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労務管理入門

平成22年3月15日 第78号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1.労務管理入門
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ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

就業規則サイト「就業規則.COM」
http://www.sr-syuugyoukisoku.com/


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1.労務管理入門

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今回は、さる団体の新規開業者へ配布する書籍について原稿を依頼された。
特別にメルマガに紹介しても良いとのことであるので、今回紹介したいと思う。
内容的には、初心者だけではなく、特に<1>労働条件の決定については、し
っかりとご理解頂きたい事項であるので、お読み頂きたいと思う。

<1> 労働条件の決定
Q1 従業員を募集・採用するにあたりどの様なことに注意して労働条件を決
定すれば良いのですか?

優れた人材を確保することが企業にとって重要な事柄であることは言うまでも
ないことです。
優秀な人材を確保するためには、適正な賃金水準を確保することと、労働条件
を明確にすることが重要です。

1.賃金水準の決定方法
賃金額を決定するにあたり総人件費を考えて決定しなければなりません。
その労働者にかけられる予算を総人件費と言います。この総人件費が30万円
であった場合、30万円をすべて賃金として労働者に支払ってしまったら、社
会保険も入ることは出来ませんし、残業手当を支払うことが出来ません。
未払い賃金に関する労使間の紛争が増加している昨今において、残業手当の予
算化は企業防衛のためには極めて重要です。
賃金を決定するにあたり、このことを踏まえて賃金水準の決定を行っていかな
ければなりません。

2.残業の予算化と賃金水準低下の矛盾の解消について
残業手当を支払うことが出来る水準で基本給を設定した場合、基本給が低くな
ってしまいます。
また残業が少ない時期には賃金額が少なくなってしまいます。
総人件費の考え方は、人件費を節約する事が目的ではなく、残業手当や法定福
利費を支払うための賃金水準の設定が目的です。
残業が少ない月における賃金の低水準化を防止する方法は、定額残業という考
え方があります。
総人件費から、法定福利費社会保険料労働保険料)を控除した金額を、所
労働時間の対価である基本給と残業の有無にかかわらず支給する定額残業手
当に分けます。
定額残業手当は残業の有無にかかわらず毎月一定額を支給することとし、予定
していた定額残業時間を超えた場合にはその月で清算を行う仕組みです。
この場合の注意点は以下の通りです。
・定額残業手当の名称は「職務手当」や「業務手当」など、どの様に設定して
も構いません。
・この手当が「残業手当」であることが雇用契約書就業規則に明記されてい
て、労働者が理解していることが前提です。
・この手当が「何時間分の残業」であるのか明らかにする必要があり、この「
何時間分」の計算にあたっては労働基準法に則った割増賃金の計算により、
その額以上でなければなりません。
基本給の設定については最低賃金以上の賃金額である必要があります。
・設定されている残業時間を超過した場合には、当月でその超過分の残業手当
を精算する必要があります。

3.労働条件を明確にすること
特に労働時間休日は重要です。
労働基準法では1日8時間、1週40時間を原則としており、この範囲内で労
働をさせなければなりません。
この時間を超えて労働させれば、残業手当が発生します。
始業及び終業の時刻、休憩時間休日に関しては明確にすることが労使間の紛
争を防止する為には必要なことです。

<2> 就業規則 雇用契約書
Q2 インターネット等で就業規則雇用契約書のフォーマットがありますが、
これはそのまま使って良いのでしょうか?

フォーマットを使うことも良いでしょう。
しかしその内容が実態にあったものでなければなりません。
この点を検討してみましょう。

質問の多い点をまとめてみました。
他にも様々な事項がありますのでしっかりと検討する必要があります。

1) 試用期間
概ね3ヶ月程度が一般的です。
しかし、試用期間中であっても合理的な理由がなければ解雇できませんので注
意が必要です。この点は後述します。
また、試用期間中であっても14日を超えた場合には解雇予告手当若しくは3
0日前の解雇予告が必要になります。(この点はQ4参照)
2) 年次有給休暇
年次有給休暇については、法律上付与しない事とすることはできません。
ですから試用期間を含めて、雇用期間が6ヶ月になった場合には10労働日の
年次有給休暇が発生します。
しかし、中小企業の殆どは少数精鋭で運営されていると思われます。
その趣旨を十分に労働者に理解してもらい、事前に業務調整等を行うような職
場風土を築いていく必要があります。
3) 慶弔休暇
慶弔休暇は法律上設ける必要はありません。慶弔休暇がないというルール設定
も可能です。
しかし一般的には慶弔休暇を設定します。
日数の設定については、会社の運営を考慮し決定していくことが重要でしょう。
4) 残業手当の計算方法
残業手当の計算の基礎から控除できる賃金は以下のものです。
家族手当(家族の数に応じて支給額が決定されるもの)
住宅手当(家賃や住宅ローンの返済額、残高等に応じて支給額が決定されるもの)
通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・臨時の手当(大入り袋等)
・一時的な賃金賞与等)
・時間外手当として支給されている賃金
上記以外のものは、残業の計算にあたり全て分子に含めなければなりません。

では、残業の計算にあたり分母はどうすればいいのでしょうか。
これは年間平均の月間所定労働時間です。
一年間の総労働時間を12で除したものになります。

この計算式によって導き出された単価に以下の乗率をかけます。
・残業の場合は1.25
・法定休日労働の場合には1.35
・22時より5時までの深夜時間帯に働かせた場合には0.25
(この時間帯の労働が残業時間や休日労働である場合には、上記乗率に上乗せ)
労働基準法改正により月間の残業時間が60時間を超える場合には1.5の割
増率とすることとされたが、中小企業においては平成25年4月1日まで猶予
されている。(この時点でさらに猶予措置が延長されるか、猶予の内容が変更
になるのかは未定です。)

