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労働条件明示ルール

日本の有給休暇消化率は大体50%前後で推移し、先進国の中でも最低レベルだと言われています。
そこで政府は、もっと有給取得率をあげようと労働基準法を改正し、2019年4月から、全ての企業において、
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち
年5日については、使用者が時季を指定して取得させることを義務付けました。
違反すると違反者一人につき30万円以下の罰金が科されます。
でも、労働者が休暇で仕事を休めるのは、有休休暇だけではありません。
国の祝祭日にも仕事を休めます(且つ、殆どの会社は、国の祝祭日を会社の休日として賃金カットの対象とは
していません)。
我が国の祝祭日は年間15日ですが、この15日は世界で3番目に多い祝祭日数です。この他に多くの会社が、
夏季休暇お盆休み)を3日程度、年末年始休暇を5日程度の年間計8日程度を別途与えています。
従って、日本の労働者の年間休暇日数は、祝祭日15日に8日を加えた23日となり、この23日に有給休暇
取得日数10日(平均)を加えた計33日が日本の労働者年間休日日数となります。
この33日の年間休日日数を国際的に比較してみると、ブラジル42日、フランス41日、スペイン44日よりは
少ないのですが、香港26日、シンガポール25日、メキシコ19日やアメリカ24日などと比較するとむしろ多いのです。
従って、日本の労働者は休みも取らず、国際的に働き過ぎだというのは必ずしも正確ではないようです。
他方で、日本の会社は残業が多いといわれます。いわゆるサービス残業も少なくなく、諸外国から見ても日本人は
働き過ぎだとするのが一般的です。
OECD(経済協力開発機構)が発表した、2021年の平均年間労働時間の調査によれば、日本の平均年間労働時間
1607時間です。OECD加盟国全体の平均年間労働時間が1716時間なので、日本の労働時間は世界に比べてやや少ない
数値となっています。
でも、日本の労働時間数には所謂サービス残業は含まれていませんので、実態の残業時間はもっと多いのかもしれません。
働き方改革が進んでも、日本では残業時間の長さが未だ社会問題として強く残っています。特にサービス残業の問題は、
たびたび話題に挙がり、残業代が支払われていなかったことがニュースにされることも珍しくありません。
 一方、特にヨーロッパでは労働時間が社会問題化することは珍しく、日本に比べて残業時間も少ないとされています。
なぜ、ヨーロッパは日本に比べて残業時間が少ないのでしょうか。
それは、日本とヨーロッパで残業に対する考え方が大きく異なるためだとの指摘があります。日本では、残業していると
仕事を頑張っているように見られがちですが、ヨーロッパ諸国では、残業は仕事を所定時間内に終えられなかった人が
仕方なく取り掛かる仕事だと思われています。
つまり、残業をしている人は、仕事ができない人だと見なされてしまうのです。
こうした残業に対する考え方の違いが、日本とヨーロッパの労働時間にも大きな影響を与えているのかもしれません。
でも、最近は日本でも長時間労働が問題視され、残業は出来るだけ少なくしようとの動きにあります。
労働基準法が改正され(大企業は令和1年4月1日から中小企業は令和2年4月1日から施行)、時間外労働の上限は原則
として月45時間、年360時間となり、臨時的に特別な事情がなければこれを越えられなくなりました
臨時的に特別な事情があり、労使が合意しても(労使協定特別条項)でも以下を守らなければなりません。
(1)時間外労働が年720時間以内、
(2)時間外労働休日労働の合計が月100時間未満、
(3)時間外労働休日労働の合計について、「2が月平均」、「3が月平均」、「4が月平均」、「5が月平均」、
「6が月平均」全て1月当り80時間以内、
(4)時間外労働が月45時間を超えることが出来るのは年6か月が限度
日本でも国際的な視点から人事労務問題も大きく考え方が変わって来ています。
企業もこうした時代の流れに沿った経営を進めざるを得なくなってきており、経営者の苦労は益々大きく
なってきています。

さて、前回の「被扶養者資格の再確認」は如何だったでしょう?
今回は「労働条件明示ルール」の話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
  「労働条件明示ルール」
2024年4月から、改正労働基準法施行規則等が施行され、従業員を雇い入れる際などに行う労働条件の明示ルールが
変更になります。以前から変更になることは決まっていましたが、2023年10月13日に厚生労働省から実務上
確認しておきたい行政通達、Q&A、パンフレットが公開されました。変更になる大きな項目としては、
以下の3点であり、夫々について説明に加え、記載例も明示されています。
 1.就業場所・業務の変更の範囲
 2.更新上限に関する事項
 3.無期転換に関する事項
1.就業場所・業務の変更の範囲 について、就業場所・業務に限定しない場合の記載方法が注目されていましたが、
就業場所については「(変更の範囲)会社の定める営業所」、従事すべき業務については「(変更の範囲)
会社の定める業務」でもよいという例示がされています。          
施行まで残り半年程度となりましたので、労働条件通知書のひな形の変更といった作業に早めに取り掛かることを
お勧めします

以上

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