務管理の"ミソ"】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



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http://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180110_1




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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180110_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡




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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180110_3





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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20180110_4



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