5)労働時間休日の設定
労働条件では賃金と並ぶ重要な項目です。
労働時間の実務とは、1日8時間、1週40時間の範囲内で、1週間に1日の
休日が確保されるように勤務表をつくる実務です。
毎週土曜日、日曜日といった特定された日が休日である場合には、勤務表を作
成する必要はありません。就業規則雇用契約書で明示するだけで足ります。
しかし、天候や締め切り日の関係で、休日を別の日に設定する場合などは、予
休日を変更する旨の勤務表をつくっておくべきでしょう。
隔週土曜日出勤など、1週40時間を超える労働時間を設定する必要がある場
合には、1ヶ月単位の変形労働時間制1年単位の変形労働時間制の導入が必
要になります。

<3> 短時間労働者

Q3パートタイマー、アルバイト、正社員等の違いって何ですか?

結論から言うと違いは殆どありません。
解雇をする場合にも、全て客観的合理的な理由が必要ですし、年次有給休暇
与えなくてはなりません。また、一定の条件を満たせば社会保険にも加入させ
なければなりません。(Q8参照)
これらの分類は労務管理上必要性から分類しており、法律上の定義ではありま
せん。
労務管理上の必要性とは、労働者個人毎に労働条件を決めることは効率的では
ありません。正社員はこのような条件、パートタイマーはこのような条件等、
画一的に労務管理をする為です。

<4> 解雇

Q4 解雇は30日前に予告をすれば出来るのですか?

結論から言うと、客観的、合理的な理由が無ければ解雇は出来ません。
労働基準法第20条により、30日前に予告をするか、30日分の平均賃金
払いなさいと規定されていますが、これは最低限の手続きを規定したものであ
り、民事上の契約である雇用契約の解除は、客観的、合理的な理由が必要にな
ります。

では客観的合理的な理由とはどの様なものでしょうか。
非常にハードルは高いです。
能力不足で労働者を解雇することは非常に難しいです。
十分に話し合って、解決を図らなくてはなりません。

Q5 期間の定めのある雇用契約の場合、雇用契約終了をもって労働者退職
させることは出来るのですか?

期間の定めのある雇用契約であっても、契約が更新をされ、実態としては期間
の定めのない雇用契約と同じである場合や、契約更新が一回も為されていない
場合でも、労働者契約の更新を当然に期待する場合については、解雇と同じ
客観的合理的理由が必要になります。
期間の定めのある雇用契約を締結している労働者であっても、その労働者を退
職させる場合にはしっかりとした話し合いが必要になります。

<5>その他の労働条件

Q6 退職金はどうすればいいのでしょうか?

退職金については、その原資を内部留保しておくことは現実的ではありません。
中小企業退職金共済や特定退職金共済といった掛け金を積み立てておく退職金
共済に加入することが無難でしょう。

Q7 労働者健康診断はどうすればいいのでしょうか?

労働者健康診断は、雇い入れ時と年一回の実施が義務づけられています。
また、月間の労働時間が80時間を超える場合には医師による面接指導をさせ
なければなりません。

<6>社会保険

Q8 社会保険はどの様な種類があるのですか?

社会保険には一般的に「社会保険」と「労働保険」に分類されます。
1.社会保険
1)社会保険の種類
社会保険」には健康保険厚生年金、介護保険があります。
また主に個人事業主を対象とした国民健康保険(保険料は住民税の課税ベース
を根拠に算出)、全国民が加入している基礎年金である国民年金(毎月一定額
の保険料)もあります。
厚生年金に加入している場合、同時に国民年金にも加入していることとなりま
すので、厚生年金保険料とは国民年金の保険料も含まれていると考えて良いで
しょう。
2) 社会保険の加入要件
法人であれば、健康保険及び厚生年金に加入する義務が発生します。
加入させる義務が生じる労働者は、同じ職場で働くフルタイム労働者の所定労
働時間と比較して4分の3以上の所定労働時間労働者です。
3) 保険料
保険料は労使で折半負担です。
以下社会保険の種類ごとに保険料をまとめました。
健康保険料については、協会けんぽの場合には都道府県ごとに違い、健康保険
組合の場合には健康保険組合ごとに違います。
厚生年金保険料については、毎年変更がありますのでホームページでご確認下
さい。
介護保険料については、頻繁に変更がありますのでホームページでご確認下さ
い。

2.労働保険
1) 労働保険の種類
労働保険」には、雇用保険労災保険があります。
雇用保険は、労働者失業に備える保険であり、労災保険労働者が業務上及
通勤途上に怪我や病気になった場合に給付を受けることが出来る保険です。

2) 労災保険の適用要件
労働保険個人事業主でも、労働者を雇っていれば加入しなければなりません。
個々の労働者を加入させるというものではなく、会社を労災の適用事業主とし
て、そこで働く労働者は全て労災が適用されるという仕組みです。
労働時間の長さや労働日数で加入が出来ないということはなく、全ての労働者
が対象になる制度です。
労災保険とは、自動車保険で言えば「自賠責保険」の様な存在であり、労働基
準法上の経営者の最低限の賠償責任を保険でまかなうという趣旨のものです。
労働保険事務組合という団体に委託をすれば、経営者も労災の適用を受けるこ
とが出来る可能性もあります。この場合には、中小企業主として特別加入とい
う手続きをしなければなりません。
労災保険料は、全て経営者の負担です。

3) 雇用保険の加入要件
雇用保険は、週20時間以上の所定労働時間である労働者が対象です。
労災保険と違い職業安定所に、個々の労働者ごとに加入の手続きをしなければ
なりません。

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編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
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