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○中小企業戦略【総務の知恵】 2022.3.1
60時間超の時間外労働の中小企業の猶予措置の終了についてvol.381
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3月、ひな祭りの月となりました。春めいた温かい日も増えたような気がします。
例年は、この季節は花粉症に悩まされるのですが、
マスク効果で、この数年、花粉症に悩まされることもなくなりました。
このまま、温かくなると良いですね。
<時間外労働と簡単な労働基準法の歴史>
1947年 戦前の劣悪な労働条件を改め、国際的に認められる労働者確保のための法整備がなされました。
労働基準法成立。
1日8時間週48時間の労働時間、時間外労働・深夜労働・休日労働ついての割増賃金(一律25%)とされました。
1987年 週法定労働時間の48時間から40時間への段階的
週法定労働時間48時間から40時間への段階的に短縮
変形労働時間制の拡大(フレックスタイム制度の導入・3か月単位変形労働時間制の導入など)、
事業場外および裁量労働制ついての労働時間の算定に関する規定などが決定されました。
1993年 週法定40時間制の施行。1年単位の変形労働時間制の導入
時間外労働、休日労働の割増賃金率の政令事項化、休日労働の割増率を
35%に引き上げ、時間外労働は25%で据え置きとされた。
1998年 時間外労働についての、労働大臣が限度基準を告示し、労使協定を
定めるにあたっては、これに適合するものでなければ、ならないとされました。
2008年 月60時間を超える時間外労働についての割増賃金に引き上げ(50%)
ただし、中小企業は、その措置は、猶予とされました。
2018年 働き方改革実施
・労働時間の上限規制の導入、2008年の月60時間を超える時間外労働についての
割増賃金に引き上げ(50%)中小企業は、猶予措置の時限的廃止
・割増賃金率引き上げの施行
・年次有給休暇の消化義務の導入(年10日以上の有給の権利を有する労働者
に最低5日消化をさせること
・高度専門職・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
<2023年4月1日から、中小企業も月60時間を超える時間外労働の割増率が
引き上げられます。>
2023年3月31日まで、月60時間超の残業賃金割増率は、
大企業は、既に50%で中小企業は25%に猶予されていました。
2023年4月1日から、大企業と同様に月60時間超の残業割増率は、50%になります。
60時間を超えた部分のみ、賃金割増率が50%になります。
深夜時間帯の場合であると、25%の深夜割増賃金がさらに加算されます。
合計75%の割増賃金率になります。
月60時間の時間外労働時間には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、
それ以外の休日に行った労働は、60時間のカウントに入ります。
時給社員、契約社員、固定残業社員などすべての社員に適用されます。
<就業規則の記載例>
(割増賃金)
第〇条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算
方法により支給する
(1)1か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、
次の通りとする。この場合の1か月は毎月1日を起算日とする。
・時間外労働60時間以下・・・25%
・時間外労働60時間超・・・・50%
<代替休暇>
1)月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、
引き上げ分の割増賃金(25%)の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇)を
付与することができます。
2)代替休暇制度を導入するには、「労使協定」を締結する必要があります。
また、代替休暇制度を導入しても、代替休暇とするか、60時間超の割増賃金を選択するかは、
労働者の意思により、会社から義務づけることはできません。
代替休暇を与える期間は、月60時間を超えた月の末日の翌月から2か月以内となっています。
3)例えば、64時間残業をしていて、4時間分が1.5の割増率になりますので、
大阪の最低賃金1023円×1,5×4時間=6,123円
この部分が、引き上げた割増賃金を支給する代わりに、有給休暇を付与することができます。
1023円×1.25×4時間=5,115円として支給できます。
4)代替休暇の時間数の具体的な算定方法
計算式は、月60時間超過時間外労働時間数×換算率、となります。
上記の場合であると、(64時間-60時間)×換算率(50%-25%)=1時間
となります。1時間分の有給休暇を付与することで、25%の割増率で計算できます。
<36協定の記載の注意点>
法定労働時間、1日8時間週40時間を超えて労働させる場合は、36協定を締結し、
労働基準監督署への届出が必要になります。時間外労働の上限は、原則、月45時間、年360時間です。
この上限を超えて時間外労働を行わせる場合には、「特別条項付き36協定」の締結・届出が必要になります。
この「特別条項付き36協定」に60時間超の割増率の記載や延長する時間数を記載することになります。
<まとめ>
月60時間以上の時間外労働が常態化している企業は、残業抑制対策や代替休暇制度の導入などを
進める必要があります。残業抑制対策の一つとして、勤怠システムを導入・活用し、
労働時間を可視化することも、有効と考えます。その他、
残業許可制度の活用や無駄な業務の見直しなども必要な場合もあります。
<令和5年3月分からの健康保険料率について>
協会けんぽ(大阪支部)の健康保険料率は、例年3月分(4月納付分)から
引き上げられます。
10.22%→10.29%に引き上げになります。
介護保険料は、全国共通です。1.64%が1.82%に引き上げとなります。
政府管掌厚生年金保険料は、平成29年9月分(10月分)より
183%となっています。上記の表示は、労使負担の合計額です。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ご不明の点は何でもお気軽にお尋ね下さい。
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オフィス中橋 社会保険労務士 中橋章好
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