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労働者過半数代表についての考察

平成21年9月15日 第72号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.労働者過半数代表についての考察
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ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
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1.労働者過半数代表についての考察

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<1> はじめに

労働基準法をはじめ、労働法には労使協定を締結するにあたり、労働者の過半
数代表者と締結しなければならないという規定がある。
36協定、24協定、休憩時間一斉付与適用除外協定、年次有給休暇一斉
付与に関する協定、就業規則の意見聴取等である。
育児介護の適用除外者や再雇用の対象者についての協定や助成金の請求時に関
しても労使協定が必要であることもある。
この様に様々な局面に於いて「労働者の過半数代表者」の選出が必要であるに
もかかわらず、この手続きについて実務的な書籍等がない。
よって今回のテーマとした。

<2> 過半数を代表するものについて

(1)事業場について
労働基準法では事業場を場所的な概念でとらえており、経営的な概念でとらえて
いない。
よって経営組織上は一体と考えられる組織であっても、場所的に独立していれば
その拠点を一つの事業場と考えることとなる。
よって労使協定についても事業場単位で締結する必要があり、原則として労働
者代表も事業場ごとに選出する必要がある。
事業場の概念についてはこのメルマガで以前詳細に取り上げたので今回は省略
する。

(2)労使協定労働協約

労働協約とは、企業と労働組合契約事項である。
労働組合的視点でいえば「労働組合が勝ち取ったもの」であるといえる。
この労働協約は少数組合であっても、書式が整っていれば名称の如何を問わず
労働協約」として当事者が拘束される。
あくまで労働条件の維持向上を目指した結果を文書化し、当事者が署名捺印
たものである。

一方で労使協定とは労働基準法をはじめとする労働法規により、一定の面罰効
果や民事上の効力を生じる要件として締結することが求められているものであ
る。
よって、労働組合がその事業場で過半数を代表していない場合には、労働協約
をもって労使協定に代えることは出来ない。
あくまで労働者の過半数代表者でなくてはならないのである。

(3)ユニオンショップ協定を締結している労働組合でも気をつけなければな
らない点

ユニオンショップ協定を締結している労働組合であっても、組合員が正社員の
みであり、いわゆるパートタイマー等の非正規社員が非組合員として存在する
場合がある。
 ある事業場ではこの非正規社員の人数が多く、組合員が過半数に達しない場
合には、非正規社員を加えて過半数代表者の選出をしなければならない。

また労働組合であっても過半数代表者として意思表示をする場合には、労働組
合員の意見ではなく、非組合員を含めた事業場全体の代表者としての意見を求
める必要があり、非組合員への配慮も必要である。

よく非組合員を対象とした就業規則の意見書に「組合員ではないので特段意見
はない」という主旨で意見を記載する組合があるが、この場合組合としてでは
なく、事業場を代表した立場のコメントをすべきであり、過半数代表者として
の職務を全うしたことにはならない。

(4)少数組合との関係
 少数組合が存在している場合、過半数代表者と協定の締結が出来たとしても、
その組合との団体交渉は行わなければならない。
 過半数代表者との協定については有効とされるが(昭和23.4.5基発第
535号)、当該労働組合団体交渉権が消滅するわけではない。
 これはその労働組合を構成する組合員の人数を問わずに労働組合法に於いて
認められた権利であり、経営者は拒むことは出来ない。

(5)管理監督者
 事業場の過半数とは管理監督者や非正規社員を含めた過半数を代表するもの
である。
よって理論上では誰でも労働者の過半数代表者となれるが、労働基準法施行規
則第6条の2第1項第1号に於いて、管理監督者は除外されている。
 しかし、管理監督者ではなくても人事部門の担当者や企画部門の担当者等に
ついては経営者との一体性は認められないが、人事施策等について経営者の立
場で行動が要請される職責であり、この様な立場の労働者が過半数代表者とな
ることはその趣旨からして望ましいとはいえないとする見解が多い。

<3>過半数代表者の選出方法

(1)選出方法
 事業場労働者の過半数を占める労働組合が存在しない場合には、選出をし
なければならない。

 この点については、労働基準法施行規則第6条の2に規定されており、以下
の通りである。
管理監督者ではないこと
・法に規定する協定等をするものを選出することを明らかにして実施される投
票、挙手等の方法により選出されたものであること。

とされており「投票、選挙等」には労働者の話し合い、持ち回り決議労働者
の過半数が当該者の信任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該
当するとある(平成11.3.31基発第169号)

行政解釈としては以下のようなものがある(昭和63.1.1基発1号)
その者が労働者の過半数を代表して労使協定を締結することの適否について判
断する機会が当該事業場労働者に与えられており、すなわち、使用者の指名
などその意向にそって選出するものであってはならず、当該事業場の過半数の
労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続きがとられているこ
と、すなわち労働者の投票、挙手等の方法により選出されること。

このような基準に添った選出方法を行えばよいのである。

例えば選挙管理委員会を組織して選挙を行うが、その選挙管理委員長は経営者
が指名するとした場合、その委員会の機能が労働者の意志を民主的に集約でき
ればよいのであり、その点が出来ていれば問題はないこととなる。

(2)親睦会長は過半数の代表となりうるか
 親睦会の会長を労働者代表としている場合も多い。
これはどの様に考えるべきであろうか。
施行規則第6条の2により、「法に規定する協定等をするものを選出すること
を明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出されたもの」とあり、
親睦会長の場合にはこの様なケースを想定されて選出されておらず、その都度
過半数代表者としての選任を経なければ代表者としての適正はないということ
になる。

(3)過半数代表者の任期制
 過半数代表者をその都度選出することは非常に時間がかかる。
よって任期を定めて過半数代表者を選任することは問題ないのか。
 労働法ではこの様なことを想定しておらず、その都度選出する必要がある。
しかし、任期制であったとしても会社との交渉窓口であり、会社から提示され
た協定や諸規程等の意見集約にあたり、同時に信任投票が為されれば問題ない
わけであり、全ての委任を受け、全員に諮ることなく協定締結等の行為をする
ことが問題あるとされているのであり、その者がその都度全員に諮ればこの様
な制度であっても問題があるとは考えにくいと思う。

<4>まとめ

今回は労使協定の過半数代表者についてまとめた。
昨今のコンプライアンス意識の向上により、より厳格に手続きを踏む傾向が感
じられ今回のテーマとした。
参考にしていただきたい。

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編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
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