こんにちは。社会保険労務士の田中です。
スタートアップの支援をしています。
☆☆ スタートアップのための人事・労務 ☆☆
このコラムは、成長ステージにあるスタートアップ企業に
人事・労務面のアドバイスをご提供しています。
新しい着想と、独自の技術が強みのスタートアップ企業であっても、
70年前にできた労働基準法はじめ、旧来の法律に従わなければなりません。
時に理不尽な思いや窮屈な感じを抱くかも知れませんが、
コンプライアンスの重要性をご認識ください。
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☆☆ 第4回 法人は社会保険の加入が法的に必須 ☆☆
雇用保険・労災保険の労働保険は従業員を雇ったら入る保険です。
一方、健康保険・厚生年金は法人を設立すると、法的には
代表者1人であっても、加入する義務のある保険です。
実際には創業してから、事業が軌道に乗り始め、
従業員の雇用を意識し始めた頃に加入することも多いようです。
(原則は前述の通り、法人設立=加入です。)
「健康保険と厚生年金は一緒に入らなければいけないのか?」
というご質問をよく頂きます。将来、年金は本当にもらえるのか?
という不安から、健康保険だけに入りたいという希望もあるようです。
しかし、健康保険と厚生年金は一緒に入る必要があります。
健康保険は協会けんぽ、厚生年金は日本年金機構と
所管する機関も異なりますが、届け出書類は複写式で一体ですし、
被保険者資格の取得や喪失の手続きは年金事務所が窓口となります。
☆☆ 社員は全員、社会保険に入らなければいけない ☆☆
「社会保険料が高いから」 「将来、年金がもらえるか分からないから」
「給与の手取り額を減らしたくないから」などを理由に、
社会保険に入りたがらない従業員も時々います。
「週30時間以上」の勤務をする人は社会保険に加入しなければなりません。
これは、正社員・アルバイト・パートであっても同様です。
ちなみに雇用保険は「週20時間以上」の勤務をする人です。
(501人以上の企業等では社会保険は「週20時間以上」で入ります。
また、役員は異なる基準がありますが、ここでは触れません。)
社会保険は個人の希望で入るのではなく、前述のように勤務時間が
週30時間以上の従業員は、全員が入ることになります。
☆☆ 一体、社会保険料はどれ位なのか? ☆☆
まず、雇用保険・労災保険に比べて高いです。
会社と従業員が折半で負担しますので、
スタートアップにとって、その負担(法定福利費)は決して軽くはありません。
大まかにいうと、給料に対して次の保険料率を掛け算します。
(正確には給料ではなく、「標準報酬月額」ですが、
これは残業代等も含めた4月、5月、6月給料の平均額です。)
健康保険 9.90% 厚生年金 18.30% 介護保険 1.73%
これを会社と従業員で折半して、社員分は給与から控除します。
例えば、200,000円の給料の従業員(40歳未満)の場合、会社と従業員は
健康保険 9,900円 厚生年金 18,300円 ずつをそれぞれ支払います。
ちなみに、200,000円の給料の場合、労災は会社が全額負担で600円、
雇用保険は会社が1,200円 従業員が600円です。
☆☆ 健康保険ではどのような給付が受けられるか? ☆☆
1 医療機関において自己負担3割で診察・治療を受けられます。
また、手術や入院も対象となります。
2 出産する時に、出産育児一時金(42万円)がもらえます。
また、出産手当金として産前6週間産後8週間、
概ね給料の2/3がもらえます。
3 ケガや病気で仕事を休む時に傷病手当金として
概ね給料の2/3がもらえます。
その他、詳細はこちらをご参照ください。 ↓
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3
(協会けんぽ 「健康保険ガイド」)
☆☆ 厚生年金ではどのような給付が受けられるか? ☆☆
1 老齢厚生年金として、65歳以上になると年金がもらえます。
2 その他にも、障害を持った場合には、障害厚生年金が、
本人が亡くなった時には、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
その他、詳細はこちらをご参照ください。 ↓
http://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/yakuwari/20150518.html#cmsrourei
(日本年金機構 「年金のことを調べる。」)
保険料を支払えば、給付としてこれらのものが受けられます。
また、社会保険は「共助の精神」に基づきますので、
「元が取れる、取れない」という次元の話ではないこともご理解ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
☆☆☆☆ スタートアップの人事・労務 ☆☆☆☆
他にも、次のようなコラムがあります。よろしければ、お読みください。
1 スタートアップの人事・労務 1 なぜ、労災保険は必要か?
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173536/
2 スタートアップの人事・労務 2 雇用保険はどのように役立つか
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173554/
3 スタートアップの人事・労務 3 人を採用する前後のアクション
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4 スタートアップの人事・労務 4 法人は社会保険の加入が法的に必須
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173577/
5 スタートアップの人事・労務 5 就業規則を作った方が良い?
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173605/
6 スタートアップの人事・労務 6 就業規則 作成時のポイント
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173676/
7 スタートアップの人事・労務 7 フリーな勤務と裁量労働制
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173692/
8 スタートアップの人事・労務 8 求人、採用時の注意点
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173711/
9 スタートアップの人事・労務 9 黎明期の労務管理
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173723/
10 スタートアップの人事・労務 10 助成金との適正な距離
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-173790/
11 スタートアップの人事・労務 11 地味だけど大切な労使協定1
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-173831/
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
(立川・渋谷・新宿 で主に仕事をしています。)
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